対象試験と出題頻度

SIP(Session Initiation Protocol)は、応用情報技術者で出題されるテーマです。

午後のネットワーク分野でIP電話システムの構成が問われる際に登場するほか、午前問題ではRTP・SDP・RTCPなどVoIP関連プロトコルとの区別が求められます。

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対象試験:
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「SIPって何?VoIPとどう関係があるの?」と混乱しがちです。

SIP(Session Initiation Protocol)とは、一言で言うと

 「VoIPにおいて、通話セッションの確立・変更・切断を制御するシグナリングプロトコル」

のことです。

イメージとしては、「電話の交換手」です。

 

昔の電話は、交換手が「どこにつなぎますか?」と聞いて回線をつなぎ、通話が終われば切断していました。

SIPはこの交換手の仕事をIPネットワーク上で自動的に行うプロトコルです。実際の会話(音声データ)はSIPではなく別のプロトコル(RTP)が運びます。

📊 SIP(Session Initiation Protocol)の基本情報

項目 内容
正式名称 Session Initiation Protocol(セッション開始プロトコル)
標準化 IETF RFC 3261
主な役割 通話セッションの確立(INVITE)・変更・切断(BYE)
特徴 HTTPに似たテキストベースの記述形式

解説

VoIPで通話を行うには、「相手を呼び出して接続を確立する」制御と「音声データを運ぶ」伝送の2つの仕組みが必要です。

SIPは前者の「呼制御(シグナリング)」を担当します。

▶ SIPで通話が成立するまでの流れ(クリックで展開)

SIPの基本的なシーケンスは3ステップです。

①INVITE(発呼):発信側の端末がSIPサーバを経由して、相手端末に「通話を始めたい」というリクエストを送ります。相手の端末では着信音が鳴ります。

 

②200 OK(応答):相手が受話器を取ると、SIPサーバを経由して「OK」のレスポンスが返ります。話し中の場合は「486 Busy Here」が返されます。

 

③ACK(確認応答):発信側からACKが送られ、セッションが確立します。この後の実際の音声通話はRTP(Real-time Transport Protocol)で端末間を直接やり取りし、SIPサーバは経由しません。

 

通話を終了するときはBYEメッセージを送り、200 OKで切断が完了します。

▶ SIPと混同しやすいプロトコルの違い(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。VoIP関連のプロトコルは複数あり、それぞれ担当する仕事が異なります。

プロトコル 役割 覚え方のポイント
SIP セッションの確立・変更・切断(呼制御) 「電話をかける・切る」の司令塔
RTP 音声・映像データのリアルタイム転送 「実際に声を運ぶ」配送係
RTCP RTPの品質監視(パケットロスやジッタの統計) 配送品質のレポート係
SDP セッションの内容(メディア種類・ポート番号等)の記述 通話条件の「仕様書」
H.323 ITU-T策定のマルチメディア通信プロトコル群(SIP普及以前の主流) SIPの先輩格。バイナリ形式で複雑

最大の区別ポイントは「呼制御かデータ転送か」です。

SIPがセッションを確立した後、実際の音声データはRTPで端末間を直接流れます。SIPサーバは通話中の音声には関与しません。

SIPはHTTPをベースに設計されたテキストベースのプロトコルで、リクエストとレスポンスのやり取りで制御を行います。

レスポンスコードもHTTPと似通っており、「200 OK」が成功、「4xx」がクライアントエラーといった体系です。

 

この設計のおかげでシンプルかつ拡張性が高く、音声通話だけでなくビデオ会議やインスタントメッセージングのセッション管理にも利用されています。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 SIPの核心を3行で

・VoIPの「呼制御」を担当し、通話セッションの確立(INVITE)・切断(BYE)を行うプロトコル
・実際の音声はRTPが端末間で直接転送し、SIPサーバは通話中の音声に関与しない
・HTTPに似たテキストベースの設計で、拡張性が高い


試験ではこう出る!

