情報処理試験を勉強していると、「RAID0とRAID1の違いは?」「RAID5とRAID6って何が違うの?」と混乱しがちです。この記事では、各RAIDレベルの仕組みを図解つきで整理し、試験で確実に得点できる状態を目指します。
対象試験と出題頻度
RAIDは、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。
各レベルの特徴を正しく区別する問題が繰り返し出題されており、「ストライピング」「ミラーリング」「パリティ分散」のキーワードを正確に結びつけられるかが得点を左右します。
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基本情報技術者
応用情報技術者
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき
RAIDの定義
RAID(Redundant Arrays of Independent Disks)とは、一言で言うと
「複数のディスクを束ねて1台の仮想ディスクとして扱い、性能や信頼性を向上させる技術」
のことです。
イメージとしては、「荷物を複数人で分担して運ぶ引っ越しチーム」です。
1人で全部運ぶと遅いし、その人が倒れたら引っ越しが止まります。でも複数人で分担すれば速くなり、1人が休んでも他のメンバーがカバーできます。
RAIDも同じ発想で、ディスクを複数台使ってデータの読み書きを分散・冗長化します。
📊 RAIDの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Redundant Arrays of Independent Disks |
| 分類 | ストレージの冗長化・高速化技術 |
| 目的 | ディスク障害への耐性向上、読み書き速度の改善 |
| 試験で問われるレベル | RAID 0 / 1 / 5 が中心、RAID 6 / 10 は応用情報で出題 |
解説
サーバーやNAS(ネットワーク接続ストレージ)では、ディスクが1台でも壊れるとデータが消失するリスクがあります。業務用途では「ディスクは壊れる前提」で設計するのが常識であり、その対策として生まれたのがRAIDです。
RAIDにはレベル0〜6に加えて複合型(RAID 10など)が存在しますが、ここでは試験で問われるRAID 0・1・5・6・10の5つを順に解説します。
RAID 0(ストライピング)
データを細かいブロックに分割し、複数のディスクに交互に書き込む方式です。全ディスクを同時に使うため読み書きが高速になります。
ただし、冗長性は一切ないため、1台でも故障すれば全データが失われます。
RAID 0(ストライピング)のイメージ
▲ データをブロック単位で2台に交互配置。高速だが冗長性ゼロ
RAID 1(ミラーリング)
同じデータを2台のディスクにまるごと複製する方式です。
片方が壊れても、もう片方にまったく同じデータが残るため信頼性は高くなります。その代わり、2台分の容量を使っても実効容量は1台分(50%)しかなく、記憶効率は悪い構成です。
RAID 1(ミラーリング)のイメージ
▲ 2台に同一データを書き込む。1台故障してもデータは残る
RAID 5(分散パリティ)
データとパリティ(誤り訂正用の情報)を3台以上のディスクに分散して書き込む方式です。
1台が故障しても、残りのディスクのデータとパリティから元のデータを復元できます。RAID 1より記憶効率が良く、RAID 0より信頼性が高いため、実務でもっとも広く採用されている構成です。
RAID 5(分散パリティ)のイメージ
▲ Pa/Pb/Pcがパリティ。各ディスクに分散配置するのがRAID 5の特徴
RAID 6(二重分散パリティ)
RAID 5のパリティを二重にした方式です。
4台以上のディスクが必要で、2台同時に故障してもデータを復元できます。パリティの計算負荷が大きいため書き込み速度はRAID 5より遅くなりますが、大容量ストレージでの安全性を最優先する場面で採用されます。
RAID 10(1+0 / ミラーリング+ストライピング)
RAID 1(ミラーリング)で作ったペアを、さらにRAID 0(ストライピング)で束ねた複合構成です。
最低4台のディスクが必要ですが、高速性と信頼性の両方を得られます。ペア内の同時故障がなければ運用を継続できるため、データベースサーバーなど高い性能と耐障害性を両立したい場面で使われます。
RAID 10(ミラー+ストライプ)のイメージ
ミラーペア①
ミラーペア②
▲ まずミラーで冗長化し、そのペアをストライプで並列化する
RAIDレベル比較表
ここだけは確実に押さえてください。各レベルの違いを一覧で整理します。
| レベル | 方式名 | 最低台数 | 耐障害台数 | 実効容量(n台時) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| RAID 0 | ストライピング | 2 | 0 | n台分 | 高速だが冗長性なし |
| RAID 1 | ミラーリング | 2 | 1 | n/2 台分 | 同一データを複製、容量効率50% |
| RAID 5 | 分散パリティ | 3 | 1 | (n−1)台分 | パリティを各ディスクに分散配置 |
| RAID 6 | 二重分散パリティ | 4 | 2 | (n−2)台分 | パリティ二重化で2台同時故障に対応 |
| RAID 10 | ミラー+ストライプ | 4 | 各ペア1台 | n/2 台分 | 高速性と信頼性を両立 |
RAID 5の容量計算(例題)
RAID 5では1台分がパリティに使われるため、実効容量は「(ディスク台数 − 1)× 1台の容量」で求めます。
たとえば1TBのディスクを4台使ったRAID 5の場合、実効容量は(4 − 1)× 1TB = 3TBです。FE H29春期 問11では、RAID 1の計算で同様の考え方が問われています。
📐 RAID 5 容量計算の例
| 条件 | 値 |
|---|---|
| ディスク台数 | 4台 |
| 1台あたり容量 | 1TB |
| パリティ分 | 1台分(分散配置だが容量としては1台分) |
| 実効容量 | (4 − 1)× 1TB = 3TB |
では、この技術が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 RAIDの核心を3行で
・RAID 0=ストライピング(高速・冗長性なし)、RAID 1=ミラーリング(完全複製・容量半減)
・RAID 5=パリティを全ディスクに分散配置し、1台故障に対応。RAID 6はそれを二重化し2台故障に対応
・RAID 10=ミラーペアをストライプで束ね、速度と耐障害性を両立
試験ではこう出る!
