対象試験と出題頻度

共通フレーム2013(SLCP-JCF)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

システム開発のライフサイクルプロセスに関する問題として定番化しており、「企画」「要件定義」「開発」「運用」「保守」の各プロセスで何が行われるかを正確に区別できるかが問われます。

詳細をクリックして確認
対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「共通フレーム2013って結局なに?開発工程の話と何が違うの?」と混乱しがちです。

共通フレーム2013(SLCP-JCF:Software Life Cycle Process – Japan Common Frame)とは、一言で言うと

 「ソフトウェアの構想から廃棄までのライフサイクル全体について、作業項目・役割・用語を統一的に定義したIPAの共通の枠組み

のことです。

イメージとしては、家を建てるときの建築業界共通のルールブックです。

施主と工務店で「基礎工事」「上棟」「内装」が別の意味で伝わると、トラブルの元になります。だから建築業界には共通の用語と工程の定義があります。

共通フレーム2013も同じで、システムの発注者と開発者が「同じ言葉・同じ工程定義」で会話できるようにするための辞書兼工程表です。

📊 共通フレーム2013の基本情報

項目 内容
正式名称 共通フレーム2013(SLCP-JCF 2013)
発行元 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
ベース規格 JIS X 0160:2012(ISO/IEC 12207:2008)
適用範囲 ソフトウェアの構想・開発・運用・保守・廃棄
主目的 発注者・受注者間の取引・作業の共通言語化

解説

システム開発の現場では、発注者と受注者で「要件定義」「設計」「テスト」といった言葉の解釈がズレることが、納期遅延・予算超過・訴訟の原因になっていました。

そこでIPAは、国際規格ISO/IEC 12207をベースに、日本の商習慣に合わせて作業項目と用語を整理した枠組みを公開しました。

これが共通フレームで、2013年版ではJIS X 0160:2012への準拠と、要件定義プロセスの強化(ISO/IEC/IEEE 29148の取り込み)が行われました。

プロセス・アクティビティ・タスクの3階層

共通フレームは作業内容を3階層で表現します。この階層構造を押さえると、過去問の選択肢が一気に読みやすくなります。

📐 共通フレームの階層構造

プロセス(Process)
例:企画プロセス、要件定義プロセス
↓ 構成
アクティビティ(Activity)
例:プロセス開始の準備
↓ 構成
タスク(Task)
例:個別の作業項目

▲ プロセスはアクティビティの集合、アクティビティはタスクの集合

主要なテクニカルプロセスの流れ

共通フレーム2013で頻出なのは「テクニカルプロセス」と呼ばれる開発の本流です。

発注から廃棄までを時系列で並べると次のようになります。

企画

システム化構想
システム化計画

要件定義

利害関係者の
ニーズ把握

開発

設計・実装
テスト

運用

本番稼働
サービス提供

保守

改修・修正
機能追加

廃棄

サービス終了
データ移行

▲ 共通フレーム2013のテクニカルプロセス(主要な流れ)

「企画」プロセスの中身に注意

過去問で特に問われやすいのが、最初の「企画プロセス」の中で行われる作業です。企画はさらに2つに分かれます。

アクティビティ 作成される成果物
システム化構想の立案 経営目標に沿った将来的な業務の全体像(最上位の業務機能と業務組織)
システム化計画の立案 構想を具現化するための開発計画・スケジュール・体制・予算

「業務の全体像」は構想、「具体的な開発計画」は計画。この区別が選択肢の判別ポイントです。

適用上の重要原則

共通フレームは規格ですが、現場で硬直的に使うものではありません。IPAは次の原則を明示しています。

テーラリング(修整)の原則:共通フレームのプロセス・アクティビティ・タスクは、プロジェクトの規模や特性に合わせて取捨選択・追加・修正してよい。すべてを必ず実施しなければならないものではない。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 共通フレーム2013の核心を3行で

・ソフトウェアのライフサイクル全体を発注者・受注者の共通言語として体系化したIPAの枠組み
・構造は「プロセス → アクティビティ → タスク」の3階層
・テクニカルプロセスは「企画→要件定義→開発→運用→保守→廃棄」、企画は「構想」と「計画」に分かれる


試験ではこう出る!

