BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の対象試験と出題頻度

BPO・BPR・BPM。

頭文字がすべて「BP」で始まるこの3語は、試験本番の選択肢に並ぶと判断に迷う代表格です。

この記事では、BPOの定義と委託対象業務を整理したうえで、紛らわしい「BP○三兄弟」との判別法、過去問での出題傾向まで体系的にまとめています。

読み終えるころには、BPO関連の問題に自信を持って臨める状態を目指しましょう。

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対象試験:
ITパスポート(IP)
基本情報技術者(FE)
応用情報技術者(AP)
出題頻度:
★★★☆☆
頻出度B(標準)

BPOの定義

参考書で「アウトソーシング」と「BPO」が並んでいるのを見て、「結局どちらも外注の話では?」と感じた経験はないでしょうか。

両者の違いは「何を・どの単位で外に出すか」にあります。

単発の作業委託と異なり、BPOは業務プロセスをまるごと専門業者に委ねる点が特徴です。

BPO(Business Process Outsourcing)とは、

自社のノンコア業務プロセスを外部の専門業者に一括委託し、コスト削減とコア事業への集中を図る経営手法

です。

飲食店に置き換えると、料理の仕込みや接客は自分たちで行いつつ、食器の洗浄・清掃・会計処理といった裏方業務をまとめて専門の業者に任せるような形態がBPOに近いものです。

個々の皿洗いを頼むのではなく、「洗い場の業務全体」を一括で委託する点がポイントになります。

📊 BPOの基本情報

項目 内容
正式名称 Business Process Outsourcing(ビジネスプロセスアウトソーシング)
目的 ノンコア業務の外部委託によるコスト削減・経営資源のコア事業集中
委託対象例 コールセンター、人事・給与計算、経理処理、データ入力
試験キーワード 「外部委託」「アウトソーシング」「コアビジネス以外」
試験分類 ストラテジ系 > システム戦略 > 業務プロセス

解説

BPOの対象業務 ─ 何を外部に委託するのか

BPOの対象となるのは、企業活動のうちコアコンピタンス(他社に模倣できない自社固有の中核能力)に該当しない業務領域です。

具体的には、コールセンター運営、人事・給与計算、経理・会計処理、データ入力・出力といったバックオフィス業務が代表的な委託対象となります。

以下のフロー図で、企業の業務が「コア業務」と「ノンコア業務」にどう分かれ、BPOがどこに適用されるのかを確認してみてください。

📊 BPOの委託範囲 ─ コア業務とノンコア業務の仕分け

コア業務
商品開発
営業・販売
マーケティング

→ 自社で継続
ノンコア業務
コールセンター
人事・給与計算
経理・データ入力

→ BPOで外部委託
外部専門業者
業務システム運用と
一体で受託
(SLA に基づく品質管理)

判断基準:自社のコアコンピタンスに該当しない業務かどうか

なお、海外の業者に業務を委託するケースはオフショアアウトソーシングと呼ばれ、人件費の地域差を活用したコスト削減を狙う形態として試験でも言及されることがあります。

BPO・BPR・BPMの違い ─ 試験で並ぶ「BP○三兄弟」を整理する

BPO・BPRBPMはいずれも「Business Process」を冠する3用語ですが、目的も実施主体もまったく異なります。

試験では同一問題の選択肢に並ぶことが多く(IP R5 問23、AP H24秋 問62 等)、横断的な整理が得点に直結する場面が繰り返し登場しています。

📊 BP○三兄弟 比較表

比較軸 BPO(本記事) BPR BPM
正式名称 Business Process Outsourcing Business Process Reengineering Business Process Management
目的 ノンコア業務の外部委託 業務プロセスの抜本的再設計 業務プロセスの継続的改善
実施主体 外部の専門業者 自社(経営トップ主導) 自社(現場主導)
頻度 契約期間中は継続 一度きりの抜本改革 PDCAで継続的に実施
試験キーワード 「外部委託」「アウトソーシング」 「抜本的」「再設計」 「継続的改善」「PDCAサイクル」

