対象試験と出題頻度
IoTエリアネットワークは、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。
IoTシステムの構成要素を問う問題で頻繁に登場し、「BLE」「LPWA」「ZigBee」「PLC」といった通信規格の分類や特徴を正確に区別できるかが問われます。
R6年度 ITパスポート 問84、R5年度 ITパスポート 問87、R4年度 ITパスポート 問92、R2年度 ITパスポート 問98、H29秋期 応用情報 午前問10など、特にITパスポートで繰り返し出題されています。
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ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「IoTエリアネットワークって、普通のネットワークと何が違うの?」と疑問に感じるはずです。
IoTエリアネットワークとは、一言で言うと
「IoTデバイス(センサーやカメラなど)とIoTゲートウェイを結ぶ、IoT専用の通信ネットワーク」
のことです。
イメージとしては、「農場に散らばったセンサーたちから、倉庫の集荷場まで野菜を集める”集荷ルート”」です。
農場(現場)に点在するセンサー(野菜)から、ゲートウェイ(集荷場)までデータを届ける道のりがIoTエリアネットワーク。
集荷場から先の市場やスーパー(クラウド・インターネット)への輸送は別のネットワークが担います。
📊 IoTエリアネットワークの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象範囲 | IoTデバイス ~ IoTゲートウェイ間の通信区間 |
| 主な無線規格 | BLE、LPWA(LoRaWAN・SIGFOXなど)、ZigBee、Wi-SUN |
| 主な有線規格 | PLC(電力線通信) |
| 最大の特徴 | 省電力・低コストでの広域接続を重視した通信規格で構成される |
解説
IoTシステムでは、工場・農場・店舗・街中など広範囲に設置されたセンサーやカメラからデータを収集する必要があります。
しかし、これらの端末は電源の確保が難しい場所に設置されることが多く、Wi-Fiのような高速・高消費電力の通信は適しません。
そこで、省電力で長期間稼働でき、少量のデータを遠くまで飛ばせる通信技術が求められました。IoTエリアネットワークは、このような要件に応えるために設計された通信区間です。
▶ 主要な通信規格の比較(クリックで展開)
ここだけは確実に押さえてください。試験で問われるのは、各通信規格が「無線か有線か」「どんな特徴を持つか」の2点です。
| 規格名 | 種別 | 特徴 | 通信距離 |
|---|---|---|---|
| BLE | 無線 | Bluetooth 4.0で追加された低消費電力仕様。ボタン電池で数年稼働できる | 10m~400m程度 |
| LPWA | 無線 | 省電力かつ広範囲をカバーする無線通信の総称。通信速度は低速だが電池で長期運用が可能 | 数km~数十km |
| ZigBee | 無線 | 低速・低消費電力の無線規格。メッシュネットワークで端末同士が中継可能 | 30m程度 |
| PLC | 有線 | 電力線に通信信号を重畳させる技術。既存の電力線をそのまま通信回線として利用できる | 建物内程度 |
試験で最も狙われるのは「BLEとZigBeeは無線、PLCは有線」という分類です。
PLCは「Power Line Communications(電力線通信)」の略で、電力線という物理的なケーブルを使うため有線に分類されます。
▶ IoTシステム全体の中での位置づけ(クリックで展開)
IoTシステムは大きく3つの層で構成されます。
デバイス層:センサー・カメラ・アクチュエーターなど、現場でデータを収集・操作する端末。
IoTエリアネットワーク層:デバイス層のデータをゲートウェイに集約するための通信区間。BLEやLPWAなどが使われる。
クラウド/サーバー層:ゲートウェイから先のインターネット経由でデータを蓄積・分析する領域。エッジコンピューティングを組み合わせ、ゲートウェイ上で一次処理を行うケースも増えている。
IoTエリアネットワークは、この3層構造のうち「デバイスからゲートウェイまで」の区間を指す用語です。ゲートウェイから先のインターネット接続とは明確に区別されます。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 IoTエリアネットワークの核心を3行で
・IoTデバイスとIoTゲートウェイを結ぶ通信区間を指す用語
・BLE・LPWA・ZigBeeは無線、PLCは有線と分類できることが必須知識
・省電力・低コストで長期稼働できる点がIoT向け通信規格の共通要件
試験ではこう出る!