共通フレーム2013は、FE・APの午前問題で「どのプロセスで何をするか」を問う形式が定番です。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE H27秋
午前 問50
成果物が利用者の視点で正しいかを確認するプロセスを選ぶ問題。 ・正解は「妥当性確認プロセス」
・検証プロセスとの混同がひっかけ
AP H27秋
午前 問50
共通フレームをプロジェクトに適用する考え方を選ぶ問題。 ・プロジェクトに応じてアクティビティ/タスクの取捨選択が可能
・テーラリングの原則が問われる
FE H26春
午前 問61
システム化構想の立案で作成される成果物を選ぶ問題。 ・正解は「将来的に必要となる最上位の業務機能と業務組織を表した業務の全体像」
AP H30春
午前 問61
FE H26春問61と同主旨。システム化構想で作成されるものを問う。 ・「業務の全体像」が構想
・「開発計画」「要件定義書」はひっかけ
FE R5免除
午前 問48
テクニカルプロセスの並びを問う問題。 ・「企画→要件定義→システム開発→…→保守」の順序を確認

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「成果物がどのプロセスで作られるか」
「業務の全体像」(システム化構想)/「開発計画」(システム化計画)/「機能要件」(要件定義)の対応を問う形式。キーワードは「最上位」「全体像」=構想、「具体化・スケジュール」=計画。

 

パターン2:「適用の考え方」
「すべてのプロセスを必ず実施しなければならない」という選択肢はひっかけ。テーラリング(修整)が許容される点が正解になる。

 

パターン3:「検証 vs 妥当性確認」
検証(Verification)=仕様通りに作られているか、妥当性確認(Validation)=利用者の意図通りか、という区別が頻出。利用者視点なら妥当性確認。

 

試験ではここまででOKです。タスクレベルの細かい暗記は不要で、プロセス名と成果物の対応さえ押さえれば十分得点できます。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. 共通フレーム2013(SLCP-JCF)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. ソフトウェアの構想から廃棄までのライフサイクル全体について、作業項目・役割・用語をIPAが共通の枠組みとして定義したもので、発注者と受注者の取引で共通言語として用いられる。
  • B. 組織が情報セキュリティを継続的に管理するための国際規格で、リスクアセスメントに基づき管理策を選定・実施する仕組みを定めたものである。
  • C. ITサービスの設計・移行・運用・改善のベストプラクティス集で、サービス提供者がサービスマネジメントを実践するためのフレームワークである。

正解と解説を見る

正解:A

解説:
共通フレーム2013は、JIS X 0160:2012(ISO/IEC 12207)をベースに、IPAがソフトウェアライフサイクル全体の作業項目・役割・用語を体系化した枠組みです。発注者と受注者が同じ言葉で取引・開発を進められるようにすることが主目的です。

選択肢BはISMS(ISO/IEC 27001)の説明です。情報セキュリティマネジメントシステムを定める規格であり、ソフトウェア開発のライフサイクル全体を扱う共通フレームとは目的が異なります。選択肢CはITIL(ITサービスマネジメントのベストプラクティス)の説明です。ITサービスの運用に焦点を当てた枠組みであり、開発から廃棄までを包括する共通フレームとは適用範囲が異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. 共通フレーム2013と共通フレーム98・2007はどう違いますか?

バージョンの違いです。共通フレーム98(SLCP-JCF98)はISO/IEC 12207:1995をベースにした初期版、2007年版で要件定義や運用が強化され、2013年版ではJIS X 0160:2012への準拠と要件定義プロセスの拡充(ISO/IEC/IEEE 29148の取り込み)が行われました。試験で「共通フレーム2013」と書かれていれば最新版を指しますが、出題内容は基本的なプロセス構造を問うものが中心なので、版の違いを細かく覚える必要はありません。

Q. 共通フレームとPMBOKやCMMIは併用できますか?

併用できます。共通フレームは「何を行うか(What)」を定義したものであり、PMBOKはプロジェクトマネジメントの手法、CMMIは組織のプロセス成熟度を測る指標です。役割が異なるため、共通フレームで作業項目を整理し、PMBOKでスケジュールやリスクを管理し、CMMIで組織能力を評価するという使い分けが実務では一般的です。

Q. 「検証(Verification)」と「妥当性確認(Validation)」の違いを覚える簡単な方法は?

語呂で覚えるなら「検証=仕様どおりに作ったか(Build it right)」「妥当性確認=正しいものを作ったか(Build the right thing)」です。検証は設計書・仕様書との一致をチェックする活動、妥当性確認は利用者のニーズや使用目的に合うかをチェックする活動です。利用者視点というキーワードが出てきたら妥当性確認、と機械的に判断して問題ありません。

Q. アジャイル開発でも共通フレーム2013は使えますか?

使えます。共通フレームはウォーターフォール専用ではなく、開発手法に依存しない枠組みです。テーラリングの原則により、アジャイル開発ではイテレーションごとに要件定義・設計・実装・テストを繰り返す形でプロセスを適用します。IPAも共通フレーム2013の中でアジャイルへの適用を想定した記述を盛り込んでいますが、試験では深掘りされません。