対象試験と出題頻度
キャパシティ管理は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。
ITILのサービスマネジメントプロセスの一つとして登場し、可用性管理やサービスレベル管理との役割の違いを区別できるかが問われます。
詳細をクリックして確認
基本情報技術者
応用情報技術者
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「キャパシティ管理って結局、何を管理しているの?」と混乱しがちです。
キャパシティ管理(Capacity Management)とは、一言で言うと
「ITサービスの処理能力を、需要に合わせて過不足なく確保する活動」
のことです。
イメージとしては、「レストランの座席数の調整」です。
席が少なすぎればお客様を待たせ、多すぎれば家賃や人件費が無駄になります。来店数を見ながら「ちょうどよい席数」に保つのが店長の仕事です。
キャパシティ管理も同じで、サーバーやネットワークの能力を「足りなくならず、かつ余らせすぎない」ちょうどよい量に保ちます。
📊 キャパシティ管理の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | Capacity Management |
| 所属する枠組み | ITサービスマネジメント(ITIL) |
| 目的 | 需要に見合った処理能力をコスト効率よく提供する |
| 主な管理対象 | CPU・メモリ・ディスク・ネットワーク帯域など |
解説
ITサービスは、利用者が増えたり処理量が膨らんだりすると、資源が足りなくなって応答が遅れたり停止したりします。逆に、念のためと資源を過剰に用意すれば、使われない設備にお金を払い続けることになります。
この「不足による品質低下」と「過剰によるコスト浪費」の板挟みを解消するために、需要を予測しながら資源量を最適化する取り組みが整理されました。
不足と過剰のジレンマ(イメージ図)
横軸を資源量、縦軸をリスク・コストとしたとき、最適点は「中央」にあります。
資源量と「困りごと」の関係
(遅延・停止) ↓ ちょうど
よい ↓ 資源過剰
(コスト浪費)
▲ 左に寄ると品質リスク、右に寄るとコスト増。中央の最適点を探る
3つの視点(サブプロセス)
キャパシティ管理は、見る対象の違いから3つの視点で実施されます。この区別は理解の土台になります。
| 視点 | 見るもの |
|---|---|
| 事業(ビジネス)の視点 | 将来の事業計画から、必要となる能力を予測する |
| サービスの視点 | サービスごとの利用状況や応答時間が目標を満たすかを把握する |
| 資源(コンポーネント)の視点 | CPUやメモリなど個々の機器の使用率を監視する |
関連プロセスとの違い
サービスマネジメントには似た名前のプロセスが並ぶため、「何に責任を持つか」で整理すると区別しやすくなります。
| プロセス | 責任を持つこと |
|---|---|
| キャパシティ管理 | 需要に見合う処理能力の確保(足りる/余らせない) |
| 可用性管理 | サービスが使いたいときに使える状態(稼働率)の確保 |
| サービスレベル管理 | SLAで合意した品質目標の維持・報告 |
| ITサービス継続性管理 | 災害などの非常時にサービスを復旧できる体制の確保 |
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 キャパシティ管理の核心を3行で
・需要に合わせて処理能力を過不足なく確保する活動
・狙いは「品質の維持」と「コストの最適化」の両立
・事業/サービス/資源の3つの視点で実施する
試験ではこう出る!
キャパシティ管理は、FE・APの午前問題でサービスマネジメントの各プロセスの説明を選ばせる形式で出題されます。出題パターンは大きく2つです。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| AP R元秋 午前 問55 |
キャパシティ管理の活動として適切なものを選ぶ問題。 | ・「現在と将来の需要に見合う能力を確保する」が正解 ・障害復旧やSLA合意の説明がひっかけ |
| FE H30秋 午前 問57 |
サービスマネジメント各プロセスの説明の対応を問う問題。 | ・「能力・性能の最適化」がキャパシティ管理 ・可用性管理・インシデント管理の説明と区別させる |
| AP H29春 午前 問55 |
サービスの応答時間や処理量を監視する活動を選ぶ問題。 | ・「性能・能力の監視と調整」がキーワード ・構成管理・変更管理がダミー選択肢 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「正しい説明を選べ」
サービスマネジメントの各プロセスの説明文が並び、キャパシティ管理に該当するものを選ぶ形式。「能力」「性能」「需要に見合う」という言い回しが目印です。「稼働率」「いつでも使える」とあれば可用性管理、「合意した目標」とあればサービスレベル管理なので、混ぜないことが攻略のカギです。
パターン2:「活動内容を選べ」
具体的な作業(資源使用率の監視、増強計画の立案など)がどのプロセスの活動かを問う形式。性能・処理量の監視と調整はキャパシティ管理の活動です。
試験ではここまででOKです。ITIL各バージョンの細かなプロセス分類の違いまで問われることはほぼないので、深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. ITサービスマネジメントにおけるキャパシティ管理の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. サービスが合意された時間帯に確実に使える状態を維持するため、稼働率や信頼性を管理する。
- B. 顧客と合意したサービス品質の目標値を文書化し、達成状況を測定・報告する。
- C. 現在と将来の需要を予測し、ITサービスの処理能力を過不足なく、かつコスト効率よく確保する。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
選択肢Cは、需要に見合う処理能力をコスト効率よく確保するというキャパシティ管理の目的そのものを述べています。「需要」「能力」「コスト効率」の3語がそろっている点が決め手です。
選択肢Aは可用性管理の説明です。サービスが使いたいときに使える状態(稼働率)の維持を担うプロセスで、能力の確保とは責任範囲が異なります。選択肢Bはサービスレベル管理の説明です。合意した品質目標(SLA)の測定と報告に責任を持つプロセスであり、処理能力そのものの確保を行うものではありません。
よくある質問(FAQ)
Q. キャパシティ管理と需要管理(デマンドマネジメント)はどう違いますか?
需要管理は「利用の波そのものをならす」取り組みで、混雑する時間帯の利用を割引などで分散させ、ピークを抑えます。一方キャパシティ管理は、その需要を前提に「供給側の能力をどう用意するか」を担います。需要管理が来店時間の分散策、キャパシティ管理が座席数の調整、と役割が分かれていると考えると整理しやすいです。
Q. クラウドのオートスケールがあれば、キャパシティ管理は不要になりますか?
不要にはなりません。オートスケールは資源を自動で増減させる便利な仕組みですが、上限値の設定やコスト上限、増えすぎを防ぐ閾値設計は人が決める必要があります。むしろ「どこまで自動で伸ばすか」を計画する点で、クラウド環境でもキャパシティ管理の考え方は使われ続けます。
Q. 実務では具体的に何を測定するのですか?
CPU使用率・メモリ使用率・ディスク使用量・ネットワーク帯域の使用率・トランザクション数・応答時間などを継続的に収集します。これらを基にトレンドを分析し、「あと何か月で限界に達するか」を見積もって増強計画につなげます。閑散期と繁忙期の差が大きいサービスでは、季節変動の把握も重要になります。
Q. キャパシティ計画(キャパシティプラン)とは別物ですか?
別物ではなく、キャパシティ計画はキャパシティ管理の成果物の一つです。需要予測や現在の使用状況の分析をもとに、「いつ・どの資源を・どれだけ増強するか」をまとめた文書がキャパシティ計画です。管理という継続的な活動の中で、定期的に更新されていきます。