対象試験と出題頻度
5G(第5世代移動通信システム)/ ローカル5Gは、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。
移動通信システムの世代比較や、ローカル5Gの特徴を問う問題が定番化しており、「LTE(4G)」「LPWA」「Wi-Fi」との違いを正確に区別できるかが問われます。
H31春期 ITパスポート 問73、R5春期 NW 午前Ⅱ 問14など、複数の試験区分で繰り返し出題されています。
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ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「5Gって速いのはわかるけど、4Gと何が違うの?ローカル5Gって普通の5Gと別物?」と混乱しがちです。
5G(Fifth Generation:第5世代移動通信システム)とは、一言で言うと
「超高速・超低遅延・多数同時接続の3つを同時に実現する、第5世代の移動通信規格」
のことです。
イメージとしては、「片側1車線だった道路が、一気に片側100車線の超高速道路に変わった」ようなものです。
大量の車(データ)が同時に、しかも超高速で走れるうえ、渋滞(遅延)もほとんど起きない。これが5Gの基本的な考え方です。
そしてローカル5Gとは、
携帯電話事業者ではない企業や自治体が、自分の敷地内に専用の5Gネットワークを構築する仕組みです。
「自社ビル専用の5G回線」と考えると分かりやすいです。
📊 5G / ローカル5Gの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 5th Generation Mobile Communication System(第5世代移動通信システム) |
| 3大特徴 | 超高速(最大10Gbps)・超低遅延(1ms程度)・多数同時接続(100万台/km²) |
| ローカル5Gとは | 企業・自治体が自前で構築するスポット的な5G通信網 |
| 使用周波数帯 | Sub-6(3.7GHz帯・4.5GHz帯)とミリ波(28GHz帯)。ローカル5Gは4.6~4.8GHzと28.2~29.1GHz |
詳細解説
携帯電話の通信規格は、1G(アナログ音声通話)→ 2G(デジタル化・メール)→ 3G(モバイルインターネット)→ 4G/LTE(動画ストリーミング)と約10年ごとに世代交代してきました。
4Gまでは「人と人との通信」が主な用途でしたが、IoTの普及により、センサーやロボットなど「モノとモノの通信」が爆発的に増加しています。
この大量のデバイスを同時に、しかもリアルタイムで接続する要求に4Gでは対応しきれなくなったことが、5G登場の背景です。
5Gの3大特徴を整理する
総務省の情報通信白書(令和2年版)では、5Gの特徴を次の3つに整理しています。
超高速(eMBB):最大伝送速度10Gbpsで、4Gの約20倍。2時間の映画を約3秒でダウンロードできる計算になります。8K映像のリアルタイム配信やVR/ARの大容量コンテンツ配信を支える基盤技術です。
超低遅延(URLLC):遅延を1ミリ秒程度に抑え、4Gの10分の1に短縮します。遠隔手術や自動運転など、リアルタイム性が生命線となる分野で必須の性能です。
多数同時接続(mMTC):1km²あたり約100万台のデバイスを同時接続できます。4Gの30~40倍にあたり、スマート工場やスマートシティで大量のセンサーを一括管理する基盤になります。
ローカル5Gと通常の5Gの違い
通常の5Gは、NTTドコモやKDDIなどの携帯電話事業者が全国向けに展開するサービスです。
一方、ローカル5Gは携帯電話事業者以外の一般企業や自治体が、電波法に基づく無線局免許を取得し、自分の土地・建物内に限定して構築する「自営の5Gネットワーク」です。
ここだけは確実に押さえてください。ローカル5Gの最大の利点は、通信事業者のエリア展開を待たずに5G環境を整備できる点と、自社の用途に合わせてネットワークを最適化できる点の2つです。
▶ 他の無線通信規格との比較(クリックで展開)
▶ NSA方式とSA方式の違い(クリックで展開)
5Gの展開方式には2種類あります。初期の展開で主流となったのがNSA(Non-Standalone)方式で、4Gのコアネットワーク(制御部分)をそのまま使い、無線部分だけを5Gに置き換える過渡的な構成です。
一方、SA(Standalone)方式はコアネットワークも含めてすべて5Gで構成します。SA方式でなければ、ネットワークスライシング(用途ごとに仮想的なネットワークを分割する技術)や本来の超低遅延性能をフルに発揮できません。
試験範囲ではSA・NSAの詳細構成まで問われることはないので、「NSA=4Gの設備を流用した暫定方式、SA=すべて5Gで構成した本来の方式」と整理すれば十分です。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 5G / ローカル5Gの核心を3行で
・5Gは「超高速・超低遅延・多数同時接続」の3つを同時に実現する第5世代移動通信規格
・ローカル5Gは携帯電話事業者以外が免許を取得し、自分の敷地内に構築する専用5Gネットワーク
・4G/LTEは「速度は高いが遅延・同時接続数が限定的」、5Gは「3要素すべてが桁違い」と整理する
試験ではこう出る!
