対象試験と出題頻度

「SWOT分析」「ファイブフォース分析」「バリューチェーン分析」。

ストラテジ系には似たようなフレームワークが大量に登場します。

その中でも3C分析は、経営コンサルタント・大前研一氏が1982年に著書『The Mind of the Strategist』で提唱した由緒あるフレームワークです。

ITパスポートでは直接「3C分析の説明を選べ」と問われ、基本情報では選択肢の一つとして登場し、応用情報では午後の経営戦略問題で実際に3C分析を使った現状分析が出題されています。

つまり、試験区分が上がるほど「知っている」だけでなく「使える」レベルが求められます。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

ストラテジ系を勉強していると、「3C分析って、SWOT分析やPEST分析と何が違うの?」と混乱しがちです。

3C分析(3C Analysis)とは、一言で言うと

 「顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点から事業環境を整理するフレームワーク

です。

イメージとしては、三角関係の相関図です。

恋愛ドラマで「自分・相手・ライバル」の三角関係をホワイトボードに書き出すシーンを見たことがあるでしょう。自分の強みは何か、相手は何を求めているか、ライバルは何をしているか。

この3つを整理しないと戦略は立てられません。ビジネスでも構図はまったく同じです。

📊 3C分析の基本情報

項目 内容
正式名称 3C Analysis(スリーシー分析)
提唱者 大前研一(1982年『The Mind of the Strategist』)
分析の種類 ミクロ環境分析(内部環境+直接的な外部環境)
3つのC Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)
目的 自社の成功要因(KFS:Key Factor for Success)を導き出す

解説

なぜ「3つのC」に分けるのか。

理由は単純で、ビジネス環境を分析するときに「お客さんは何を求めているか」「ライバルは何をしているか」「自分たちは何ができるか」の3つを押さえれば、戦略の方向性が見えるからです。

ただし、3C分析にはやるべき順番があります。

Customer → Competitor → Company の順が原則です。自社の強みは、顧客のニーズと競合の動きを把握してはじめて「強み」と判断できるためです。

3つのCの分析内容

各Cで「何を調べるのか」を具体的に整理します。

C 日本語 分析する内容
Customer 顧客・市場 市場規模、成長性、顧客のニーズ・購買行動、セグメントの特徴
Competitor 競合 競合のシェア・戦略・強み弱み、新規参入企業の動向
Company 自社 自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)、技術力、ブランド力、販路

3C分析の構造

3つのCは互いに影響を及ぼし合う三角形の関係にあります。

中心に浮かび上がるのが、戦略の方向性(KFS)です。

3C分析の関係図

Customer
(顧客・市場)
↙ ニーズ・市場環境 競合の対応状況 ↘
Competitor
(競合)
← 差別化・競争 →
Company
(自社)

▼ 3つの視点が交わるところに KFS(成功要因)が見える

他の経営戦略フレームワークとの使い分け

ストラテジ系では複数のフレームワークが登場しますが、それぞれ「分析する対象」が異なります。ここだけは確実に押さえてください。

フレームワーク 何を分析するか 見分けキーワード
3C分析 顧客・競合・自社の三者関係 Customer、Competitor、Company
SWOT分析 内部の強み・弱みと外部の機会・脅威 Strengths、Weaknesses、Opportunities、Threats
PEST分析 政治・経済・社会・技術のマクロ環境 Political、Economic、Social、Technological
ファイブフォース分析 業界の収益性を決める5つの競争要因 新規参入、代替品、買い手、売り手、業界内競争
バリューチェーン分析 自社の事業活動のどこで価値が生まれるか 主活動、支援活動、付加価値

実務では、まずPEST分析でマクロ環境を把握し、次に3C分析でミクロ環境を整理し、その結果をSWOT分析に落とし込む。

という流れが一般的です。3C分析は「マクロとミクロの橋渡し」に位置するフレームワークだと覚えておくと、各手法の関係が頭の中で整理しやすくなります。

覚えるのはこの3点だけ

・3C=Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の頭文字
・分析の順番はCustomer → Competitor → Companyが原則
・目的は自社の成功要因(KFS)を見つけ出すこと

試験ではこう出る!

3C分析は、IPでは定義を直接問う形式、FEでは「ダミー選択肢」として登場する形式、APでは午後問題の長文読解で実際に使わせる形式と、試験区分ごとに出題のされ方が異なるのが特徴です。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
IP R1秋
問7
「3C分析の説明として適切なものを選べ」という直接問題 ・正解は「顧客,競合,自社の三つの観点から分析する」
・RFM分析、コーホート分析、ABC分析がひっかけ
FE H29春
科目A 問61
「ITポートフォリオ」の正解を問う問題で、3C分析は不正解選択肢として登場 ・3C分析の定義を知っていれば即座に除外できるパターン
・同一問題がFE R1秋 問61でも流用
FE R7
科目A 問16
「マーケットバスケット分析」の正解を問う問題で、3C分析は不正解選択肢として登場 ・ABC分析・コンジョイント分析との区別が必要
AP H22春
午前 問66
「バリューチェーン分析」の正解を問う問題で、3C分析・SWOT分析・ファイブフォース分析が不正解選択肢 ・経営戦略フレームワーク4種の横断比較が求められる
AP R3秋
午後 問2
スナック菓子メーカーの事例で、3C分析(顧客・競合・自社)の結果を読み取りマーケティング戦略を導出する長文問題 ・3C分析の「使い方」を問う実践型
・分析結果からポジショニング戦略を導く力が必要

