対象試験と出題頻度

CIDR(サイダー)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

IPアドレスの割り当て方式やサブネットの計算問題の中で登場し、「DHCP」「DNS」「NAPT」など他のネットワーク用語との違いを正確に区別できるかが問われます。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「CIDRって結局何?サブネットマスクと何が違うの?」と混乱しがちです。

CIDR(Classless Inter-Domain Routing:サイダー)とは、一言で言うと

 「IPアドレスのクラス(A/B/C)の区分を廃止し、ネットワーク部とホスト部の境界を1ビット単位で自由に設定できるようにしたアドレス割り当て方式」

のことです。

イメージとしては、「S・M・Lの3サイズしかなかった既製服を、オーダーメイドに切り替えた」こと。

従来は体型に合わなくても3サイズのどれかを選ぶしかなく、布地(アドレス空間)が余ったり足りなかったりしていました。CIDRは、必要な分だけぴったり仕立てる仕組みです。

📊 CIDRの基本情報

項目 内容
正式名称 Classless Inter-Domain Routing(クラスレスドメイン間ルーティング)
別名 クラスレスアドレッシング
技術規格 RFC 4632(旧 RFC 1519)
表記例 192.168.1.0/24(スラッシュの後ろがネットワーク部のビット数)

解説

IPv4が設計された当初、IPアドレスはクラスA(先頭8ビットがネットワーク部)、クラスB(16ビット)、クラスC(24ビット)の3区分で割り当てられていました。

しかし、クラス単位では粒度が粗すぎるという問題がありました。

たとえば300台のホストを収容したい組織は、クラスC(最大254台)では足りず、クラスB(最大65,534台)を取得するしかありません。

約65,000個のアドレスのうち実際に使うのは300個だけで、残りは丸ごと無駄になります。

クラスフルの限界とCIDR登場の背景

1990年代前半、インターネットの急速な普及でIPv4アドレスの枯渇が現実的な問題となりました。

IETFはRFC 1519(1993年)でCIDRを標準化し、クラスの概念を撤廃しました。

CIDRでは「/25」のように、ネットワーク部のビット長をスラッシュ記法(プレフィックス表記)で指定します。先ほどの例でいえば「/23」を割り当てれば510台のホストを収容でき、アドレスの浪費を最小限に抑えられます。

▶ CIDR表記の読み方(クリックで展開)

「192.168.1.0/24」という表記は、「先頭から24ビットがネットワーク部、残り8ビットがホスト部」を意味します。サブネットマスクに変換すると255.255.255.0に相当します。

「/28」であれば先頭28ビットがネットワーク部で、ホスト部は4ビット。使えるホスト数は24 − 2 = 14台です(ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスを除く)。

スラッシュの後ろの数字が大きいほどネットワークの範囲は狭くなり、小さいほど広くなります。

▶ CIDRと混同しやすい用語の整理(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。CIDRと名前や役割が紛らわしい用語が3つあります。

用語 役割 CIDRとの違い
DHCP クライアントにIPアドレスを自動で割り当てるプロトコル 「割り当て方式」ではなく「割り当てを自動化する手段」
NAPT プライベートIPとグローバルIPを変換し、ポート番号で多重化する技術 「アドレスの節約」が目的だが、変換技術であり割り当て方式ではない
VLSM 1つのネットワーク内でサブネットごとに異なるマスク長を使う手法 CIDRの考え方をサブネット分割に応用したもの。CIDRがドメイン間、VLSMが組織内と整理する

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 CIDRの核心を3行で

・クラスA/B/Cの固定区分を廃止し、ネットワーク部を1ビット単位で指定する方式
・「192.168.1.0/24」のようにスラッシュ記法でプレフィックス長を表記する
・DHCPは「自動割り当て」、NAPTは「アドレス変換」であり、CIDRとは目的が異なる


試験ではこう出る!

