対象試験と出題頻度

データサイエンスは、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者のすべてで出題されるテーマです。

シラバス改訂(Ver.5.0以降)で数理・データサイエンス・AI分野が大幅に拡充され、ディープラーニングやビッグデータ活用と並ぶ頻出カテゴリとして定着しています。

詳細をクリックして確認
対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「データサイエンスってAIのこと?統計のこと?結局何を指しているの?」と混乱しがちです。

データサイエンス(Data Science)とは、一言で言うと

 「大量のデータを統計学・機械学習・プログラミングなどの手法で分析し、ビジネスや社会の意思決定に役立つ知見を引き出す学問領域

のことです。

イメージとしては、健康診断の結果を読み解く医師です。

医師は血液検査の数値をただ眺めるのではなく、基準値との比較、他の検査結果との相関、過去の数値との推移を総合的に判断して「この人は生活習慣を改善すべき」という意思決定につなげます。

データサイエンスも同じで、生のデータを集め、整理し、分析し、「次に何をすべきか」を導く一連のプロセスです。

📊 データサイエンスの基本情報

項目 内容
英語名 Data Science
シラバス上の分類 業務分析・データ利活用 > データサイエンス,ビッグデータ分析
構成する3つの力 ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力
関連キーワード BI、データウェアハウス、データマイニング、ビッグデータ、データサイエンティスト

解説

IoTの普及やクラウドストレージの低価格化により、企業が扱うデータ量は爆発的に増加しました。

しかし、データを大量に蓄えるだけでは何の価値も生まれません。「集めたデータをどう分析し、どうビジネスに活かすか」を体系化したのがこの分野です。

データサイエンスを支える3つのスキル領域

データサイエンティスト協会は、この分野で活躍する人材に必要なスキルセットを3つの領域で定義しています。IPA試験でもこの3分類がそのまま選択肢に使われるため、正確に区別することが重要です。

データサイエンティストに求められる3つのスキル領域

🏢 ビジネス力

課題の背景を理解し、分析結果をビジネス上の意思決定に結びつける力。ドメイン知識が土台になる。

📐 データサイエンス力

統計学・機械学習などの手法でデータを分析し、知見を抽出する力。回帰分析やクラスタリングが代表例。

💻 データエンジニアリング力

データの収集・蓄積・加工の基盤を設計・実装する力。データベースやETL処理が代表例。

出典:一般社団法人データサイエンティスト協会 スキル定義委員会

分析プロセスの全体像

データの分析は行き当たりばったりで行うものではなく、体系化されたサイクルに沿って進めます。

IPAのシラバスでも「データサイエンスのサイクル」が用語例として明記されています。代表的なフレームワークであるCRISP-DMは6つのフェーズで構成されます。

分析プロセスの流れ(CRISP-DMベース)

①ビジネス理解 ②データ理解 ③データ準備
⑥展開・共有 ⑤評価 ④モデリング

↑ ⑥完了後は①に戻り、サイクルを繰り返す

代表的な分析手法と関連技術

IPA試験で問われる分析手法は多岐にわたりますが、それぞれ「何を明らかにする手法か」で整理すると混乱しません。

手法・技術 何を明らかにするか 具体例
回帰分析 2つの変数の関係を数式で表し、予測に使う 広告費と売上の関係式を算出
クラスタリング 似た特徴を持つデータをグループに分ける 顧客を購買傾向で分類
データマイニング 大量データから隠れたパターンや規則性を発見する 購買履歴から「おむつとビール」の関連を発見
テキストマイニング 文章データから頻出語や共起関係を抽出する 口コミからクレーム傾向を把握
BI(Business Intelligence) 蓄積データをダッシュボード等で可視化し、意思決定を支援する 売上推移をリアルタイムでグラフ表示

データの前処理

実務でもIPA試験でも見落としがちですが、分析の精度を左右するのは前処理です。

生データには欠損値・外れ値・重複・表記ゆれが含まれており、そのまま分析にかけると誤った結論が導かれます。IPAのシラバスでは前処理として名寄せ、外れ値・異常値・欠損値の処理、アノテーションなどが用語例に挙がっています。

データ前処理の主なステップ

収集
名寄せ・表記統一
欠損値・外れ値の処理
分析へ

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 データサイエンスの核心を3行で

・大量のデータを統計学や機械学習で分析し、意思決定に活かす学問領域
・必要なスキルは「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つ
・分析の前段階である「前処理」が精度を大きく左右する


試験ではこう出る!

