情報処理試験を勉強していると、「フォールトトレラントって、フォールトトレランスと何が違うの?フェールセーフとは?」と混乱しがちです。この記事では、フォールトトレラントの意味を日常の例え話で噛み砕き、試験で確実に得点できる状態を目指します。
対象試験と出題頻度
フォールトトレラントは、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。
信頼性設計の用語比較問題として定番化しており、「フェールセーフ」「フェールソフト」「フォールトアボイダンス」「フールプルーフ」との違いを正確に区別できるかが問われます。
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基本情報技術者
応用情報技術者
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき
用語の定義
フォールトトレラント(Fault Tolerant)とは、一言で言うと
「システムの一部が故障しても、全体としては止まらずに稼働し続けられる性質・設計」
のことです。
イメージとしては、「飛行機のエンジン」です。
旅客機にはエンジンが複数基搭載されています。仮に1基が停止しても、残りのエンジンだけで飛行を継続できる設計になっています。
最初から「壊れることはある」と想定し、壊れても動き続けるように備えておく。これがフォールトトレラントの考え方です。
📊 フォールトトレラントの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | Fault Tolerant(fault=障害、tolerant=耐性のある) |
| 名詞形 | フォールトトレランス(Fault Tolerance)=耐障害性 |
| 分類 | 信頼性設計(Reliability Design)の手法の一つ |
| 最大の特徴 | 構成要素の冗長化により、障害発生時も機能を落とさずサービスを継続する |
解説
業務システムや社会インフラは、一瞬でも停止すれば重大な損害に直結します。銀行のATM、航空管制、ECサイトの決済基盤。
こうした「止められないシステム」は、「障害が起きない前提」ではなく「障害が起きても止まらない前提」で設計する必要があります。
この要求に応えるために生まれたのがフォールトトレラント設計です。
実現方法:冗長構成による自動切替え
フォールトトレラントを実現する基本原理は「同じ機能を持つ予備をあらかじめ組み込んでおき、故障時に即座に切り替える」ことです。
具体的な手段としては、電源装置の二重化、ディスクのミラーリング(RAID1など)、ネットワーク経路の複線化があります。
フォールトトレラントの動作イメージ
【正常時】
本番系
稼働中
待機系
スタンバイ
2台構成で常に準備
【障害発生時】
本番系
故障
待機系
自動切替え
サービスは止まらない
本番系が故障しても待機系が即座に引き継ぎ、利用者に影響を与えない
紛らわしい信頼性設計用語との比較
ここだけは確実に押さえてください。
フォールトトレラントと混同されやすい4つの用語を「障害発生時にどう振る舞うか」で整理します。
| 用語 | 障害時の動作 | 覚え方のキーワード |
|---|---|---|
| フォールトトレラント | 機能を縮退させず、そのまま稼働を継続する | 「壊れても止まらない」冗長化+自動切替え |
| フェールソフト | 一部機能を低下させつつ運転を継続する | 「性能を落としてでも止めない」縮退運転 |
| フェールセーフ | 安全を最優先にシステムを停止・固定する | 「壊れたら安全側に倒す」信号機は全赤 |
| フォールトアボイダンス | そもそも故障を起こさないよう高品質な部品を使う | 「壊れにくくする」故障の回避 |
| フールプルーフ | 人間の誤操作そのものを発生させない | 「間違えようがない設計」電子レンジのドア開放で停止 |
障害時の対応レベル 比較図
▲ バーの長さ=障害時に維持できる機能の度合い。フォールトトレラントが最も高い
なんとなくで覚えたい人向け:5つの用語を一言で整理
フォールトトレラント→「壊れても全力で走り続ける」
フェールソフト→「壊れたらペースを落として走り続ける」
フェールセーフ→「壊れたら安全に立ち止まる」
フォールトアボイダンス→「そもそも壊れない靴を履く」
フールプルーフ→「靴紐をほどけない構造にする」
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 フォールトトレラントの核心を3行で
・一部が壊れても機能を落とさず稼働し続ける性質=フォールトトレラント
・実現手段は構成機器の冗長化(二重化、RAID、複線化など)
・フェールソフト(縮退継続)・フェールセーフ(安全停止)との違いが最重要
試験ではこう出る!
