対象試験と出題頻度

サージ防護(雷対策)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

ファシリティマネジメントの設備対策の一つとして問われ、「停電対策」「ネットワーク冗長化」などの別目的の対策と混同させる選択肢が定番です。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「サージ防護って結局どういう対策?停電対策とは違うの?」と混乱しがちです。

サージ防護(雷対策)とは、一言で言うと

 「落雷などで発生する瞬間的な過電圧(サージ)から、情報システムを守る対策

のことです。

イメージとしては、家庭用の止水弁(逆流防止弁)です。

大雨で下水が逆流しそうになっても、止水弁が一瞬で流れをせき止めて家の中を守ります。

サージ防護も同じで、雷で電線に異常な電流が流れ込んだ瞬間、それを機器の手前で受け止めて地面に逃がし、コンピュータが壊れるのを防ぎます。

📊 サージ防護の基本情報

項目 内容
守る対象 落雷による過電圧(雷サージ)
中核となる機器 SPD(Surge Protective Device/サージ保護デバイス)
分野 ファシリティマネジメント(設備管理)
関連規格 JIS C 5381(IEC 61643)シリーズ

解説

建物の近くに雷が落ちると、電源線や通信線に一瞬だけ非常に高い電圧が乗ります。これがサージ(surge=うねり)です。

通常の100Vや200Vをはるかに超える電圧が機器に流れ込むため、サーバやネットワーク機器の基板が焼損します。

そこで電線と機器の間にSPDを取り付けます。SPDは普段は電気を通さず黙っていますが、異常な高電圧を検知した瞬間だけ導通し、過大な電流を接地(アース)へ逃がします。

これにより機器側へ流れ込む電圧を、機器が耐えられる範囲まで抑え込みます。

SPDが雷サージを「地面へ逃がす」仕組み

SPDは電気の「分かれ道」。危険な電流を機器の手前で地面へそらします

落雷で発生した大きな電流(雷サージ)

SPD(サージ保護デバイス)

普段は素通り/高電圧のときだけ電流を地面側へ流す

機器が耐えられる
電圧だけが通る

🖥️

情報機器

✅ 壊れずに守られる

危険な大電流は
こっちへ逃がす

⬇️

接地(アース)

⚡ 大地へ放流

━━ 大地(地面)━━

💡 もしSPDがなければ、雷の大電流がそのまま機器に流れ込んで基板が焼損します。
SPDが「機器に行く分」と「地面に捨てる分」に振り分けるので、機器が守られます。

「目的が違う対策」との関係

設備対策には似た言葉が並びますが、それぞれ守る相手が異なります。サージ防護の位置づけを、目的別に整理すると正確に区別できます。

対策 守る相手・目的 代表的な機器
サージ防護 落雷による過電圧 SPD(サージ保護デバイス)
停電対策 電源の遮断・瞬断 UPS、自家発電装置
電圧変動対策 電圧の上下のゆらぎ CVCF(定電圧定周波数装置)
回線冗長化 通信経路の障害 2系統の通信線

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 サージ防護の核心を3行で

・落雷で生じる瞬間的な過電圧から情報システムを守る対策
・中核となる機器がSPD(サージ保護デバイス)
・過大な電流を接地へ逃がし、機器側の電圧を耐圧内に抑える


試験ではこう出る!

この用語は、FE・APの午前問題でほぼ同じ形の設問が繰り返し流用されている「使い回しの定番問題」です。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE H21秋
午前 問57
過電圧の被害から情報システムを守る有効な手段を選ぶ問題。 ・正解は「SPDを介して通信ケーブルと接続」
・以降の試験で繰り返される原型
FE H25春
午前 問56
H21秋とほぼ同一の問題(流用)。 ・選択肢の文言もほぼ同一
・自家発電装置・2系統化がひっかけ
FE H28春
午前 問58
同一構成の流用問題。 ・同じ正解パターンが継続
FE H29秋
午前 問57
同一構成の流用問題。 ・「自家発電装置=停電対策」「2系統化=ネットワーク障害対策」と切り分けられるかが鍵

📝 IPA試験での出題パターン

正解の選択肢:ほぼ毎回「サージ保護デバイス(SPD)を介して通信ケーブルとコンピュータを接続する」が正解になります。「SPD」「過電圧」「落雷」の3語が揃ったらこれを選びます。

 

ひっかけ選択肢の鉄板パターン:

・「自家発電装置を設置する」→ 停電対策であり雷には無力
・「通信線を経路の異なる2系統とする」→ 回線障害対策(雷では両系統に電流が流れて意味がない)
・「電源設備の制御回路をディジタル化する」→ 雷対策にはならない

 

試験ではここまででOKです。SPDの内部素子(バリスタ等)の物理的な動作原理まで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. 落雷によって発生する過電圧の被害から情報システムを防ぐための手段として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. サージ保護デバイス(SPD)を介して通信ケーブルとコンピュータを接続する。
  • B. 自家発電装置を設置し、商用電源が遮断されたときに電力を供給する。
  • C. 通信線を経路の異なる2系統とし、片方の障害時にもう片方で通信を継続する。

正解と解説を見る

正解:A

解説:
SPD(サージ保護デバイス)は、雷で生じた過大な電流を接地へ逃がし、機器側へ流れ込む電圧を耐圧内に抑えます。落雷による過電圧から情報システムを守る直接的な手段はこれです。

選択肢Bは停電対策の説明です。自家発電装置は商用電源が止まったときに電力を供給する装置であり、雷による瞬間的な過電圧から機器を守る働きはありません。選択肢Cはネットワークの回線障害対策(冗長化)の説明です。雷サージは2系統の両方の通信線に同時に流れ込むため、経路を分けても過電圧の被害は防げません。


よくある質問(FAQ)

Q. SPDとUPSは何が違うのですか?

守る対象が正反対です。SPDは「電圧が高すぎる事故(雷サージ)」から機器を守りますが、UPS(無停電電源装置)は「電源が止まる・電圧が足りない事故(停電・瞬断)」に備えてバッテリで電力を供給します。試験ではこの2つを入れ替えたひっかけが多いため、SPD=雷・過電圧、UPS=停電・電力供給とセットで覚えてください。

Q. 避雷針があればSPDは不要ではないですか?

不要にはなりません。避雷針は建物への直撃雷を安全に大地へ逃がす「外部雷保護」で、建物自体の火災や破損を防ぎます。一方、SPDは電線や通信線を伝わって屋内に侵入してくる雷サージから電子機器を守る「内部雷保護」です。守る範囲が違うため、両者は併用されます。

Q. SPDは電源線だけに付ければよいですか?

いいえ。雷サージは電源線だけでなく、LANケーブルや電話回線などの通信線からも侵入します。過去問の正解が「通信ケーブルとコンピュータの間にSPDを接続する」となっているのもこのためです。実務では電源用SPDと通信用SPDの両方を設置し、機器につながるすべての線をガードするのが基本です。

Q. データセンターやサーバルームでの実務上の扱いは?

サージ防護は設備設計の段階で組み込まれます。受電盤・分電盤・各ラックへの引き込み口など、段階的にSPDを多段配置して雷サージを徐々に減衰させる「カスケード保護」が一般的です。設置後も雷を受けてSPDが劣化・破損していないか定期点検し、寿命に達したものは交換します。設備の維持・点検まで含めてサービスマネジメントの管理対象になります。