ROM(Read Only Memory)は、情報処理技術者試験のメモリ分野で繰り返し出題されるテーマです。マスクROM・PROM・EPROM・EEPROMなど種類が多く、消去方法の違いで混乱しやすいため、ここで一気に整理しましょう。

対象試験と出題頻度

ROMおよびその種類は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者のいずれでも出題されるテーマです。

特に「各ROMの消去方法の違い」や「フラッシュメモリとの関係」を問う選択肢が定番化しており、記憶階層全体の知識と合わせて正確に区別できるかが得点の分かれ目になります。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「ROMって読み出し専用なのに、書き換えできるROMがあるの?」と混乱しがちです。

ROM(Read Only Memory)とは、一言で言うと

 「電源を切ってもデータが消えない不揮発性の半導体メモリ

のことです。

イメージとしては、石に刻まれた文字です。

紙に書いたメモ(RAM)は消しゴムで消せますが、石に彫った碑文は簡単には消えません。

ROMは、この「消えにくさ」を利用して、コンピュータの起動プログラムや組込み機器のファームウェアなど、書き換えてほしくないデータを保存する用途で使われます。

ROMは書き換えの可否と消去方法の違いにより、マスクROM・PROM・EPROM・EEPROM・フラッシュメモリに分類されます。

📊 ROMの基本情報

項目 内容
英語名 Read Only Memory
揮発性 不揮発性(電源OFFでもデータ保持)
主な用途 BIOS/UEFI、ファームウェア、組込みシステムのプログラム格納
対になる概念 RAM(Random Access Memory):揮発性・読み書き可能

解説

ROMが「読み出し専用」と名付けられた背景には、初期の半導体メモリが製造時に回路パターンで情報を焼き固め、後から変更する手段がなかったという事情があります。

しかし技術の進歩とともに「後から書き込めるROM」「消去して再書き込みできるROM」が登場し、ROMという名前のまま書き換え可能なメモリが増えました。

ROMの分類ツリー

ROMの種類は、まず「書き換え不可(マスクROM)」と「書き換え可能(PROM)」の2つに分かれ、PROMはさらに消去方法の違いで枝分かれします。

ROM の分類ツリー

ROM(Read Only Memory)
マスクROM
書換不可・製造時に固定
PROM(Programmable ROM)
出荷後に書込可
ワンタイムPROM
1回だけ書込可・消去不可
EPROM
紫外線で全消去 → 再書込可
EEPROM
電気でバイト単位消去 → 再書込可
フラッシュメモリ
電気でブロック単位消去 → 再書込可

各ROMの特徴比較

ここだけは確実に押さえてください。

各ROMの「消去方法」と「消去単位」の組み合わせが、試験で最も問われるポイントです。

種類 正式名称 書込み 消去方法 消去単位 主な用途
マスクROM Mask ROM 製造時のみ 不可 ファームウェア、ゲームカートリッジ
ワンタイムPROM One-Time PROM 1回だけ(電気) 不可 少量生産品の個体識別データ
EPROM Erasable PROM 電気 紫外線 全消去 開発途上のプログラム検証
EEPROM Electrically Erasable PROM 電気 電気 バイト単位 設定情報の保存
フラッシュメモリ Flash Memory 電気 電気 ブロック単位 USBメモリ、SSD、SDカード

消去方法の違いを図で理解する

文字だけだと覚えにくいので、消去方法の進化を視覚的に整理します。左から右へ「消去の自由度」が高くなっていく流れです。

消去方法の進化:消去の自由度が増していく

マスクROM

消去不可

EPROM

紫外線で全消去

EEPROM

電気でバイト単位消去

フラッシュメモリ

電気でブロック単位消去

※ フラッシュメモリはEEPROMの一種だが、消去単位がブロックのため大容量化・高速化に適している

RAMとROMの対比

ROMを正しく位置づけるには、RAMとの違いで整理するのが近道です。

観点 RAM ROM
読み書き 読み書き両方可能 原則読み出し専用(PROMは書込可)
揮発性 揮発性(電源OFFで消失) 不揮発性(電源OFFでも保持)
主な用途 主記憶(DRAM)、キャッシュ(SRAM) BIOS/UEFI、ファームウェア、USBメモリ
代表的な種類 DRAM、SRAM マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ

では、このテーマが試験でどのように問われるか見ていきましょう。

💡 ROMの核心を3行で

・ROMは電源を切ってもデータが残る不揮発性メモリの総称
・マスクROM(書換不可)→ EPROM(紫外線で全消去)→ EEPROM(電気でバイト単位消去)→ フラッシュメモリ(電気でブロック単位消去)の順で消去の自由度が上がる
・フラッシュメモリはEEPROMの一種だが、消去単位と大容量化の点で区別される


試験ではこう出る!

