対象試験と出題頻度

CSMA/CD(有線LAN制御)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

メディアアクセス制御方式の比較問題として定番化しており、「トークンパッシング方式」「CSMA/CA方式」「TDMA方式」との違いを正確に区別できるかが問われます。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「CSMA/CDって長くて覚えにくい…結局どんな仕組み?」と感じる人が多いです。

CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection:搬送波感知多重アクセス/衝突検出)とは、一言で言うと

 「伝送路が空いているかを確認してからデータを送信し、衝突が起きたら一定時間待って再送する、イーサネットのメディアアクセス制御方式」

のことです。

イメージとしては、「会議室での発言ルール」です。

 

誰かが話していないか耳を澄ませ(Carrier Sense)、静かなら自分が発言する。

もし同時に2人が話し始めてしまったら(Collision)、2人とも一旦黙って、それぞれ違う間を置いてから話し直す。これがCSMA/CDの考え方です。

 

📊 CSMA/CD の基本情報

項目 内容
正式名称 Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection
日本語名 搬送波感知多重アクセス/衝突検出方式
採用規格 IEEE 802.3(イーサネット)
前提トポロジ バス型(同軸ケーブル共有)またはリピータハブ接続のスター型

解説

イーサネット(IEEE 802.3)は、複数の端末が1本の伝送路を共有するバス型トポロジを前提に設計されました。

共有型の伝送路では、複数の端末が同時にデータを送信するとフレーム同士がぶつかる「コリジョン(衝突)」が発生します。この衝突をどう扱うかが、メディアアクセス制御方式の設計課題です。

 

CSMA/CDの送信手順

CSMA/CDは、次の3ステップで動作します。

ステップ1:キャリアセンス(搬送波感知)
送信したい端末は、まず伝送路上に他の端末からの信号が流れていないかを確認します。信号が検出されなければ送信を開始し、検出された場合は信号が途切れるまで待機します。

 

ステップ2:衝突検出(Collision Detection)
送信中も伝送路の状態を監視し続けます。他の端末が同時に送信を開始していた場合、信号が干渉して異常な電圧値が発生するため、これを検知して衝突と判定します。

 

ステップ3:ジャム信号送信とバックオフ
衝突を検出した端末は直ちに送信を中止し、ジャム信号(衝突発生を全端末に伝えるための短い信号)を送出します。その後、ランダムな待ち時間(バックオフ時間)を経てから再びステップ1に戻ります。待ち時間がランダムであるため、再衝突の確率を下げられる仕組みです。

 

▶ CSMA/CDの弱点と現在の位置づけ(クリックで展開)

CSMA/CDは制御が単純で実装コストが低い反面、トラフィックが増えると衝突頻度が上がり、再送がさらにトラフィックを増やすという悪循環に陥ります。一般に伝送路の使用率が30%を超えるとスループットが急激に低下すると言われています。

 

現在の有線LANは、レイヤ2スイッチ(スイッチングハブ)による全二重通信が主流です。スイッチが各ポートごとにコリジョンドメインを分離するため、衝突が原理上発生しません。

このため現行のギガビットイーサネット環境ではCSMA/CDは実質的に使われていませんが、イーサネットの基本原理として試験では引き続き問われています。

 

他のメディアアクセス制御方式との比較

CSMA/CDを正しく理解するには、ひっかけ選択肢の常連である他の方式と「何が違うか」で整理するのが近道です。

方式 特徴 区別のキーワード
CSMA/CD キャリアセンス後に送信し、衝突を検出したらランダム時間待って再送する(有線LAN) 衝突検出・再送
CSMA/CA 送信前にランダム時間待つことで衝突を事前に回避する(無線LAN) 衝突回避・RTS/CTS
トークンパッシング 環状に接続された端末間でトークンを巡回させ、取得した端末だけが送信する トークン・リング型
TDMA 時間をタイムスロットに分割し、各端末に割り当てられたスロットでのみ送信する タイムスロット

ここだけは確実に押さえてください。CSMA/CDは「衝突を検出して再送する」方式、CSMA/CAは「衝突を回避する」方式。CDはDetection(検出)、CAはAvoidance(回避)の頭文字です。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 CSMA/CDの核心を3行で

・伝送路が空いているか確認(キャリアセンス)してから送信し、衝突を検出したらランダム時間待って再送する
・イーサネット(IEEE 802.3)が採用している有線LANのアクセス制御方式
・CDは「衝突検出」、CAは「衝突回避」――この1文字の違いが有線と無線の区別に直結する


試験ではこう出る!