📝 出題パターンの整理

パターン1(IP向け):「3C分析の説明を選べ」
4つの分析手法の説明が並び、3C分析に該当するものを選ぶ形式。ひっかけとしてRFM分析(最新購買日・頻度・金額)やABC分析(売上高の上位グループ分類)の説明が紛れ込む。「顧客・競合・自社」というキーワードが見えたらそれが正解。

 

パターン2(FE向け):「別の用語の問題で不正解選択肢として登場」
FEでは3C分析そのものを正解にする問題より、ITポートフォリオやマーケットバスケット分析など別の用語を問う問題の「ダミー選択肢」として出現するケースが多い。3C分析の定義を正確に理解していれば、消去法で正解にたどり着ける。

 

パターン3(AP向け):「午後の長文で3C分析を実際に適用する」
AP R3秋 午後問2やAP R2秋 午後問2のように、架空の企業事例で3C分析の結果が本文に示され、そこから戦略を導出させる問題。3つのCそれぞれに何が書かれているかを素早く仕分ける読解力が得点を左右する。

 

IP・FE対策なら「3つのCの英単語と日本語の対応」を押さえれば午前は十分です。AP午後まで視野に入れるなら、上記の比較表を使って他フレームワークとの守備範囲の違いまで整理しておいてください。

受験生が間違えやすい「3C」と「3つの○○」の区別

IPA試験には「3つの観点で分析する」手法が複数存在し、ここが選択肢のひっかけどころです。

以下の対比を頭に入れておくと、本番で迷いません。

手法 3つの観点 目的
3C分析 顧客・競合・自社 事業環境を整理し成功要因を導く
RFM分析 最新購買日(Recency)・購買頻度(Frequency)・購買金額(Monetary) 優良顧客を特定する
ABC分析 売上高上位のA・B・Cグループ 在庫管理・重点管理品目の選定

IP R1秋 問7では、まさにRFM分析とABC分析が3C分析のひっかけ選択肢として配置されていました。

「3つの何を分析するか」を覚えておけば即座に見分けられます。

【確認テスト】理解度チェック

Q. 事業環境の分析手法である「3C分析」の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 自社の事業活動を主活動と支援活動に分け、どの活動で付加価値が生み出されているかを分析する手法である。
  • B. 顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの観点から、自社の置かれている事業環境を分析する手法である。
  • C. 最新購買日、購買頻度、購買金額の3つの指標から、顧客をグループ分けして優良顧客を特定する手法である。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
3C分析は、Customer(顧客・市場)・Competitor(競合)・Company(自社)の3視点で事業環境を整理し、自社の成功要因(KFS)を導き出すフレームワークです。IP R1秋 問7でもこの定義が正解選択肢として出題されています。

選択肢Aはバリューチェーン分析の説明です。バリューチェーン分析は自社内部の価値創造活動を分析する手法であり、競合や顧客の視点を直接扱う3C分析とは対象が異なります。選択肢CはRFM分析の説明です。RFM分析は顧客データを3指標で評価する手法であり、競合や自社の経営資源を分析対象に含まない点で3C分析と区別されます。

よくある質問(FAQ)

Q. 3C分析とSWOT分析はどちらを先にやるのですか?

実務では3C分析を先に行い、その結果をSWOT分析に引き継ぐのが一般的な流れです。3C分析のCustomer・Competitorの結果がSWOTの「機会」「脅威」(外部環境)に、Companyの結果が「強み」「弱み」(内部環境)にそれぞれ対応します。つまり、3C分析は情報収集のフェーズ、SWOT分析はその情報を戦略に落とし込むフェーズという役割分担です。AP R2秋 午後問2では、3C分析とSWOT分析の両方が登場する構成になっていました。

Q. 「5C分析」というものもあるようですが、試験に出ますか?

5C分析は3Cに「Collaborator(協力者)」と「Context(市場環境・社会的文脈)」を加えた拡張版です。ただし、IPAの試験シラバスに5C分析の記載はなく、出題実績もありません。試験対策としては3Cの3要素だけで十分であり、5Cまで広げる必要はありません。

Q. 実務でのIT企業における3C分析の具体例を教えてください。

たとえばクラウド型会計ソフトを開発するIT企業であれば、Customer(中小企業の経理担当者が求める機能・価格帯)、Competitor(競合クラウドサービスのシェア・機能比較)、Company(自社のAPI連携技術・カスタマーサポート体制)を調べます。この結果から「競合にはないAI自動仕訳機能で差別化できる」といったKFSが導出されます。SIerやWeb系企業でも、対象が変わるだけで構造は同じです。

Q. 3C分析のCompetitor(競合)にはどこまで含めるのですか?

直接競合(同じ商品・サービスを提供する企業)だけでなく、間接競合(異なる方法で同じ顧客ニーズを満たす企業)も含みます。たとえばタクシー会社にとって、他のタクシー会社は直接競合ですが、ライドシェアサービスや電動キックボードは間接競合に該当します。AP午後の経営戦略問題では、本文中に「海外大手メーカーから新商品が発売される予定」のような間接的な競合情報が含まれることがあり、これを見落とすと設問の解答に支障が出ます。

関連用語ネットワーク

【前提知識】 経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報) / コアコンピタンス

【関連用語】 SWOT分析 / PEST分析 / ファイブフォース分析 / バリューチェーン分析 / PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)

【発展】 STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング) / KFS(Key Factor for Success)/ ブルーオーシャン戦略