データサイエンス関連は、IP・FE・APの午前問題で繰り返し出題されています。特に「データサイエンティストの役割」と「分析手法の名称と特徴の一致」を問う形式が定番です。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
IP R7
問22
営業成績をグラフ化するために使うツールとして適切なものを選ぶ問題。選択肢にAI・IoT・オフィスツール・データサイエンスが並ぶ。 ・正解は「オフィスツール」
・データサイエンスは「ビッグデータの分析」であり、単純なグラフ作成とは別物
IP R6
問26
データサイエンティストの役割に関する記述として適切なものを選ぶ問題。 ・正解は「機械学習や統計でビッグデータを解析し新たな知見を獲得」
・システム基盤構築(アーキテクト)、監査、セキュリティ支援がひっかけ
IP R1秋
問23
ビッグデータを分析してビジネスに活用する人材の名称を選ぶ問題。 ・正解は「データサイエンティスト」
・ITストラテジスト、システムアーキテクトがひっかけ
AP H31春
午前 問63
データサイエンティストのスキルセット3領域のうち「データサイエンス力」に該当するスキルを選ぶ問題。 ・3つのスキル領域を正確に区別できるかがカギ
・ビジネス力・エンジニアリング力との混同がひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「データサイエンティストの役割を選べ」
4つの職種の説明文が並び、データサイエンティストに該当するものを選ぶ形式。ひっかけとして「システム基盤の構築」(アーキテクト)、「リスク評価のための調査」(システム監査)、「セキュリティの支援」(情報処理安全確保支援士)が紛れ込む。キーワードは「統計」「機械学習」「ビッグデータの解析」。

 

パターン2:「3つのスキル領域を区別させる」
AP H31春問63のように、ビジネス力・データサイエンス力・データエンジニアリング力の具体的なスキル例を問う形式。「回帰分析や機械学習の適用」はデータサイエンス力、「課題を発見しビジネス上の施策に落とし込む」はビジネス力と判断できればOK。

 

パターン3:「分析手法の名称と説明を一致させる」
回帰分析、クラスタリング、データマイニング、テキストマイニングなどの用語と説明文を正しく組み合わせる形式。BI(Business Intelligence)との混同にも注意。

 

ここだけは確実に押さえてください。「データサイエンティスト=統計・機械学習でビッグデータを分析する人」「スキル領域は3つ」という2点を覚えておけば、試験ではここまででOKです。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. データサイエンティストの役割に関する記述として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を、サイバーセキュリティの専門知識で支援する。
  • B. 機械学習や統計などの手法を用いてビッグデータを解析し、ビジネスに活用するための新たな知見を獲得する。
  • C. 企業が保有する膨大なデータを高速に検索できるよう、パフォーマンスの高いデータベースのシステム基盤を構築する。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
データサイエンティストは、統計学・機械学習・データマイニングなどの手法を用いてビッグデータを分析し、ビジネス上の意思決定に役立つ知見を引き出す役割を担います。IP R6問26でも同趣旨の問題が出題されています。

選択肢Aは情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の役割です。サイバーセキュリティの専門家であり、データ分析とは業務領域が異なります。選択肢Cはシステムアーキテクトやデータベースエンジニアの役割です。データ基盤の構築はデータエンジニアリング力に該当し、データサイエンティスト固有の役割ではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. データサイエンスとAI(人工知能)はどう違いますか?

AIは「人間の知的活動をコンピュータに行わせる技術の総称」であり、データサイエンスはそのAIを含む分析手法を使って「データから知見を引き出すプロセス全体」を指します。つまり、AIはデータサイエンスの中で使われるツールの1つです。試験では「AI=分析手法の一部」「データサイエンス=分析プロセス全体」と区別してください。

Q. データサイエンスとBI(Business Intelligence)は何が違いますか?

BIは「蓄積データをダッシュボードやレポートで可視化し、過去の実績を把握する」ことが主目的です。一方、データサイエンスは可視化にとどまらず、統計モデルや機械学習を使って「将来の予測」や「隠れたパターンの発見」まで踏み込みます。BIは「何が起きたか」を示すのに対し、データサイエンスは「なぜ起きたか」「次に何が起きるか」まで扱う点が異なります。

Q. データサイエンスの学習に必要なプログラミング言語はありますか?

実務ではPythonとR言語が主流です。Pythonは汎用性が高く、機械学習ライブラリ(scikit-learn、TensorFlow等)が充実しています。R言語は統計解析に特化しており、学術分野で広く使われています。ただし、IPA試験の範囲では特定の言語の知識は問われません。試験対策としては「言語名を知っている」程度で十分です。

Q. データサイエンティストとデータエンジニアの違いは?

データサイエンティストは「集まったデータを分析して知見を出す人」、データエンジニアは「データを集めて使える状態に整備する人」です。料理に例えると、データエンジニアは食材を仕入れて下ごしらえする人、データサイエンティストはその食材を使って料理を仕上げる人です。現場では両者が連携して初めてデータ活用が成立します。