情報処理試験を勉強していると、「MTBF? MTTR? 稼働率の式は覚えたけど、結局どっちがどっちか毎回混乱する…」という声を本当によく聞きます。

ここでは稼働率・MTBF・MTTRの関係を「日常の例え話」と「計算の図解」で整理し、試験で確実に得点できる状態を目指します。

対象試験と出題頻度

稼働率(MTBF / MTTR)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者のすべてで出題されるテーマです。

計算問題として毎回のように登場する超定番分野であり、直列接続・並列接続との複合問題も含めると出題率は極めて高くなります。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

稼働率(Availability Rate)とは、一言で言うと

 「システムが正常に動いている時間が、全体の運用時間に対してどれくらいの割合かを示す指標

のことです。

イメージとしては、お店の営業率です。

あるラーメン屋が1か月(30日)のうち27日営業し、3日は設備故障で臨時休業したとします。

このとき営業率は 27÷30=0.9(90%)です。稼働率もこれと同じ発想で、「動いている時間 ÷ 全体の時間」で求めます。

この「動いている時間」と「止まっていた時間」を平均値として表したものが、MTBF とMTTRです。

📊 稼働率・MTBF・MTTRの基本情報

用語 正式名称 意味
MTBF Mean Time Between Failures(平均故障間隔) 修理完了後、正常に稼働し始めてから次に故障するまでの平均時間。長いほど信頼性が高い
MTTR Mean Time To Repair(平均修復時間) 故障が発生してから修理が完了するまでの平均時間。短いほど保守性が高い
稼働率 Availability Rate MTBF ÷(MTBF + MTTR)で算出。可用性を数値で評価する指標

解説

MTBF・MTTRと稼働率の関係

システムの運用を時間軸で見ると、「正常稼働 → 故障 → 修理 → 正常稼働 → …」というサイクルの繰り返しです。

このサイクルにおいて、正常稼働していた平均時間がMTBF、修理にかかった平均時間がMTTRにあたります。

⏱ 稼働と故障のタイムライン図

正常稼働
150時間
修理中
50時間
正常稼働
150時間
修理中
50時間
正常稼働
150時間
← MTBF →
← MTTR →
← MTBF →
← MTTR →
← MTBF →

▲ MTBF=150時間、MTTR=50時間の場合 → 稼働率=150÷(150+50)=0.75(75%)

計算式をまとめると以下の通りです。

稼働率の計算式

稼働率 =
MTBF
MTBF + MTTR

📖 日本語で読むと…

動いていた時間
動いていた時間 + 止まっていた時間
動いていた時間
全体の運用時間

🔢 具体例で確認

MTBF=150時間、MTTR=50時間 の場合
150 150 + 50 150 200 0.75(75%)

計算例:具体的な数値で求めてみる

実際に数値を当てはめて計算してみます。

5,000時間の運用で故障が20回、合計故障時間が2,000時間だった場合を考えます。

🔢 計算ステップ

① 正常稼働時間を求める
 5,000時間 − 2,000時間 = 3,000時間

② MTBFを求める
 3,000時間 ÷ 20回 = 150時間

③ MTTRを求める
 2,000時間 ÷ 20回 = 100時間

④ 稼働率を求める
 150 ÷(150 + 100)= 150 ÷ 250 = 0.6(60%)

MTBFとMTTRを同時に増減させるとどうなるか

ここは試験で定番のひっかけポイントです。

MTBFとMTTRを「ともに1.5倍」にした場合、稼働率の式は以下のように変化します。

変更前:MTBF ÷(MTBF + MTTR)

↓ 両方を1.5倍にする

変更後:1.5×MTBF ÷(1.5×MTBF + 1.5×MTTR)

↓ 1.5 が分子・分母で約分される

= MTBF ÷(MTBF + MTTR)→ 稼働率は変わらない

稼働率はMTBFとMTTRの「比率」で決まるため、同じ倍率で増減させても値は変動しません。一方、MTBFだけを伸ばすか、MTTRだけを縮めれば稼働率は上がります。

もっと詳しく:MTBF・MTTRの改善方向を整理する(クリックで展開)
改善したい指標 方向 具体的な手段の例
MTBFを長くする 故障頻度を減らす 高品質な部品の採用、予防保全の実施、フォールトアボイダンス設計
MTTRを短くする 復旧を速くする 遠隔監視・自動復旧の導入、保守部品の事前配備、ホットスタンバイ構成

※ 遠隔保守はMTTRを短縮する手段です。「MTBFを長くする」と混同しないように注意してください。

稼働率が0.5のとき、MTBFとMTTRは等しくなる

稼働率の式を変形すると、稼働率が0.5(50%)のとき MTBF=MTTR が成り立ちます。

つまり「動いている時間と止まっている時間が同じ」という状態です。この関係は応用情報技術者で直接問われた実績があります。

では、このテーマが試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 稼働率の核心を3行で

・稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR)。正常稼働時間の割合を数値化した指標
・MTBFは「長いほど良い(壊れにくい)」、MTTRは「短いほど良い(すぐ直る)」
・MTBFとMTTRを同じ倍率で増減させても稼働率は変わらない(比率で決まるため)


試験ではこう出る!

