対象試験と出題頻度

パケット交換方式は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

回線交換方式」との特徴の違いを正しく区別できるかが定番の問われ方であり、ATMやフレームリレーの説明がひっかけ選択肢に登場するケースもあります。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「パケット交換って何?回線交換と何が違うの?」と混乱しがちです。

パケット交換方式(Packet Switching)とは、一言で言うと

 「送信データをパケットという小さな単位に分割し、それぞれに宛先を付けて送る通信方式」

のことです。

イメージとしては、「宅配便の小包配送」です。

 

大きな荷物をそのまま専用トラックで運ぶのではなく、小包に分けてそれぞれに伝票(宛先)を貼り、他の人の荷物と一緒にトラックを共有して運びます。

荷物ごとに最適なルートが選ばれるため、道路(回線)を効率よく使えます。これがパケット交換方式の考え方です。

📊 パケット交換方式の基本情報

項目 内容
英語名 Packet Switching
代表例 インターネット(TCP/IP)
最大の特徴 複数の通信が1本の回線を共有でき、回線の利用効率が高い
対になる方式 回線交換方式(Circuit Switching)

解説

1960年代、電話網(回線交換方式)は通信中ずっと回線を1組の通話者が占有する仕組みでした。

音声通話ならそれで問題ありませんが、コンピュータ同士のデータ通信は「大量のデータを一気に送り、しばらく沈黙し、また送る」という断続的なやり取りが中心です。

 

沈黙中も回線を占有し続けるのは無駄が大きく、この問題を解決するために生まれたのがパケット交換方式です。

▶ データが届くまでの流れ(クリックで展開)

送信側のコンピュータがデータをパケット単位に分割し、それぞれのパケットにヘッダ(宛先アドレスや順番などの制御情報)を付加します。

パケットはネットワーク上の交換機(ルータ)に到着すると、一時的に蓄積(バッファリング)されたあと、ネットワークの混雑状況に応じて最適な経路に転送されます。

 

パケットごとに異なる経路を通る場合もあるため、受信側に到着する順番が送信順と異なることがあります。受信側はヘッダに含まれる順序番号をもとにパケットを正しい順番に組み立て直し、元のデータを復元します。

▶ 回線交換方式との比較(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。両者の違いは「回線を占有するか共有するか」に集約されます。

比較項目 パケット交換方式 回線交換方式
回線の使い方 複数の通信が回線を共有 通信中は専用回線を占有
回線の利用効率 高い(データ送信時だけ回線を使う) 低い(無通信時間も占有し続ける)
通信品質 網の混雑で遅延が発生する場合がある 安定(遅延が小さい)
経路選択 パケットごとに動的に選択される 通信開始時に固定される
向いている通信 Webやメールなど断続的なデータ通信 音声通話などリアルタイム性が必要な通信
代表例 インターネット(TCP/IP) 固定電話、ISDN

回線交換方式は経路を丸ごと占有するため品質は安定しますが、利用効率は低くなります。

一方、パケット交換方式は回線を共有できるので効率は高いものの、混雑すると遅延が起きることがあります。

▶ 紛らわしい関連方式の整理(クリックで展開)

パケット交換方式の派生・改良として登場した方式が試験のひっかけ選択肢に出てきます。概要だけ押さえておけば十分です。

フレームリレー:パケット交換方式からフロー制御や再送制御を省略し、転送処理を簡略化した方式。誤り制御はネットワーク(網)内では行わず端末間で行います。

 

ATM(非同期転送モード):データを53バイトの固定長セルに分割して転送する方式。パケット交換の「可変長」に対してATMは「固定長」という違いが問われます。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 パケット交換方式の核心を3行で

・データをパケット単位に分割し、それぞれに宛先を付けて送る方式で、インターネットが代表例
・複数の通信が回線を共有できるため利用効率が高いが、混雑時に遅延が起きる場合がある
・回線交換方式は回線を「占有」、パケット交換方式は回線を「共有」と整理する


試験ではこう出る!

