対象試験と出題頻度

ARP(Address Resolution Protocol)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

「ARPの説明として適切なものを選べ」という定義問題が定番化しており、RARP・DNS・DHCPなど類似プロトコルとの区別が問われます。

FE H19春 午前問52、AP R元秋 午前問33、AP R3秋 午前問32など、複数の試験区分・年度で繰り返し出題されています。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「ARPって何をするプロトコル?RARPやDNSと何が違うの?」と混乱しがちです。

ARP(Address Resolution Protocol)とは、一言で言うと

 「IPアドレスから、通信相手のMACアドレスを取得するためのプロトコル」

のことです。

イメージとしては、「部署名(IPアドレス)はわかっているが、座席番号(MACアドレス)がわからないとき、オフィス全体に『この部署の方、座席番号を教えてください!』と呼びかける行為」です。

ネットワーク上の通信では、最終的にデータを届けるために機器固有の物理アドレス(MACアドレス)が必要です。ARPは、論理アドレス(IPアドレス)しかわからない状態から物理アドレスを割り出す「住所変換」の役割を担います。

📊 ARPの基本情報

項目 内容
正式名称 Address Resolution Protocol(アドレス解決プロトコル)
変換方向 IPアドレス → MACアドレス
動作範囲 同一ネットワーク(同一セグメント)内
RFC RFC 826

解説

TCP/IPネットワークでは、通信相手を指定するためにIPアドレスを使います。

しかし、データリンク層の実際のフレーム送受信では、IPアドレスではなくMACアドレスが必要です。

 

この「IPアドレスはわかるが、MACアドレスがわからない」というギャップを埋めるために、ARPが設計されました。

▶ ARPによるアドレス解決の流れ(クリックで展開)

ステップ1:ARP要求(ブロードキャスト)
送信元の端末は、ARP要求フレームに「MACアドレスを知りたい相手のIPアドレス」と「自分のIPアドレス・MACアドレス」を格納し、同一セグメント内の全端末にブロードキャストで送信します。

ステップ2:ARP応答(ユニキャスト)
ARP要求を受け取った各端末は、フレーム内のIPアドレスが自身のものと一致するか確認します。一致した端末だけが、自分のMACアドレスをARP応答フレームに格納し、送信元にユニキャスト(1対1通信)で返信します。

ステップ3:ARPテーブルへのキャッシュ
送信元は取得したIPアドレスとMACアドレスの対応をARPテーブル(ARPキャッシュ)に一定時間保存します。次回以降、同じ宛先への通信ではブロードキャストを省略できるため、ネットワーク負荷が軽減されます。

▶ ARPと混同しやすいプロトコルとの違い(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。ARPと名前や役割が似ているプロトコルが3つあります。

プロトコル 変換方向・役割 覚え方
ARP IPアドレス → MACアドレス 「部署名から座席番号を調べる」
RARP MACアドレス → IPアドレス(ARPの逆方向) Reverse=逆。「座席番号から部署名を調べる」
DNS ホスト名(ドメイン名)⇔ IPアドレス 「名前からIPを調べる」。扱うのは論理アドレス同士
DHCP 端末にIPアドレスを動的に割り当てる 「アドレスの変換」ではなく「アドレスの配布」

最大の区別ポイントは「何から何へ変換するか」です。ARPは「IPアドレス→MACアドレス」、RARPはその逆、DNSは「ホスト名⇔IPアドレス」、DHCPはそもそも変換ではなくアドレスの動的割り当てです。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 ARPの核心を3行で

・IPアドレスからMACアドレスを取得するプロトコル(RFC 826)
・ARP要求はブロードキャスト、ARP応答はユニキャストで返る
・RARPは逆方向(MAC→IP)、DNSはホスト名⇔IPであり、ARPとは変換対象が異なる


試験ではこう出る!

