対象試験と出題頻度

物理層は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

 

OSI基本参照モデルの各層で動作するネットワーク機器を問う問題の中で登場し、

「リピータ」「ブリッジ」「ルータ」の動作階層を正確に区別できるかが問われます。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「物理層って結局何をしてるの?」と意外とイメージしにくいところです。

物理層(Physical Layer)とは、一言で言うと

 「ビット列(0と1の並び)を電気信号・光信号・電波に変換し、ケーブルや無線などの伝送路を使って相手に届ける、通信の最下層」

のことです。

 

イメージとしては、「道路そのもの」です。

荷物(データ)を届けるには、まず道路(伝送路)が必要です。

道路の材質がアスファルトか砂利かで走れる速度が変わるように、ケーブルの種類や信号の形式によって通信速度や伝送距離が決まります。

物理層は、その「道路の規格」を定めている階層です。

📊 物理層の基本情報

項目 内容
英語名 Physical Layer
階層番号 OSI基本参照モデル 第1層(レイヤ1 / L1)
主な役割 ビット列と電気信号・光信号・電波の相互変換、伝送路の物理仕様の規定
代表的な機器 リピータ、リピータハブ、メディアコンバータ
代表的な規格 RS-232C、IEEE 802.3(イーサネットの物理仕様部分)、光ファイバ規格

解説

ネットワーク通信では、上位層で作られたデータが最終的に「0と1の信号」として物理的な伝送媒体を流れます。

この「信号への変換」と「伝送媒体の仕様」を取り決めているのが第1層です。

 

何を規定しているのか

具体的には、コネクタの形状やピン配置といった機械的な仕様、電圧レベルや信号の符号化方式といった電気的な仕様、さらに伝送路の最大距離や使用する周波数帯といった機能的な仕様を定めています。

 

たとえばLANケーブル(ツイストペアケーブル)のカテゴリ5eやカテゴリ6は、この階層の規格にあたります。

 

「どの形のケーブルで、何メートルまで通信できて、どのくらいの速度が出るか」を決めているのが物理層の守備範囲です。

▶ 物理層で動作する機器の役割(クリックで展開)

リピータ:伝送路の途中で減衰した電気信号を増幅・整形し、伝送距離を延長する装置です。データの中身(MACアドレスやIPアドレス)は一切参照せず、信号をそのまま再生して送り出します。

 

リピータハブ:リピータに複数ポートを搭載した装置です。あるポートから入力された信号を、他のすべてのポートにそのまま転送します。宛先の判断は行いません。

 

メディアコンバータ:異なる伝送媒体(例:光ファイバとツイストペアケーブル)を接続し、信号形式を相互変換する装置です。

上位層(データリンク層)との境界

第1層は「信号の伝送」だけを担当し、データの誤りを検出したり、宛先を判別したりする機能は持ちません。

これらは第2層(データリンク層)の仕事です。

 

ブリッジやスイッチングハブ(L2スイッチ)がMACアドレスを見てフレームを転送するのは第2層の動作であり、第1層のリピータとは明確に役割が異なります。

 

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 物理層の核心を3行で

・ビット列を電気信号・光信号・電波に変換して伝送路に送り出す最下層(第1層)
・リピータやリピータハブが動作する階層で、データの中身は一切参照しない
・コネクタ形状、ケーブル仕様、信号の符号化方式など「物理的な取り決め」を規定する


試験ではこう出る!

物理層は、OSI基本参照モデルの各層で動作するネットワーク機器を問う問題で繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
FE H25秋
午前 問34
LAN間をOSI基本参照モデルの物理層で相互に接続する装置を選ぶ問題。 ・正解はリピータ
・ブリッジ(第2層)やルータ(第3層)との区別
FE H26秋
午前 問32
伝送距離を延長するために信号波形を増幅・整形して物理層で中継する装置を選ぶ問題。 ・「信号の増幅・整形」=リピータと特定できるか
・スイッチングハブ(第2層)がひっかけ選択肢
FE R1秋
午前 問32
メディアコンバータ・リピータハブ・L2スイッチ・L3スイッチのうち、L3スイッチだけがもつ機能を選ぶ問題。 ・「物理層で入力信号を全ポートに中継」=リピータハブ
・各機器の動作階層を横断的に理解しているか
AP H22秋
午前 問33
LAN間接続装置に関する記述のうち適切なものを選ぶ問題。 ・「リピータは物理層で信号を増幅する」が正解
・ゲートウェイやルータの記述がひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「物理層で動作する装置を選べ」
リピータ・ブリッジ・ルータ・ゲートウェイなどの選択肢が並び、第1層で動作するものを特定させる形式。「信号の増幅・整形」「伝送距離の延長」というキーワードが問題文に含まれていれば、リピータで確定です。

 

パターン2:「各層の機器を正しく並べ替えよ」
物理層→データリンク層→ネットワーク層の順で対応する機器を並べさせる形式。「リピータ→ブリッジ→ルータ」の順番を正確に覚えていれば即答できます。

試験ではここまででOKです。物理層の細かい電気仕様やコネクタのピン配置まで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. OSI基本参照モデルの物理層(第1層)で動作する装置の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. MACアドレスを参照してフレームを宛先ポートだけに転送し、不要なトラフィックを抑制する。
  • B. 伝送路の途中で減衰した電気信号を増幅・整形し、データの伝送距離を延長する。
  • C. IPアドレスを参照して最適な経路を選択し、異なるネットワーク間でパケットを転送する。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
物理層で動作するリピータは、伝送路上で弱まった電気信号を増幅・整形することで伝送距離を延長する装置です。データの中身(アドレス情報など)は参照しません。

選択肢Aはデータリンク層(第2層)で動作するスイッチングハブ(L2スイッチ)の説明です。MACアドレスを使ったフレーム転送は第2層の機能であり、第1層では行いません。選択肢Cはネットワーク層(第3層)で動作するルータの説明です。IPアドレスによる経路選択は第3層の機能です。


よくある質問(FAQ)

Q. 物理層はTCP/IPモデルではどこに対応しますか?

TCP/IPモデル(4層構造)では、最下層の「ネットワークインタフェース層(リンク層)」に含まれます。TCP/IPモデルでは物理層とデータリンク層を1つにまとめて扱うため、層として独立していません。IPA試験で「第1層」と出たらOSI基本参照モデルの話です。

Q. 現在でもリピータは実務で使われていますか?

単体の「リピータ」はほぼ姿を消しています。現在はスイッチングハブ(L2スイッチ)が主流で、信号の増幅機能も内蔵しています。ただしWi-Fi中継器(無線リピータ)は広く使われており、無線信号を受信・増幅して再送信する仕組みは物理層の概念そのものです。

Q. 「物理層のPDU(データ単位)はビット」と覚える必要はありますか?

基本情報レベルでは問われにくい範囲ですが、応用情報を受験するなら知っておくと安心です。第1層のPDUは「ビット」、第2層は「フレーム」、第3層は「パケット」、第4層は「セグメント(TCP)/データグラム(UDP)」です。セットで覚えておくと、他の問題でも応用が利きます。