「WANとLANの違いって何?」「IP-VPNとか広域イーサネットとか、結局どれを覚えればいいの?」と混乱しがちです。

WANはネットワーク分野の最重要キーワードの一つで、LANとセットで必ず押さえるべき用語です。

この記事では、WANの意味を日常の例え話で噛み砕きつつ、試験で得点できるレベルまで整理します。

対象試験と出題頻度

WAN(Wide Area Network)は、ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者・応用情報技術者のすべてで出題されるテーマです。

LANと対になる基本概念であり、WANサービスの種類(IP-VPN・広域イーサネットなど)やLAN/WAN境界で使われるNAPTの仕組みまで、幅広く出題されます。

ネットワーク分野の得点源になるテーマなので、ここだけは確実に押さえてください。

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対象試験:
ITパスポート
情報セキュリティマネジメント
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★★
ランクS(超重要)絶対に覚える必要あり

用語の定義

WAN(Wide Area Network)とは、一言で言うと

 「通信事業者の回線を利用して、地理的に離れた拠点間を接続する広域ネットワーク」

のことです。

イメージとしては、「会社同士をつなぐ外線電話」のようなものです。

📊 WANの基本情報

項目 内容
正式名称 Wide Area Network(広域通信網)
範囲 都市間・国間など、地理的に離れた拠点間
管理者 通信事業者(ISP、キャリアなど)
対になる概念 LAN(Local Area Network)=同一建物内などの構内ネットワーク
代表的なサービス 専用線、IP-VPN、広域イーサネット、インターネットVPN

解説

企業がWANを必要とする背景はシンプルです。本社・支社・データセンターなど複数の拠点にLANがあり、それらを相互に接続して業務データをやり取りしなければならない。

しかし拠点間は数十kmから数千km離れていることもあり、自力で回線を敷設するのは現実的ではありません。

そこで、通信事業者が提供する回線サービスを利用してLAN同士をつなぐ仕組みがWANです。

 

WANサービスの種類

WANを実現する方法は複数あり、コスト・セキュリティ・速度のバランスで使い分けられます。

試験では各サービスの特徴が選択肢に並ぶため、それぞれの違いを整理しておく必要があります。

📊 主なWANサービスの比較

サービス名 特徴 コスト
専用線 2拠点間を物理的に占有する回線。帯域が保証され、セキュリティも高い 高い
IP-VPN 通信事業者の閉域IP網を使い、MPLS技術でルーティングする。インターネットを経由しないため安全性が高い 中程度
広域イーサネット 通信事業者の閉域網を使い、レイヤ2(データリンク層)で拠点LANを直接接続する。拠点間を同一LANのように扱える 中程度
インターネットVPN 公衆のインターネット回線上にIPsecやSSL等の暗号化トンネルを構築する。安価だが帯域は保証されない 安い

覚え方のコツは「閉域網を使うかインターネットを使うか」で二分することです。

 

IP-VPNと広域イーサネットは通信事業者の閉域網(契約者しか使えないネットワーク)を利用するためセキュリティが高い。インターネットVPNは公衆回線を暗号化して使うため安価だが品質はベストエフォート(保証なし)。

 

この対比を押さえておけば、選択肢の判別に困ることはありません。

 

LANとWANの境界で動くNAPT

企業や家庭のLANからインターネット(WAN)に出ていく際に重要な役割を果たすのが、NAPT(Network Address Port Translation)です。

 

LANの内部ではプライベートIPアドレスを使い、WANに出るときにルータがグローバルIPアドレスに変換します。NAPTはこの変換にポート番号も組み合わせることで、1つのグローバルIPアドレスを複数の端末で共有する仕組みです。

 

家庭用ルータの設定画面で「LAN側」「WAN側」という表記を見たことがある方も多いはずです。LAN側がプライベートIPアドレスの世界、WAN側がグローバルIPアドレスの世界であり、NAPTがその境界で変換を行っています。

 

