アンゾフの成長マトリクスの対象試験と出題頻度

アンゾフの成長マトリクスは、基本情報技術者・応用情報技術者のストラテジ系で扱われる経営戦略の用語です。

企業が「次にどこで伸ばすか」を決めるときに使う考え方で、SWOT分析PPMと並べると、経営戦略の地図がつながります。

対象区分・頻出度
対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「市場浸透と新市場開拓の違いが名前だけでは分からない」とつまずきがちです。

アンゾフの成長マトリクス(Ansoff’s Growth Matrix)を一文でまとめると、

 「既存/新規の市場と製品の2軸で、企業の成長戦略を4分類するフレームワーク

です。

たとえるなら、弁当屋さんの売上アップ会議です。

今の店で唐揚げ弁当をもっと売るのか、新メニューを出すのか、隣町へ出店するのか、まったく新しいカフェを始めるのか。この分かれ道を4マスに整理します。

📊 基本情報

項目 内容
英語名 Ansoff’s Growth Matrix / Product-Market Matrix
提唱者 H. Igor Ansoff
分類 経営戦略・成長戦略
市場:既存/新規、製品:既存/新規

解説

売上拡大の案は、広告強化、商品追加、海外展開、新規事業のように混ざりやすいものです。

そこで「売る相手が変わるか」「提供物が変わるか」に分けると、成長の方向とリスクをそろえて比較できます。

4象限の対応表

📊 市場 × 製品で見る4つの成長方向

市場 \ 製品 既存製品 新製品
既存市場 市場浸透
今の顧客に今の商品をもっと売る
例:割引、広告、リピート施策
新製品開発
今の顧客に新しい商品を売る
例:新メニュー、追加機能
新規市場 新市場開拓
今の商品を新しい相手に売る
例:海外展開、別業界への販売
多角化
新しい相手に新しい商品を売る
例:食品会社が金融サービスを始める

リスクは右下ほど大きい

成長戦略ごとのリスク感覚

市場浸透
新製品開発
新市場開拓
多角化

新しい市場と新しい製品が重なるほど、経験値が少なくなり不確実性が大きくなる。

ざっくり派向け:4マスの覚え方

先に「商品は今のままか、新しいか」を見ます。次に「売る相手は今の相手か、新しい相手か」を見ます。両方とも今のままなら市場浸透、両方とも新しいなら多角化です。

取り違えやすい2つの見分け方

新製品開発 ⇒ 「相手は同じ、商品が新しい」。

新市場開拓 ⇒ 「商品は同じ、相手が新しい」

ケース 見るポイント 分類
既存顧客向けにアプリの有料プランを追加する 顧客は同じ、提供物が新しい 新製品開発
国内で売っている商品を海外で販売する 提供物は同じ、顧客・地域が新しい 新市場開拓

関連用語との違い

用語 見るもの 軸・キーワード
アンゾフ型の整理 成長の方向 市場 × 製品
SWOT分析 自社と外部環境の状況 強み、弱み、機会、脅威
PPM 事業への資源配分 市場成長率 × 相対市場占有率

💡 覚えるのは4マスの位置

・既存市場 × 既存製品 = 市場浸透
・既存市場 × 新製品 = 新製品開発
・新規市場 × 既存製品 = 新市場開拓
・新規市場 × 新製品 = 多角化


試験ではこう出る!

基本情報技術者・応用情報技術者では、午前の経営戦略分野で4象限の名前と具体例を対応させる形式が中心です。

IPA公式の問題冊子・解答例は、IPA「問題冊子・解答例」で公開されています。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE H31春
午前 問67
市場開拓戦略に該当する施策を選ぶ問題。 既存製品を、新しい顧客層・地域へ展開する組合せを選ぶ。
AP H28秋
午前 問67
多角化戦略に該当する組合せを選ぶ問題。 新製品 × 新市場の組合せを選ぶ。右下の象限が正解。

📝 ひっかけ選択肢の見抜き方

ひっかけ1:「新製品開発」と「新市場開拓」の入れ替え
商品が新しいのか、売る相手が新しいのかを先に確認します。

 

ひっかけ2:PPMの軸を混ぜる
「市場成長率」「相対市場占有率」が出たらPPMです。市場と製品の2軸ではありません。

 

午前対策の得点ラインは、4象限の対応表と似た用語の切り分けです。英語名の暗記や学術的な歴史の細部まで広げる必要はありません。

参照元:IPA「問題冊子・解答例」、IPA「試験要綱・シラバス」、H. Igor Ansoff, Corporate Strategy, 1965


【確認テスト】理解度チェック


Q. アンゾフの成長マトリクスの説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 市場成長率と相対市場占有率で事業を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」に分類する。
  • B. 製品と市場をそれぞれ既存/新規に分け、企業の成長方向を4象限で整理する。
  • C. 強み、弱み、機会、脅威の4項目から、自社と外部環境を整理する。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
選択肢Bは、製品と市場の組合せで成長の方向を区分しているため正解です。

選択肢AはPPMの説明です。事業ポートフォリオを市場成長率と相対市場占有率で分類します。選択肢CはSWOT分析の説明です。自社の内部環境と外部環境を整理する手法であり、4つの成長方向を示すものではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. 「製品」は物理的な商品だけを指しますか?

指しません。ITサービス、アプリの機能、サブスクリプションの料金プラン、保守メニューも製品として扱います。試験文で「サービス」「機能」と書かれていても、製品側の変化として読めば整理できます。

Q. 多角化は避けるべき戦略ですか?

避けるべき戦略ではありません。既存事業への依存を下げ、新しい収益源を作る目的で選ばれます。ただし、顧客理解と製品開発の両方を新しく行うため、経営資源の投入量が大きくなります。

Q. 既存市場と新規市場の境目はどこで判断しますか?

顧客層、地域、販売チャネルが変わるかで判断します。たとえば同じ商品を法人向けから個人向けに広げる、国内から海外へ広げる、店舗販売からEC専用に広げる場合は新規市場として扱います。

Q. 実務で使うときに最初に決めることは何ですか?

最初に「市場」と「製品」の範囲を決めます。市場を顧客セグメント単位で区切り、製品を機能やサービス単位で区切ると、4マスの判定がぶれません。

関連用語ネットワーク

【前提知識】経営戦略 / マーケティング / セグメンテーション

【関連用語】SWOT分析 / PPM / プロダクトライフサイクル / 競争戦略

【発展】多角化戦略 / 新規事業開発 / 事業ポートフォリオ