対象試験と出題頻度
LTE-Mは、応用情報技術者で出題されるテーマです。
LPWAの具体的な規格として問われるケースがあり、「NB-IoT」「LoRaWAN」「Sigfox」との特徴の違いを整理できるかがポイントになります。
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応用情報技術者
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「LTE-MってLTEと何が違うの?」と混乱しがちです。
LTE-M(LTE Cat-M1 / eMTC)とは、一言で言うと
「既存のLTEネットワークを活用し、IoTデバイス向けに省電力・広域通信を実現するセルラー系LPWA規格」
のことです。
イメージとしては、「高速道路の路肩に、軽トラック専用の省エネ車線を設けた」ようなものです。
高速道路(LTE)はもともと大型トラック(スマートフォン)が高速で走るために設計されています。
でもIoTセンサーが運ぶ荷物はごく少量。わざわざ大型トラックを走らせる必要はありません。そこで、軽トラック(IoTデバイス)が低燃費でゆっくり走れる専用車線を既存の道路に追加した。これがLTE-Mの考え方です。
📊 LTE-Mの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | LTE Category M1(Cat-M1) |
| 別名 | eMTC(enhanced Machine-Type Communication) |
| 標準化団体 | 3GPP(Release 13、2016年策定) |
| 帯域幅 | 1.4MHz(通常のLTEは最大20MHz) |
| 通信速度 | 上り・下りともに最大約1Mbps |
| 最大の特徴 | 既存LTE基地局を流用でき、全国エリアで即座にIoT通信を展開できる |
解説
IoTでは、農地のセンサーや河川の水位計、駐車場の車両検知端末など、大量のデバイスが少量のデータを定期的に送信します。
通常のLTE回線はスマートフォン向けの高速・大容量通信に最適化されており、IoTデバイスには過剰なスペックです。消費電力も大きく、電池だけで何年も動かすには向いていません。
この課題を解決するために、3GPPはRelease 13(2016年)でLTE Cat-M1を標準化しました。
既存のLTE基地局にソフトウェアアップデートを適用するだけで対応できるため、通信事業者は新たな基地局を建設せずにIoT向けネットワークを全国展開できます。
▶ LTE-Mが省電力を実現する仕組み(クリックで展開)
LTE-Mは2つの省電力技術を備えています。
1つ目はPSM(Power Saving Mode)で、データ送信が不要な間はほぼ電力を消費しないディープスリープ状態に入ります。
2つ目はeDRX(extended Discontinuous Reception)で、基地局からの信号を受信する間隔を大幅に延ばすことで、受信待機時の電力も削減します。
この2つの技術により、乾電池で数年~10年程度の連続稼働が可能になります。
▶ NB-IoTとの違い(クリックで展開)
3GPP Release 13では、LTE-Mと同時にNB-IoT(Narrowband IoT)も標準化されています。両者はセルラー系LPWAという共通点がありますが、設計思想が異なります。
| 比較項目 | LTE-M | NB-IoT |
|---|---|---|
| 帯域幅 | 1.4MHz | 200kHz以下 |
| 通信速度 | 最大約1Mbps | 最大約250kbps |
| 音声通話 | VoLTE対応(可能) | 非対応 |
| ハンドオーバー | 対応(移動体向き) | 非対応(固定設置向き) |
| 主な用途 | 車両追跡、ウェアラブル端末 | スマートメーター、環境センサー |
ここだけは確実に押さえてください。LTE-Mは「移動体にも使えるセルラー系LPWA」、NB-IoTは「固定設置のセンサー向きの超省電力LPWA」と整理すれば混同しません。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 LTE-Mの核心を3行で
・既存のLTE基地局を流用してIoTデバイス向けの省電力・広域通信を実現するセルラー系LPWA規格
・帯域幅を1.4MHzに絞り、PSM・eDRXで電池駆動を数年以上可能にした
・NB-IoTより通信速度が速く、ハンドオーバーに対応するため移動体にも使える
試験ではこう出る!