稼働率の問題はIP・FE・APの全区分で繰り返し出題されています。出題パターンは大きく3つに分かれます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE R6
科目A 問4
MTBF 3,000時間・MTTR 1,000時間のシステムで、翌年度にMTBFを20%改善・MTTRを10%改善した場合の稼働率を求める問題。 ・MTBFの改善=値が増える
・MTTRの改善=値が減る
・改善の方向を間違えると不正解
AP R7春
午前 問12
2つのシステムA・Bの稼働率が等しいとき、MTTR/MTBFの関係が等しくなるかを問う問題。 ・稼働率が等しい=MTTR/MTBFの比が等しい
・絶対値が同じとは限らない点がひっかけ
AP R4秋
午前 問14
MTBFとMTTRがともに1.5倍になったときの稼働率の変化を問う問題。 ・同じ倍率なら約分され稼働率は不変
・「1.5倍になる」「2/3倍になる」がひっかけ選択肢
AP H30秋
午前 問15
稼働率0.5のときMTBFとMTTRが等しくなるか等、信頼性指標の正誤を判定する問題。 ・稼働率0.5⇒MTBF=MTTRは正しい
・MTBFとMTTRの定義の入れ替えがひっかけ
IP H21春
問61
5,000時間運用・故障20回・合計故障時間2,000時間からMTBF・MTTR・稼働率の組合せを選ぶ問題。 ・MTBF=正常稼働時間÷故障回数
・MTTR=合計故障時間÷故障回数

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「MTBF・MTTRから稼働率を計算せよ」
最も基本的な形式。数値を公式に代入するだけで解ける。ただし「改善」の意味(MTBFは増やす方向、MTTRは減らす方向)を取り違えると不正解になる。

パターン2:「MTBFとMTTRを同時に変化させたときの稼働率の変化」
AP・IPで繰り返し出題。同じ倍率なら稼働率は不変という結論を暗記しておけば即答できる。

パターン3:「信頼性指標の正誤判定」
MTBFとMTTRの定義をわざと入れ替えた選択肢がひっかけとして出る。「MTBFは故障”間隔”(Between Failures)」「MTTRは”修復”時間(To Repair)」と英語の頭文字で区別すれば混同しない。

試験ではここまででOKです。直列・並列接続の稼働率は別テーマとして出題されるため、本記事では深追いしません。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. あるシステムにおいて、MTBFとMTTRがともに2倍になったとき、稼働率(アベイラビリティ)はどうなるか。最も適切なものを選んでください。

  • A. 2倍になる。
  • B. 変わらない。
  • C. 0.5倍になる。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
稼働率は MTBF ÷(MTBF + MTTR)で求めます。分子・分母のMTBFとMTTRをともに2倍にすると、2の係数が約分されるため計算結果は変化しません。稼働率はあくまで両者の「比率」で決まる指標です。

選択肢Aの「2倍になる」は、MTBFだけが2倍になった場合の誤解に基づく誤答です。選択肢Cの「0.5倍になる」は、MTTRだけが2倍になった場合に近づく方向の誤りで、いずれも片方だけが変動するケースと混同した選択肢です。


よくある質問(FAQ)

Q. MTBFとMTTRはどちらを先に覚えるべきですか?

MTBFを先に覚えるのがおすすめです。「Between Failures=故障と故障の”間”=正常稼働している時間」と英語に紐づけて記憶すれば、残りのMTTRは「修理(To Repair)にかかった時間」と自然に区別できます。試験本番で混同する受験生が多いため、英語の頭文字をセットで押さえるのが最も確実です。

Q. 稼働率と「RASIS」のA(Availability)は同じ意味ですか?

RASISのA(Availability=可用性)は「必要なときにシステムが使える」という概念を指し、稼働率はその可用性を定量的に評価するための数値指標です。概念としては同じ方向を向いていますが、「Availability=概念」「稼働率=数値」という区別があります。RASISの他の要素であるR(Reliability:信頼性)はMTBFで、S(Serviceability:保守性)はMTTRで評価されます。

Q. 稼働率99.9%と99.99%ではどのくらい停止時間が違いますか?

年間(8,760時間)で計算すると、稼働率99.9%の停止時間は約8.76時間、99.99%は約0.876時間(約53分)です。小数点以下の「9」が1つ増えるだけで停止許容時間は約10分の1になります。SLA(サービスレベル契約)で「ファイブナイン(99.999%)」が求められるミッションクリティカルなシステムでは、年間の停止許容がわずか約5分です。

Q. MTBFに似た「MTTF」という用語がありますが、違いは何ですか?

MTTF(Mean Time To Failure)は「修理不可能な機器が最初に故障するまでの平均時間」を指します。使い捨ての部品やハードディスクのように交換前提の機器に使う指標です。一方、MTBFは修理して再稼働させることを前提としたシステムに使います。IPA試験ではMTBFが圧倒的に多く出題されますが、選択肢の中にMTTFが紛れ込むことがあるため「修理するならMTBF、しないならMTTF」と区別しておくと安心です。