「SLAって契約書のこと?それともシステムの性能のこと?」と混乱していませんか。本記事ではSLA(Service Level Agreement)の意味、構成する指標、SLM・SLOとの違いまで、IPA試験で得点するために必要な範囲を一気に整理します。
対象試験と出題頻度
SLAは、ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者・応用情報技術者の全区分で出題される超重要テーマです。
特にサービスマネジメント分野の中核として、SLM(サービスレベル管理)やITILとの関連で繰り返し問われます。「合意する主体は誰か」「測定指標は何か」を正確に押さえることが得点の決め手です。
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ITパスポート情報セキュリティマネジメント基本情報技術者応用情報技術者
★★★★★
ランクS(超重要)絶対に覚える必要あり
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「SLAって結局なんの契約?普通の業務委託契約と何が違うの?」と混乱しがちです。
SLA(Service Level Agreement/サービスレベル合意書)とは、一言で言うと
「ITサービスの提供者と利用者の間で、サービス品質の水準を数値で約束する合意文書」
のことです。
イメージとしては、「ピザ屋の『30分以内に届かなければ無料』の約束」です。
ピザ屋は「30分以内に届ける」という品質を数値で約束し、守れなければ代金を返金します。
SLAも同じで、「稼働率99.9%以上」「障害復旧は4時間以内」のように品質を数値で約束し、守れなければ料金の減額などのペナルティが発生します。
📊 SLAの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | Service Level Agreement |
| 日本語訳 | サービスレベル合意書/サービス品質保証契約 |
| 合意の当事者 | サービス提供者(プロバイダ)と利用者(顧客) |
| 関連規格 | ITIL、JIS Q 20000(ISO/IEC 20000) |
| 主な代表指標 | 稼働率、応答時間、障害復旧時間、サポート対応時間 |
解説
クラウドサービスやデータセンターを利用するとき、利用者が一番不安なのは「障害でサービスが止まったらどうなるのか」という点です。
口約束では責任の所在が曖昧になり、トラブル時に揉めます。そこで「品質を数値で書面化し、守れなければ料金を返金する」というルールを明文化したのがSLAです。
SLAに記載される代表的な指標
SLAでは、サービスの品質を客観的に測れる数値で表現します。代表的なものは次の通りです。
| 指標 | 具体例 | 意味 |
|---|---|---|
| 稼働率 | 99.9%以上 | サービスが利用可能な時間の割合 |
| 応答時間 | 2秒以内 | リクエストから応答までの時間 |
| 障害復旧時間 | 4時間以内 | 障害発生からサービス復旧までの時間 |
| サポート対応時間 | 24時間365日 | 問い合わせを受け付ける時間帯 |
| バックアップ頻度 | 日次 | データの保全頻度 |
稼働率99.9%が意味する停止許容時間
「稼働率99.9%」と聞くと高い数値に思えますが、1年間で許される停止時間に換算すると感覚がつかめます。
📈 稼働率と年間停止許容時間の関係
| 稼働率 | 年間停止許容時間 | 停止時間バー(視覚化) |
|---|---|---|
| 99% | 約87.6時間(3.65日) | |
| 99.9% | 約8.76時間 | |
| 99.99% | 約52.6分 | |
| 99.999% | 約5.26分 |
▲ 「9」が1つ増えるごとに許容停止時間は約1/10に。SLAの数値交渉では1桁が大きな差を生む
SLA・SLM・SLOの関係
試験で混同しやすいのが「SLA」「SLM」「SLO」の3兄弟です。役割を分けて整理します。
SLA / SLM / SLO の関係図
SLM(サービスレベル管理)
SLAを締結・運用・改善し続ける管理プロセス
SLA(サービスレベル合意書)
提供者と利用者が交わす品質の合意文書
SLO(サービスレベル目標)
提供者が内部的に掲げる具体的な数値目標
▲ 範囲:SLM ⊃ SLA ⊃ SLO の入れ子構造で覚える
SLAが「外部との約束」、SLOが「内部の目標値(通常SLAより厳しめに設定)」、SLMが「両者を回す管理プロセス全体」という関係です。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 SLAの核心を3行で
・サービス提供者と利用者が品質水準を数値で合意する文書
・代表指標は稼働率・応答時間・障害復旧時間など
・未達成時は料金減額などのペナルティが発生する
試験ではこう出る!
