対象試験と出題頻度

BGP(Border Gateway Protocol)は、応用情報技術者で出題されるテーマです。

ルーティングプロトコルの分類問題として登場し、「ルータが使うIGPとEGPの違い」や「RIPOSPFとの役割の違い」を正確に区別できるかが問われます。

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対象試験:
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「BGPって何?OSPFやRIPと何が違うの?」と混乱しがちです。

BGP(Border Gateway Protocol)とは、一言で言うと

 「異なるAS(自律システム)間で経路情報を交換し、インターネット全体の経路制御を担うパスベクトル型のルーティングプロトコル」

のことです。

イメージとしては、「県と県をつなぐ高速道路の道案内係」です。

 

RIPやOSPFが「市内の道路をどう回るか」を決める役割だとすれば、BGPは「愛知県から大阪府へ行くにはどの県を経由するのが最適か」を決める役割です。

担当範囲がAS(組織のネットワーク)をまたぐ点が根本的に異なります。

📊 BGPの基本情報

項目 内容
正式名称 Border Gateway Protocol(現行はBGP-4)
分類 EGP(Exterior Gateway Protocol)/パスベクトル型
経路選択の基準 AS_PATH(経由するAS番号の並び)の長さなど複数の属性で判断
使用するトランスポート TCP(ポート番号179)

解説

インターネットは、ISP(インターネットサービスプロバイダ)や企業などが管理するネットワークが無数に接続されて成り立っています。

これらの個々のネットワークをAS(Autonomous System:自律システム)と呼び、それぞれ固有のAS番号で識別されます。

 

AS内部の経路制御にはRIPやOSPFといったIGP(Interior Gateway Protocol)が使われますが、AS間をまたぐ経路制御はIGPでは対応できません。

組織が異なる以上、内部の経路情報をすべて公開するわけにはいかないためです。この「AS間の経路制御」という役割を専門に担うのがBGPです。

 

BGPが経路を決定する仕組み

BGPはパスベクトル型に分類されます。

RIPが「ホップ数」、OSPFが「コスト」で最短経路を判断するのに対し、BGPはAS_PATH(宛先に到達するまでに経由するAS番号の並び)を主な判断材料にします。経由するASの数が少ない経路が優先されるのが基本的な考え方です。

 

加えて、LOCAL_PREF(ローカル優先度)やMED(Multi Exit Discriminator)といったパスアトリビュート(経路属性)を組み合わせて、管理者が意図的に経路選択をコントロールできる柔軟さを持っています。

 

▶ IGP・EGPの分類とプロトコルの対応(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。

ルーティングプロトコルはまず「AS内で使うか、AS間で使うか」で大きく二分されます。

分類 使用範囲 代表的なプロトコル アルゴリズム
IGP AS内部 RIP(ディスタンスベクター型)
OSPF(リンクステート型)
ホップ数やコストで最短経路を計算
EGP AS間 BGP(パスベクトル型) 経由AS番号の並び(AS_PATH)や管理者設定の属性で経路を選択

「EGP」という名前は分類名でもあり、かつて存在した同名のプロトコル(EGPプロトコル)でもあります。

現在、AS間の経路制御で使われているのは事実上BGP-4のみです。IPA試験で「EGPに分類されるプロトコル」と聞かれたらBGPと答えれば正解になります。

▶ BGPがTCPを使う理由(クリックで展開)

RIPはUDP(ポート番号520)で経路情報を送受信します。一方、BGPはTCP(ポート番号179)を使用します。

AS間の経路制御はインターネット全体の通信に影響するため、経路情報の欠落や順序の入れ替わりは致命的です。信頼性の高いTCPを使うことで、経路情報の確実な到達を保証しています。

なお、OSPFはTCPやUDPを使わず、IPの上で直接動作するプロトコル(プロトコル番号89)です。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 BGPの核心を3行で

・AS(自律システム)間の経路制御を担うEGPの代表的プロトコル
・経由するAS番号の並び(AS_PATH)をもとにパスベクトル型で最適経路を選択する
・RIP・OSPFはAS内のIGP、BGPはAS間のEGPと整理する


試験ではこう出る!

