対象試験と出題頻度
OSI基本参照モデルは、基本情報技術者・応用情報技術者で繰り返し出題される超頻出テーマです。
「各層の役割を選ばせる問題」と「各層で動作するネットワーク機器を選ばせる問題」が定番で、
ほぼ毎回いずれかのパターンが登場します。絶対に覚える必要があります。
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基本情報技術者
応用情報技術者
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ランクS(超重要)絶対に覚える必要あり
用語の定義
OSI基本参照モデル(OSI Reference Model)とは、一言で言うと
「異なるメーカーの機器同士が通信できるように、通信機能を7つの階層に分割して役割を標準化した国際規格」
のことです。
イメージとしては、「国際郵便の配達工程」です。
海外に手紙を送るとき、
「手紙を書く人→封筒に入れる人→郵便局の窓口→輸送トラック→飛行機→相手国の郵便局→届け先」
と工程が分かれています。
各工程の担当者は自分の仕事だけに集中すればよく、全体の仕組みを知る必要はありません。
OSI基本参照モデルも同じ発想で、通信を7つの「工程」に分けて責任範囲を明確にしています。
解説
OSI基本参照モデルは「通信の仕組みを説明・学習するための共通言語」として、実務でもIPA試験でも広く使われ続けています。
7階層の役割
各層の役割を、下位(第1層)から順に解説します。覚え方は「アプセトネデブ」(上位から:ア・プ・セ・ト・ネ・デ・ブ)が定番です。
📊 OSI基本参照モデル 7階層の一覧
| 層 | 名称 | 役割 | 身近な例え |
|---|---|---|---|
| 第7層 | アプリケーション層 | ファイル転送、メール送受信など利用者に最も近い通信サービスを提供する | 手紙の内容を書く |
| 第6層 | プレゼンテーション層 | データの表現形式(文字コード、暗号化、圧縮)を管理する | 手紙を相手が読める言語に翻訳する |
| 第5層 | セション層 | 通信の開始・維持・終了(セションの管理)と同期を制御する | 電話の「もしもし」と「では失礼します」 |
| 第4層 | トランスポート層 | エンドツーエンドの通信品質を保証する(エラー検出・再送制御) | 書留郵便の追跡・配達確認 |
| 第3層 | ネットワーク層 | エンドシステム間の経路選択(ルーティング)と中継を行う | 郵便局がどのルートで届けるか決める |
| 第2層 | データリンク層 | 隣接ノード間の伝送制御(誤り検出・再送制御・フレーム同期)を行う | 隣の郵便局まで確実にバトンを渡す |
| 第1層 | 物理層 | ビット列を電気信号・光信号・電波に変換して伝送路に送り出す | 道路そのもの(舗装や車線) |
各層で動作するネットワーク機器
OSI基本参照モデルの理解が試験で問われる理由の一つに、「どの機器がどの層で動作するか」の出題があります。以下の対応関係は必ず暗記してください。
| 動作する層 | 機器名 | 機能の概要 |
|---|---|---|
| 物理層(第1層) | リピータ/リピータハブ | 減衰した電気信号を増幅して伝送距離を延長する |
| データリンク層(第2層) | ブリッジ/スイッチングハブ(L2スイッチ) | MACアドレスを参照してフレームを中継・フィルタリングする |
| ネットワーク層(第3層) | ルータ/L3スイッチ | IPアドレスを参照して最適な経路を選択しパケットを転送する |
| トランスポート層以上(第4〜7層) | ゲートウェイ | プロトコルが異なるネットワーク同士を全層レベルで変換・接続する |
TCP/IPモデルとの対応関係
現在のインターネットはOSI基本参照モデルではなく、4層構造のTCP/IPモデルで動いています。
両者の対応関係を押さえておくと理解が深まります。
TCP/IPの「アプリケーション層」はOSIの第5〜7層(セション層・プレゼンテーション層・アプリケーション層)をまとめたもの、
「トランスポート層」は第4層にそのまま対応、
「インターネット層」は第3層(ネットワーク層)に対応、
「ネットワークインタフェース層」は第1〜2層(物理層・データリンク層)
に対応します。
ファイアウォールの種類を学ぶ際にも、「パケットフィルタリング型はネットワーク層〜トランスポート層で動作」
「アプリケーションゲートウェイ型はアプリケーション層で動作」という形で各層の知識が前提になります。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 OSI基本参照モデルの核心を3行で
・通信機能を7階層に分割した国際規格。覚え方は上位から「アプセトネデブ」
・第1層=リピータ、第2層=ブリッジ、第3層=ルータ、第4層以上=ゲートウェイ
・TCP/IPモデル(4層)との対応関係もセットで理解しておく
試験ではこう出る!