CSMA/CDは、メディアアクセス制御方式の比較問題として長年にわたり繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
AP R6春
午前 問30
CSMA/CD方式のLANにおけるノードの送信動作として適切なものを選ぶ問題。 ・「キャリアセンス→送信→衝突検出→ランダム待機→再送」の流れを理解しているか
・トークンパッシングやTDMAの説明がひっかけ
AP H29秋
午前 問33
CSMA/CD方式に関する記述として適切なものを選ぶ問題。 ・「衝突頻度が増すとスループットが下がる」が正解
・「衝突は発生しない」「ハブ構成では使用不可」がひっかけ
FE R2免除
問31
CSMA/CDに関する記述として適切なものを選ぶ問題(AP R1秋 問32と同一の流用問題)。 ・「キャリア検知+衝突時の再送」が正解
・CSMA/CA(RTS/CTS方式)の説明がひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「CSMA/CDの送信動作を選べ」
4つのアクセス制御方式の説明文が並び、CSMA/CDに該当するものを選ぶ形式。ひっかけとしてトークンパッシング方式(「トークンを受け取った端末だけが送信」)、TDMA方式(「タイムスロット」)、CSMA/CA方式(「RTS/CTS」「衝突回避」)の説明が必ず紛れ込む。「衝突を検出」「ランダム時間待って再送」のキーワードを含む選択肢が正解。

 

パターン2:「CSMA/CDの特性に関する正誤を選べ」
AP H29秋のように、CSMA/CDの動作に関する4つの記述から正しいものを選ぶ形式。「衝突が起きるとスループットが下がる」が正解。「キャリアセンスしているから衝突は起きない」「ハブ接続では使えない」は典型的な誤り選択肢。

 

試験ではここまででOKです。ジャム信号の送出時間やバックオフアルゴリズムの数式など、IEEE 802.3規格の詳細まで問われることはありません。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. イーサネットで使用されるCSMA/CD方式の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 環状に接続されたノード間でトークンを巡回させ、トークンを受け取ったノードだけがデータを送信する。
  • B. 各ノードは伝送路が使用中かどうかを確認し、使用中でなければ送信を開始する。衝突を検出した場合はランダムな時間の経過後に再送する。
  • C. 送信前にRTS(送信要求)フレームを送出し、CTS(受信準備完了)フレームを受け取ってからデータを送信する。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
CSMA/CDは、伝送路の空きを確認してから送信を開始し、衝突を検出した場合はランダムなバックオフ時間を置いて再送するアクセス制御方式です。「キャリアセンス」「衝突検出」「ランダム時間の再送」が判断のキーワードになります。

選択肢Aはトークンパッシング方式の説明です。リング型トポロジで「トークン」と呼ばれる特殊フレームを巡回させ、トークンを保持するノードにのみ送信権を与える方式であり、衝突は原理上発生しません。選択肢Cは無線LANで使われるCSMA/CA方式(RTS/CTS方式)の説明です。CSMA/CAはCollision Avoidance(衝突回避)の略であり、衝突を事前に防ぐ仕組みです。CSMA/CDの「衝突を検出して対処する」とは設計思想が異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. なぜ無線LANではCSMA/CDではなくCSMA/CAが使われるのですか?

無線LANでは「隠れ端末問題」が存在するためです。有線LANは同一ケーブル上の信号を全端末が検知できるため、送信中に衝突が起きればその場で検出できます。しかし無線LANでは、電波の届く範囲が端末ごとに異なり、互いの送信を検知できない端末同士が同時にアクセスポイントへ送信してしまうケースがあります。衝突の「検出」が物理的に困難なため、送信前にランダム待機やRTS/CTSの手順を踏んで衝突を「回避」するCSMA/CA方式が採用されています。

Q. 現在の有線LANでもCSMA/CDは動作していますか?

現在主流のスイッチングハブ(データリンク層で動作するL2スイッチ)を用いた全二重通信環境では、各ポートが独立したコリジョンドメインになるため、衝突は原理上発生しません。このためCSMA/CDの制御は実質的に無効化されています。ただし、古いリピータハブを使った半二重通信環境では依然として動作する仕組みです。

Q. 「コリジョンドメイン」とは何ですか?

コリジョンドメインとは、ある端末が送信したフレームの衝突が影響する範囲のことです。リピータハブは受信した信号をすべてのポートに転送するため、ハブに接続された全端末が1つのコリジョンドメインに含まれます。一方、スイッチングハブは宛先ポートだけに転送するため、ポートごとにコリジョンドメインが分離され、衝突の影響範囲が大幅に縮小します。