SIPは、応用情報技術者の午前問題ではVoIP関連プロトコルの選択肢の一つとして、午後問題ではIP電話システムの構成問題の中で登場しています。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
AP R7秋
午前 問34
ループ防止プロトコルを選ぶ問題。SIPが不正解選択肢として登場。 ・SIPは「セッション確立のプロトコル」であり、ループ防止とは無関係と判断できるか
AP H22秋
午前 問37
XMLベースのRPCプロトコルを選ぶ問題。SIPが不正解選択肢として登場。 ・SIPの説明文を読んで「これはSOAPではない」と切り分けられるか
・「セッションの確立・変更・切断」がSIPのキーワード
AP H28秋
午後 問5
IP電話システムの導入に関するネットワーク設計問題。SIPサーバの配置や帯域設計が出題。 ・SIPサーバが呼制御を担う役割を理解しているか
・音声データ(RTP)はSIPサーバを経由しない点
AP H25春
午後 問4
VoIPシステムの導入問題。SIPを利用した拠点間通話の設計が出題。 ・SIPサーバが電話番号とIPアドレスの対応を管理する仕組み

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:午前の選択肢問題
SIPが正解またはひっかけ選択肢として登場する形式。「セッションの確立・変更・切断」というフレーズが含まれていればSIP。RTP(音声データの転送)やSDP(セッション記述)の説明と混同させるのが定番のひっかけ。

 

パターン2:午後のIP電話構成問題
SIPサーバの配置、VoIPゲートウェイとの役割分担、帯域計算を組み合わせた総合問題。SIPサーバは呼制御のみで音声データは通らないという点が設問の核心になる。

 

試験ではここまででOKです。SIPメッセージの詳細なフィールド構成やREGISTERメソッドの認証手順が問われるのはネットワークスペシャリスト以上のため、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. VoIPにおいて、ユーザエージェント間のセッションの確立、変更、切断を行うプロトコルとして、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 音声や映像データをリアルタイムに転送するためのプロトコルで、UDPの上で動作し、シーケンス番号やタイムスタンプを使って順序制御を行う。
  • B. メディアの種類、使用するポート番号、プロトコルなどのセッション情報を記述するための書式規格である。
  • C. 2つ以上のクライアント間で、INVITEやBYEなどのメッセージにより通話セッションの開始・終了を制御するシグナリングプロトコルである。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
SIP(Session Initiation Protocol)は、VoIPにおけるセッションの確立・変更・切断を行う呼制御プロトコルです。INVITEで通話を開始し、BYEで切断するシーケンスが基本動作になります。

選択肢AはRTP(Real-time Transport Protocol)の説明です。音声・映像データをリアルタイムに転送するプロトコルであり、呼制御は行いません。選択肢BはSDP(Session Description Protocol)の説明です。セッションの内容を記述するための書式であり、セッション制御のプロトコルではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. SIPサーバとPBXは何が違いますか?

PBX(構内交換機)はもともとアナログ電話回線の接続を切り替える物理装置です。SIPサーバは、IPネットワーク上で電話番号とIPアドレスの対応を管理し、呼制御を行うソフトウェアです。IP-PBXと呼ばれる製品は、従来のPBX機能をSIPベースでIP化したものであり、両者を統合した位置づけになります。

Q. SIPはなぜHTTPに似ているのですか?

SIPはIETFがHTTPの設計思想を参考にして策定したプロトコルです。テキストベースのリクエスト/レスポンス形式を採用しており、レスポンスコード体系(200 OK、4xx系エラーなど)もHTTPとほぼ同じです。テキスト形式のためデバッグや拡張が容易で、これがH.323(バイナリ形式)に対するSIPの大きな利点になりました。

Q. SIPは音声通話以外にも使えますか?

使えます。SIPは「セッションを制御する」汎用プロトコルとして設計されているため、ビデオ会議、インスタントメッセージング、プレゼンス(在席確認)など、マルチメディア通信全般のセッション管理に利用されています。IETF RFC 3261でも、SIPは音声通話に限定されないマルチメディアセッション制御プロトコルとして定義されています。