情報処理試験を勉強していると、「APIって結局なに?プログラムの中で何をしているの?」と混乱しがちです。

APIは試験でもビジネスの現場でも頻繁に登場するキーワードです。まずは「何をするものか」を正確につかんでいきましょう。

対象試験と出題頻度

API(Application Programming Interface)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者の3試験すべてで出題されるテーマです。

OSの機能を呼び出す仕組みとして単独で問われるほか、「APIエコノミー」のようにビジネス活用と絡めた出題もあります。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

API(Application Programming Interface)とは、一言で言うと

 「あるソフトウェアの機能を、外部のプログラムから呼び出して利用するための窓口(呼び出し規約)

のことです。

イメージとしては、レストランのカウンター越しの注文口です。

お客さん(アプリケーション)は、厨房(OS・サービス)の内部に入ることはできません。代わりにカウンターの注文口(API)に「この料理をください」とリクエストを出すと、厨房が調理して料理(処理結果)を返してくれます。

注文口の書式(メニュー番号や受け渡し手順)を守りさえすれば、厨房の中の仕組みを知らなくても欲しい料理を受け取れます。

📊 APIの基本情報

項目 内容
正式名称 Application Programming Interface
分類 ソフトウェア間のインタフェース仕様
代表的な種類 OS提供のAPI(システムコール)、Web API(REST API 等)、ライブラリAPI
関連用語 APIエコノミー、SDK、ライブラリ、システムコール

解説

アプリケーションがハードウェアを直接操作すると、機器やOSの種類ごとに処理を書き分ける必要が出てきます。開発効率が落ちるだけでなく、誤動作やセキュリティ上のリスクも生まれます。

この問題を解消するために、OSやサービス側が「この書式で呼び出せば、こういう結果を返す」という呼び出し規約を公開しています。これがAPIです。

APIの種類と使われ方

APIは利用シーンによって大きく3つに分けられます。それぞれの位置づけを押さえておくと、問題文のどの文脈で「API」が使われているかを素早く判断できます。

種類 概要 具体例
OS提供のAPI OSが持つ機能(ファイル読み書き、ウィンドウ表示、プリンタ制御など)をプログラムから呼び出す仕組み。システムコールとも呼ばれる Windows API、POSIX
Web API インターネット経由で外部サービスの機能を利用する仕組み。HTTPリクエストでデータを送受信する Google Maps API、X(旧Twitter)API、Amazon API
ライブラリAPI プログラミング言語やライブラリが提供する関数・クラスの呼び出し規約 Java標準ライブラリ、Python標準ライブラリ

図解:APIの役割イメージ

アプリケーションとOS(またはサービス)の間にAPIがどう位置するかを視覚的に整理します。

① 呼び出し元 アプリケーション
Word、Chrome、自社システム 等
❶ 「この機能を使いたい」とリクエスト
② 窓口(API) API(呼び出し規約)
「この書式で送れば、この形式で結果を返す」
というルールを定めた”注文口”
❷ ルールに沿って実行を指示
③ 実行する側 OS / 外部サービス / ライブラリ
ハードウェア制御、データ提供 等
❸ 処理結果を API → アプリへ返却
データの流れまとめ:
❶ アプリ →(リクエスト)→ API
❷ API →(実行指示)→ OS / サービス
❸ OS / サービス →(処理結果)→ API → アプリ

▲ アプリケーションは API を経由して間接的に機能を利用する。内部の仕組みを知る必要はない

APIエコノミーとの関係

近年のITパスポート試験では、APIを活用したビジネスモデルである「APIエコノミー」の出題が増えています。これは、企業が自社サービスの機能をWeb APIとして外部公開し、他社がそれを組み合わせて新サービスを生み出す経済圏を指します。

たとえば、地図サービスのWeb APIを使って不動産検索アプリを構築するケースが典型例です。

API提供側は利用料で収益を得て、利用側はゼロから地図機能を開発せずに済むという双方のメリットがあります。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 APIの核心を3行で

・ソフトウェアの機能を外部のプログラムから呼び出すための「窓口(呼び出し規約)」
・OS提供のAPI(システムコール)、Web API、ライブラリAPIの3種類を区別する
・APIを公開・活用して新サービスを創出するビジネスモデルが「APIエコノミー」


試験ではこう出る!