フォールトトレラントは、FE・APの午前問題で信頼性設計の用語比較問題として繰り返し出題されています。
出題パターンは大きく2つに分かれます。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| FE H30春 午前 問13 |
フォールトトレラントシステムを実現する上で不可欠なものを選ぶ問題。 | ・正解は「冗長性をもたせ、故障の影響を最小限に抑える」 ・バックアップやフールプルーフの記述がひっかけ |
| FE H25秋 午前 問13 |
フォールトトレラントシステムの実現方法として最も適切なものを選ぶ問題。 | ・正解は「複数台のコンピュータで多重化」 ・フェールセーフ構造との混同を狙う選択肢あり |
| FE H25春 午前 問14 |
フォールトトレラントシステムの説明として適切なものを選ぶ問題。 | ・正解は「部分的に故障しても全体として機能を維持」 ・デュアルシステム・バックアップセンターの記述がひっかけ |
| AP R6春 午前 問12 |
信頼性設計の4つの記述から正しいものを選ぶ問題。 | ・フォールトトレランスの記述がフェールセーフの説明にすり替えられている ・H27秋問14→R3春問13→R4秋問13と同一構成で4回流用 |
| AP R5春 午前 問15 |
信頼性を高める技術に関する記述として適切なものを選ぶ問題。 | ・正解は「重要部品を多重化して故障に備える=フォールトトレランス」 ・フェールセーフ・フォールトアボイダンスの説明を入れ替えたひっかけ |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「フォールトトレラントシステムの説明・実現方法を選べ」(FE中心)
FEでは「フォールトトレラントシステム」という呼称で出題される。正解の決め手は「冗長性」「部分的な故障でも全体の機能を維持」という2つのキーワード。バックアップセンターやデュアルシステムの説明がひっかけとして紛れ込む。
パターン2:「信頼性設計の用語説明を選べ」(AP中心)
APではフォールトトレランス・フェールセーフ・フェールソフト・フォールトアボイダンス・フールプルーフの5つの説明文を入れ替える形式が鉄板。H27秋問14からR6春問12まで4回同一構成で出題されている。各用語の説明を正しく対応づけられるかが問われる。
試験ではここまででOKです。「機能を落とさず継続=フォールトトレラント」「縮退して継続=フェールソフト」「安全に停止=フェールセーフ」――この3点の対比を覚えれば得点できます。深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. フォールトトレラントシステムの説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. システムに障害が発生した場合、あらかじめ定められた安全な状態にシステムを固定し、被害の拡大を防ぐ設計方針。
- B. システムを構成する部品の信頼性を高めることで、故障そのものの発生確率を極限まで下げる設計方針。
- C. システム構成に冗長性をもたせ、一部に障害が発生しても全体としては停止せず必要な機能を維持するシステム。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
フォールトトレラントシステムは、構成機器の冗長化によって障害発生時も機能を落とさず稼働を継続するシステムです。「冗長性」「全体の機能維持」が正解のキーワードになります。
選択肢Aはフェールセーフの説明です。障害時に安全な状態へ固定して被害拡大を防ぐ考え方であり、「稼働の継続」ではなく「安全の確保」が目的です。選択肢Bはフォールトアボイダンスの説明です。部品の信頼性を高めて故障そのものを回避する設計であり、障害発生後の継続運用とは観点が異なります。
よくある質問(FAQ)
Q. フォールトトレラントとフォールトトレランスは違うものですか?
本質的には同じ概念です。フォールトトレラント(Fault Tolerant)は「耐障害性を備えた」という形容詞、フォールトトレランス(Fault Tolerance)は「耐障害性」という名詞です。「フォールトトレラントシステム=フォールトトレランスを実現したシステム」と読み替えれば問題ありません。IPA試験ではどちらの表現でも出題されるため、両方の表記に慣れておいてください。
Q. デュアルシステムとデュプレックスシステムはフォールトトレラントの一種ですか?
はい、どちらもフォールトトレラントを実現するためのシステム構成です。デュアルシステムは2系統で同じ処理を同時に行い、結果を照合します。デュプレックスシステムは1系統を本番、もう1系統を待機として配置し、障害時に切り替えます。試験ではこれらの構成を「フォールトトレラントの説明」として選ばせるのではなく、あくまで別の設問として出題されるため、混同しないよう注意してください。
Q. フォールトトレラント設計にデメリットはありますか?
あります。最大のデメリットはコストです。すべての構成要素を二重化・多重化するため、機器の購入費用・設置スペース・運用管理の工数がいずれも増大します。そのため、実務ではシステム全体をフォールトトレラントにするのではなく、停止が許されない重要コンポーネントだけを冗長化し、それ以外はフェールソフトやフェールセーフで対処するのが一般的です。
Q. フォールトトレラントと可用性(Availability)はどう関係しますか?
フォールトトレラントは、可用性を高めるための具体的な設計手法の一つです。可用性は「必要なときにシステムが使える状態」を指す上位概念であり、フォールトトレラント設計はその実現手段として位置づけられます。試験で「可用性の向上に寄与する設計はどれか」と問われた場合、フォールトトレラントは正答候補になります。