BGPは、応用情報技術者の午前問題ではルーティングプロトコルの分類問題の選択肢として登場します。BGP単体の詳細が問われることは少なく、「IGPとEGPの区別」や「OSPFとの違い」を整理できているかが勝負の分かれ目です。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
NW H24秋
午前Ⅱ 問1
BGP-4におけるASに関する記述として適切なものを選ぶ問題。NW R6春 午前Ⅱ 問1でも同一問題が再出題。 ・ASは「同一の管理ポリシーによって管理されるネットワーク群」と定義できるか
・OSPF関連の用語(Router-LSA、エリアなど)がひっかけ選択肢
NW H24秋
午前Ⅱ 問7
OSPFの説明として適切なものを選ぶ問題。不正解選択肢にBGPの説明(「自律システム間の接続に使用される」)が配置。 ・BGPとOSPFの適用範囲(AS間 vs AS内)の区別
・RIPの説明もひっかけとして登場
SC R7秋
午前Ⅱ 問19
RIP-2とOSPFを比較しOSPFだけに当てはまる特徴を選ぶ問題。BGPは直接登場しないが、IGP同士の比較としてEGP(BGP)との違いの前提知識が必要。 ・OSPFの「リンク状態のデータベースを使用」がBGPのパスベクトル型と異なる点

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「ルーティングプロトコルの分類を選べ」(午前)
IGPとEGPの分類表が提示され、BGPが当てはまる位置を選ばせる形式。「BGP=EGP=AS間」と即答できれば得点できる。応用情報の午前では、OSPFやRIPの説明と並列で出題されることが多い。

 

パターン2:「OSPFの説明を選べ」の不正解選択肢としてBGPの説明が登場
NW H24秋 午前Ⅱ 問7のように、「自律システム間の接続に使用され、経路変化時に差分だけ送信する」という記述はBGPの説明であり、OSPFの説明ではない。この区別ができるかがポイント。

 

試験ではここまででOKです。BGPのパスアトリビュート(LOCAL_PREF、MED)の詳細や、iBGP・eBGPの違いは応用情報では問われないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ルーティングプロトコルに関する説明として、BGPに該当するものはどれでしょうか?

  • A. AS内部で使用され、ホップ数(経由するルータの数)を基準に最短経路を動的に決定する。最大ホップ数は15である。
  • B. AS内部で使用され、リンクの帯域幅から算出したコストを基準にダイクストラ法で最短経路を計算するリンクステート型のプロトコルである。
  • C. AS間で使用され、経由するAS番号の並び(AS_PATH)を主な基準として最適経路を選択するパスベクトル型のプロトコルである。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
BGPは、異なるAS間で経路情報を交換するEGPに分類されるプロトコルです。経由するAS番号の並び(AS_PATH)を主な判断材料とし、パスベクトル型のアルゴリズムで最適経路を選択します。

選択肢AはRIP(Routing Information Protocol)の説明です。AS内部で使用されるIGPであり、ホップ数のみを基準に経路を選択します。選択肢BはOSPF(Open Shortest Path First)の説明です。同じくAS内部のIGPですが、コストを基準にリンクステート型で経路を計算する点がRIPと異なります。いずれもAS間の経路制御には使われません。


よくある質問(FAQ)

Q. AS番号はどこが管理していますか?

国際的にはIANA(Internet Assigned Numbers Authority)がAS番号の割り当てを統括しており、日本国内ではJPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)が管理しています。AS番号は16ビット(1〜65535)または32ビット(拡張AS番号)で構成され、このうち64512〜65535はプライベートAS番号として組織内部で自由に使用できます。JPNICの用語集でもこの定義が確認できます。

Q. BGPの経路情報が間違っていたらどうなりますか?

実際に大規模な通信障害を引き起こした事例があります。BGPは隣接ASから受け取った経路情報を信頼する設計のため、誤った経路が広告されると、本来到達すべきネットワークへのトラフィックが別の場所に転送されてしまいます。この問題に対処するため、RPKI(Resource Public Key Infrastructure)と呼ばれる経路情報の正当性を検証する仕組みの普及が進んでいます。

Q. iBGPとeBGPの違いは試験で問われますか?

応用情報技術者では問われません。ネットワークスペシャリストでは出題される可能性があります。簡単に整理すると、eBGP(External BGP)は異なるAS間のBGP接続、iBGP(Internal BGP)は同一AS内のBGP接続です。eBGPは異なる管理者間の通信であるため設定の前提が異なり、iBGPはAS内で統一したポリシー設計が可能です。応用情報を受験する段階では「BGP=AS間のプロトコル」という整理で十分です。