対象試験と出題頻度

回線交換方式は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

「パケット交換方式」との特徴の違いを正しく区別できるかが問われるため、両者をセットで整理しておく必要があります。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「回線交換方式とパケット交換方式、結局何が違うの?」と混乱しがちです。

回線交換方式(Circuit Switching)とは、一言で言うと

 「通信する二者間で専用の回線を確保し、通話が終わるまでその回線を占有し続ける通信方式」

のことです。

イメージとしては、「レストランの完全個室予約」です。

 

予約した時間帯は他のお客さんが入れないかわりに、静かで安定した空間が保証されます。食事中ずっと個室を占有するため、空席が出ても他の人は使えません。これが回線交換方式の考え方です。

📊 回線交換方式の基本情報

項目 内容
英語名 Circuit Switching
代表例 固定電話(アナログ電話網)、ISDN
最大の特徴 通信中は専用回線を占有するため、遅延が少なく品質が安定する
対になる方式 パケット交換方式(Packet Switching)

解説

電話が発明された時代、通信は「相手と線をつなぐ」ことそのものでした。電話交換手が物理的にケーブルを差し替えて発信者と着信者の間に1本の回線を作る。これが回線交換の原型です。

 

技術が進んでも基本原理は変わりません。

通信の開始時に経路を確定し、終了まで維持し続けるのが回線交換方式です。

▶ 回線交換方式の通信の流れ(クリックで展開)

まず発信側が交換機にリクエストを送り、交換機が着信側までの物理的な経路を確保します。

経路が確立されると通信が始まり、双方が自由にデータをやり取りできます。通信が終了すると回線が解放され、他の通信に使えるようになります。

 

この方式では途中で経路が変わることはありません。

1本の専用道路を確保するイメージなので、通信中に他のデータが割り込んでくることもなく、一定の品質が維持されます。

▶ パケット交換方式との比較(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。両者の違いは「回線を占有するかどうか」に集約されます。

比較項目 回線交換方式 パケット交換方式
回線の使い方 通信中は専用回線を占有 複数の通信が回線を共有
回線の利用効率 低い(無通信時間も占有し続ける) 高い(データ送信時だけ回線を使う)
通信品質 安定(遅延が小さい) 網の混雑で遅延が発生する場合がある
向いている通信 音声通話などリアルタイム性が必要な通信 Webやメールなど断続的なデータ通信
代表例 固定電話、ISDN インターネット(TCP/IP)

パケット交換方式は、データを「パケット」という小さな単位に分割し、それぞれに宛先を付けて送信します。

1本の回線を複数の通信が共有できるため利用効率は高い反面、混雑すると遅延が発生します。

インターネットはこの方式を採用しています。

 

一方、回線交換方式は経路を丸ごと占有するため利用効率は低いものの、安定した通信品質を提供できます。固定電話がどれだけ長電話しても音声が途切れにくいのは、この仕組みのおかげです。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 回線交換方式の核心を3行で

・通信中は二者間で専用回線を占有し続ける方式で、固定電話が代表例
・回線を占有するため品質は安定するが、利用効率は低い
・パケット交換方式は回線を共有して効率を高めるが、遅延が起きる場合がある


試験ではこう出る!

回線交換方式は、パケット交換方式との比較問題として繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
FE H20秋
午前 問52
パケット交換方式の説明として適切なものを選ぶ問題。選択肢に回線交換方式の説明がひっかけとして含まれる。 ・「データをブロック分割+制御情報を付加」がパケット交換
・「通信路を占有してデータを送受信」が回線交換
IP H28春
問71
ネットワークの交換方式に関する記述で適切なものを選ぶ問題。 ・「通信経路を占有→速度・品質を保証しやすい」が正解
・「メタリック線だからアナログのみ」はひっかけ
AP R4春
午前 問35
SDN(OpenFlow)の説明を選ぶ問題。選択肢に「回線交換方式ではなくパケット交換方式で音声通話を実現する方式(VoLTE)」が登場。 ・回線交換とパケット交換の違いを前提知識として要求
・VoLTEが回線交換に代わる技術であることを理解しているか

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「交換方式の特徴として正しいものを選べ」
回線交換方式とパケット交換方式の特徴を並べ、正しい記述を選ばせる形式。ひっかけ選択肢には「パケット交換は無線だけ」「回線交換はアナログだけ」など、伝送媒体や信号形式の制限をでっち上げたものが頻出。キーワードは「占有」「品質の保証」「利用効率」。

 

パターン2:選択肢の一部として登場する
AP R4春 問35のように、別のテーマ(SDNやVoLTEなど)の出題で「回線交換方式ではなくパケット交換方式で音声通話を実現」といった記述がひっかけ選択肢として登場する。交換方式の違いを理解していないと消去法が使えない。

 

試験ではここまででOKです。ATMやフレームリレーとの細かい違いまで深追いは不要です。「占有=回線交換」「共有=パケット交換」の対比を押さえれば得点できます。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ネットワークの交換方式に関する記述として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. パケット交換方式では、送信側と受信側の間に専用の通信路を確保し、通信が終わるまでその経路を占有し続ける。
  • B. パケット交換方式は無線でのみ利用でき、回線交換方式は有線でのみ利用できる。
  • C. 回線交換方式では、通信する二者間で通信経路を占有するため、接続速度や回線品質の保証を行いやすい。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
回線交換方式は通信中に経路を専有するため、他の通信の影響を受けず、速度や品質が安定します。IP H28春 問71でも同様の趣旨で出題されました。

選択肢Aは回線交換方式の説明をパケット交換方式の説明として記述しているため誤りです。パケット交換方式はデータをパケット単位に分割し、複数の通信が回線を共有する方式です。選択肢Bは事実と異なります。回線交換方式・パケット交換方式のいずれも有線・無線の両方で利用できます。


よくある質問(FAQ)

Q. 現在のインターネットで回線交換方式は使われていますか?

インターネットの通信自体はパケット交換方式です。ただし、音声通話の分野では長らく回線交換方式が主流でした。近年はLTE網でパケット交換を使って音声通話を行うVoLTE(Voice over LTE)への移行が進んでおり、回線交換方式の利用場面は急速に減っています。

Q. ATM(非同期転送モード)は回線交換方式ですか?パケット交換方式ですか?

ATMはどちらにも分類しにくい方式です。データを「セル」と呼ばれる53バイトの固定長に分割して転送する点はパケット交換に近いものの、仮想的な通信路(バーチャルチャネル)を事前に設定する点は回線交換に近い特徴を持ちます。試験では「セル=固定長」「パケット=可変長」という区別が問われるので、この違いだけ覚えておけば十分です。

Q. 「メッセージ交換方式」というものもあると聞きました。どう違いますか?

メッセージ交換方式は、データを分割せずメッセージ単位でそのまま交換機に蓄積し、順次転送する方式です。電子メールの中継に近い動きをします。パケット交換方式はメッセージ交換をさらに効率化したものと位置づけられます。IPA試験ではメッセージ交換方式が単独で問われることはほぼないため、「パケット交換の前身に当たる蓄積交換の一種」という理解で問題ありません。