対象試験と出題頻度

可用性管理は、基本情報技術者・応用情報技術者の午前で出題されるテーマです。

ITサービスマネジメントの管理プロセス群の一つとして登場し、「信頼性」「保守性」を表す指標との対応や、稼働率の考え方を正確に区別できるかが問われます。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「可用性管理って結局、何を管理するプロセスなの?」と混乱しがちです。

可用性管理(Availability Management)とは、一言で言うと

 「ITサービスを、利用者が必要なときに使える状態に保つよう管理するプロセス

のことです。

イメージとしては、24時間営業のコンビニです。

お客様が深夜でも早朝でも「行けば必ず開いている」と信頼できるのは、店側が停電対策やシフト管理を整えているからです。たまの臨時休業があっても、その時間をいかに短くするかで「使いたいときに使える度合い」が決まります。

可用性管理も同じで、「使いたいときに、どれだけ確実に使えるか」を数値で測り、目標どおりに保つ取り組みです。

📊 可用性管理の基本情報

項目 内容
英語名 Availability Management
所属 ITサービスマネジメント(ITIL)の管理プロセス
代表的な指標 稼働率、MTBF、MTTR
合意の根拠 SLA(サービスレベル合意書)の可用性目標

解説

ITサービスは「動いていて当たり前」と思われがちですが、サーバー故障やネットワーク障害は必ず起こります。そこで「どれくらい止まらないことを目標にするか」を顧客とあらかじめ取り決め、その目標を守るための活動が必要になりました。

この目標値はSLA(サービスレベル合意書)に明記され、達成度を測定・改善する役割を担うのがこのプロセスです。

可用性を支える3つの観点

可用性は「信頼性」「保守性」「保全性(サービス性)」という観点に分解できます。

試験では特に信頼性と保守性の指標の区別が問われます。

観点 代表指標 意味
信頼性 MTBF(平均故障間隔) どれだけ故障せずに動き続けられるか。値が大きいほど良い
保守性 MTTR(平均修復時間) 壊れてからどれだけ早く直せるか。値が小さいほど良い
可用性 稼働率 全体のうち使える時間の割合。信頼性と保守性の総合結果

稼働率の計算式

稼働率は、MTBFとMTTRから次の式で求めます。「動けた時間 ÷ 動けるはずだった全時間」という関係を押さえれば暗記は不要です。

稼働率の求め方

稼働率 =
MTBF
MTBF + MTTR

例:MTBF=95時間、MTTR=5時間 → 95 ÷ (95+5) = 0.95(稼働率95%)

稼働と停止のイメージ

時間軸で見ると、稼働している区間(MTBF)と修復している区間(MTTR)が繰り返されます。

停止区間が短いほど稼働率は1(100%)に近づきます。

稼働と停止の繰り返しイメージ

稼働MTBF=95h
停止5h
稼働MTBF=95h
停止5h
稼働中(信頼性=MTBF) 修復中(保守性=MTTR)

▲ 赤(停止)が短いほど稼働率は100%に近づく。この例の稼働率=95÷(95+5)=95%

関連プロセスとの違い

同じサービスマネジメントの管理プロセスでも、目的が異なります。混同しやすい3つを整理します。

プロセス 主な関心事
可用性管理 必要なときに使える状態を保つ(稼働率の達成)
キャパシティ管理 必要な性能・容量を過不足なく用意する
サービス継続性管理 災害など重大障害からの復旧(事業継続)

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 可用性管理の核心を3行で

・利用者が必要なときに使える状態を保つITサービスマネジメントのプロセス
・信頼性=MTBF、保守性=MTTR、その総合結果が稼働率
・目標値はSLAに定め、達成度を測定・改善する


試験ではこう出る!