5G / ローカル5Gは、移動通信規格の特徴を問う問題として繰り返し出題されています。
出題パターンは大きく2つに分かれます。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| IP H31春 問73 |
LTEよりも高速で、より多くの端末が接続でき、遅延も少ない移動通信システムを選ぶ問題。 | ・「高速+多数接続+低遅延」の3点セットで5Gを特定 ・ブロックチェーン・MVNO・8Kがひっかけ選択肢 |
| NW R5春 午前Ⅱ 問14 |
ローカル5Gの特徴として適切なものを選ぶ問題。 | ・「電気通信事業者でなくても免許取得で構築可能」が正解 ・携帯事業者のサービス拡張やWi-Fiとの混同がひっかけ |
| AP R5春 午前 問35 |
モバイル通信における「ハンドオーバ」の用語を問う問題。5G/LTEの基地局間通信が前提知識。 | ・移動通信の基盤知識として5Gの仕組みが前提 ・用語の正確な定義を問う形式 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「5Gの特徴を選べ」
複数の通信規格やIT用語の説明文が並び、5Gに該当するものを選ぶ形式。キーワードは「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3点セット。ブロックチェーンやMVNOなど、無関係な用語の説明がひっかけとして紛れ込みます。
パターン2:「ローカル5Gの特徴を選べ」
R5春NWのように、ローカル5Gの定義を正確に問う形式。「携帯事業者のサービスを拡大するもの」「5GHz帯のWi-Fi」といった紛らわしい選択肢が並びます。「携帯電話事業者以外でも免許取得で構築可能」が正解のキーワードです。
試験ではここまででOKです。SA方式・NSA方式の違いやネットワークスライシングの詳細まで問われることはIPレベルではないので、深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. 5G(第5世代移動通信システム)の特徴として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 自身では無線通信回線設備を保有せず、携帯電話事業者の回線を借りて移動通信サービスを提供する事業形態である。
- B. 4G(LTE)と比較して、超高速・超低遅延・多数同時接続の3つの特徴を持ち、IoTや自動運転の基盤となる移動通信規格である。
- C. 消費電力を抑えつつ数km~数十kmの長距離通信を可能にする、IoTセンサー向けの省電力広域無線通信技術である。
正解と解説を見る
正解:B
解説:
5Gは、4G(LTE)の次世代にあたる第5世代移動通信システムであり、「超高速(最大10Gbps)」「超低遅延(1ms程度)」「多数同時接続(100万台/km²)」の3つを同時に実現する規格です。
選択肢AはMVNO(仮想移動体通信事業者)の説明です。MVNOは自社で回線設備を持たず他社の回線を借りて提供する事業形態であり、通信規格の世代とは無関係です。選択肢CはLPWA(Low Power Wide Area)の説明です。LPWAは省電力で長距離通信が可能なIoT向け技術ですが、通信速度は5Gと比較して極めて低速であり、高速・低遅延の特徴は持ちません。
よくある質問(FAQ)
Q. ローカル5Gを導入するには何が必要ですか?
電波法に基づく無線局免許の取得が必要です。土地や建物の所有者であれば、携帯電話事業者でなくても申請できます。ただし、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルなど全国MNO(移動体通信事業者)本体はローカル5Gの免許を取得できない制度になっています。導入費用は数千万円~1億円程度が目安とされ、中小企業には負担が大きい点が普及の課題です。
Q. 5Gの「ネットワークスライシング」とは何ですか?
1つの物理的な5Gネットワーク上に、用途ごとの仮想ネットワーク(スライス)を複数構築する技術です。たとえば「自動運転向けに超低遅延を優先するスライス」と「映像配信向けに帯域幅を優先するスライス」を同じ基盤上に共存させることができます。SA方式で初めて実現できる機能であり、NSA方式では利用できません。
Q. 5Gとローカル5Gで使う周波数帯は同じですか?
異なります。全国の携帯電話事業者向け5Gは3.7GHz帯・4.5GHz帯・28GHz帯が割り当てられていますが、ローカル5Gには4.6~4.8GHz帯と28.2~29.1GHz帯が専用に確保されています。周波数帯が分かれているため、携帯電話事業者の5Gサービスとローカル5Gが電波干渉を起こすことはありません。
Q. 「Sub-6」と「ミリ波」の違いは何ですか?
Sub-6は6GHz未満の周波数帯(日本では3.7GHz帯・4.5GHz帯など)を使い、電波が届く範囲が広い反面、ミリ波ほどの超高速通信は得られません。ミリ波は28GHz帯付近の高い周波数帯を使い、超高速通信が可能ですが、直進性が強く障害物に弱いため届く範囲が狭くなります。実務ではSub-6で広いエリアをカバーし、ミリ波でスタジアムや工場など特定の密集エリアを補強する使い分けが一般的です。