IP-VPNと広域イーサネットの違い

前述の通り、どちらも通信事業者の閉域網を使うWANサービスですが、動作する層が異なります。

📊 IP-VPNと広域イーサネットの比較

比較項目 IP-VPN 広域イーサネット
動作層 レイヤ3(ネットワーク層) レイヤ2(データリンク層)
使用プロトコル IPのみ(MPLS技術でルーティング) IP以外のプロトコルも利用可能
拠点側に必要な機器 ルータ L2スイッチ(ルータ不要の場合もある)
イメージ 全国の拠点をルータで接続 離れた拠点を同一LANのように接続

試験対策としては「IP-VPNはレイヤ3でMPLS、広域イーサネットはレイヤ2」という一言の違いが最重要です。

深追いは不要ですが、応用情報の午後問題ではネットワーク設計の文脈で登場することがあるため、どちらを選ぶべきかの判断材料として頭に入れておくと安心です。

 

では、これらの知識が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 WANの核心を3行で

通信事業者の回線を利用して、離れた拠点のLAN同士を接続する広域ネットワーク
・代表的なサービスは専用線、IP-VPN、広域イーサネット、インターネットVPNの4つ
・LAN側はプライベートIPアドレス、WAN側はグローバルIPアドレス。境界でNAPTが変換を行う

📌 試験対策のポイント

試験ではWAN回線の具体的な契約手続きや料金体系は問われません。
「LANとの範囲・管理主体の違い」「WANサービスごとの動作層・特徴の違い」を区別できれば得点できます。


試験ではこう出る!

WANは単独で定義を問われるだけでなく、LANとの対比やWANサービスの選択肢問題として幅広く登場します。

ITパスポートではWANサービスの名称を選ぶ問題、基本情報技術者ではLAN/WAN境界のNAPTが頻出、

応用情報技術者ではWANを含むネットワーク設計の午後問題が出されています。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
ITパスポート
H28秋 問57
「インターネットの技術を利用し、専用線のようにセキュリティを確保して拠点間を接続するWANサービスはどれか」を問う4択問題。正解はIP-VPN。 ・IP-VPNの特徴
・DHCP、ISDN、VLANとの区別
基本情報技術者
R元秋 午前問33
LANの複数PCをインターネットに接続する構成で、装置AのWAN側インタフェースに1個のグローバルIPアドレスが割り当てられている状況。必要な機能を選ぶ問題。正解はNAPT。 ・LAN側とWAN側の境界
・NAPT(IPマスカレード)の役割
・DHCPやPPPoEとの区別
応用情報技術者
H26春 午前問32
「WANを介して二つのノードをダイヤルアップ接続するときに使用されるプロトコルで、リンク制御やエラー処理機能をもつものはどれか」を問う問題。正解はPPP。 ・PPP(Point-to-Point Protocol)の役割
・FTP、SLIP、UDPとの区別
応用情報技術者
H31春 午前問32
「複数のISPの回線を使用した冗長化構成を表す用語はどれか」を問う問題。選択肢にIP-VPN・インターネットVPN・広域イーサネットが並び、正解はマルチホーミング。 ・WANサービス名称の正確な区別
・マルチホーミングの意味

注目すべきは、WAN単体の定義を聞く問題は少なく、WANに関連するサービスやプロトコルの名称・特徴を問う出題が中心である点です。

 

H26春とH29春の応用情報では「WANを介して接続するときのプロトコル=PPP」がまったく同じ問題文で繰り返し出題されています。このように、WAN関連の午前問題は過去問の再出題率が高いため、過去問演習が非常に効果的です。

【頻出キーワード】

  • WAN=「地理的に離れた拠点間を接続する広域ネットワーク」(LANとの対比)
  • WANサービス:専用線、IP-VPN(閉域IP網・MPLS)、広域イーサネット(レイヤ2)、インターネットVPN(IPsec/SSL)
  • LAN/WAN境界:NAPT(プライベートIP⇔グローバルIPの変換+ポート番号)
  • WAN接続プロトコル:PPP(Point-to-Point Protocol)

