対象試験と出題頻度

LoRaWAN(ローラワン)は、応用情報技術者試験で出題されるテーマです。

LPWA(Low Power Wide Area)の代表的な規格として、午前問題ではLPWAの特徴を問う選択肢の中で、午後問題ではIoTシステム構築の題材として繰り返し登場しています。

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対象試験:
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「LoRaWANって何?LPWAと何が違うの?」と混乱しがちです。

LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)とは、一言で言うと

 「省電力かつ長距離の無線通信を実現する、IoT向けLPWA規格の一つ」

のことです。

イメージとしては、「ハガキ専用の郵便網」です。

 

大きな荷物(大容量データ)は送れないが、ハガキ程度の軽い情報(センサーデータ)なら、少ない切手代(省電力)で遠くの相手(数km〜数十km先)まで届けられる。これがLoRaWANの立ち位置です。

📊 LoRaWANの基本情報

項目 内容
正式名称 Long Range Wide Area Network
分類 LPWA(Low Power Wide Area)規格の一種
標準化団体 LoRa Alliance(2015年設立の非営利団体)
使用周波数帯 日本では920MHz帯(免許不要)
通信距離 数km〜十数km(見通しの良い環境)
通信速度 数百bps〜数十kbps(非常に低速)

解説

IoTでは、広範囲に設置した大量のセンサーから温度・湿度・位置情報などの小さなデータを定期的に収集する必要があります。

Wi-FiやBluetoothでは通信距離が短すぎ、LTEなどの携帯電話回線では消費電力とコストが大きすぎるという課題がありました。

この「長距離・省電力・低コスト」というIoT特有の要件を満たすために生まれた通信技術の総称がLPWAであり、LoRaWANはその代表的な規格です。

▶ LoRaWANのネットワーク構成(クリックで展開)

LoRaWANは「スター型トポロジ」を採用しています。構成要素は大きく3つです。

エンドデバイス:センサーを内蔵した末端の通信端末です。バッテリー駆動で数年間動作することを想定して設計されています。

 

ゲートウェイエンドデバイスからLoRa無線で受信したデータを、インターネット経由でネットワークサーバーに転送する中継装置です。1台のゲートウェイで数千台のエンドデバイスと同時接続できます。

 

ネットワークサーバー:複数のゲートウェイから集まったデータを管理し、重複排除やルーティングを行うクラウド上のサーバーです。

エンドデバイス → ゲートウェイ → ネットワークサーバー → アプリケーションサーバーという流れでデータが伝送されます。

▶ 他のLPWA規格との比較(クリックで展開)

LoRaWANを正しく位置づけるには、LPWA全体の中での立ち位置を整理するのが近道です。

規格名 周波数帯 免許 特徴
LoRaWAN 920MHz帯 不要 自営ネットワーク構築が可能。双方向通信に対応。
Sigfox 920MHz帯 不要 通信事業者がネットワークを提供。上り通信がメイン。
NB-IoT LTE帯域 必要 携帯電話網を利用。通信品質が安定。
Wi-SUN 920MHz帯 不要 メッシュ型ネットワーク。スマートメーターで普及。

ここだけは確実に押さえてください。

LoRaWANは「免許不要の周波数帯で自営ネットワークを構築できるLPWA規格」であり、

LPWAは「省電力・長距離・低速」を特徴とする通信技術の総称です。

 

LoRaWAN=LPWAではなく、LPWAの一種がLoRaWANという包含関係になります。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 LoRaWANの核心を3行で

・LPWAの代表的規格で、省電力・長距離・低速の無線通信をIoT向けに実現する
・スター型構成で、エンドデバイス → ゲートウェイ → ネットワークサーバーの順にデータを伝送する
・免許不要の920MHz帯を使用し、自営ネットワークの構築が可能


試験ではこう出る!

