対象試験と出題頻度

CMMI(能力成熟度モデル統合)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

ソフトウェア開発プロセスの成熟度を評価するモデルとして、ISO/IEC 15504(SPICE)との違いや、5段階の成熟度レベルの順序を問う形式で出題されます。レベル名の対応関係を正確に区別できるかが得点の分かれ目です。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「CMMIって結局なに?レベル1〜5があるのは分かるけど、どの組織のためのモデル?」と混乱しがちです。

CMMI(Capability Maturity Model Integration:能力成熟度モデル統合)とは、一言で言うと

 「組織のソフトウェア開発プロセスの成熟度を5段階で評価・改善するための国際的なモデル

のことです。

イメージとしては、レストランの格付けガイドです。

新規開店したばかりで味も接客もバラバラの店もあれば、マニュアルが整備されてどの店舗でも同じ品質を出せるチェーン店、さらには日々データを取って改善し続ける三つ星店もあります。

CMMIは、これと同じ視点で「この組織は開発作業をどれくらい安定してこなせるか」をレベル1〜5で格付けするものです。

📊 CMMIの基本情報

項目 内容
英語名 Capability Maturity Model Integration
提唱組織 米国カーネギーメロン大学SEI(現:CMMI Institute/ISACA)
前身モデル CMM(能力成熟度モデル)を統合・発展させたもの
評価対象 組織のプロセス(個人のスキルではない)
成熟度レベル レベル1(初期)〜レベル5(最適化)の5段階

解説

1980年代の米国では、政府がソフトウェア開発を外部委託する際、「この会社に発注して大丈夫か」を判断する客観的な基準が存在しませんでした。

納期遅延・予算超過・品質問題が頻発し、調達側のリスクが大きかったのです。

そこで米国国防総省の依頼を受け、カーネギーメロン大学のSEI(Software Engineering Institute)が開発元の能力を評価する仕組みとしてCMMを策定しました。

その後、ソフトウェア開発・システムエンジニアリング・調達など複数のCMMが乱立したため、これらを一本化したのがCMMIです。

5段階の成熟度レベル

CMMIの中核は、組織のプロセスを5段階で格付けする「成熟度レベル」です。

順序と特徴をセットで覚えることが理解の土台になります。

レベル 名称 特徴
レベル1 初期(Initial) プロセスは場当たり的。成功は個人の力量に依存し、再現性がない
レベル2 管理された
(Managed)
プロジェクト単位で計画・実行・監視が行われ、過去の実績を再現できる
レベル3 定義された
(Defined)
組織標準のプロセスが文書化され、全プロジェクトで標準を適用する
レベル4 定量的に管理された
(Quantitatively Managed)
プロセスと品質を統計的手法で定量的に管理し、ばらつきを把握する
レベル5 最適化している
(Optimizing)
定量的データに基づき、プロセスそのものを継続的に改善する

図解:成熟度レベルのピラミッド

レベルが上がるほど該当する組織は少なくなる、ピラミッド型の構造です。

Lv5
最適化している(Optimizing)
プロセス自体を継続的に改善
改善フェーズ
Lv4
定量的に管理された(Quantitatively Managed)
統計的手法で品質を数値管理
改善フェーズ
Lv3
定義された(Defined)
組織標準のプロセスを文書化・適用
標準化フェーズ
Lv2
管理された(Managed)
プロジェクト単位で計画・監視を実施
管理フェーズ
Lv1
初期(Initial)
場当たり的・成功は個人の力量に依存
未成熟

▲ 上に行くほど成熟度が高い/赤=未成熟橙=管理黄=標準化緑=改善

2つの表現方法(段階表現と連続表現)

CMMIには評価のアプローチが2種類あります。試験では用語だけ押さえれば十分です。

段階表現(Staged Representation):組織全体を1〜5のレベルで一括評価する方式。前身のCMMから引き継がれたアプローチです。

連続表現(Continuous Representation):プロセス領域ごとに能力レベル0〜3で個別に評価する方式。組織の強み・弱みを領域別に可視化できます。

類似モデルとの比較

試験では、CMMIと混同しやすい類似モデルとの区別が問われます。

モデル名 対象 特徴
CMMI 組織の開発プロセス SEI/CMMI Instituteが提供。5段階の成熟度
ISO/IEC 15504
(SPICE)
ソフトウェアプロセス 国際標準。能力レベル0〜5でプロセスを評価
ISO 9001 品質マネジメント全般 業種を問わない品質管理の国際規格。レベルではなく適合/不適合で判定
PMBOK プロジェクト管理 PMIが策定する知識体系。組織評価ではなくPM実践の手引き

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 CMMIの核心を3行で

・組織の開発プロセスを5段階で評価・改善する国際的なモデル
・レベル1(初期)→2(管理された)→3(定義された)→4(定量的に管理された)→5(最適化している)
・評価対象は「組織のプロセス」であり、個人のスキルや製品の品質ではない


試験ではこう出る!

