情報処理試験を勉強していると、「バスって結局どこの話?」「システムバスと外部バスは何が違うの?」と混乱しがちです。

この記事では、コンピュータにおける「バス」の全体像を図解しながら整理します。

対象試験と出題頻度

バスは、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

アドレスバスの信号線本数の計算や、シリアルバス・パラレルバスの規格名を選ばせる問題が定番です。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

バス(Bus)とは、一言で言うと

 「コンピュータ内部でCPU・メモリ・周辺装置を結ぶ共用のデータ伝送路

のことです。

イメージとしては、都市を走る幹線道路です。

幹線道路は、市役所(CPU)・倉庫(メモリ)・工場(周辺装置)を一本の太い道でつないでいます。

各施設は道路を共有して荷物(データ)をやり取りします。道路が太ければ一度に多くの荷物を運べ、道路が細ければ渋滞が起きます。バスもまったく同じで、伝送路の幅(バス幅)がコンピュータ全体の処理速度を左右します。

📊 バスの基本情報

項目 内容
英語名 Bus
分類 コンピュータ構成要素
主な役割 CPU・メモリ・入出力装置間のデータ・アドレス・制御信号の伝送
IPA シラバス分類 テクノロジ系 > コンピュータ構成要素 > バス

解説

コンピュータは五大装置(制御装置・演算装置・主記憶装置・入力装置・出力装置)で構成されています。

これらの装置は互いにデータをやり取りしなければ動作できないため、装置同士をつなぐ「配線の束」が必要になります。この配線の束がバスです。

内部バスと外部バスの違い

バスは、接続する場所によって大きく2つに分かれます。

内部バス:CPUチップの内部で、レジスタや演算器(ALU)同士を結ぶ伝送路です。CPU内部で完結するため、最も高速に動作します。

外部バス:CPUの外側にある装置と接続する伝送路の総称です。外部バスはさらに用途ごとに「システムバス」「拡張バス(I/Oバス)」などに細分化されます。

内部バスと外部バスの位置関係

CPU

レジスタ
ALU
← 内部バス →

システムバス

(外部バス)

主記憶
(メモリ)
入出力装置

▲ CPU内部は「内部バス」、CPU外部は「外部バス(システムバスなど)」が担当

システムバスを構成する3本の信号線

システムバスは、役割の異なる3種類の信号線で構成されています。ここだけは確実に押さえてください。

信号線の種類 伝送する情報 ポイント
アドレスバス メモリ上の番地(アドレス) 信号線の本数(バス幅)でアクセスできるメモリ容量が決まる。n本なら2nバイト
データバス データ本体 一度に転送できるデータ量を決定する。32ビット幅なら1回で4バイト転送
制御バス
(コントロールバス)
読み書きのタイミングや方向を指示する制御信号 「読込み」「書込み」「割込み要求」などの信号を伝達する

システムバスの3本の信号線

CPU
アドレスバス

番地を指定
(どこを読む?)

データバス

データ本体
(何を運ぶ?)

制御バス

読み書き指示
(読む?書く?)

主記憶(メモリ)

▲ この3本が並走して1セットで「システムバス」を構成する

シリアルバスとパラレルバス

データの転送方式で分類すると、バスは「シリアルバス」と「パラレルバス」に分かれます。

パラレルバスは複数の信号線でデータを同時に並列転送する方式です。かつてはこちらが主流でしたが、高速化すると信号線同士の干渉(クロストーク)が問題になります。

シリアルバスは1本の信号線(差動信号の場合は1対)でデータを直列に転送する方式です。配線が少ないぶん干渉が起きにくく、高クロック化が容易なため、現在はUSBやSerial ATAなどシリアル方式が主流になっています。

方式 転送の仕方 代表規格
パラレルバス 複数の信号線で同時に転送 PCI、パラレルATA(ATAPI)、SCSI
シリアルバス 1本(1対)の信号線で順に転送 USB、Serial ATA、PCI Express、IEEE 1394

では、このテーマが試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 バスの核心を3行で

・コンピュータ内部の装置間を結ぶ共用の伝送路
・システムバスは「アドレスバス」「データバス」「制御バス」の3種類で構成
・転送方式で分けるとパラレル(並列)とシリアル(直列)の2種類


試験ではこう出る!

