対象試験と出題頻度

レイヤ2スイッチ(L2スイッチ / スイッチングハブ)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

ネットワーク機器の機能比較問題の常連であり、リピータハブ・ルータ・ゲートウェイとの違いをOSI基本参照モデルの階層と対応付けて区別できるかが繰り返し問われています。

FE H24秋 午前問35、FE R6年度 科目A 問8、AP H30秋 午前問32など、出題実績は非常に豊富です。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「スイッチングハブとリピータハブって何が違うの?」「ブリッジとL2スイッチは同じもの?」と混乱しがちです。

レイヤ2スイッチ(L2スイッチ / スイッチングハブ)とは、一言で言うと

 「OSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)で動作し、受信したフレームの宛先MACアドレスを見て、該当するポートだけにデータを転送するネットワーク機器」

のことです。

イメージとしては、「宛名を見て手紙を仕分ける郵便局の窓口」です。

リピータハブが届いた手紙を全員の郵便受けにコピーしてばらまくのに対し、L2スイッチは宛名(MACアドレス)をきちんと確認して、該当する相手のポスト(ポート)だけに届けます。

無駄な転送がなくなるため、ネットワークの効率が大幅に向上します。

📊 レイヤ2スイッチの基本情報

項目 内容
正式名称 Layer 2 Switch(レイヤ2スイッチ)
別名 スイッチングハブ、L2スイッチ
動作する層 OSI基本参照モデル 第2層(データリンク層
識別に使う情報 宛先MACアドレス

解説

初期のLANではリピータハブ(単なるハブ)が広く使われていました。リピータハブは物理層で動作し、受信した電気信号を増幅してすべてのポートに転送します。

構造は単純ですが、宛先と無関係な端末にもデータが流れるため、端末数が増えるとネットワーク全体で信号の衝突(コリジョン)が頻発するという問題がありました。

 

この問題を解決するために登場したのがL2スイッチです。

L2スイッチは内部にMACアドレステーブルを持ち、「どのポートにどのMACアドレスの端末がつながっているか」を記録しています。フレームを受信すると宛先MACアドレスをテーブルと照合し、該当するポートだけにフレームを転送するため、不要なトラフィックが発生しません。

▶ MACアドレステーブルの学習と転送の仕組み(クリックで展開)

L2スイッチは、初めて受信したフレームの送信元MACアドレスと受信ポートの組み合わせをMACアドレステーブルに自動登録します(MACアドレス学習)。

宛先MACアドレスがテーブルに登録済みであれば、対応するポートだけにフレームを転送します。一方、テーブルに宛先が未登録の場合は、受信ポート以外のすべてのポートにフレームを送出します(フラッディング)。この仕組みにより、通信を繰り返すうちにテーブルが充実し、転送効率が上がっていきます。

また、L2スイッチはポートごとに独立した衝突ドメイン(コリジョンドメイン)を形成します。リピータハブでは接続されたすべての端末が1つの衝突ドメインに含まれますが、L2スイッチでは各ポートが独立しているためコリジョンが発生しにくくなります。

▶ L2スイッチとブリッジの関係(クリックで展開)

L2スイッチとブリッジは、どちらもデータリンク層で動作しMACアドレスを基にフレームを中継する点で同じです。AP H30秋 問32では「スイッチングハブと同等の機能をもち、同じプロトコル階層で動作する装置はどれか」という問いに対して、正解は「ブリッジ」でした。

両者の違いは処理方式にあります。ブリッジはソフトウェアでフレームの転送判断を行うのに対し、L2スイッチはASIC(特定用途向け集積回路)などのハードウェアで処理するため高速です。現在の実務ではブリッジはほぼ姿を消し、L2スイッチに置き換わっています。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 レイヤ2スイッチの核心を3行で

・OSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)で動作し、MACアドレスを基にフレームを転送する
・MACアドレステーブルで「どのポートにどの端末がいるか」を管理し、必要なポートだけに送信する
・リピータハブは全ポートに転送、L2スイッチは宛先ポートだけに転送――この違いが最大のポイント


試験ではこう出る!