整理すると、BPOは”誰がやるか”を変える(外部に委託)、BPRは”やり方そのもの”を変える(再設計)、BPMは”やり方の質”を上げ続ける(継続的改善)手法。

選択肢を読んだとき、「外部委託」が見えたらBPO、「抜本的・ゼロベース」ならBPR、「継続的・PDCA」ならBPMと判断できます。

BPO導入のメリット・デメリット ─ 現場の実感も交えて

BPOの最大のメリットは、ノンコア業務を専門業者に委ねることで自社の人材・予算をコア事業に集中できる点です。加えて、専門業者の規模の経済を活用できるため、自社で運用するよりもコストが下がるケースが少なくありません。

一方で、業務ノウハウが社外に蓄積されるリスクや、委託先との品質管理の難しさは見落とされがちな課題です。実務では、BPO契約を結ぶ際にSLA(サービスレベルアグリーメント)を設定し、応答時間やエラー率などの品質基準を数値で定めるのが一般的な運用となっています。

筆者自身もコールセンター業務のBPO契約に携わった際、それまで属人化していた対応手順がマニュアル化・数値管理されたことで、結果的に業務品質が可視化されたという経験がありました。

ERPパッケージの導入をきっかけにバックオフィス業務を見直し、BPOに切り出すという流れも実務では珍しくありません。

📝 ポイント整理

・BPOは「ノンコア業務を業務プロセス単位で外部に委託する」手法
・BPRは「抜本的再設計」、BPMは「継続的改善」であり目的が異なる
・BPO契約ではSLAで品質基準を定め、委託先を管理するのが実務上の定石

試験ではこう出る!

出題パターン分析

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:定義選択型(BPOが正解)
「BPOを説明したものはどれか」の直球形式。FEではH22春→H26秋→H30秋と繰り返し出題されており、選択肢の文面もほぼ同一。APではH24秋とR4春で出題。「特定部門の業務プロセス全般を、業務システムの運用などと一体として外部の専門業者に委託する」という記述がBPOの正解文テンプレートとなっている。

 

パターン2:誤答選択肢型(BPOは不正解)
他の用語(RPA、KPI、BPMN、JIT、オープンAPI等)が正解の問題で、BPOの説明文が誤答選択肢として配置されるパターン。特にITパスポートで頻出。BPO=外部委託という定義を正確に知っていれば消去法に活用できる。

 

いずれのパターンでも、「外部の専門業者に委託」「コアビジネス以外」という2つのフレーズがBPOを特定する決定打になる。

過去問での出題実績

出題実績一覧を開く(全11件)

FE H22春 問61:BPOを説明したものはどれか → 正解 ウ(正解選択肢としてBPOが登場)

FE H26秋 問62:BPOを説明したものはどれか → 正解 ウ(正解選択肢としてBPOが登場)

FE H30秋 問62:BPOを説明したものはどれか → 正解 ウ(正解選択肢としてBPOが登場)

AP H24秋 問62:BPOを説明したものはどれか → 正解 ウ(正解選択肢としてBPOが登場)

AP R4春 問63:BPOの説明はどれか → 正解 イ(正解選択肢としてBPOが登場)

IP H26秋 問22:業務処理の一部を外部の事業者に任せる経営手法 → 正解 ア(BPO)

IP H31春 問19:RPAに関する記述として適切なものはどれか → 正解 ア(BPOは誤答選択肢エ)

IP R1秋 問11:重要な業績評価の指標を示す用語 → 正解 ウ(KPI。BPOは誤答選択肢ア)

IP R5 問23:BPMNのモデリング手法を選ぶ → 正解 イ(BPOは誤答選択肢ウ)

IP R6 問15:工程間の在庫を最少化する生産方式 → 正解 ウ(JIT。BPOは誤答選択肢ア)

IP R6 問19:システムの接続仕様を外部に公開する取組 → 正解 ウ(オープンAPI。BPOは誤答選択肢ア)