バスの分野は、FE・APの科目A(午前)で単発の知識問題として出題されます。大きく3つのパターンがあります。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE H28秋
午前 問11
1Mバイトのメモリに接続するために必要なアドレスバスの信号線の本数を求める計算問題 ・1M = 220 → 20本が正解
・バス幅と管理可能なアドレス数の関係
SW H17春
午前 問21

(現AP相当)
「システムバスの説明として適切なもの」を選ぶ問題 ・正解は「複数の装置が共有するデジタル信号伝送路」
・DMA、USB、シリアル転送の説明がひっかけ
FE R1秋
午前 問14
デイジーチェーン接続の説明を選ぶ問題 ・USBハブ接続やネットワークハブとの違い
・周辺装置の数珠つなぎがデイジーチェーン

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:アドレスバスの信号線本数を計算させる
メモリ容量が与えられ、必要な信号線の本数を2の累乗で求める。「1Mバイト = 220 → 20本」のように変換できれば正解にたどり着けます。

 

パターン2:バスの説明文を選ばせる
「複数の装置が共有するデジタル信号伝送路」がシステムバスの定義。DMA(CPU非介在のメモリ転送機構)やUSB(シリアルインタフェース規格)の説明がダミー選択肢に紛れ込みます。

 

パターン3:シリアル/パラレルの規格名を選ばせる
USB 3.0の「スーパースピード 5Gビット/秒」や、PCI Expressの「レーン単位のシリアル転送」の説明が頻出。規格名と転送速度をセットで覚えておくと得点源になります。

 

試験ではここまででOKです。バスアービトレーション(バス調停)の詳細などは深追い不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. コンピュータの「システムバス」の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 入出力装置と主記憶との間のデータ転送を、CPUの介在なしに直接行う機構である。
  • B. CPUと主記憶や周辺装置を接続し、複数の装置が共有するデジタル信号の伝送路である。
  • C. ハブによるツリー構造の接続ができ、高速・低速の2つの転送モードをもつシリアルインタフェースである。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
システムバスは、CPU・主記憶・周辺装置を結び、複数の装置が共有して使うデジタル信号の伝送路です。アドレスバス・データバス・制御バスの3種類で構成されます。

選択肢AはDMA(Direct Memory Access)の説明です。DMAはCPUを介さずにメモリと入出力装置間でデータ転送を行う機構であり、バスそのものの定義ではありません。選択肢CはUSBの説明です。USBはハブによるツリー接続が可能なシリアルインタフェース規格であり、システムバスとは別の概念です。


よくある質問(FAQ)

Q. アドレスバスの幅からアクセス可能なメモリ容量を求める計算はどうやりますか?

アドレスバスの信号線がn本であれば、2nバイトのメモリ空間を管理できます。例えばアドレスバスが32本なら232 = 4Gバイト、20本なら220 = 1Mバイトです。FE H28秋 午前問11ではこの計算が正面から問われました。試験本番では「メモリ容量を2の累乗に変換 → 指数 = 信号線の本数」の手順で解きます。

Q. 「拡張バス(I/Oバス)」と「システムバス」は何が違いますか?

システムバスはCPUとチップセット(ノースブリッジ)を直結する高速な幹線です。拡張バスはチップセットから拡張スロットや入出力装置へ伸びる支線にあたります。PCI ExpressやSATAなどは拡張バスに分類されます。現在のPCアーキテクチャではチップセット統合が進んでおり両者の境界は曖昧になっていますが、試験では「CPUと直結 = システムバス」「拡張スロット側 = 拡張バス」と整理すれば十分です。

Q. バスの「バス幅」と「バスクロック」はどちらが速度に影響しますか?

どちらも影響します。バスのデータ転送速度は「バス幅(ビット数)× バスクロック周波数(Hz)」で求められます。幅が広いほど一度に運べるデータ量が増え、クロックが高いほど転送回数が増えるため、両方を掛け合わせた値がスループットになります。

Q. DMAとバスはどう関係していますか?

DMA(Direct Memory Access)は、CPUの代わりにDMAコントローラがバスを使って主記憶と入出力装置の間でデータを直接転送する仕組みです。DMA転送中はDMAコントローラがバスを占有するため、CPUはバスにアクセスできません。過去問ではシステムバスの説明問題でDMAの記述がダミー選択肢として登場するため、「バス = 伝送路」「DMA = 転送機構」と区別しておくと引っかかりません。