対象試験と出題頻度

回帰分析は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者の3区分すべてで出題されるテーマです。

「分析手法の名前と特徴を正しく対応させられるか」が繰り返し問われており、線形計画法やクラスタ分析など他の手法との区別がカギになります。

R6年度 ITパスポート 問14、R5秋期 応用情報 午前 問2(選択肢として登場)、FE H18春期 午前 問77(回帰直線の読み取り)など、形を変えて何度も出題されています。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「回帰分析って統計の話でしょ?試験に出るの?」と疑問に思いがちです。結論から言えば、確実に出ます。

回帰分析(Regression Analysis)とは、一言で言うと

 「原因にあたるデータ(説明変数)から、結果にあたるデータ(目的変数)を予測するための統計手法」

のことです。

イメージとしては、「気温が上がるとアイスの売上がどれだけ増えるか、過去のデータから予測式をつくる作業」です。

過去の気温と売上の関係をグラフに打点し、そこに最もフィットする直線(回帰直線)を引くことで、まだ起きていない未来の売上を推定できます。

📈 回帰直線のイメージ図

目的変数
(例:売上)
             
             
             
           
             
           
             
             
  説明変数(例:気温)

↗ 点の並びに最もフィットする直線 = 回帰直線 y = ax + b

散布図にデータを打点し、最小二乗法で誤差が最小になる直線を引く。
データ点と回帰直線のズレ(縦方向の差)を「残差」と呼ぶ。

📊 回帰分析の基本情報

項目 内容
英語名 Regression Analysis
基本式 y = ax + b(単回帰の場合)
目的 説明変数から目的変数を予測する関数式を求める
フィッティング手法 最小二乗法(残差の2乗の合計を最小にする)

単回帰分析と重回帰分析

説明変数が1つの場合を「単回帰分析」、2つ以上の場合を「重回帰分析」と呼びます。

先ほどの「気温 → 売上」は説明変数が気温1つなので単回帰です。

一方、「気温・曜日・広告費 → 売上」のように複数の原因を同時に扱う場合が重回帰にあたります。

重回帰のほうが現実のビジネスに近い分析ですが、IPA試験では単回帰の考え方を正確に理解しているかが中心になります。

混同しやすい分析手法との違い

回帰分析を正しく位置づけるには、他の分析手法と「何を目的にしているか」で整理するのが近道です。

📊 分析手法の比較

手法 目的 覚え方
回帰分析 説明変数から目的変数を予測する関数式を求める 「原因→結果」を数式化
相関分析 2つの変数の関連の強さを数値(相関係数)で表す 「関係の強さ」を測定
主成分分析 多くの変数を少数の合成変数に縮約する 「変数の数を減らす」
クラスタ分析 似たデータ同士をグループに分類する 「仲間分け」する
線形計画法 制約条件の下で利益や効率を最大化・最小化する 「最適な組合せ」を求める

ここだけは確実に押さえてください。

回帰分析は「予測」、相関分析は「関係の強さの測定」、主成分分析は「次元の削減」です。この3つの区別が最も問われます。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 回帰分析の核心を3行で

・説明変数(原因)から目的変数(結果)を予測する関数式を求める統計手法
・散布図にデータを打点し、最小二乗法で最もフィットする回帰直線(y = ax + b)を求める
・説明変数1つなら単回帰、2つ以上なら重回帰と区別する


試験ではこう出る!

回帰分析は、分析手法の定義を選ばせる問題として各試験区分で繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく2つです。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
IP R6年度
問14
販売量と気温の関係が一次式で近似できるとき、気温から販売量を推定する手法を選ぶ問題。 ・「予測」「一次式」のキーワードで回帰分析を特定できるか
・線形計画法・デルファイ法・パレート分析がひっかけ
AP R5秋期
午前 問2
主成分分析の説明を選ぶ問題。選択肢に回帰分析・クラスタ分析・因子分析の説明が並ぶ。 ・「変数の値から他の変数を予測」が回帰分析の記述
・「変数を統合して数を減らす」が主成分分析
FE H18春期
午前 問77
相関係数と回帰直線の傾き・y切片の値から読み取れることを選ぶ問題。 ・回帰直線の式 y = ax + b を使った具体的な読み取り
・H13秋FE問76、H19秋FE問76でも同一問題が出題

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「○○の分析手法を選べ」
問題文に「予測する」「推定する」「一次式で近似」といったキーワードが含まれていれば回帰分析が正解。ひっかけ選択肢には線形計画法(最適化)やデルファイ法(専門家の意見集約)が並ぶ。

 

パターン2:「回帰直線のグラフを読み取れ」
相関係数、傾き、y切片の値が与えられ、そこから何がわかるかを選ばせる形式。y = ax + bに代入して具体的に計算できれば得点できる。

 

試験ではここまででOKです。最小二乗法の計算式や重回帰の数式まで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ある商品の販売量と気温の関係が一次式で近似できるとき、予測した気温から販売量を推定する手法として最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 説明変数と目的変数の関係を関数式で表し、得られた式をもとに未知のデータの値を予測する手法である回帰分析。
  • B. 一次式の制約条件の下で、利益や効率を最大化または最小化する変数の組合せを求める線形計画法。
  • C. 複数の専門家に繰り返しアンケートを行い、意見を収束させて将来予測を行うデルファイ法。
正解と解説を見る

正解:A

解説:
回帰分析は、説明変数(気温)と目的変数(販売量)の関係を一次式で表し、新しい気温データから販売量を推定する手法です。「予測する」「一次式で近似」がキーワードになります。

選択肢Bの線形計画法は、限られた資源の中で最大の利益を得るための最適な配分を求める手法であり、データから将来の値を予測するものではありません。選択肢Cのデルファイ法は、専門家の主観的判断を繰り返しフィードバックして合意形成を図る手法であり、数式による予測とは異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. 回帰分析と相関分析は何が違いますか?

相関分析は「2つの変数にどの程度の関連があるか」を相関係数(-1〜+1)で数値化する手法です。一方、回帰分析は関連性をもとに「一方の変数から他方を予測する式」をつくる手法です。相関分析は関連の強さを測るだけで予測は行わず、回帰分析は予測まで踏み込む点が決定的な違いです。

Q. 「ロジスティック回帰分析」とは何ですか?

ロジスティック回帰分析は、目的変数が「合格/不合格」「購入する/しない」のように2択(カテゴリ値)である場合に使う手法です。通常の回帰分析(線形回帰)は目的変数が連続する数値の場合に用い、ロジスティック回帰は「確率」として0〜1の範囲に出力を収める点が異なります。R7春期の応用情報でも出題が確認されており、今後注目度が上がる用語です。

Q. 実務ではどのような場面で回帰分析が使われていますか?

代表的な活用例として、需要予測(過去の売上データから来月の販売数を推定する)、品質管理(製造条件と不良率の関係を数式化して最適条件を探る)、プロジェクト管理(過去の工数実績から将来のコストを見積もる)などがあります。Excelの「FORECAST関数」やPythonの「scikit-learn」で手軽に実行できるため、データ分析の入り口として実務でも広く利用されています。

Q. 回帰分析の精度はどうやって判断しますか?

「決定係数(R²)」という指標で判断します。決定係数は0〜1の値をとり、1に近いほど回帰式がデータをよく説明していることを示します。たとえばR² = 0.85であれば「データの変動の85%をこの回帰式で説明できる」という意味です。IPA試験の範囲では決定係数の計算まで問われることはないので、「精度の指標がある」程度の理解で十分です。