対象試験と出題頻度

問題管理は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で幅広く出題されるテーマです。

サービスマネジメントの中でも「インシデント管理との違い」が定番の問われ方で、目的・対象・タイミングの差をはっきり区別できるかが得点の分かれ目になります。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「問題管理ってインシデント管理と何が違うの?」と混乱しがちです。両方とも『トラブル対応』に見えてしまい、選択肢で迷う受験者が多いところです。

問題管理(Problem Management)とは、一言で言うと

 「インシデントの根本原因を突き止め、再発を防ぐためのプロセス

のことです。

イメージとしては、体調不良の原因を調べる人間ドックです。

熱が出たときに解熱剤で下げるのが応急処置(=インシデント管理)。一方、なぜ熱が出たのかを精密検査で突き止め、生活習慣を改めて二度と同じ症状を起こさないようにするのが人間ドック(=問題管理)です。

つまり、「今困っている人を助ける」のがインシデント管理、「同じ困りごとが二度と起きないようにする」のが問題管理という役割分担です。

📊 問題管理の基本情報

項目 内容
英語名 Problem Management
所属プロセス サービスマネジメント(ITIL/JIS Q 20000)
主な目的 根本原因の特定と恒久対策による再発防止
成果物 既知の誤り(Known Error)、ワークアラウンド、変更要求

解説

サービス運用の現場では、システム障害が一度で終わることは稀です。

同じ原因のトラブルが繰り返し発生し、その都度ユーザーに迷惑をかけ、現場のエンジニアが疲弊するという悪循環がよく起こります。

この「もぐらたたき」状態から抜け出すために設計されたのが、問題管理プロセスです。

インシデント管理と問題管理の役割分担

両者の違いは「ゴールが違う」と覚えると整理しやすいです。

インシデント管理のゴールは『サービスの早期復旧』、問題管理のゴールは『根本原因の特定と再発防止』です。

観点 インシデント管理 問題管理
目的 サービスの早期復旧 根本原因の特定と再発防止
対象 発生中の事象(症状) 事象の背後にある原因
時間軸 短期(即時対応) 中長期(恒久対策)
サーバ再起動でサービス復旧 メモリリークを修正するパッチ適用

インシデント発生から問題管理までの流れ

STEP 1

インシデント発生

例:Webサイトが落ちた

STEP 2

インシデント管理

サーバ再起動で復旧

STEP 3

問題管理

原因を分析・特定

STEP 4

恒久対策

変更管理で修正反映

インシデント管理が応急処置、問題管理が原因分析と恒久対策の起点となる

根本原因究明(RCA)の代表的な手法

問題管理の中核となるのが、根本原因究明(Root Cause Analysis:RCA)です。表面的な症状ではなく、その奥にある真因にたどり着くために、次のような手法が使われます。

なぜなぜ分析(5 Whys):「なぜ?」を5回繰り返して真因に到達する手法。例:「サイトが落ちた」→なぜ?「メモリ不足」→なぜ?「キャッシュが解放されていない」→…と掘り下げます。

特性要因図(フィッシュボーン):原因を「人・モノ・方法・環境」などのカテゴリに分けて魚の骨状に整理する図。複数要因が絡む障害の分析に有効です。

パレート分析:障害件数の多い原因を上位から並べ、「全体の8割は2割の原因による」という80:20の法則で重点対策を決める手法。

既知の誤り(Known Error)とワークアラウンド

原因は特定できたが、すぐに恒久対策を打てない場合があります。例えば「ベンダー製品のバグだがパッチ提供が3か月後」というケースです。

このとき問題管理では、原因がわかっている状態を既知の誤り(Known Error)として記録し、その場しのぎの暫定対応であるワークアラウンド(例:1日1回手動で再起動する運用ルール)を提示します。

これによりインシデント管理側は、同じ事象が再発しても即座に暫定対応で乗り切れるようになります。

💡 問題管理の核心を3行で

・ゴールは「再発防止」。インシデント管理の「早期復旧」とは目的が異なる
・根本原因究明(RCA)の代表手法は、なぜなぜ分析・特性要因図・パレート分析
・暫定対応として「既知の誤り」と「ワークアラウンド」を運用に提供する

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。


試験ではこう出る!