選択肢で「通信事業者の回線を利用して離れた拠点間を結ぶネットワーク」と書かれていれば「WAN」、「同一建物内で機器を接続するネットワーク」と書かれていれば「LAN」です。

📝 IPA試験での出題パターン

午前問題では「WANサービスの説明として適切なものを選べ」「LAN/WAN境界で動作する技術を選べ」という知識問題が定番です。

ひっかけ選択肢として、IP-VPN(閉域網)とインターネットVPN(公衆回線)を取り違えさせるもの、DHCPやVLANなどWANサービスではない用語を紛れ込ませるものがよく出ます。

午後問題では、拠点間ネットワーク設計の中で回線種別や帯域計算が問われるケースがあり、WANサービスの特性を理解しているかが問われます。試験ではここまででOKです。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。

Q. WAN(Wide Area Network)に関する説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 通信事業者が提供する回線サービスを利用して、地理的に離れた拠点のLAN同士を接続する広域ネットワーク
  • B. 同一建物内のコンピュータや周辺機器を高速に接続し、ファイル共有やプリンター利用を可能にするネットワーク
  • C. ネットワーク上の各端末にIPアドレスを自動的に割り当てるプロトコル

正解と解説を見る

正解:A

解説:
WAN(Wide Area Network)は、通信事業者の回線を利用して地理的に離れた拠点間を接続する広域ネットワークです。「Wide(広域)」という名称が示す通り、都市間や国間を結ぶ規模のネットワークを指します。ITパスポート H28秋 問57でも、WANサービスとしてIP-VPNの特徴が出題されました。
選択肢Bは「LAN(Local Area Network)」の説明です。LANは同一建物や同一フロアなど限られた範囲の構内ネットワークであり、自組織で敷設・管理する点がWANと異なります。選択肢Cは「DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)」の説明です。DHCPはIPアドレスの自動割り当てを行うプロトコルであり、ネットワークの物理的な範囲を表すWANとは概念が異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. WANとインターネットは同じものですか?

異なります。WANは「離れた拠点間を接続するネットワーク」の総称で、専用線やIP-VPNなどインターネットを経由しない形態も含みます。インターネットは世界中のネットワークが相互接続されたグローバルなネットワークであり、WANの一形態とも言えますが、「WAN=インターネット」ではありません。企業がIP-VPNや広域イーサネットで拠点間を接続している場合、それはインターネットとは別の閉域WANです。

Q. 家庭のインターネット接続はWANに該当しますか?

はい、家庭のルータから見ると、ISP(インターネットサービスプロバイダ)側の回線はWAN側にあたります。家庭用ルータの設定画面に「WAN側IPアドレス」と表示されるのはこのためです。家庭内のWi-FiやLANケーブルで接続された機器がLAN側、ISPを通じてインターネットに出ていく部分がWAN側です。

Q. SD-WANとは何ですか?試験で出ますか?

SD-WAN(Software-Defined WAN)は、ソフトウェアによってWAN回線の経路選択や帯域制御を一元管理する技術です。複数のWAN回線(専用線、インターネットVPNなど)を組み合わせて、アプリケーションごとに最適な経路を自動選択できます。ITパスポートや基本情報では現時点で深掘りされませんが、応用情報やネットワークスペシャリストでは今後出題される可能性がある用語です。「WANをソフトウェアで柔軟に制御する技術」という一言だけ押さえておけば十分です。

Q. VPNは全部WANですか?

VPN(Virtual Private Network)には大きく分けてIP-VPN(閉域網型)とインターネットVPN(公衆回線型)の2種類があり、どちらも拠点間を接続するために使われるため、WANサービスの一形態です。ただし、社内LANの中にVPNトンネルを構築するケースもあるため、「VPN=必ずWAN」とは限りません。試験範囲では「拠点間接続に使うVPN=WANサービス」と覚えておけば問題ありません。