CMMIは、FE・APの午前問題でソフトウェア工学・プロセス改善の分野から出題されます。出題パターンは大きく3つに分かれます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
AP H30秋
午前 問49
CMMIの説明として適切なものを選ぶ問題。 ・「プロセスの成熟度を5段階で評価する」が正解
・ISO 9001・PMBOK・ITILの説明がひっかけ
AP H25春
午前 問49
CMMIにおける成熟度レベル2の特徴を選ぶ問題。 ・「プロジェクトごとに管理された状態」が正解
・レベル3(組織標準)と混同させるひっかけ
FE H22秋
午前 問49
CMMI(能力成熟度モデル統合)の目的を問う問題。 ・「ソフトウェア開発組織のプロセス改善のため」が正解
・個人スキル評価・製品品質認証はひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「CMMIの説明を選べ」
4つの選択肢から正しい説明を選ぶ形式。ひっかけとして「品質管理システムの国際規格」(ISO 9001)、「プロジェクトマネジメントの知識体系」(PMBOK)、「ITサービス管理のベストプラクティス集」(ITIL)が並ぶ。キーワードは「プロセス」「成熟度」「5段階」。

 

パターン2:「特定レベルの特徴を選べ」
レベル2(管理された)とレベル3(定義された)の違いを問う問題が頻出。「プロジェクト単位の管理」がレベル2、「組織標準プロセスの定義」がレベル3、と覚える。レベル4は「定量的(統計的)」、レベル5は「継続的改善」がキーワード。

 

パターン3:「評価対象は何か」
評価対象が「組織のプロセス」であることを問う形式。「個人の能力」「製品の機能」「経営戦略」はすべて誤り。CMMIは個人や製品ではなく組織のプロセスを評価する点を確実に押さえてください。

 

試験ではここまででOKです。プロセス領域(PA)の個別名称や連続表現の能力レベル詳細まで問われることは稀なので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. CMMI(能力成熟度モデル統合)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. プロジェクトマネジメントに関する知識体系を整理したガイドであり、立ち上げ・計画・実行・監視・終結の5プロセス群でPM実践を体系化している。
  • B. 業種を問わず適用できる品質マネジメントシステムの国際規格であり、組織が要求事項を満たしているかを適合/不適合で判定する。
  • C. 組織のソフトウェア開発プロセスの成熟度を5段階で評価し、継続的なプロセス改善を支援する国際的なモデルである。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
CMMIは、組織の開発プロセスがどれだけ成熟しているかをレベル1(初期)からレベル5(最適化している)までの5段階で評価し、改善の指針を与えるモデルです。評価対象が「組織のプロセス」である点が最大の特徴です。

選択肢AはPMBOK(Project Management Body of Knowledge)の説明です。PMBOKはPMIが策定するプロジェクトマネジメントの知識体系で、組織のプロセス成熟度を段階評価するものではありません。選択肢BはISO 9001の説明です。ISO 9001は業種横断の品質マネジメント規格で、レベル評価ではなく適合性審査によって認証が与えられる点が異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. CMMとCMMIは何が違うのですか?

CMM(Capability Maturity Model)は1980年代後半にSEIが開発した最初のモデルで、ソフトウェア開発に特化していました。その後、システムエンジニアリング用・調達用など分野ごとに別々のCMMが乱立したため、これらを統合(Integration)して2002年に登場したのがCMMIです。現行の試験で「CMM」が単独で問われることは稀で、ほぼ「CMMI」での出題に置き換わっています。

Q. CMMIのレベルが高いと何かメリットがあるのですか?

高レベルの認定を受けた組織は、品質と納期の予測精度が高いと客観的に示せるため、特に米国政府や大手企業のソフトウェア開発調達で有利になります。インド・中国の大手SIerがCMMIレベル5を積極的に取得しているのは、海外発注の入札条件として要求されるケースが多いためです。日本国内では取得企業数は限られますが、官公庁案件や金融系の大規模開発で評価されます。

Q. アジャイル開発でもCMMIは使えますか?

使えます。CMMIは「何をすべきか(What)」を定めるモデルであり、「どうやるか(How)」は問わない設計のため、ウォーターフォール/アジャイルどちらの開発手法とも併用できます。CMMI Instituteも公式にアジャイルとの統合事例を公表しており、スクラムを採用しながらレベル3〜5を維持する組織も存在します。試験範囲では「開発手法に依存しない」とだけ押さえれば十分です。

Q. CMMIには開発以外のモデルもありますか?

あります。現行のCMMIには用途別に「CMMI for Development(開発)」「CMMI for Services(サービス提供)」「CMMI for Acquisition(調達)」の3種類が用意されています。さらに最新版のCMMI V2.0/V3.0ではセキュリティや人材開発などの領域も統合されました。ただしIPA試験で問われるのは「CMMIといえば開発プロセスの成熟度評価」という基本イメージのみで、サブモデルの区別までは出題されません。