対象試験と出題頻度

サービスカタログは、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

ITサービスマネジメント(ITIL/JIS Q 20000)の領域で、「サービスポートフォリオ」「SLA」との違いを問う形で出題されます。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「サービスカタログって、要するに料金表のこと?それともサービスの一覧?」と混乱しがちです。

サービスカタログ(Service Catalog)とは、一言で言うと

 「利用者に現在提供中のITサービスを一覧化した目録

のことです。

イメージとしては、レストランのメニュー表です。

メニュー表には「今このお店で注文できる料理」と「価格」「内容」が書かれていて、お客さんはそれを見て注文します。試作中のメニューや廃止された料理は載っていません。

サービスカタログも同じで、「今この会社のIT部門が提供できるサービス」と「料金」「内容」「申込方法」をまとめた、利用者向けの公式メニューです。

📊 サービスカタログの基本情報

項目 内容
英語名 Service Catalog
属する分野 ITサービスマネジメント(ITIL/JIS Q 20000)
記載対象 現在「稼働中」のサービスのみ
主な利用者 サービス利用者(顧客・社内ユーザー)

解説

企業のIT部門が提供するサービスは、メール、ファイル共有、業務システム、ヘルプデスクなど多岐にわたります。

利用者から見ると「何が頼めるのか」「どこに申し込めばいいのか」が分かりにくく、結果として「シャドーITが増える」「同じサービスを部署ごとに重複契約する」といった非効率が発生します。

そこでIT部門がレストランのメニュー表のように整理し、利用者に公開する仕組みが必要になりました。これがサービスカタログです。

記載される代表的な項目

記載項目 内容
サービス名 例:社内メール、VPN接続、ヘルプデスク
サービス概要 何ができるか、どんな価値があるか
料金・課金 月額、従量課金などの条件
申込方法 どこに、どんな手順で依頼するか
SLAの概要 提供時間、応答時間などの品質目標

サービスポートフォリオとの位置関係

ここが最大の関門です。サービスカタログは「サービスポートフォリオ」というより大きな箱の一部です。

サービスポートフォリオ(全体)

サービスパイプライン

計画中・開発中
のサービス

★ サービスカタログ

現在稼働中で
利用可能なサービス

廃止済みサービス

提供終了した
サービスの記録

▲ サービスカタログは「今、利用者が頼めるサービス」だけを抜き出したもの

混同しやすい用語との違い

用語 何を表すか 対象範囲
サービスカタログ 提供中のサービス一覧(メニュー表) 稼働中のみ
サービスポートフォリオ 計画中~廃止まで含む全体管理台帳 全ライフサイクル
SLA 提供者と利用者の品質に関する合意書 個別契約
CMDB 構成アイテム(機器・ソフト)の管理データベース 技術資産

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 サービスカタログの核心を3行で

・利用者に今提供中のITサービスを一覧化した「メニュー表」
・記載対象は「稼働中」のサービスに限定される(計画中・廃止済みは含まない)
・サービスポートフォリオの一部であり、SLAやCMDBとは別物


試験ではこう出る!

サービスカタログは、FE・APの午前問題でITサービスマネジメント分野の用語識別問題として出題されます。難問ではありませんが、似た用語との混同を狙ったひっかけが定番です。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
AP R元秋
午前 問55
サービスカタログに記載する内容として適切なものを選ぶ問題。 ・「現在提供中のサービスの情報」が正解
・構成アイテム(CMDB)や計画中サービスはひっかけ
FE R4
サンプル問題
ITサービスマネジメントにおけるサービスカタログの説明を選ぶ問題。 ・「利用者向けのサービス一覧」が正解
・SLA・サービスレベル管理の説明文がひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「説明文を選べ」
4択で「利用者に提供中のサービスを一覧化したもの」を選ばせる形式。ひっかけとして「構成アイテムを管理する台帳」(CMDB)、「提供者と利用者の合意文書」(SLA)、「将来提供予定のサービス計画」(サービスパイプライン)の説明文が並ぶ。キーワードは「提供中」「利用者向け」。

 

パターン2:「記載項目の適否」
記載される項目として不適切なものを選ばせる形式。「計画中のサービス情報」「廃止済みサービスの履歴」を選ばせる問題が出る。これらはサービスポートフォリオ側の管理対象である点を押さえれば対応できる。

 

FE・APの範囲ではここまでで十分です。ITILの「ビジネスサービスカタログ」と「テクニカルサービスカタログ」の細かい区別までは問われないため、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ITサービスマネジメントにおけるサービスカタログの説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. サービス提供者と利用者の間で、提供するサービスの品質目標(応答時間、稼働率など)について合意した文書である。
  • B. 利用者に現在提供中のITサービスについて、概要・料金・申込方法などをまとめた一覧であり、利用者がサービスを選択・申込みするための情報源となる。
  • C. システムを構成するハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク機器などの構成アイテムとその関連情報を管理するためのデータベースである。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
サービスカタログは、利用者の視点で「今、申し込めるサービスは何か」が分かるように整理されたメニュー表のような文書です。提供中のサービスに限定して、概要・料金・申込方法・SLAの要点などが記載されます。

選択肢AはSLA(サービスレベル合意書)の説明です。SLAは提供者と利用者の品質に関する個別合意であり、サービスの一覧ではありません。選択肢CはCMDB(構成管理データベース)の説明です。CMDBは構成アイテムを技術的に管理する仕組みであり、利用者向けのサービス一覧ではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. サービスカタログは紙の書類ですか?それともシステム上の画面ですか?

形式は問いません。社内ポータルのWebページ、SaaS型のサービスマネジメントツール(ServiceNow等)の申込ポータル、PDF資料、Excelの一覧表など、利用者が参照しやすい形であれば何でもサービスカタログとして機能します。近年は申込から承認・払い出しまで自動化できるよう、セルフサービスポータルと一体化させる運用が主流です。

Q. ビジネスサービスカタログとテクニカルサービスカタログの違いは?

ITILでは内部的に2層に分けることがあります。ビジネスサービスカタログは「利用者から見える表のメニュー」で、テクニカルサービスカタログは「裏側でそれを支える基盤サービス(サーバー、回線等)の一覧」です。利用者には前者だけを公開し、IT部門の内部管理に後者を使います。基本情報・応用情報のレベルではこの区分が選択肢に出ることはほぼないため、用語として知っておく程度で十分です。

Q. サービスカタログを整備すると、現場にどんなメリットがありますか?

利用者は「何を頼めるか」「どこに頼むか」が一目で分かるため、問合せの往復が減ります。IT部門側は申込窓口が一本化されて重複対応や属人化が解消され、利用実績も把握しやすくなります。さらに、公式メニューが整うことで部署が勝手にクラウドサービスを契約する「シャドーIT」を抑制する効果も期待できます。

Q. サービスカタログとサービスレベル管理(SLM)の関係は?

サービスカタログには各サービスのSLA概要(提供時間や応答時間など)が記載されます。サービスレベル管理(SLM)は、その合意したSLAが守られているかを継続的に監視・報告・改善するプロセスです。つまりカタログが「約束の入口」、SLMが「約束を守り続ける運用」という役割分担と理解してください。