対象試験と出題頻度

セキュリティバイデザインは、ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

「設計段階からセキュリティを考える」という考え方を押さえておきましょう。

詳細をクリックして確認
対象試験:
ITパスポート
情報セキュリティマネジメント
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

セキュリティバイデザイン(Security by Design)とは、一言で言うと

 「システムの企画・設計段階からセキュリティ対策を組み込むという考え方」

のことです。

イメージとしては、「家を建てるときに最初から防犯設備を設計に入れる」ようなものです。

家が完成してから「やっぱり防犯カメラをつけよう」「鍵を強化しよう」と後付けするより、設計の段階から「ここに防犯カメラを設置」「玄関はダブルロック」と決めておいた方が、効率的で効果的ですよね。

システム開発も同じで、後からセキュリティ対策を追加するより、最初から設計に組み込んだ方がはるかに良い結果が得られます。

情報処理試験を勉強していると、「セキュリティバイデザインって、具体的に何をすればいいの?」と疑問に思うかもしれません。試験で問われるのは「後付けではなく、最初から考える」という基本的な考え方です。

具体的な実装方法までは求められないので、概念を理解しておけば十分です。

📊 セキュリティバイデザインの基本情報

項目 内容
意味 設計(Design)の段階からセキュリティ(Security)を考える
対義語 後付けセキュリティ(開発後にセキュリティ対策を追加)
目的 セキュアなシステムを効率的・効果的に構築する
適用範囲 システム開発、製品設計、サービス企画など

 

解説

セキュリティバイデザインは、「セキュリティは後から考えればいい」という従来の発想を転換し、「最初からセキュリティを設計に組み込む」ことを重視する考え方です。

近年のサイバー攻撃の高度化・巧妙化を背景に、この考え方がますます重要になっています。

 

なぜ「設計段階から」が重要なのか

システム開発において、セキュリティの問題を発見・修正するコストは、開発が進むにつれて急激に増大します。

これを「バグ修正コストの法則」と呼ぶこともあります。

📊 セキュリティ問題の修正コスト(イメージ)

発見フェーズ 修正コスト(相対値)
要件定義・設計 1倍
開発・実装 5〜10倍
テスト 10〜50倍
運用開始後 50〜100倍以上

例えば、設計段階で「認証機能が必要」と気づけば、最初からそのように設計できます。

しかし、運用開始後に「認証機能が足りない」と気づくと、システム全体を改修しなければならず、膨大なコストがかかります。

 

💡 セキュリティバイデザインのメリット

・後から対策するよりコストが低い
・設計と対策が一体化しているため効果が高い
・脆弱性が少ない堅牢なシステムが構築できる
・開発後の手戻りが減る
・運用開始後のインシデントリスクが低下する

 

後付けセキュリティの問題点

セキュリティバイデザインの対義語とも言えるのが「後付けセキュリティ」です。

システムを作ってから「セキュリティ対策を追加しよう」というアプローチには、さまざまな問題があります。

 

⚠️ 後付けセキュリティの問題点

・修正コストが高い(設計変更が必要になる場合も)
・「継ぎはぎ」の対策になりやすく、漏れが生じる
・本来の機能とセキュリティ機能が整合しない
・ユーザビリティが犠牲になることがある
・対策が間に合わず、脆弱なまま運用されるリスク

 

セキュリティバイデザインの実践

セキュリティバイデザインを実践するためには、開発プロセスの各段階でセキュリティを考慮する必要があります。

 

📊 開発フェーズごとのセキュリティ活動

開発フェーズ セキュリティ活動の例
企画・要件定義 セキュリティ要件の洗い出し、リスク分析
設計 脅威モデリング、セキュアアーキテクチャの設計
開発・実装 セキュアコーディング、コードレビュー
テスト 脆弱性診断、ペネトレーションテスト
運用・保守 セキュリティ監視、パッチ管理

 

試験ではこうした具体的な活動内容までは問われませんが、「各フェーズでセキュリティを考える」という考え方は押さえておきましょう。

 

関連する考え方:プライバシーバイデザイン

セキュリティバイデザインと似た考え方に「プライバシーバイデザイン(Privacy by Design)」があります。これは「設計段階からプライバシー保護を組み込む」という考え方で、個人情報保護の文脈でよく使われます。

 

EUの一般データ保護規則(GDPR)でも、プライバシーバイデザインの考え方が取り入れられています。セキュリティバイデザインとプライバシーバイデザインは、「後付けではなく最初から考える」という点で共通しています。

 

📌 試験対策のポイント

試験では、セキュリティバイデザインの細かい実践方法は問われません。
「後付けではなく、企画・設計段階からセキュリティを考える」という基本的な考え方を押さえておけば十分です。


 

試験ではこう出る!

セキュリティバイデザインは、セキュリティの考え方に関する問題で登場します。以下のポイントを押さえておきましょう。

【頻出キーワード】

  • 企画・設計段階からセキュリティを組み込む
  • 後付けではなく最初から考える
  • 修正コストの削減、セキュリティ効果の向上
  • 開発ライフサイクル全体でセキュリティを考慮
  • プライバシーバイデザインとの関連

試験問題で「システムの企画・設計段階からセキュリティ対策を組み込む考え方」「開発の上流工程からセキュリティを考慮することで、後からの修正コストを削減する」といった記述があれば、それは「セキュリティバイデザイン」に関する記述です。

📝 IPA試験での出題パターン

セキュリティバイデザインの問題は、「セキュリティバイデザインの説明として適切なものを選べ」「開発プロセスにおけるセキュリティの考え方として適切なものを選べ」といった形式が考えられます。

「設計段階から」「後付けではなく」というキーワードが出てきたらセキュリティバイデザインを思い出しましょう。


 

【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。

Q. セキュリティバイデザインに関する説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. システム運用開始後に発見された脆弱性に対して、パッチを適用して修正する手法
  • B. セキュリティインシデントが発生した際に、証拠を保全しながら原因を調査する技術
  • C. システムの企画・設計段階からセキュリティ対策を組み込み、後付けではなく最初から安全性を確保する考え方

正解と解説を見る

正解:C

解説:
セキュリティバイデザイン(Security by Design)は、システムの企画・設計段階からセキュリティ対策を組み込むという考え方です。後からセキュリティ対策を追加するよりも、最初から設計に組み込んだ方が、コストが低く、効果も高いという考えに基づいています。開発が進むにつれてセキュリティ問題の修正コストは急激に増大するため、上流工程からセキュリティを考慮することが重要です。
選択肢Aは一般的な「パッチ管理」や「脆弱性対応」の説明であり、後付けの対応です。選択肢Bは「デジタルフォレンジックス」の説明です。