RAIDは、FE・APの午前問題で繰り返し出題されている定番テーマです。出題パターンは大きく3つに分かれます。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| FE R6年度 免除 問10 |
ミラーリングを用いる方式を選ぶ問題 | ・正解はRAID 1 ・RAID 2〜4がひっかけ |
| FE R1秋期 午前 問15 |
上記と同一構成の問題(流用) | ・FE内で繰り返し出題される典型パターン |
| FE H29秋期 午前 問12 |
RAID 5の記録方式を選ぶ問題 | ・「ブロック単位+パリティ分散」が正解 ・RAID 1〜3の説明がひっかけ |
| FE H29春期 午前 問11 |
RAID 1構成に必要なディスク台数を求める計算問題 | ・4TBを1TB×RAID 1で構成→8台 ・台数の計算が問われる |
| AP H26春期 午前 問11 |
RAID 3/4/5の方式名を正しく対応させる問題 | ・パリティの配置場所(専用 or 分散)が判断基準 |
| AP H24春期 午前 問14 |
ミラーリング方式を選ぶ問題(FE R1秋と同一) | ・FEとAPで同じ問題が流用される典型例 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「○○の方式を選べ」
「ミラーリングを用いる方式はどれか」のように、RAIDレベルの名称と方式名を正しく結びつけさせる形式。RAID 1=ミラーリング、RAID 5=分散パリティを即答できればOK。
パターン2:「記録方式の説明を選べ」
RAID 5やRAID 3の説明文を4つ並べ、正しいものを選ぶ形式。「ブロック単位」「パリティ分散」がRAID 5のキーワード。「バイト単位+パリティ専用ディスク」はRAID 3の説明なので注意。
パターン3:「必要な台数を計算せよ」
RAID 1では容量が半分になるため「必要台数 = 必要容量 ÷ 1台の容量 × 2」で計算する。RAID 5は「必要容量 ÷ 1台の容量 + 1(パリティ分)」で求める。計算問題は年1回程度の出題頻度だが、解き方自体はシンプルなので落とさないようにしてください。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. RAID 5の記録方式に関する記述として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 同じデータを2台のディスクに書き込み、1台が故障してもデータを保持できるようにする方式である。
- B. 複数のディスクに分散してバイト単位でデータを書き込み、1台の専用ディスクにパリティを格納する方式である。
- C. 複数のディスクに分散してブロック単位でデータを書き込み、パリティも各ディスクに分散して格納する方式である。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
RAID 5は、データをブロック単位で分割して複数のディスクに書き込み、パリティ情報も各ディスクに分散配置する方式です。これにより、1台のディスク故障時に残りのデータとパリティから復元が可能になります。
選択肢AはRAID 1(ミラーリング)の説明です。完全な複製を2台に書き込む方式であり、パリティは使いません。選択肢BはRAID 3の説明です。RAID 3はバイト単位でのストライピングに加え、パリティを1台の専用ディスクに集中させる点でRAID 5と異なります。
よくある質問(FAQ)
Q. RAID 0とRAID 1を両方使うRAID 01とRAID 10の違いは?
RAID 01はストライピングを先に行い、そのセットをミラーリングする構成です。RAID 10はミラーリングを先に行い、そのペアをストライピングで束ねる構成です。耐障害性の観点ではRAID 10のほうが優れています。RAID 01はストライプグループ内の1台が故障するとグループ全体が使えなくなり、残りの1グループだけで動く状態になります。一方RAID 10は各ミラーペア内で1台ずつ壊れても運用を継続できます。IPA試験ではRAID 10の名称が出る程度で、RAID 01との差異まで深追いする必要はありません。
Q. RAIDを構成すればバックアップは不要になりますか?
なりません。RAIDはディスクの物理的な故障からデータを守る仕組みですが、誤操作やランサムウェアによるファイル削除・暗号化には対応できません。RAIDのミラーやパリティはリアルタイムに同期されるため、誤って消したデータは即座にすべてのディスクから消えます。そのため、RAIDとは別にバックアップ(世代管理や遠隔地保管)を組み合わせるのが実務上の鉄則です。
Q. SSDでもRAIDは使えますか?
使えます。RAIDは元々HDD向けに考案された技術ですが、SSDでも同じ仕組みで構成できます。SSDはHDDより故障率が低い傾向にありますが、書き込み回数に上限(寿命)があるため、RAID 5やRAID 6で冗長化する運用は実務で広く行われています。試験では「磁気ディスク」という表現で出題されることが多いですが、RAIDの仕組み自体はストレージの種類に依存しません。
Q. RAID 2/3/4は試験に出ますか?
RAID 3はAP H26春期 問11で出題実績があり、「パリティ専用ディスクを1台設ける方式」として選択肢に登場しています。RAID 2(ハミング符号方式)は現在ほぼ使われておらず、単独での出題実績は確認されていません。RAID 4はRAID 3のブロック単位版ですが、こちらも直接的な出題は稀です。RAID 0/1/5の3つを正確に区別できていれば、RAID 3の選択肢も消去法で対応できます。