STP分析の対象試験と出題頻度

STP分析は、情報処理技術者試験のストラテジ系で繰り返し問われるフレームワークです。

ITパスポートでは用語の定義を選ぶ形式、応用情報技術者では企業事例の中で実際にSTPを適用する長文読解として出題されます。

各試験区分での位置づけを確認したうえで、学習を始めていきましょう。

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対象試験:
ITパスポート(IP)
基本情報技術者(FE)
応用情報技術者(AP)
出題頻度:
★★★☆☆
標準(覚えておくと有利)

STP分析の定義

マーケティング戦略を考えるとき、「誰に売るか」が曖昧なまま進めてしまい、訴求が的外れになった経験はないでしょうか。

筆者自身もSaaSプロダクトの企画段階で「年代×職種」だけで市場を切り、ターゲット像がぼやけてしまった失敗があります。

このような「誰に・どんな立ち位置で売るか」を体系的に決めるために生まれたのがSTP分析です。

マーケティング学者フィリップ・コトラーが体系化したとされるフレームワークで、IPAの情報処理技術者試験ではストラテジ系・マーケティング分野の主要テーマとして出題されます。

STP分析とは、

市場をセグメントに分割(S)し、狙う顧客層を選定(T)したうえで、競合との差別化による自社の立ち位置を明確にする(P)マーケティング戦略の策定プロセス

です。

飲食店に置き換えると、まず「ランチ帯のビジネスパーソン」「ディナー帯のファミリー層」「深夜帯の学生」のように客層を分け(S)、次にそのうち「ランチ帯のビジネスパーソン」に注力すると決め(T)、最後に「注文から提供まで5分以内のスピード重視」という看板を掲げる(P)。

この3段階がSTP分析の全体像にあたります。

📊 STP分析の基本情報

項目 内容
正式名称 STP Analysis(Segmentation, Targeting, Positioning)
分類 ストラテジ系 > 経営戦略マネジメント > マーケティング
3ステップ Segmentation(市場細分化)→ Targeting(標的市場の選定)→ Positioning(立ち位置の明確化)
位置づけ 環境分析(3C・SWOT)の後、施策立案(4P)の前に行う「戦略策定」フェーズのフレームワーク
試験での頻出度 B(標準:覚えておくと有利)

解説

STPの3ステップ ─ セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング

STP分析はS→T→Pの順に進めます。

各ステップで「何を決めるか」「どのような切り口で決めるか」「成果物は何か」が異なるため、それぞれの役割を区別して押さえることが試験対策の出発点になります。

Segmentation(セグメンテーション)は、市場全体をいくつかの顧客グループに分割するステップです。分割の切り口には4つの代表的な変数があり、IPA試験でもこの分類軸がそのまま問われることがあります。

📊 セグメンテーションの4つの変数

変数名 具体例 試験で出る典型パターン
地理的変数(ジオグラフィック) 国・地域・都市規模・気候 「地域ごとに異なるニーズ」の記述で識別
人口統計的変数(デモグラフィック) 年齢・性別・所得・職業・家族構成 IP R4 問2で「年齢、性別、家族構成」として出題
心理的変数(サイコグラフィック) ライフスタイル・価値観・性格 「健康志向」「環境配慮」などの価値観で顧客を分類
行動変数(ビヘイビアル) 購買頻度・利用目的・ブランドロイヤルティ 「使用頻度で分類」「購入契機で分類」の記述で識別

Targeting(ターゲティング)は、セグメンテーションで分けたグループの中から「自社が実際に狙う顧客層」を選ぶステップです。

すべてのセグメントに同時にアプローチするのではなく、自社の強みやリソースに合った市場を見極めて絞り込む判断がここで行われます。

特定の小規模セグメントに集中する戦略はニッチ戦略とも関連しますが、ターゲティングは「戦略名」ではなく「選定プロセス」である点が異なります。

Positioning(ポジショニング)は、選んだターゲットに対して競合他社とは異なる自社の立ち位置を明確にするステップです。

「差別化ポイントの明確化」と言い換えられ、IP R7 問35ではまさにこの定義が正解選択肢として出題されました。

価格軸と品質軸などの2軸マップ上に自社と競合を配置し、空いているポジション(ホワイトスペース)を狙うのが典型的な手法となります。

STP分析の全体像 ─ 3C分析・4Pとの位置関係

マーケティング戦略は「環境分析 → 戦略策定 → 施策立案」の3フェーズで進むのが一般的な流れです。

STP分析はこの中間に位置し、3C分析SWOT分析で把握した事業環境の情報を受け取り、そこから「誰に・どんな立ち位置で」を決定する橋渡しの役割を担います。

STPの後工程で初めて、4P(Product・Price・Place・Promotion)による具体的な施策設計に移行する流れです。

以下の比較表で、各フレームワークがどのフェーズに属するかを整理しておくと、試験でフレームワーク名を問われたときに正確に判別できます。

📊 マーケティングプロセスにおけるSTPの位置づけ

フレームワーク フェーズ 分析対象 アウトプット 試験での見分けキーワード
3C分析 環境分析 顧客・競合・自社 事業環境の全体像 Customer / Competitor / Company
SWOT分析 環境分析 内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威) 戦略方向性の仮説 Strengths / Weaknesses / Opportunities / Threats
STP分析 戦略策定 市場セグメント・ターゲット顧客・競合との位置関係 ターゲット顧客と差別化方針 セグメンテーション / ターゲティング / ポジショニング
4P(マーケティングミックス) 施策立案 製品・価格・流通・販促の具体策 実行施策の設計書 Product / Price / Place / Promotion