パケット交換方式は、回線交換方式との比較や、ATM・フレームリレーとの区別を問う問題として繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
FE H20秋
午前 問52
パケット交換方式の説明として適切なものを4択から選ぶ問題。 ・「ブロックに分割+制御情報を付加+誤り制御は網で行う」が正解
・回線交換方式・ATM・フレームリレーの説明がひっかけ
FE H30秋
午前 問35
「全ての通信をパケット交換方式で処理する」等の特徴を持つ通信規格の名称を問う問題。 ・正解はLTE
・パケット交換方式の知識が前提となる応用問題
AP H17春
午前 問56
パケット交換方式とATM交換方式のパケットサイズ・制御パラメータの組合せを問う問題。 ・パケット交換=可変長、ATM=固定長(53バイトセル)
・制御パラメータの識別子(LCN vs VCI)まで問われる

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「パケット交換方式の説明を選べ」
4つの交換方式(パケット交換・回線交換・ATM・フレームリレー)の説明文が並び、パケット交換に該当するものを選ぶ形式。キーワードは「ブロックに分割」「制御情報を付加」「誤り制御は網で行う」。フレームリレーの「誤り制御は端末間で行う」と混同させるひっかけが定番です。

 

パターン2:前提知識として問われる
FE H30秋 問35のように、LTEの特徴として「全ての通信をパケット交換方式で処理する」が登場するなど、別テーマの出題でパケット交換の理解が前提となるケースがあります。AP R4春 問35ではSDNの問題で「回線交換方式ではなくパケット交換方式で音声通話を実現(VoLTE)」がひっかけ選択肢に使われました。

 

試験ではここまででOKです。「共有=パケット交換」「占有=回線交換」「固定長セル=ATM」「誤り制御を網で省略=フレームリレー」という4点を押さえれば得点できます。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. パケット交換方式に関する記述として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 通信する二者間で専用の通信路を確保し、通信が終わるまでその経路を占有し続ける方式であり、遅延が少なく品質が安定する。
  • B. データをブロックに分割し、各ブロックに宛先などの制御情報を付加して送信する方式であり、複数の端末で伝送路を共有して回線を効率的に利用できる。
  • C. 転送するデータをセルと呼ばれる53バイトの固定長単位に区切り、ハードウェア処理によって高速に交換する方式である。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
パケット交換方式は、データをパケット単位に分割して制御情報を付加し、複数の端末が伝送路を共有する方式です。FE H20秋 問52でも同様の記述が正解として出題されました。

選択肢Aは回線交換方式の説明です。通信中に専用の経路を占有し続けるのは回線交換方式の特徴であり、パケット交換方式は回線を共有します。選択肢CはATM(非同期転送モード)の説明です。パケット交換方式のパケットは可変長ですが、ATMのセルは53バイトの固定長である点が異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. パケットが途中で消失した場合はどうなりますか?

TCP(Transmission Control Protocol)を使う通信では、受信側がパケットの到着を確認し、届かなかったパケットの再送を要求する仕組みがあります。そのため、Webページの閲覧やファイルのダウンロードではデータの欠落が起きません。一方、リアルタイム性を重視する音声通話や動画配信ではUDP(User Datagram Protocol)が使われ、欠落パケットの再送は行わず遅延の抑制を優先します。

Q. 現在の音声通話もパケット交換方式ですか?

はい。現在の携帯電話はVoLTE(Voice over LTE)やVoNR(Voice over New Radio)により、音声もパケット交換方式で処理しています。かつては音声通話に回線交換方式、データ通信にパケット交換方式と使い分けていましたが、LTE以降は全ての通信がパケット交換に統一されました。

Q. 「蓄積交換方式」との関係は?

パケット交換方式は蓄積交換方式の一種です。蓄積交換方式とは、データを交換機にいったん蓄積してから転送する方式の総称で、メッセージ交換方式とパケット交換方式が含まれます。メッセージ交換方式はデータを分割せずに丸ごと蓄積・転送するのに対し、パケット交換方式はパケット単位に分割して蓄積・転送する点が異なります。IPA試験では「蓄積交換」という用語自体が問われることはほぼないので、参考程度で問題ありません。