このテーマは、FE・APの午前でKPI(重要業績評価指標)と観点の対応を問う形で繰り返し出題されています。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE H27春
午前 問56
ITILで保守性を表すKPIに該当する指標を選ぶ問題。 ・正解は「平均サービス回復時間(MTTR系)」
・中断の数や平均故障間隔がひっかけ
FE H28秋
午前 問57
/AP R4春 問56
上記H27春問56と同一構成の問題(流用)。 ・FE/APで同じ問題が出回る典型例
・選択肢の文言もほぼ同一
AP H29春
午前 問55
可用性管理のKPIとして用いるものを選ぶ問題。 ・「必要なときに使えるか」の指標が正解
・コストや変更件数の指標がひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「指標と観点の対応を選べ」
平均故障間隔・平均修復時間・中断の数などが選択肢に並び、「保守性のKPIはどれか」「信頼性のKPIはどれか」を選ばせる形式。MTTR系=保守性、MTBF系=信頼性という対応がそのまま得点源です。

 

パターン2:「プロセスの目的を選べ」
キャパシティ管理やサービス継続性管理の説明文を混ぜ、可用性管理に該当する説明を選ばせる形式。「必要なときに使える状態の維持」というキーワードが決め手です。

 

試験ではここまででOKです。ITILの細かいプロセス名称の英語表記まで暗記する必要はないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ITサービスマネジメントにおける可用性管理の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. ITサービスを、合意した稼働率を満たすよう、利用者が必要なときに使える状態に保つ活動を行う。
  • B. 将来の業務量を予測し、ITサービスに必要な性能や容量を過不足なく確保する活動を行う。
  • C. 災害などの重大な障害を想定し、事業を継続・復旧させるための計画と対策を行う。

正解と解説を見る

正解:A

解説:
可用性管理は、SLAで合意した稼働率を達成し、利用者が必要なときにITサービスを使える状態を維持することを目的とするプロセスです。信頼性(MTBF)と保守性(MTTR)の両面から可用性を高めます。

選択肢Bはキャパシティ管理の説明です。性能や容量の確保に焦点があり、使える状態の維持を主目的とする可用性管理とは目的が異なります。選択肢Cはサービス継続性管理の説明です。災害時の事業継続・復旧に焦点があり、平常時の稼働率維持を担う可用性管理とは役割が分かれています。


よくある質問(FAQ)

Q. 「可用性」と「可用性管理」は何が違うのですか?

可用性は「使いたいときに使える度合い」という状態・性質を指す言葉で、情報セキュリティのCIA(機密性・完全性・可用性)の一要素でもあります。一方の可用性管理は、その状態を目標どおりに保つための一連の管理活動・プロセスを指します。試験では、状態を問う問題と、プロセスを問う問題で文脈が変わる点に注意してください。

Q. 直列・並列で接続したシステムの稼働率はどう計算しますか?

直列接続は「両方が動いて初めて使える」ため、各稼働率を掛け算します(例:0.9×0.9=0.81)。並列接続は「どちらか一方でも動けば使える」ため、両方が同時に停止する確率を引きます(1−(1−0.9)×(1−0.9)=0.99)。冗長構成で可用性が上がる理由がこの計算に表れます。AP午前の計算問題で頻出なので、式の形を手で書いて慣れておくと安心です。

Q. 実務で「可用性99.9%」とよく聞きますが、どれくらいの停止時間ですか?

99.9%(スリーナイン)は、1年間で約8.8時間までの停止を許容する水準です。99.99%(フォーナイン)なら年間約53分、99.999%(ファイブナイン)なら約5分です。SLAでこの数字を顧客と合意し、達成できる構成や運用体制を設計するのが可用性管理の実務です。求める可用性が高いほどコストも跳ね上がるため、要件とのバランスが現場の腕の見せどころになります。

Q. 信頼性(MTBF)を上げれば、可用性も必ず上がりますか?

必ずしもそうとは限りません。可用性は信頼性と保守性の両方で決まるため、故障しにくくても(MTBFが長くても)、一度壊れたら復旧に何日もかかる(MTTRが長い)と稼働率は伸び悩みます。逆に、多少故障しても短時間で直せる体制があれば高い可用性を保てます。両輪で考えるのが正しいアプローチです。