STP分析の構造図

STPの3ステップは、必ずS→T→Pの順番で進みます。以下のフロー図で流れを視覚的に確認してください。

📊 STP分析の3ステップ

S
Segmentation
市場を分ける
(分類変数で細分化)
T
Targeting
どこを狙うか選ぶ
(ターゲットセグメント)
P
Positioning
どう差別化するか決める
(競合との立ち位置)

環境分析(3C・SWOT)の後、4P(施策立案)の前に実施する

📝 ポイント整理

・STP分析は S(市場細分化)→ T(標的市場選定)→ P(差別化ポジション明確化)の3段階で進む
・セグメンテーションの分類軸は地理的・人口統計的・心理的・行動的の4変数
・マーケティングプロセスでは「環境分析(3C/SWOT)→ STP → 4P」の順番で位置する
・STPのPは「Positioning」であり「Promotion」ではない(4Pとの混同に注意)

試験ではこう出る!

出題パターン分析

STP分析に関する過去の出題を分析すると、大きく3つのパターンに整理できます。

ITパスポートではS・T・Pの定義を正しく選ばせる問題が中心であるのに対し、応用情報技術者では企業事例の中でSTPを実践的に適用する読解力が求められます。

📊 STP分析の出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
IP R7 問35 差別化ポイントを明確化するものはどれか ポジショニングの定義(正解:エ)
IP H25秋 問22 ターゲットマーケティングの説明として適切なもの セグメント分割→絞り込みのプロセス識別(正解:ウ)
IP R4 問2 年齢・性別・家族構成で分類し集中すべき顧客層を絞り込む戦略 セグメントマーケティングの定義(正解:イ)
AP R3秋 午後問2 スナック菓子メーカーQ社の3C分析→STP→プロモーション 空欄にセグメント・ポジショニングを当てはめる実践力

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:S・T・P各ステップの定義を問う
「差別化ポイントを明確化するもの=ポジショニング」のように、S・T・Pの役割を正しく対応させる形式。IP R7 問35が典型例。STPのP(Positioning)と4PのP(Promotion)を混同させるひっかけに注意が必要。

 

パターン2:セグメンテーション/ターゲティングの概念を他手法と区別させる
ターゲットマーケティングやセグメントマーケティングの定義を、マスマーケティングやPPMバリューチェーン分析と区別させる形式。IP H25秋 問22やIP R4 問2が該当する。

 

パターン3:AP午後の長文でSTPを実践適用する
企業事例の中で3C分析の結果からターゲットセグメントとポジショニングを読み取り、空欄を埋める形式。AP R3秋 午後問2では「ターゲット(空欄)」に入る語として「セグメント」が正解となった。

 

ITパスポートはパターン1・2の知識問題が中心。応用情報はパターン3の読解問題に備え、STPを事例に当てはめる練習をしておくと得点に直結する。

ひっかけポイントと対策

試験で最も多いひっかけは、STPの「P」を4Pの「Promotion(販売促進)」と取り違えさせるパターンです。

IP R7 問35では選択肢に「プロモーション」が含まれており、STPの構成要素であるかのように見せかけていました。STPのPはあくまで「Positioning(ポジショニング)」であると明確に記憶しておく必要があります。

もう一つの頻出パターンが、フレームワーク横断の識別問題です。

IP H25秋 問22ではバリューチェーン分析やPPMの説明がダミー選択肢として並んでいました。

「顧客を分類して絞り込む」という記述があればSTP系、「内部活動の付加価値」ならバリューチェーン、「市場成長率×市場シェア」ならPPMと、キーワードで瞬時に判別する練習をしておくと対策として有効です。

受験生が間違えやすい「セグメンテーション」と「ターゲティング」の境界線

STP分析の学習で最もつまずきやすいのが、セグメンテーション(S)とターゲティング(T)の境界線です。

「市場を分けたら、もうどこを狙うか決まっているのでは?」と感じる受験生は少なくありません。

筆者自身も受験勉強中にまさにこの混乱に陥りましたが、AP R3秋 午後問2の空欄「ターゲット〈 〉」に「セグメント」を入れる問題を解いたとき、S→Tの切り替わりが明確に理解できた経験があります。