ARPは、TCP/IPネットワーク分野のプロトコル定義問題として基本情報・応用情報の両方で繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
AP R3秋
午前 問32
ARPの説明として適切なものを選ぶ問題。 ・「IPアドレスからMACアドレスを得る」が正解
・TCP、RIP、DHCPの説明がひっかけ選択肢
AP R元秋
午前 問33
ARPの説明として適切なものを選ぶ問題。 ・RARPの説明(MAC→IP)がひっかけ
・DNSの正引き・逆引きの説明も混在
AP H28秋
午前 問32
R3秋 問32と同一構成の流用問題。 ・選択肢構成も完全に同一
・FE H19春 問52とも同一問題
FE H24春
午前 問44
ARPの仕組みを利用して実現できる通信可否の判定方法を選ぶ問題。 ・ARPでMACアドレスを取得→MACアドレスフィルタリングに応用
・定義ではなく「応用」を問う出題
FE H28春
午後 問4
ARP要求・ARP応答の動作を題材にしたネットワーク問題。 ・ブロードキャストとユニキャストの使い分け
・ARPテーブルの動作を穴埋め形式で出題

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「ARPの説明を選べ」
4つのプロトコルの説明文が並び、ARPに該当するものを選ぶ形式。ひっかけにはRARPの説明(MACアドレス→IPアドレス)やDNSの説明(ホスト名→IPアドレス)が紛れ込む。キーワードは「IPアドレスからMACアドレスを得る」。

 

パターン2:「ARPの仕組みを応用した判定方法を選べ」
FE H24春のように、ARPで取得した物理アドレスを使ったMACアドレスフィルタリングの知識を問う形式。ARPの動作原理を知っていれば即答できる。

 

試験ではここまででOKです。「IPアドレス→MACアドレス=ARP」「MACアドレス→IPアドレス=RARP」という変換方向の対比を押さえれば得点できます。ARPテーブルのキャッシュ時間やGratuitous ARPの詳細まで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. TCP/IPネットワークにおけるARPの説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. IPアドレスから対応する機器のMACアドレスを取得するプロトコルである。
  • B. MACアドレスから対応する機器のIPアドレスを取得するプロトコルである。
  • C. ホスト名(ドメイン名)から対応するIPアドレスを取得するプロトコルである。

正解と解説を見る

正解:A

解説:
ARP(Address Resolution Protocol)は、IPアドレスから対応するMACアドレスを取得するためのプロトコルです。「IPアドレス→MACアドレス」という変換方向がARPを特定するキーワードになります。

選択肢BはRARP(Reverse ARP)の説明です。RARPはARPの逆方向で、MACアドレスからIPアドレスを取得します。選択肢CはDNS(Domain Name System)の正引きの説明です。DNSはホスト名とIPアドレスの対応を管理する仕組みであり、MACアドレスは扱いません。


よくある質問(FAQ)

Q. ARPはルータを越えた別のネットワークの相手にも使えますか?

使えません。ARPはブロードキャストで動作するため、同一セグメント(同一LAN)内でしか到達しません。別のネットワークにいる相手と通信する場合は、まずデフォルトゲートウェイ(ルータ)のMACアドレスをARPで取得し、ルータにフレームを送ります。ルータはそこから先のネットワークで再度ARPを実行して最終的な宛先のMACアドレスを解決します。

Q. ARPスプーフィングとは何ですか?

ARPには認証の仕組みがないため、偽のARP応答を送りつけて他の端末のARPテーブルを書き換える攻撃が成立します。これがARPスプーフィング(ARP poisoning)です。攻撃者は自分のMACアドレスをゲートウェイのIPアドレスに対応づけさせ、通信を盗聴・改ざんする中間者攻撃(MITM)に悪用します。対策としてはDynamic ARP Inspection(DAI)やIEEE 802.1Xによるポート認証が有効です。

Q. IPv6にはARPがないと聞きましたが、代わりに何を使いますか?

IPv6ではARPが廃止され、代わりにNDP(Neighbor Discovery Protocol)のNS(Neighbor Solicitation)/NA(Neighbor Advertisement)メッセージが同等の機能を担います。NDPはICMPv6上で動作し、ブロードキャストではなくマルチキャストを使う点がARPとの大きな違いです。IPA試験ではこの範囲まで問われることはないので、参考程度で構いません。