L2スイッチ(スイッチングハブ)は、ネットワーク機器の機能比較として各試験区分で繰り返し出題されている定番テーマです。

出題パターンは大きく3つに分かれます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE R6年度
科目A 問8
LAN間接続装置に関する記述のうち適切なものを選ぶ問題。ブリッジの説明に「MACアドレスを基にフレームを中継する」と記載。 ・ブリッジとルータの識別情報の違い(MACアドレス vs IPアドレス)
・ゲートウェイの動作範囲(全7層)がひっかけ
FE H24秋
午前 問35
スイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)の機能として適切なものを選ぶ問題。 ・「宛先MACアドレスが存在するLANポートだけに転送」が正解
・DHCP(IPアドレス割当て)やリピータハブ(全ポート転送)がひっかけ
AP H30秋
午前 問32
スイッチングハブと同等の機能をもち、同じプロトコル階層で動作する装置を選ぶ問題。 ・正解は「ブリッジ」(同じデータリンク層で動作)
・ルータ(第3層)やリピータ(第1層)との階層の違いが問われる

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「スイッチングハブの機能を選べ」
4つの選択肢からL2スイッチの機能を選ぶ形式。キーワードは「宛先MACアドレス」「該当するポートだけに転送」。DHCPの機能(IPアドレスの自動割当て)やリピータハブの動作(全ポートへの転送)がひっかけとして頻出。

 

パターン2:「同じ階層で動作する装置はどれか」
L2スイッチと同じデータリンク層で動作する装置を問う形式。正解は「ブリッジ」。ルータ(ネットワーク層)やゲートウェイ(トランスポート層以上)との階層の違いを正確に覚えていれば即答できる。

 

パターン3:「ネットワーク機器を動作する層の順に並べよ」
リピータ(第1層)→ ブリッジ / L2スイッチ(第2層)→ ルータ(第3層)の順序を選ぶ形式。前回記事のルータの問題(FE R3免除 問32)と同じ知識で対応できる。

 

試験ではここまででOKです。MACアドレステーブルのエージング(一定時間後の自動削除)やVLANの詳細まで問われることはITパスポート・基本情報では稀なので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ネットワーク機器の一つであるスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)の機能として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. LANポートに接続された端末に対して、IPアドレスやサブネットマスクなどの設定情報を自動的に割り当てる。
  • B. 受信したフレームを、接続されているすべてのLANポートに転送する。
  • C. 受信したフレームの宛先MACアドレスをMACアドレステーブルと照合し、該当するLANポートだけに転送する。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
L2スイッチ(スイッチングハブ)は、データリンク層で動作し、内部のMACアドレステーブルを参照して宛先MACアドレスに対応するポートだけにフレームを転送する機器です。

選択肢AはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)の機能です。IPアドレスの自動割当てはL2スイッチの役割ではありません。選択肢Bはリピータハブの動作です。リピータハブは物理層で動作し、受信した信号をすべてのポートに転送するため、宛先を識別する機能を持ちません。


よくある質問(FAQ)

Q. 宛先MACアドレスがテーブルに登録されていない場合はどうなりますか?

受信したポート以外のすべてのポートにフレームを転送します。これを「フラッディング」と呼びます。宛先の端末から応答があれば、その送信元MACアドレスと受信ポートの対応がテーブルに登録され、次回以降は該当ポートだけに転送されるようになります。

Q. L2スイッチはブロードキャストを遮断できますか?

遮断できません。L2スイッチはコリジョンドメイン(衝突ドメイン)をポートごとに分割しますが、ブロードキャストドメインは分割しません。ブロードキャストフレームはすべてのポートに転送されます。ブロードキャストドメインを分割するには、ルータの導入か、L2スイッチ上でのVLAN(Virtual LAN)の設定が必要です。

Q. 「リピータハブ」と「スイッチングハブ」は名前が似ていますが、どう区別すればよいですか?

動作する層と転送方法が決定的に異なります。リピータハブは物理層(第1層)で動作し、受信した電気信号を増幅してすべてのポートに流す「ただの中継器」です。一方、スイッチングハブはデータリンク層(第2層)で動作し、MACアドレスを見て宛先ポートだけに転送する「宛先を識別できる中継器」です。試験では「全ポートに転送=リピータハブ」「宛先ポートだけに転送=スイッチングハブ」と整理してください。

Q. VLANとはL2スイッチの機能ですか?

VLAN(Virtual LAN)はL2スイッチに搭載されている機能です。物理的な配線を変更せずに、ポート単位やタグ情報に基づいて仮想的にネットワークを分割できます。VLAN間の通信にはルータやL3スイッチが必要です。応用情報技術者の午後問題で出題されることがあるため、「L2スイッチで論理的にネットワークを分割する機能」という概要は押さえておくと有利です。