両者の違いは「行為の性質」にあります。セグメンテーションは市場を複数のグループに「分割する」行為であり、この段階ではまだどのグループも選んでいません。

すべてのセグメントを並べた一覧表を作るところまでがSの仕事。一方、ターゲティングはその一覧表の中から「自社が注力する1つまたは複数のセグメントを選ぶ」意思決定行為です。

たとえば、クラウド会計サービスの市場を「企業規模」「業種」「IT導入状況」で分割すれば、「従業員50名以下の飲食業でExcel管理中心の企業」など多数のセグメントが生まれます。ここまでがセグメンテーション。

その中から「IT専任者がおらず、導入ハードルの低さを重視する従業員50名以下の小売業」を自社の主戦場として選ぶのがターゲティングの判断になります。

AP R3秋 午後問2では「ターゲットセグメント」という複合語が空欄として問われました。

この用語はまさにS→Tの接点を表しており、「セグメンテーションで作った区分の中から、ターゲティングで選んだもの」を指しています。

Sが作った「材料」をTが「選ぶ」という関係を理解していれば、この空欄は迷わず解答可能です。

📝 S→Tの境界線を見極めるコツ

・セグメンテーション=「分ける」行為。成果物は市場セグメントの一覧
・ターゲティング=「選ぶ」行為。成果物はターゲットセグメント(狙うべき顧客層)
・「ターゲットセグメント」はS→Tの接点を示す複合語として試験に頻出

【確認テスト】STP分析の理解度チェック

Q. マーケティング戦略の策定におけるSTP分析の説明として、最も適切なものはどれか。

  • A. 自社の事業活動を主活動と支援活動に分け、各活動の付加価値を分析する手法である。
  • B. 顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの観点から事業環境を整理する手法である。
  • C. 市場をセグメントに分割し、ターゲットとする顧客層を選定したうえで、競合との差別化ポイントとなる自社の立ち位置を明確にするプロセスである。
正解と解説を見る

正解:C

解説:
STP分析は、Segmentation(市場細分化)→ Targeting(標的市場の選定)→ Positioning(差別化による立ち位置の明確化)の3段階で構成されるマーケティング戦略の策定プロセスです。選択肢Cはこの定義を正確に表現しています。

Aが不正解の理由:「主活動と支援活動に分け、各活動の付加価値を分析する」のはバリューチェーン分析の説明です。内部活動の分析手法であり、市場を細分化して顧客を選ぶSTPとは分析対象が異なります。

Bが不正解の理由:「顧客・競合・自社の3つの観点から事業環境を整理する」のは3C分析の説明です。3C分析は環境分析フェーズのフレームワークであり、STP分析のような戦略策定プロセスとは位置づけが異なります。

よくある質問(FAQ)

Q. STP分析と4P(マーケティングミックス)の関係は?

STP分析は「誰に・どんな立ち位置で」を決めるプロセスであり、その後工程として4P(Product・Price・Place・Promotion)で「具体的にどう売るか」を設計します。IPAのシラバスでは両方がマーケティング分野に含まれており、「環境分析 → STP → 4P」の流れをセットで理解しておくと、試験で両者を問う問題に効率的に対応できます。

Q. STP分析はフィリップ・コトラーが作ったもの?

STPの枠組みを体系化したのはコトラーとされていますが、セグメンテーションの概念自体は1956年にウェンデル・スミスが提唱したものです。IPA試験で提唱者名が直接問われることはほぼありませんが、応用情報技術者の午後問題で補足知識として登場する可能性があるため、名前だけは押さえておくと安心です。

Q. STP分析で「ペルソナ設定」とはどう違う?

STPのターゲティングは「どのセグメント(顧客層)を狙うか」を決めるマクロな意思決定です。一方、ペルソナ設定はそのセグメント内の「典型的な1人の人物像」を年齢・職業・悩みなどのレベルで具体化するミクロな手法にあたります。IPAのシラバスにはペルソナの記載はありませんが、実務ではSTPで決めたターゲット像をペルソナに落とし込んで施策の精度を上げるのが一般的な運用方法です。

Q. IT企業でのSTP分析の具体例は?

クラウド型勤怠管理サービスを例に考えてみます。まずセグメンテーションで「国内中小企業(地理的変数)」「従業員50〜300名(人口統計的変数)」「Excelでの勤怠管理に不満を持つ総務担当者(行動変数)」のように市場を細分化。次にターゲティングで「ITリテラシーが高くない総務担当者」を主戦場として選定し、ポジショニングで「設定不要で即日使える手軽さ」を競合との差別化ポイントに据える──という流れです。STPの後に4Pで具体的な価格設定やプロモーション施策を設計していきます。

STP分析の関連用語ネットワーク

STP分析を起点に、前提となる知識・並行して学ぶべき関連用語・さらに発展的なテーマを以下に整理しました。

📊 関連用語マップ

カテゴリ 関連用語
前提知識 3C分析SWOT分析経営資源
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