CIDRは、IPアドレスの割り当て方式を問う問題やサブネットの計算問題の前提知識として出題されています。

出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
AP R7秋
午前 問32
クラスA〜Cにとらわれず、ネットワーク部とホスト部を任意のブロック単位で区切る方式を選ぶ問題。 ・「クラスにとらわれない」「任意のブロック単位」がCIDRを特定するキーワード
・DHCP・DNS・NAPTがひっかけ選択肢
FE H21秋
午前 問39
IPアドレスとサブネットマスクからサブネットワークアドレスをCIDR表記で特定する問題。 ・サブネットマスク255.255.255.240を/28に変換できるか
・AND演算によるネットワークアドレスの算出
AP H23秋
午後 問5
ネットワーク構築の午後問題で、CIDR表記を用いたアドレス設計が出題。 ・CIDR表記の読み書きが前提知識として必須
・午後問題ではプレフィックス長から収容ホスト数を導く計算力も必要

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「CIDRの定義を選べ」
4つのネットワーク関連用語の説明が並び、CIDRに該当するものを選ぶ形式。ひっかけとしてDHCPやNAPTの説明が紛れ込む。「クラスにとらわれない」「任意のビット長」が正解を見分けるキーワード。

パターン2:「CIDR表記を用いたサブネット計算」
サブネットマスクをプレフィックス長(/28など)に変換し、ネットワークアドレスやホスト数を求める問題。CIDR自体の定義は問われないが、表記の意味を正確に理解していないと解けない。

試験ではここまででOKです。RFC番号やルーティングテーブルの経路集約(スーパーネット化)の詳細は、ネットワークスペシャリスト試験の範囲なので深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. IPv4のアドレス割り当てにおいて、クラスA〜Cの区分にとらわれず、ネットワーク部とホスト部を任意のビット長で区切る方式はどれでしょうか?

  • A. TCP/IPネットワーク上でクライアントにIPアドレスなどのネットワーク設定情報を自動的に割り当てるプロトコル。
  • B. プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換し、ポート番号を組み合わせて1つのグローバルIPアドレスを複数端末で共有する技術。
  • C. IPアドレスのクラスの概念を廃止し、ネットワーク部のビット長を1ビット単位で自由に設定することで、アドレス空間を効率的に割り当てる方式。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
CIDRは、従来のクラスA〜Cの固定的なアドレス区分を撤廃し、ネットワーク部を1ビット単位で指定できるようにした方式です。「クラスレス」「任意のビット長」がキーワードになります。

選択肢AはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)の説明です。DHCPはアドレスの「自動配布」を行うプロトコルであり、アドレス空間の区切り方とは無関係です。選択肢BはNAPT(Network Address Port Translation)の説明です。NAPTはアドレス変換によって1つのグローバルIPを共有する技術であり、アドレスの割り当て方式ではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. CIDRが導入される前はどのようにIPアドレスを割り当てていたのですか?

クラスフルアドレッシングと呼ばれる方式で、クラスA(/8)、クラスB(/16)、クラスC(/24)の3段階に固定されていました。たとえばクラスBを取得すると約65,000個のアドレスが割り当てられるため、数百台しか使わない組織でも大量のアドレスが無駄になっていました。この非効率さがIPv4アドレス枯渇を加速させた要因のひとつです。

Q. CIDRとVLSM(可変長サブネットマスク)は同じものですか?

厳密には異なります。CIDRはISP(インターネットサービスプロバイダ)などがインターネット上でアドレスブロックを効率的に配布・経路集約するための仕組みです。一方、VLSMは組織内のネットワークを複数のサブネットに分割する際に、サブネットごとに異なるプレフィックス長を使う手法です。「ドメイン間はCIDR、組織内はVLSM」と覚えると整理しやすくなります。

Q. 「スーパーネット化」とCIDRの関係を教えてください。

スーパーネット化は、連続する複数のネットワークアドレスをプレフィックス長を短くすることで1つのアドレスブロックにまとめる技術です。CIDRの機能のひとつとして位置づけられています。ネットワークスペシャリスト試験(NW R6春 午前II 問12など)で出題されることがありますが、基本情報・応用情報の午前問題では計算問題としてほとんど問われません。