LoRaWANは、「LoRaWANとは何か」を単独で問われるのではなく、上位概念であるLPWAの特徴を問う午前問題や、IoTシステム構築を題材とした午後問題の中で登場するパターンが中心です。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
AP H29秋
午前 問10
LPWAの特徴として適切なものを選ぶ問題。解説でLoRaWANがLPWAの代表規格として言及。 ・「省電力」「広範囲カバー」「複数センサー接続」がキーワード
・電力線通信(G3-PLC)や近距離無線(WiGig)がひっかけ
AP R7秋
問73
H29秋 問10の流用問題。選択肢の順序が変更されている。 ・出題内容は同一
・「低消費電力の無線通信技術」という表現で正解を特定
AP R3春
午後 問4
IoT駐車場管理システムの設計問題。LPWAの通信速度・省電力特性を前提にデータ通信量や料金プランを計算。 ・LPWAは「通信速度が遅い」「省電力」であることが穴埋めで出題
・MQTT/MQTTSの選定も問われた
AP R6春
午後 問5
IoT気象情報システムの構築問題。LPWAサービスで10,000台のIoT機器を接続し、データ収集APIの通信プロトコルを検討。 ・LPWA経由のデータ量計算
・MQTTプロトコルの特徴を記述で解答

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1(午前):「LPWAの特徴を選べ」
4つの通信技術の説明文が並び、LPWAに該当するものを選ぶ形式。「省電力」「広範囲」「複数センサー接続」が揃った選択肢を選べば正解。LoRaWANの名前を直接知らなくても、LPWAの特徴を理解していれば解ける。

 

パターン2(午後):「IoTシステムの通信設計」
LPWAの「低速だが省電力で広域」という性質を前提に、データ通信量の計算や通信プロトコル(MQTT等)の選定が問われる。LoRaWAN固有の仕様(クラスA/B/Cの違い等)まで問われたことはない。

 

試験ではここまででOKです。LoRaWANの詳細な仕様よりも、LPWAの特徴(省電力・長距離・低速)をしっかり押さえておけば得点できます。深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. IoTで活用されているLPWAの説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. GHz帯を使う近距離無線通信であり、4K・8Kの映像などの大容量データを高速伝送することに適している。
  • B. 電力線を通信に使う有線通信技術であり、スマートメーターの自動検針などに適している。
  • C. 一つの基地局で広範囲をカバーできる低消費電力の無線通信技術であり、複数の機器がつながるネットワークに適している。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
LPWA(Low Power Wide Area)は、省電力かつ広範囲をカバーする無線通信技術の総称であり、LoRaWANはその代表的な規格です。通信速度は低速ですが、1つの基地局で数km〜数十km先のセンサーと通信でき、IoTネットワークの構築に適しています。

選択肢AはWiGig(IEEE 802.11ad/ay)の説明です。60GHz帯を使う高速・近距離通信であり、LPWAの特徴とは正反対です。選択肢BはG3-PLC(電力線通信)の説明です。電力線を使った有線通信技術であり、無線通信技術であるLPWAとは異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. LoRaWANのクラスA・B・Cとは何ですか?

LoRaWANには、エンドデバイスの通信パターンを定義する3つのクラスがあります。クラスAはデータ送信(アップリンク)直後にだけ受信ウィンドウを開く方式で、消費電力が最も少なく電池駆動のセンサーに適しています。クラスBはビーコンによる時刻同期で定期的な受信タイミングを確保する方式です。クラスCは常時受信可能な方式で消費電力が最も大きく、電源が確保できるアクチュエーター(制御装置)向けです。全デバイスがクラスAの機能を必須で実装し、B・Cはオプションです。

Q. 「LoRa」と「LoRaWAN」は別物ですか?

別物です。LoRaは物理層(レイヤ1)の無線変調技術の名称で、Semtech社が開発した独自方式です。一方、LoRaWANはLoRaの上に載るMAC層(レイヤ2)以上のネットワークプロトコルを指し、LoRa Allianceが仕様を策定しています。つまり、LoRaが「電波の飛ばし方」、LoRaWANが「データの届け方のルール」と整理できます。

Q. 実務ではLoRaWANはどのような場面で使われていますか?

農業分野の土壌水分センサーや気温モニタリング、河川の水位監視、工場の設備稼働状況の遠隔監視、駐車場の満空管理など、「広い範囲に散らばったセンサーから少量のデータを定期的に収集する」用途で幅広く導入されています。日本では920MHz帯を免許不要で使用できるため、通信事業者のサービスだけでなく、自治体や企業が自前でゲートウェイを設置して自営ネットワークを構築する事例も増えています。