「不具合が多すぎてどこから手を付けるべきか分からない」——現場でよく聞く悩みです。パレート図は、こうした「優先順位がつけられない問題」に対して、データで答えを示してくれる強力なツールです。
対象試験と出題頻度
パレート図は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者のすべてで出題される超頻出テーマです。
QC7つ道具のなかでも特に出題実績が多く、「特性要因図」「散布図」「ヒストグラム」「管理図」「チェックシート」「層別(またはグラフ)」と並べて、どれがパレート図かを問う形式が定番です。
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ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
★★★★★
ランクS(超重要)絶対に覚える必要あり
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「パレート図って結局、棒グラフと何が違うの?」と混乱しがちです。
パレート図(Pareto Chart)とは、一言で言うと
「項目別の件数を多い順の棒グラフで並べ、累積比率を折れ線で重ねた複合グラフ」
のことです。
イメージとしては、「クレーム原因のランキング表+累積%メーター」です。
クレーム原因を多い順に並べると「上位2〜3個で全体の8割を占める」ことがよくあります。この「どこに力を集中すべきか」が一目で分かるのがパレート図です。
「全体の8割の問題は、2割の原因から生じる」というパレートの法則(80:20の法則)が背景にあります。
📊 パレート図の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | Pareto Chart |
| 分類 | QC7つ道具のひとつ |
| 構成 | 棒グラフ(件数を降順)+折れ線(累積比率) |
| 主な用途 | 重点的に対処すべき項目の特定(ABC分析にも応用) |
| 背景理論 | パレートの法則(80:20の法則) |
解説
製造現場や開発プロジェクトでは、不良・障害・クレームの原因が複数あり、「全部を一気に直すリソースはない」のが現実です。そこで必要になるのが「どの原因から潰せば最も効果が大きいか」の判断材料です。
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した「全体の数値の大部分は、一部の要素が生み出している」という法則を、品質管理に応用したのがパレート図です。
日本ではQC7つ道具の代表格として、製造業からソフトウェア開発まで幅広く使われています。
作り方の手順
パレート図は、次の5ステップで作成します。
| 手順 | 作業内容 |
|---|---|
| ① | 項目ごとの件数(不良数、クレーム数など)を集計する |
| ② | 件数の多い順に並べ替える(降順ソート) |
| ③ | 各項目の累積件数と累積比率(%)を計算する |
| ④ | 件数を棒グラフ、累積比率を折れ線グラフで重ねて描く |
| ⑤ | 累積80%ラインを基準に、重点対処項目を絞り込む |
図解:ソフトウェア不具合のパレート図
あるシステムで報告された不具合を原因別に集計したサンプルデータです。
| 原因 | 件数 | 累積件数 | 累積比率 |
|---|---|---|---|
| 入力チェック漏れ | 40 | 40 | 40% |
| 仕様誤解 | 25 | 65 | 65% |
| 画面表示崩れ | 15 | 80 | 80% |
| 性能不足 | 12 | 92 | 92% |
| その他 | 8 | 100 | 100% |
▼ パレート図のイメージ
チェック漏れ
誤解
表示崩れ
不足
▲ 上位3項目で累積80%に到達 → ここを潰せば全体の不具合の8割が解消する
QC7つ道具のなかでの位置づけ
パレート図はQC7つ道具のひとつです。試験では他の6つとの役割の違いを問われるため、対比で整理しておきます。
| 道具名 | 役割(何を見る図か) |
|---|---|
| パレート図 | 重点項目の特定(棒+累積折れ線) |
| 特性要因図 | 原因と結果の関係(魚の骨/フィッシュボーン) |
| ヒストグラム | データのばらつき・分布の形 |
| 散布図 | 2変数間の相関関係 |
| 管理図 | 工程が安定しているかの時系列監視 |
| チェックシート | データ収集を効率化する記録用紙 |
| 層別(グラフ) | データを属性で分類して比較 |
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 パレート図の核心を3行で
・項目別件数の棒グラフ(降順)+累積比率の折れ線を組み合わせた複合グラフ
・背景にあるのは「上位2割の原因が全体の8割を占める」というパレートの法則
・QC7つ道具のなかで「どこから手を付けるか」を決める意思決定ツール
試験ではこう出る!