ひっかけ選択肢の傾向と対策

FE型の定義選択問題(H22春・H26秋・H30秋)では、以下の3つが定番の誤答選択肢として繰り返し登場しています。

ホスティングサービスの説明(「サーバを所有せずに…処理能力や記憶容量の一部を借りる」)は「サーバ」「記憶容量」が判別キーワード。

SaaSの説明(「ソフトウェアを所有せずに…ネットワーク経由で活用」)は「ソフトウェア」「ネットワーク経由」で見分けられます。

残る「人件費の安い派遣会社の社員を活用」という選択肢は、外注の一種に見えるものの「業務プロセス単位での委託」ではないため、BPOには該当しません。

AP型(H24秋・R4春)ではBCP(事業継続計画)やMRP(資材所要量計画)の説明が誤答に並ぶため、「外部委託かどうか」を問うだけで正解を絞り込めます。

試験区分別の対策としては、ITパスポートではBPOが「誤答選択肢」として現れる場面に備え、消去法の材料にする意識を持つこと。

基本情報ではホスティング・SaaS・人件費削減との4択判別を確実にしておくのが有効です。

応用情報ではBCP・MRPとの判別が加わるため、「外部委託」「コアビジネス以外」のキーワードで判断する習慣をつけておくと安定した得点につながります。

受験生が間違えやすい「BPO」と「SaaS」と「ホスティング」の判別

FE H30秋 問62の選択肢構成をモデルケースに、「外部に出すのは”業務”なのか”設備”なのか”ソフト”なのか」という1つの問いで3用語を仕分ける判別フローを確認しておきましょう。

📊 BPO・SaaS・ホスティングの判別フロー

Step 1
外部に出す対象は
業務プロセス?
→ Yes:BPO
Step 2
借りるのは
サーバ・設備?
→ Yes:ホスティング
Step 3
利用するのは
ソフトウェア機能?
→ Yes:SaaS

選択肢を読んだら「外部に出す対象は何か?」をまず確認する

この3ステップの判別を身につけておけば、FE型のBPO問題はほぼ確実に正解できます。

選択肢の文中に「業務プロセス」「外部の専門業者」が含まれていればBPO、「サーバ」「記憶容量」ならホスティング、「ソフトウェア」「ネットワーク経由」ならSaaS。

試験時間が限られる中で、この判別法は秒単位の時間節約にもなるはずです。

【確認テスト】BPOの理解度チェック

Q. 自社のコアビジネスに経営資源を集中するために、特定部門の業務プロセスを外部の専門業者に一括して委託する経営手法として、最も適切なものはどれか。

  • A. 既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し、業務プロセスを根本から再設計することで、コスト・品質・スピードを劇的に改善する手法
  • B. 業務プロセスに分析・設計・実行・監視・改善のマネジメントサイクルを取り入れ、業務の継続的な改善を実現する手法
  • C. 社内業務のうちコアビジネス以外の業務プロセスの一部または全部を、業務システムの運用などと一体として外部の専門業者に委託し、コスト削減と経営資源の集中を図る手法
正解と解説を見る

正解:C

解説:
BPO(Business Process Outsourcing)は、自社のノンコア業務を業務プロセス単位で外部の専門業者に委託する手法です。選択肢Cの「外部の専門業者に委託」「コアビジネス以外」「コスト削減と経営資源の集中」がBPOを示す決定的なキーワードとなっています。

Aが不正解の理由:これはBPR(Business Process Reengineering)の説明です。「抜本的に見直し」「根本から再設計」「劇的に改善」がBPRの判別キーワードにあたります。BPOが業務を”外部に出す”のに対し、BPRは業務を”自ら作り直す”手法であり、方向性が根本的に異なります。

Bが不正解の理由:これはBPM(Business Process Management)の説明です。「マネジメントサイクル」「継続的な改善」がBPMの判別キーワードです。BPMは自社内でプロセスを改善し続ける手法であり、外部委託を前提とするBPOとは目的が異なります。

BPOの関連用語ネットワーク

BPOの理解を起点に、関連する用語へ学習を広げると、ストラテジ系全体の知識がつながりやすくなります。

📊 関連用語マップ

カテゴリ 関連用語
前提知識 業務プロセス、アウトソーシング、コアコンピタンス
関連用語 BPR、BPM、SLA、SCMCRM
発展 クラウドコンピューティング、SaaS、オフショアアウトソーシング