APIは、FEでは「OSの機能呼び出し手段」として、IPでは「APIエコノミー」として、それぞれ異なる角度から出題されています。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE H20春
午前 問29
OSにおけるAPIの説明として適切なものを選ぶ問題 ・「アプリケーションからOSの各種機能を利用するための仕組み」が正解
・デバイスドライバ、プロセス間通信、CUAがひっかけ
FE H18春
午前 問30
上記H20春 問29と同一構成の問題(流用) ・FEでは同じ問題が繰り返し出回る典型例
・選択肢の文言もほぼ同一
IP R3
問31
APIエコノミーに関する記述として最も適切なものを選ぶ問題 ・「事業者が提供するサービスを連携させて付加価値の高いサービスを提供する仕組み」が正解
・OSS、RPA、ブロックチェーンの説明がひっかけ
IP R5
問31
公開サービスを相互利用する仕組みを選ぶ問題(APIエコノミー) ・R3 問31とほぼ同じ論点の再出題
・IPではAPIエコノミーが定番化している

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「APIの説明を選べ」(FE定番)
OSにおけるAPIの説明として正しい選択肢を選ぶ形式。正解のキーワードは「アプリケーションから」「OSの機能を利用する」「仕組み」。ひっかけとしてデバイスドライバの説明(ハードウェアを直接操作)やプロセス間通信の説明(ネットワーク経由で通信)が並ぶ。

 

パターン2:「APIエコノミーとは何か」(IP定番)
APIエコノミーの説明として正しいものを選ぶ形式。正解のキーワードは「サービスを連携」「付加価値」「公開されたインタフェース」。RPA、ブロックチェーン、OSSの説明が混ぜ込まれる。

 

試験ではここまででOKです。Web APIの具体的なHTTPメソッド(GET/POST等)やREST設計の詳細はIP・FE・APの午前では問われないため、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. OSにおけるAPI(Application Programming Interface)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 複数のアプリケーション間でネットワークを介してデータを通信する仕組みである。
  • B. アプリケーションから、OSが用意する各種機能を利用するための仕組みである。
  • C. アプリケーションがハードウェアを直接操作して、各種機能を実現するための仕組みである。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
APIは、アプリケーションがOSの持つ機能(ファイル操作、ウィンドウ表示、プリンタ制御など)を呼び出すための仕組みです。開発者はAPIを介してOSの機能を組み合わせ、目的のプログラムを構築します。

選択肢Aはプロセス間通信の説明です。プロセス間通信はプログラム同士がネットワークやパイプを通じてデータを受け渡す仕組みであり、OSの機能呼び出しとは目的が異なります。選択肢Cはデバイスドライバの説明です。デバイスドライバはOS内部でハードウェアを直接制御するソフトウェアであり、アプリケーションが直接ハードウェアを操作する構造ではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. APIとSDKの違いは何ですか?

APIは「機能の呼び出し規約」そのものを指し、SDKは「APIを使って開発するためのツール一式(ライブラリ、ドキュメント、サンプルコード、デバッガ等)」を指します。つまりSDKの中にAPIが含まれている関係です。試験ではSDKが単独で問われることは少ないですが、選択肢として登場した場合に混同しないよう区別しておいてください。

Q. 「APIを叩く」とはどういう意味ですか?

エンジニアが日常的に使う表現で、「APIを通じてリクエストを送信し、レスポンスを受け取る」操作を指します。特にWeb APIでHTTPリクエストを送る場面で多用されます。試験問題文に登場する表現ではありませんが、実務や技術記事で頻繁に出てくるため、意味を知っておいて損はありません。

Q. REST APIとSOAP APIの違いは?

REST APIはHTTPのメソッド(GET/POST/PUT/DELETE等)を使い、軽量なJSONでデータをやり取りするのが主流です。一方SOAP APIはXML形式のメッセージを使い、厳密な仕様(WSDL)に基づいて通信します。現在のWebサービスではRESTが圧倒的に多く、SOAP APIは金融系など高い信頼性が求められるシステムで使われています。IPA試験(IP/FE/AP午前)では両者の詳細な比較は問われないため、「RESTは軽量、SOAPは厳密」程度の認識で十分です。

Q. APIのセキュリティで気をつけることは?

Web APIを公開する場合、認証・認可の仕組み(APIキー、OAuthトークン等)を設けて不正利用を防ぐ必要があります。APIキーが漏洩すると第三者に勝手に利用され、料金が発生したりデータが流出したりする危険があります。実務では「APIキーをソースコードにハードコーディングしない」「通信はHTTPSで暗号化する」「レートリミット(単位時間あたりの呼び出し回数制限)を設定する」といった対策が基本です。