IoTエリアネットワークは、ITパスポートを中心にほぼ毎年出題されている頻出テーマです。出題パターンは大きく3つに分かれます。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| IP R6年度 問84 |
IoTデバイス間でリレー方式により広範囲の通信を実現する技術名を問う問題。 | ・正解は「マルチホップ」 ・GPS、MIMO、キャリアアグリゲーションがひっかけ選択肢 |
| IP R5年度 問87 |
電力線を伝送路としても使用する技術名を問う問題。 | ・正解は「PLC」 ・PoE、エネルギーハーベスティング、テザリングがひっかけ |
| IP R4年度 問92 |
BLEの仕様に関する正しい記述を選ぶ問題。 | ・「低消費電力でボタン電池で数年動作する」が正解 ・Wi-Fiとの混同がひっかけ |
| IP R2年度 問98 |
BLE・PLC・ZigBeeを有線と無線に分類する問題。 | ・BLEとZigBeeが無線、PLCが有線 ・PLCを無線と誤答するのが典型的なミス |
| AP H29秋 午前 問10 |
LPWAの特徴として適切なものを選ぶ問題。 | ・「省電力・広範囲・低速」の3要素で判断 ・I2C、WiGig、G3-PLCの説明がひっかけ |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「通信規格を有線と無線に分類せよ」
R2年度IP問98のように、BLE・PLC・ZigBeeなどの規格を提示して分類させる形式。PLCが電力線を使う「有線」だと知っていれば即答できる。
パターン2:「通信技術の説明文から規格名を特定せよ」
R5年度IP問87のように、「電力線を伝送路として利用する技術は?」などの説明文が問題として出され、規格名を選ぶ形式。
パターン3:「通信規格の特徴として正しい記述を選べ」
R4年度IP問92のように、特定の規格(BLEなど)の仕様に関する正誤を問う形式。
試験ではここまででOKです。各規格の通信速度の具体的な数値まで暗記する必要はなく、「無線か有線か」「省電力か高速か」「近距離か広域か」の3軸で整理できれば得点できます。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. IoTエリアネットワークで使用される通信規格のうち、「省電力かつ数km~数十kmの広範囲をカバーできる無線通信技術の総称」として最も適切なものはどれでしょうか?
- A. PLC(Power Line Communications)――電力線に通信信号を重畳させ、既存の電力配線を通信回線としても利用する有線通信技術。
- B. BLE(Bluetooth Low Energy)――Bluetooth 4.0で追加された低消費電力の無線通信仕様で、ボタン電池で数年間稼働できる近距離通信技術。
- C. LPWA(Low Power Wide Area)――バッテリ消費量が少なく、一つの基地局で広範囲をカバーできる無線通信技術で、多数のセンサーが同時につながるネットワークに適している。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
LPWA(Low Power Wide Area)は、省電力と広域カバーを両立する無線通信規格の総称です。通信速度は低速ですが、電池で長期間稼働でき、数km~数十kmの範囲をカバーできるため、広範囲に多数のセンサーを配置するIoTネットワークに適しています。
選択肢AのPLCは電力線を利用する有線通信技術であり、無線通信ではありません。広範囲をカバーする用途ではなく、既存の電力配線がある建物内での通信に使われます。選択肢BのBLEは低消費電力の無線通信ですが、通信距離は最大400m程度の近距離向けであり、「数km~数十kmの広範囲カバー」には該当しません。
よくある質問(FAQ)
Q. IoTエリアネットワークと普通のLANは何が違いますか?
目的と設計思想が根本的に異なります。一般的なLAN(Wi-Fiや有線イーサネット)は、PCやスマートフォンが高速にデータをやり取りすることを前提にしています。一方、IoTエリアネットワークは「電池で数年動くセンサーが、数バイト~数百バイトの小さなデータを送る」ことに最適化されています。そのため、通信速度よりも省電力性・低コスト・広域カバーが優先される設計になっています。
Q. LPWAにはどんな種類がありますか?
代表的な規格は5つあります。SIGFOX(超小容量データの送信に特化)、LoRaWAN(独自ネットワーク構築が可能)、Wi-SUN(スマートメーターの検針で採用)、NB-IoT(携帯電話網の帯域を利用)、LTE-M/Cat-M1(NB-IoTより高速で音声通話にも対応)です。IPA試験で個別の規格名まで問われることはほぼないので、「LPWAは省電力・広域・低速の無線通信の総称」とだけ覚えておけば十分です。
Q. 「マルチホップ」とはどんな通信方式ですか?
マルチホップは、あるIoTデバイスから送信されたデータを、途中にある他のIoTデバイスが次々と中継(リレー)してゲートウェイまで届ける方式です。1台あたりの通信距離が短い場合でも、デバイス同士が中継し合うことで数km先のゲートウェイまでデータを届けられます。R6年度ITパスポート問84で出題されており、ZigBeeのメッシュネットワーク機能が代表例です。
Q. PLCはなぜIoTエリアネットワークで使われるのですか?
PLCの最大の利点は、既存の電力線をそのまま通信回線として使える点です。新たに通信ケーブルを敷設する必要がないため、電力線が既に通っている工場や住宅では導入コストを大幅に抑えられます。スマートメーターの自動検針(G3-PLC)が実用化の代表例です。ただし、電力線のノイズによる通信品質の低下が弱点であり、高速通信には向きません。