対象試験と出題頻度
LPWA(Low Power Wide Area)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。
IoT関連の通信技術として定番化しており、「BLE」「Wi-Fi」「WiGig」などとの特徴の違いを正確に区別できるかが問われます。ITパスポートでは特に繰り返し出題されています。
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ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「LPWAって何?Wi-Fiと何が違うの?」と混乱しがちです。
LPWA(Low Power Wide Area)とは、一言で言うと
「省電力で数km~数十kmの長距離通信を実現する、IoT向け無線通信技術の総称」
のことです。
イメージとしては、「乾電池1本で何年もささやき続けられるトランシーバー」です。
声は小さく(通信速度は遅く)、会話のテンポもゆっくり(データ量は少ない)。
でも、その声は数十km先まで届き、電池はほとんど減らない。IoTの世界では、この「細く長く遠くへ届く通信」こそが求められています。
📊 LPWAの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Low Power Wide Area(LPWAN=Low Power Wide Area Networkとも呼ばれる) |
| 通信距離 | 数km~数十km |
| 通信速度 | 数百bps~数百kbps(Wi-Fiと比べて非常に低速) |
| 最大の特徴 | 乾電池で数年以上稼働する省電力性と広域通信の両立 |
| 代表規格 | LoRaWAN、Sigfox、NB-IoT、Wi-SUN など |
解説
IoTでは、農地の温湿度センサーや河川の水位計、工場の振動センサーなど、大量のデバイスを広範囲に設置してデータを収集します。
これらのデバイスには共通する要件が3つあります。電源工事なしで電池だけで長期間動くこと、数km以上離れた基地局までデータを届けられること、そしてコストが安いこと。
Wi-Fiは高速だが通信距離が数十m程度。
携帯電話回線(LTE/5G)は広域だが消費電力が大きく、電池だけで何年も運用するのは現実的でない。この「省電力」と「広域性」を両立させるために生まれた通信カテゴリがLPWAです。
▶ なぜ低速なのに使えるのか(クリックで展開)
IoTセンサーが送るデータは「気温25.3℃」「水位120cm」のような数バイト~数十バイトの小さな値です。しかも送信頻度は数分~数時間に1回程度。動画や音声のようなリアルタイム大容量通信は必要ありません。
LPWAは、この「少量・低頻度」というIoTの通信特性に合わせて、通信速度をあえて落とす代わりに、電波の到達距離と省電力性を最大限に高めた設計になっています。速度を犠牲にして距離と電池寿命を得る。これがLPWAの設計思想です。
▶ 他の無線通信技術との比較(クリックで展開)
ここだけは確実に押さえてください。LPWAの位置づけを理解するには、通信距離と消費電力の2軸で他の技術と比較するのが近道です。
| 技術 | 通信距離 | 通信速度 | 消費電力 |
|---|---|---|---|
| LPWA | 数km~数十km | 低速(~数百kbps) | 極めて小さい |
| BLE | 数十m~数百m | 低速(~2Mbps) | 小さい |
| Wi-Fi | 数十m程度 | 高速(~数Gbps) | 大きい |
| LTE/5G | 数km~数十km | 高速(~数Gbps) | 大きい |
BLE(Bluetooth Low Energy)は省電力だが通信距離が短く、屋内のウェアラブル端末向き。
Wi-Fiは高速・大容量だが到達距離も電池持ちも限られる。
LTE/5Gは広域・高速だが消費電力が大きい。
LPWAは速度を割り切ることで「省電力×広域」という、他の技術がカバーしにくい領域を担っています。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 LPWAの核心を3行で
・省電力(乾電池で数年稼働)かつ広域(数km~数十km)を両立するIoT向け無線通信技術の総称
・通信速度は低速だが、IoTセンサーの少量データには十分
・BLEは近距離、Wi-Fiは高速・短距離、LTE/5Gは高速・大電力。LPWAは「低速・省電力・広域」
試験ではこう出る!