LTE-M単体が午前問題の正解選択肢として問われた実績は少なく、LPWAの具体例として選択肢や問題文に登場するパターンが中心です。午後問題ではR3年春期 応用情報 午後問4で本格的に出題されています。
📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| AP R3春 午後 問4 |
IoTを活用した駐車場管理システムの設計問題。LTE-M方式のLPWA通信サービスを採用する過程で、通信速度・月間データ通信量・料金プランの計算が問われた。 | ・LPWAは「通信速度が遅い」「省電力」という穴埋め ・LTE-Mの特性を前提とした数値計算 ・暗号化通信にはMQTTSを選択する判断 |
| AP R7秋 午前 問73 |
LPWAの特徴を選ぶ問題。LTE-Mは代表規格(Cat-M1)として解説に登場。 | ・「広範囲」「低消費電力」のキーワード ・WiGig、G3-PLC、I2Cとの区別 |
| NW R7春 午後II 問2 |
ネットワークスペシャリスト試験でIoTシステムの通信方式としてLTE-MやNB-IoTの特徴が問われた。 | ・LPWAの代表規格としての位置づけ ・CoAPやMQTTなど軽量プロトコルとの組合せ |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「LPWAの特徴を選べ」(午前)
LTE-Mの名前を直接答える問題ではなく、LPWAの特徴として「省電力」「広域」を選ばせる形式。LTE-MはLPWAの代表規格として解説に登場する。
パターン2:「IoTシステムの通信方式を設計せよ」(午後)
R3春 午後問4のように、LTE-M方式の通信サービスを採用する設計問題。通信速度やデータ量の計算が必須となるため、「帯域幅1.4MHz」「最大約1Mbps」という数値を頭に入れておくと有利。
試験ではここまででOKです。3GPP Release 13の仕様詳細やPSM・eDRXの動作原理まで問われることはないので、深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. LTE-M(LTE Cat-M1)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 200kHz以下の帯域幅を使い、固定設置のセンサー向けに超省電力通信を実現する規格で、ハンドオーバーには対応していない。
- B. 既存のLTE基地局を活用し、1.4MHzの帯域幅でIoTデバイス向けに省電力・広域通信を実現するセルラー系LPWA規格で、ハンドオーバーにも対応する。
- C. 免許不要の920MHz帯を使い、自営の基地局(ゲートウェイ)を設置して独自のIoTネットワークを構築できる非セルラー系LPWA規格である。
正解と解説を見る
正解:B
解説:
LTE-Mは、既存のLTEネットワーク上にIoT向けの省電力通信機能を追加したセルラー系LPWA規格です。帯域幅を1.4MHzに絞ることで消費電力を抑えつつ、ハンドオーバーにも対応するため移動体での利用にも適しています。
選択肢AはNB-IoT(Narrowband IoT)の説明です。NB-IoTは200kHz以下の帯域幅で動作し、ハンドオーバー非対応のため固定設置型のセンサー向きです。選択肢CはLoRaWANの説明です。LoRaWANは免許不要帯を使用する非セルラー系規格であり、通信事業者のLTE基地局とは無関係に独自ネットワークを構築できます。
よくある質問(FAQ)
Q. LTE-Mは日本国内のどの通信事業者が提供していますか?
NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社がLTE-Mのサービスを提供しています。既存のLTE基地局を流用できるため、サービス開始時点から全国のLTEエリアとほぼ同等のカバレッジで利用できます。IoTデバイスの通信費用は月額数十円~数百円程度の低価格プランが中心です。
Q. LTE-Mで音声通話ができるというのは本当ですか?
本当です。LTE-MはVoLTE(Voice over LTE)に対応しており、データ通信だけでなく音声通話も可能です。これは同じセルラー系LPWAであるNB-IoTにはない特徴です。緊急通報ボタン付きのウェアラブル端末や、子ども・高齢者向けの見守りデバイスなど、音声通話機能が求められるIoT機器で活用されています。
Q. 5Gが普及するとLTE-Mはなくなりますか?
なくなりません。3GPPのRelease 17以降でも、LTE-MとNB-IoTは5Gエコシステムの一部として継続利用する方針が明記されています。5Gは超高速・低遅延が求められる用途向きであり、少量データを省電力で送るIoTセンサーにはLTE-Mのほうがコスト面・電力面で合理的です。当面はLTE-Mと5Gが用途に応じて使い分けられる状態が続きます。