パレート図はIP・FE・APすべての午前問題で繰り返し出題されている定番テーマです。出題パターンは大きく3つに分かれます。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| IP R元秋 問31 |
QC7つ道具のうち、項目別データを多い順に並べ累積比率を折れ線で重ねた図はどれか。 | ・正解は「パレート図」 ・特性要因図・散布図・ヒストグラムがひっかけ |
| FE H30秋 午前 問75 |
ABC分析で使う図として適切なものを選ぶ問題。 | ・在庫管理のABC分析=パレート図 ・累積比率で重要度をA/B/Cにランク分けする発想 |
| AP H29秋 午前 問75 |
パレート図の用途として適切な記述を選ぶ問題。 | ・「重点的に取り組むべき項目を選ぶ」が正解 ・「ばらつき」(ヒストグラム)「相関」(散布図)がひっかけ |
| IP H28秋 問32 |
クレーム件数を原因別に分析する手法を選ぶ問題。 | ・正解は「パレート図」 ・原因の特定なら特性要因図、と混同させるひっかけ |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「説明文からパレート図を選ばせる」
「項目別データを多い順に棒グラフで並べ、累積比率を折れ線で重ねた図」という説明が出たら即パレート図。キーワードは「降順」「累積比率」「重点項目」。
パターン2:「ABC分析と組み合わせる」
在庫管理や売上分析の文脈で「ABC分析に使う図」と問われたらパレート図。Aランク(累積70〜80%)に集中投資、Cランクは省力化、という考え方とセットで覚えます。
パターン3:「他のQC7つ道具と混同させる」
原因分析→特性要因図、ばらつき→ヒストグラム、相関→散布図、時系列の安定性→管理図。これらの「役割キーワード」とパレート図の「重点化」を混同させない。試験ではここまででOKで、計算問題はほぼ出ません。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. QC7つ道具のひとつであるパレート図の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 結果(特性)に対して、それに影響を与える要因を魚の骨のように整理し、原因と結果の関係を体系的に示す図である。
- B. データの分布を一定の区間に区切って度数を数え、棒グラフ状に表すことでばらつきの形を把握する図である。
- C. 項目別のデータを件数の多い順に棒グラフで並べ、累積比率を折れ線で重ねて、重点的に対処すべき項目を特定する図である。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
パレート図は、項目別の件数を降順に並べた棒グラフと、累積比率の折れ線を組み合わせ、「どこに力を集中すれば効果が大きいか」を可視化する図です。背景にはパレートの法則(80:20の法則)があり、ABC分析にも応用されます。
選択肢Aは特性要因図(フィッシュボーン図)の説明です。原因と結果の体系的な整理が役割で、件数の重点化を行うパレート図とは目的が異なります。選択肢Bはヒストグラムの説明です。データのばらつきや分布の形を見るための図であり、累積比率は描きません。
よくある質問(FAQ)
Q. パレート図とABC分析はどう違いますか?
パレート図は「グラフの種類」、ABC分析は「分析手法の名前」です。ABC分析では、パレート図を使って累積比率0〜70%程度をAランク、70〜90%をBランク、残りをCランクと分類し、Aに重点投資する判断を行います。つまりABC分析の道具としてパレート図が使われる関係です。在庫管理・売上分析・顧客管理で頻繁にセットで登場します。
Q. 「その他」の項目は最後に置くと聞きましたが、なぜですか?
パレート図のルールでは、件数の多い順に並べるのが原則ですが、「その他」だけは例外的に件数に関わらず最右端に配置します。理由は、「その他」が雑多な小項目の合算であり、これを件数順で上位に置いてしまうと「重点項目はその他です」という意味のない結論になりかねないためです。試験ではここまで細かくは問われませんが、実務で図を作る際は意識してください。
Q. ソフトウェア開発でパレート図はどう使われますか?
バグ管理が代表例です。発生したバグを「機能別」「原因別」「発生工程別」に集計してパレート図を描くと、「バグの大半は特定モジュールに集中している」「上流工程の仕様レビュー漏れが主因」といった事実が見えます。これにより、テスト強化やレビュー観点の見直しなど、効果の大きい改善に絞り込めます。性能ボトルネック分析(処理時間の長い関数Top5で全体の80%を占めるか)でも同じ発想が使われます。
Q. 新QC7つ道具にもパレート図は含まれますか?
含まれません。パレート図は「(旧)QC7つ道具」のメンバーで、数値データを扱う定量的手法に分類されます。新QC7つ道具は親和図法・連関図法・系統図法・マトリックス図法・アローダイアグラム・PDPC法・マトリックスデータ解析法の7つで、こちらは主に言語データを整理する定性的手法です。試験でどちらに属するかを問う問題が出るため、混同しないようにしてください。