対象試験と出題頻度
OSPF(Open Shortest Path First)は、応用情報技術者で出題されるテーマです。
ルーティングプロトコルの比較問題として登場し、「RIP」との違いをリンクステート型・ディスタンスベクター型の分類で正確に区別できるかがポイントになります。
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応用情報技術者
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「OSPFとRIPって何が違うの?ルーティングプロトコルが多すぎて整理できない」と混乱しがちです。
OSPF(Open Shortest Path First)とは、一言で言うと
「ネットワーク全体の地図を作成し、リンクのコスト(帯域幅)を基にダイクストラ法で最短経路を計算するリンクステート型のルーティングプロトコル」
のことです。
イメージとしては、「カーナビが渋滞情報を含む全体地図から最短ルートを計算する仕組み」です。
隣の交差点からの伝聞(RIP)ではなく、道路網全体の状態を自力で把握したうえで最適な道を選ぶ。これがOSPFの考え方です。
📊 OSPFの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Open Shortest Path First |
| 分類 | IGP(Interior Gateway Protocol)/リンクステート型 |
| 経路選択の基準 | コスト(リンクの帯域幅から算出)の合計が最小の経路を選択 |
| 技術規格 | RFC 2328(OSPFv2) |
解説
ネットワークの規模が大きくなると、管理者が手動で経路情報を設定するスタティックルーティングでは運用が破綻します。
ルータ同士が自動的に経路情報を交換するダイナミックルーティングが不可欠になり、その代表的なプロトコルがOSPFです。
RIPの限界とOSPFが登場した背景
初期のダイナミックルーティングではRIP(Routing Information Protocol)が広く使われていました。
RIPはホップ数(宛先に到達するまでに経由するルータの台数)だけで経路を選択するシンプルな仕組みです。
しかし、ホップ数が少なくても回線速度が遅い経路を選んでしまう、最大ホップ数が15に制限されていて大規模ネットワークに対応できない、30秒ごとに全経路情報をブロードキャストするため帯域を圧迫する、といった弱点がありました。
こうした課題を解決するために設計されたのがOSPFです。
▶ OSPFが経路を決定する仕組み(クリックで展開)
OSPFでは、各ルータがLSA(Link State Advertisement)と呼ばれるリンク状態情報を交換し、ネットワーク全体のトポロジマップ(LSDB:Link State Database)を構築します。
このLSDBをもとに、各ルータがダイクストラ法(SPFアルゴリズム)を実行し、自分を起点とした最短経路ツリーを計算します。
経路の「近さ」を測る指標はコストであり、一般的にはリンクの帯域幅が大きいほどコストは小さくなります(例:100Mbpsのリンクより1Gbpsのリンクのほうが低コスト)。
経路情報の更新は30秒ごとの定期送信ではなく、ネットワーク構成に変化があったときだけ差分を通知する方式です。この仕組みにより、帯域の無駄な消費を防いでいます。
▶ RIPとOSPFの比較表(クリックで展開)
ここだけは確実に押さえてください。両者の違いは「何を基準に経路を選ぶか」と「どのように経路情報を管理するか」の2点に集約されます。
| 比較項目 | RIP | OSPF |
|---|---|---|
| アルゴリズム分類 | ディスタンスベクター型(距離ベクトル型) | リンクステート型(リンク状態型) |
| 経路選択の基準 | ホップ数(経由ルータ数) | コスト(帯域幅から算出) |
| 経路情報の管理 | 隣接ルータからの伝聞情報のみ | ネットワーク全体のトポロジマップ(LSDB) |
| 更新のタイミング | 30秒ごとに全経路を送信 | 変化があったときだけ差分を通知 |
| 最大ホップ数 | 15(16以上は到達不能) | 制限なし |
| 適用規模 | 小規模ネットワーク | 中〜大規模ネットワーク |
なお、RIPもOSPFもAS(自律システム)内部で使われるIGPに分類されます。
AS間の経路制御にはBGP(Border Gateway Protocol)という別のプロトコルが使われますが、応用情報技術者レベルでは「BGPはAS間、OSPF・RIPはAS内」という区別を知っていれば十分です。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 OSPFの核心を3行で
・リンクの帯域幅から算出したコストを基準に、ダイクストラ法で最短経路を計算するリンクステート型プロトコル
・RIPは「ホップ数」で経路を選び、OSPFは「コスト」で経路を選ぶ
・経路情報の更新はネットワーク構成に変化があったときだけ行い、定期送信は行わない
試験ではこう出る!