ROMの種類と特徴は、IP・FE・APの午前問題で繰り返し出題されています。出題パターンは大きく3つに分かれます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE H23秋
午前 問12
マスクROMを組込みシステムで使用するメリットを選ぶ問題 ・正解は「出荷後のプログラムの不正な書換えを防げる」
・紫外線消去(EPROM)や個体識別データ書込み(ワンタイムPROM)がひっかけ
FE H23秋
午前 問25
フラッシュメモリの説明として適切なものを選ぶ問題 ・正解は「ブロック単位で電気的にデータ消去」
・紫外線で全消去(EPROM)、リフレッシュ(DRAM)がひっかけ
AP H22秋
午前 問70
ワンチップマイコンにフラッシュメモリが採用される理由を選ぶ問題 ・正解は「出荷後もソフトウェアの書換えが可能」
・マスクROMとの対比がポイント
IP H22春
問81
フラッシュメモリの特徴を選ぶ問題 ・「不揮発性」が正解の鍵
・マスクROMの説明が選択肢に紛れ込むパターン

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「○○メモリの説明として適切なものを選べ」
DRAM・SRAM・EPROM・EEPROM・フラッシュメモリの説明が4つ並び、指定されたメモリに該当するものを選ぶ形式。「紫外線」が出たらEPROM、「ブロック単位で電気的に消去」ならフラッシュメモリ、「リフレッシュ」ならDRAMと即判定できる。

パターン2:「マスクROMのメリット/デメリットは何か」
組込みシステム文脈で「書き換え不可であるがゆえの安全性」を問う形式。マスクROMは出荷後に書き換えられないことが「欠点」にも「利点(改ざん防止)」にもなる点を理解しておく。

パターン3:「フラッシュメモリがマスクROMの代わりに採用される理由」
AP H22秋のように、組込み機器のメモリ選定の背景を問う形式。「出荷後のアップデートが容易」が正解の根拠になる。

 

試験ではここまででOKです。EPROMの紫外線照射の物理的な仕組み(浮遊ゲートへの電荷蓄積など)まで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. 組込みシステムで使用される半導体メモリのうち、紫外線を照射することでデータを一括消去し、再書込みが可能なものはどれか。

  • A. 製造時にフォトマスクを使って回路パターンにデータを固定する読み出し専用メモリであり、出荷後の書換えはできない。
  • B. 電気的にブロック単位でデータを消去・再書込みでき、USBメモリやSSDの記憶素子として広く普及している。
  • C. 書込みは電気的に行い、消去には紫外線を照射して全データを一括消去する。開発途上のプログラム検証などに用いられる。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
EPROM(Erasable PROM)は、紫外線照射によって記憶内容を全消去し、その後電気的に再書込みができる不揮発性メモリです。チップ上面に石英ガラスの窓があり、ここから紫外線を当てて消去する構造を持ちます。

選択肢AはマスクROMの説明です。マスクROMは製造時にデータが固定され、後から書き換える手段が一切ありません。選択肢Bはフラッシュメモリの説明です。フラッシュメモリは電気的にブロック単位で消去を行うため、紫外線は使用しません。


よくある質問(FAQ)

Q. EPROMの「紫外線照射」は物理的にどう行うのですか?

EPROMのICチップの上面には石英ガラス製の小さな窓が付いています。この窓から紫外線(UV光)を15~30分程度当てることで、浮遊ゲートに蓄えられた電荷が放出され、全ビットが初期状態に戻ります。消去後は専用の書込み装置(ROMライタ)で再びデータを書き込めます。この物理的な手順が必要なため、現場での手軽な書き換えには向いておらず、現在はフラッシュメモリに置き換えが進んでいます。

Q. フラッシュメモリとEEPROMは何が違うのですか?

フラッシュメモリはEEPROMの一種ですが、消去の最小単位が異なります。EEPROMは1バイト単位で消去・書込みが可能な一方、フラッシュメモリはブロック単位(数KB~数十KB)で一括消去します。バイト単位の消去回路を省いた分、セル構造がシンプルになり、大容量化と低コスト化が実現しました。これがUSBメモリやSSDとして爆発的に普及した理由です。

Q. 「BIOS/UEFIはROMに格納」と聞きますが、最近のPCでもマスクROMが使われていますか?

最近のPCでは、マスクROMではなくフラッシュメモリが使われています。UEFIファームウェアのアップデート(BIOS更新)を電気的に行えるようにするためです。かつてはマスクROMやEPROMが使われていましたが、セキュリティパッチの適用やバグ修正のために出荷後の書き換えが必要になり、フラッシュメモリへの移行が進みました。

Q. フラッシュメモリのNAND型とNOR型の違いは試験で問われますか?

ITパスポートや基本情報技術者の範囲ではほぼ問われません。応用情報の選択肢で「NAND型又はNOR型がある」という記述が登場する程度です。NAND型は大容量向け(SSD・USBメモリ)、NOR型はランダムアクセスに強い(ファームウェア格納用)と覚えておけば十分です。試験範囲ではこれ以上の深追いは不要です。