LPWAは、ITパスポートで繰り返し出題される定番テーマです。応用情報でも出題実績があり、H29秋 問10の問題がR7秋 問73として再出題(流用)されています。
出題パターンは大きく2つに分かれます。
📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| IP H31春 問86 |
LPWAの通信速度と消費電力について穴埋めで問う問題。 | ・Wi-Fiと比較して「通信速度は遅い」「消費電力は少ない」の組合せ |
| IP R元秋 問81 |
IoTシステム向け無線ネットワークで、省電力性と広域性を備えるものを選ぶ問題。 | ・BLE、MDM、SDN、WPA2との用語区別 |
| IP R2秋 問70 |
LPWAの特徴を選ぶ問題。誤りの選択肢に機械学習、ブロックチェーン、WPA2/3。 | ・「電池で数年運用」「数十kmの広域性」がキーワード |
| IP R3 問92 |
数十kmの広域性と省電力性を備えるものを選ぶ問題。 | ・BLE(近距離)との違い ・MDM、MVNOとの混同に注意 |
| AP H29秋 問10 |
LPWAの特徴を選ぶ問題。I2C、WiGig、G3-PLCがひっかけ選択肢。 | ・「バッテリ消費量が少ない」「広範囲をカバー」 ・電力線通信(PLC)との混同に注意 |
| AP R7秋 問73 |
H29秋 問10の再出題(選択肢の順序が変更)。 | ・出題内容はH29秋とほぼ同一 ・流用問題として要注意 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「LPWAの特徴を選べ」
4つの技術説明が並び、LPWAに該当するものを選ぶ形式。ひっかけ選択肢にはI2C(基板内のシリアル通信)、WiGig(60GHz帯の高速近距離通信)、PLC/G3-PLC(電力線通信)が登場する。「省電力」「広域」「IoTセンサー」がそろっていればLPWA。
パターン2:「省電力×広域性を備えるものを選べ」
ITパスポートで頻出の形式。BLE(近距離の省電力通信)との区別が最頻出ポイント。BLEは通信距離が数十m~数百mで「広域」ではない。LPWA=「数十kmまで届く」と即答できれば得点できる。
試験ではここまででOKです。LoRaWANやSigfoxといった個別規格の技術的な違いまで問われることはないので、深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. IoTで活用されているLPWA(Low Power Wide Area)の特徴として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 一つの基地局で広範囲をカバーできる低消費電力の無線通信技術であり、多数のセンサーが同時につながるIoTネットワークに適している。
- B. GHz帯を使う近距離無線通信であり、4K・8K映像などの大容量データを高速伝送することに適している。
- C. 電力線を通信に使う有線通信技術であり、スマートメーターの自動検針などに適している。
正解と解説を見る
正解:A
解説:
LPWAは省電力かつ広域通信を実現するIoT向け無線技術であり、一つの基地局で数km~数十kmをカバーできます。多数のセンサーから少量のデータを収集するネットワークに最適です。
選択肢BはWiGig(IEEE 802.11ad/ay)の説明です。60GHz帯を使った近距離・超高速通信であり、LPWAとは通信距離も速度も正反対の特性を持ちます。選択肢CはG3-PLC(電力線通信)の説明です。電力線を使った有線通信であり、LPWAの「無線」「広域」という特徴とは異なります。
よくある質問(FAQ)
Q. LoRaWANとSigfoxは何が違いますか?
どちらもLPWAの代表規格ですが、設計思想が異なります。LoRaWANは双方向通信に対応し、自社でゲートウェイ(基地局)を設置して独自ネットワークを構築できます。一方、Sigfoxは通信事業者が基地局を運用するサービス型で、上り通信に特化しています。1回に送れるデータ量が12バイトと非常に小さく、センサーの値を定期的に送信する用途に特化した規格です。試験ではこの違いまで問われないため、「LPWAの代表例」として名前を知っておけば十分です。
Q. LPWAと5Gは競合する技術ですか?
競合ではなく補完関係です。5Gは高速・大容量・低遅延が強みで、自動運転や遠隔手術のようなリアルタイム性が求められる用途に向いています。LPWAは速度が遅い代わりに省電力と低コストが強みで、電源のない屋外に何千台もセンサーを設置するような用途に向いています。「大量のデータを速く送りたい場面は5G」「少量のデータを遠くへ安く送りたい場面はLPWA」と整理すると混乱しません。
Q. LPWAは日本国内で実際にどんなところで使われていますか?
代表的な活用例として、農業での圃場の温湿度モニタリング、河川や堤防の水位監視、ガス・水道のスマートメーター遠隔検針、物流での荷物のトラッキングなどがあります。いずれも「電源が取れない広いエリアに大量のセンサーを配置し、少量の計測データを定期的に送る」という共通点があります。