SLAは、IP・SG・FE・APの全区分でほぼ毎回どこかに登場する超頻出テーマです。出題パターンは3つに整理できます。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| IP R5 問40 |
SLAに記載する内容として適切なものを選ぶ問題。 | ・「サービス時間・稼働率などの合意事項」が正解 ・組織体制や業務手順はSLAの記載対象外 |
| SG R4春 午前 問38 |
SLAとSLMの関係を問う問題。 | ・SLMはSLAを継続的に維持改善するプロセス ・「合意」と「管理」の区別が鍵 |
| FE R3春 問57 |
SLAの説明として正しいものを選ぶ問題。 | ・「サービスの提供者と利用者の合意」が正解 ・契約書の一部として位置づけられる |
| AP H30春 午前 問56 |
SLAに定める指標として適切なものを選ぶ問題。 | ・稼働率・応答時間などの定量指標が正解 ・「開発工数」「要員数」は指標として不適切 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「SLAの定義を選ぶ」
「サービス提供者と利用者の合意」というキーワードを含む選択肢が正解。ひっかけとして「社内ルール」「開発標準」「セキュリティポリシー」が並ぶ。
パターン2:「SLAに記載する項目を選ぶ」
稼働率・応答時間・障害復旧時間など「定量的に測定できる指標」が正解。「組織体制」「業務手順書」「要員の経歴」のような測定不能なものは不正解。
パターン3:「SLMとの違いを問う」
SLAは「合意文書(成果物)」、SLMは「それを運用改善するプロセス」。混同を狙うひっかけが典型なので、文書か活動かで切り分ける。
試験ではここまででOKです。SLAの法的拘束力やペナルティの計算式までは問われないので、深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. SLA(Service Level Agreement)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. ITサービス提供者の社内で、開発チームの作業手順や品質管理ルールを定めた内部標準文書。
- B. ITサービスの提供者と利用者の間で、稼働率や応答時間などのサービス品質水準を数値で合意した文書。
- C. 合意したサービス品質を継続的に維持・改善するために、PDCAサイクルで運用管理するプロセス全体。
正解と解説を見る
正解:B
解説:
SLAは、サービス提供者と利用者という「外部間の合意」を、客観的に測定できる数値指標で文書化したものです。稼働率や応答時間といった定量指標が記載される点が判別の決め手になります。
選択肢Aは「社内の作業手順や品質管理ルール」を指しており、これは社内標準(インハウススタンダード)や品質マニュアルの説明です。SLAは外部当事者との合意なので該当しません。選択肢Cは「継続的に維持改善するプロセス」を指しており、これはSLM(Service Level Management/サービスレベル管理)の説明です。SLMは文書ではなく管理活動そのものを指すため、合意文書であるSLAとは別の概念です。
よくある質問(FAQ)
Q. SLAを守れなかった場合、提供者は法的に処罰されますか?
SLA自体は刑事罰の対象ではなく、民事上の契約に基づくペナルティが発生します。典型的には「サービス利用料の○○%を返金する」「次月料金から減額する」といったクレジット(料金減額)が一般的です。AWSやAzureなどの公開SLAでもこの方式が採用されています。違約金の上限は当月料金の100%が相場で、それを超える損害賠償は別途交渉となります。
Q. 稼働率の計算で「計画停止」は停止時間に含めますか?
通常、SLAの稼働率計算では計画停止(メンテナンス時間)は分母・分子から除外します。式は「稼働率=(合計運用時間-計画外停止時間)÷ 合計運用時間 × 100」となります。事前に告知したメンテナンスをカウントすると提供者側が極端に不利になるため、契約書で「計画停止を除く」と明示するのが実務の慣行です。試験では「計画停止を除いた値」を計算させる問題が出ます。
Q. クラウドサービスのSLAは利用者が交渉できますか?
パブリッククラウド(AWS・Azure・Google Cloud)の標準SLAは提供者が一方的に定めた「約款型」で、個別交渉はほぼ不可能です。一方、エンタープライズ向けのプライベートクラウドやSIerが構築する個別システムでは、SLAは利用者と提供者の合意に基づき個別に設計します。試験では後者の「個別合意型」を前提とした出題が中心です。
Q. SLAとOLA(Operational Level Agreement)は何が違いますか?
SLAが「サービス提供者と外部の利用者」の合意であるのに対し、OLAは「サービス提供組織の内部部門間(例:運用部門とインフラ部門)」の合意です。外部に約束したSLAを守るためには、社内の各部門がそれぞれの責任範囲をOLAで明確にしておく必要があります。ITIL用語として登場するため、AP午前で稀に問われます。
Q. SLAは一度締結したら変更できないのですか?
変更可能です。むしろITILでは「サービスや事業環境の変化に応じて、定期的にSLAをレビューし見直す」ことが推奨されています。実務では半年〜1年に1度、双方で実績値を持ち寄り、目標値の妥当性や新規追加すべき指標を議論する場(サービスレビュー)が設けられます。固定の契約書というよりは「定期的に更新される生きた合意」と捉えるのが正確です。