OSPFは、応用情報技術者の午前問題ではルーティングプロトコルの比較問題の選択肢として、午後問題ではネットワーク設計の題材として繰り返し登場しています。
📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| AP R5秋 午前 問35 |
IPv4ネットワークにおけるマルチキャストの使用例を選ぶ問題。正解選択肢にOSPFとRIP-2が登場。 | ・OSPFやRIP-2がルータ間の経路情報交換にマルチキャストを使用する点 |
| AP H29春 午後 問5 |
L3スイッチ間でOSPFによる動的経路制御を行うネットワーク設計の問題。 | ・OSPFが「動的経路制御」であること ・障害時に経路が自動で切り替わる仕組みの理解 |
| AP H27秋 午後 問5 |
リンク状態を管理して経路制御を行うプロトコルを選ぶ設問が含まれるネットワーク設計問題。 | ・「リンク状態を管理」からOSPFを特定できるか ・RIPやARPがひっかけ選択肢 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「OSPFの特徴を選べ」(午前)
RIPとOSPFの比較表から「OSPFだけに当てはまる特徴」を選ぶ形式。ひっかけとして「可変長サブネットマスクに対応」(RIP-2も対応)や「マルチキャストを使用」(RIP-2も使用)が並ぶ。正解は「リンク状態のデータベースを使用」。SC R7秋 午前Ⅱ 問19やNW H29秋 午前Ⅱ 問3で繰り返し出題されている定番問題で、応用情報でも流用される可能性がある。
パターン2:「ネットワーク設計の中でOSPFが登場」(午後)
午後のネットワーク問題で、OSPF導入によるネットワーク冗長化や経路切り替えの仕組みが題材になる。「コストの変更による通信経路の制御」「障害発生時の自動迂回」が頻出テーマ。
試験ではここまででOKです。OSPFのエリア設計やLSAの種類といった詳細は応用情報では問われないので、深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. RIP-2とOSPFを比較したとき、OSPFだけに当てはまる特徴として最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 可変長サブネットマスクに対応しており、サブネットの柔軟な設計が可能である。
- B. ルーティング情報の更新にマルチキャストを使用し、不要なホストへの通信を防ぐ。
- C. リンク状態のデータベースを構築し、ダイクストラ法で最短経路を計算する。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
OSPFは各ルータがリンク状態情報(LSA)を交換してネットワーク全体のトポロジデータベース(LSDB)を構築し、ダイクストラ法で最短経路を求めるリンクステート型プロトコルです。RIPはこのような全体地図を持たず、隣接ルータからの距離情報だけで経路を決定します。
選択肢Aの可変長サブネットマスク対応は、RIP-2もOSPFも共通の特徴です(RIP-1は非対応)。選択肢Bのマルチキャスト使用も、RIP-2とOSPFの両方に当てはまります(RIP-1はブロードキャスト)。いずれも「OSPFだけ」の特徴には該当しません。
よくある質問(FAQ)
Q. OSPFの「エリア」とは何ですか?
OSPFでは、大規模ネットワークを管理しやすくするために、AS内部をさらに「エリア」と呼ばれる単位に分割します。すべてのエリアはエリア0(バックボーンエリア)に接続される必要があり、エリア間の経路情報はABR(Area Border Router)が集約して伝達します。エリア分割によりLSDBのサイズを抑え、ダイクストラ法の計算負荷を軽減できます。応用情報の午前ではここまで問われることはないので、参考程度で構いません。
Q. OSPFのコスト値は誰がどう決めるのですか?
基本的にはルータが各インタフェースの帯域幅から自動算出します。計算式は「基準帯域幅 ÷ インタフェースの帯域幅」です。たとえば基準帯域幅が100Mbpsの場合、100Mbpsのリンクはコスト1、10Mbpsのリンクはコスト10になります。管理者が意図的にコスト値を変更することで、特定の経路を優先させる運用も可能です。実務でのネットワーク設計では、このコストチューニングが重要な作業になります。
Q. BGPとOSPFの使い分けはどうなっていますか?
OSPFは同一組織のネットワーク内部(AS内)で使うIGP、BGPは異なる組織のネットワーク間(AS間)で使うEGPです。インターネットの世界では、ISP(インターネットサービスプロバイダ)同士がBGPで経路情報を交換し、各ISPの内部ではOSPFなどのIGPが経路を管理するという二層構造になっています。