問題管理は、IP・FE・APすべての区分でサービスマネジメントの定番テーマとして繰り返し登場しています。問われ方は大きく2パターンに分かれます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
IP R5春
問48
問題管理の活動として適切なものを選ぶ問題。 ・「根本原因を究明し再発を防ぐ」が正解
・「サービス復旧」(インシデント管理)がひっかけ
FE R元秋
午前 問57
ITILの問題管理で行う活動はどれか。 ・「根本原因の特定」が正解
・「変更の実装」(変更管理)が典型ひっかけ
AP H30秋
午前 問56
インシデント管理と問題管理の違いに関する問題。 ・目的の違い(早期復旧 vs 再発防止)
・成果物の違い(ワークアラウンド・既知の誤り)
AP R2秋
午前 問55
問題管理プロセスの目的を選ぶ問題。 ・「インシデントの根本原因を究明し再発防止」が正解
・構成管理・リリース管理の説明がひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「問題管理の目的・活動を選べ」
4つの選択肢からサービスマネジメント各プロセスの説明が並び、問題管理に該当するものを選ぶ形式。キーワードは「根本原因」「再発防止」。逆に「早期復旧」「サービス回復」と書かれていたらそれはインシデント管理。

 

パターン2:「他プロセスとの違い」
インシデント管理・変更管理・構成管理との対比で問われる形式。「ワークアラウンドを提供するのは?」「既知の誤りを記録するのは?」と問われたら問題管理が正解。

 

出題範囲では、ITIL v4の用語体系(プロブレム管理プラクティス)まで深掘りされることはほぼありません。ここまでの理解でOKです。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. サービスマネジメントにおける問題管理プロセスの説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 発生したインシデントに対して、合意したサービスレベル内で可能な限り迅速にサービスを復旧させることを目的とする。
  • B. インシデントの根本原因を究明し、恒久的な対策を講じることで、同種のインシデントの再発防止と影響の最小化を図る。
  • C. IT資産であるハードウェア・ソフトウェア・ドキュメントなどの構成情報を正確に記録・維持し、サービス全体の整合性を保つ。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
選択肢Bは、根本原因の特定と恒久対策による再発防止を述べており、問題管理プロセスの本来の目的に合致します。「根本原因」「再発防止」の2語が含まれている選択肢が正解の有力候補です。

選択肢Aはインシデント管理の説明です。SLA範囲内での迅速なサービス復旧が目的であり、原因の深掘りは行いません。選択肢Cは構成管理の説明です。CI(構成アイテム)の情報をCMDBで管理することが役割であり、原因分析プロセスではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. 問題管理は誰が担当するのですか?

多くの組織ではプロブレムマネージャーという役割が責任者となり、サービスデスク・運用チーム・開発チーム・ベンダーを横断して原因分析を主導します。インシデント対応の現場担当者が片手間で行うのではなく、独立した責務として設計するのが望ましいとされています。組織が小さい場合は運用リーダーが兼務するケースもあります。

Q. プロアクティブ問題管理とリアクティブ問題管理の違いは?

リアクティブはインシデントが発生してから原因を追う「事後型」、プロアクティブはログ分析やトレンド分析から障害の予兆をつかみ「未然防止」を狙う活動です。例えば「最近メモリ使用率が徐々に上がっている」という傾向を捉え、障害発生前にパッチを当てるのがプロアクティブ型です。AP試験ではこの2分類が選択肢として登場することがあります。

Q. 問題管理で原因を特定したら、システム修正もこのプロセスで行うのですか?

いいえ、実際の修正作業は変更管理プロセスへ引き継がれます。問題管理は「原因を特定し、変更要求(RFC)を起票する」までが守備範囲。実際の本番環境への適用は変更管理が承認・計画・実施を担当します。プロセスごとの責務が明確に分離されているのが、サービスマネジメントの考え方の特徴です。

Q. ITIL v3とITIL v4で問題管理の扱いは変わりましたか?

v3では「問題管理プロセス」と明確に呼ばれていましたが、v4では「問題管理プラクティス(Problem Management Practice)」という呼び方に変わり、より柔軟な活動概念として再整理されました。ただしIPA試験ではv3ベースの用語(プロセス、根本原因、既知の誤り)で出題されることが多いため、まずはv3の整理で覚えておけば得点に支障はありません。