OSI基本参照モデルは、基本情報・応用情報の午前問題でほぼ毎回出題される最頻出テーマです。
出題パターンは大きく3つに分かれます。
📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| FE H27秋 午前 問31 |
OSI基本参照モデルの第3層に位置し、経路選択機能や中継機能を果たす層を選ぶ問題。 | ・第3層=ネットワーク層を即答できるか ・トランスポート層やセション層との混同がひっかけ |
| FE H26春 午前 問30 |
物理層・データリンク層・ネットワーク層で中継する装置を順に並べる問題。 | ・リピータ=第1層、ブリッジ=第2層、ルータ=第3層の対応 ・順番を正確に覚えているかを問う |
| FE H29春 午前 問31 |
トランスポート層以上が異なるLAN同士でプロトコル変換を行う機器を選ぶ問題。 | ・ゲートウェイ=第4層以上で変換 ・ルータ(第3層)やブリッジ(第2層)との区別 |
| AP H28秋 午前 問31 |
ルータの機能に関する記述として適切なものを選ぶ問題。 | ・ルータはネットワーク層でIPアドレスを参照して経路選択 ・ブリッジやゲートウェイの記述との区別 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「第○層の役割を選べ」
「第3層に位置し、経路選択と中継を行う層はどれか」のように層番号と役割の対応を問う形式。
ネットワーク層(第3層)=経路選択、トランスポート層(第4層)=通信品質保証、データリンク層(第2層)=隣接ノード間の伝送制御、の3つが頻出です。
パターン2:「各層で動作する機器を選べ/並べ替えよ」
リピータ・ブリッジ・ルータ・ゲートウェイを層ごとに正しく対応させる問題。
「物理層→リピータ、データリンク層→ブリッジ、ネットワーク層→ルータ」の順番を正確に覚えていれば得点できます。
パターン3:「ゲートウェイの説明を選べ」
「トランスポート層以上でプロトコル変換を行う機器」としてゲートウェイを特定させる形式。
ルータとの境界(第3層まで vs. 第4層以上)がひっかけポイントです。
試験ではここまででOKです。
各層の細かいプロトコル名まで午前問題で問われることは少ないので、「層番号→層名→役割→対応機器」の4点セットを押さえれば確実に得点できます。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. OSI基本参照モデルにおいて、エンドシステム間のデータ伝送の経路選択(ルーティング)と中継の機能をもつ層はどれでしょうか?
- A. データリンク層(第2層)
- B. ネットワーク層(第3層)
- C. トランスポート層(第4層)
正解と解説を見る
正解:B
解説:
ネットワーク層(第3層)は、エンドシステム間のデータ伝送を実現するために経路選択と中継を行う層です。ルータがこの層で動作する代表的な機器にあたります。
選択肢Aはデータリンク層(第2層)の説明です。データリンク層は「隣接ノード間」の制御であり、エンドシステム間の経路選択は担当しません。
ブリッジやスイッチングハブがこの層で動作します。選択肢Cはトランスポート層(第4層)の説明です。通信品質の保証が役割であり、経路選択は行いません。TCPがこの層の代表的なプロトコルです。
よくある質問(FAQ)
Q. OSI基本参照モデルとTCP/IPモデル、試験ではどちらが重要ですか?
どちらも出題されますが、午前問題で「第○層」と層番号で問われる場合はOSI基本参照モデル(7層)が前提です。一方、実際のプロトコル(HTTP、TCP、IPなど)の問題ではTCP/IPモデル(4層)が前提になります。
両方のモデルを対応づけて理解しておくのがベストです。
Q. 「アプセトネデブ」以外に7層を覚える方法はありますか?
英語の頭文字で下位から覚える語呂合わせ「Please Do Not Throw Sausage Pizza Away」(Physical, Data Link, Network, Transport, Session, Presentation, Application)も有名です。自分が思い出しやすい方で覚えてください。大事なのは層の順番と各層の役割を正確に結びつけることです。
Q. L2スイッチとL3スイッチの「L」は何の略ですか?
「Layer(層)」の略です。L2スイッチはOSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)で動作するスイッチで、MACアドレスを使ってフレームを転送します。L3スイッチは第3層(ネットワーク層)で動作し、IPアドレスを使ったルーティング機能を備えています。実務の機器名にもOSI基本参照モデルの概念が浸透している好例です。
Q. 各層で扱うデータの単位(PDU)は試験で問われますか?
応用情報レベルでは問われることがあります。第1層は「ビット」、第2層は「フレーム」、第3層は「パケット」、第4層は「セグメント(TCP)/データグラム(UDP)」です。基本情報では深掘りされにくい範囲ですが、応用情報を受験するなら押さえておくと安心です。