対象試験と出題頻度

NFV(Network Functions Virtualization)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

ネットワーク仮想化技術の定義を問う問題で登場し、「SDN(Software-Defined Networking)」との違いを正確に区別できるかがポイントになります。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「NFVって結局何?SDNと何が違うの?」と混乱しがちです。

NFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能仮想化)とは、一言で言うと

 「ルータやファイアウォールなど専用機器で行っていたネットワーク機能を、汎用サーバ上のソフトウェアとして実現する技術」

のことです。

 

イメージとしては、「専用の調理器具をすべて1台の万能調理家電にまとめる」ことです。

 

従来はトースター、ミキサー、オーブンと機能ごとに別々の家電を買っていたところを、1台の高性能マシンにソフトウェアを入れ替えるだけで全部の役割を担わせる――これがNFVの考え方です。

📊 NFVの基本情報

項目 内容
正式名称 Network Functions Virtualization
日本語名 ネットワーク機能仮想化
提唱元 ETSI(欧州電気通信標準化機構)
主な効果 専用機器の削減によるコスト削減・柔軟なネットワーク構築

解説

従来のネットワーク構築では、ルータ、スイッチ、ファイアウォールロードバランサといった機能ごとに専用のハードウェアを購入・設置する必要がありました。

機器が増えれば設置スペースも電力も保守コストもかさみ、構成変更のたびに物理的な作業が発生します。

 

NFVが登場した背景

通信事業者を中心に「専用機器への依存から脱却したい」という要求が高まり、2012年にETSI(欧州電気通信標準化機構)がNFVの標準化に着手しました。

サーバ仮想化技術の成熟により、1台の汎用サーバ上に複数の仮想マシンを立て、それぞれにネットワーク機能を割り当てることが現実的になった点が後押しとなっています。

 

▶ NFVの構成要素(クリックで展開)

VNF(Virtual Network Function):仮想マシン上で動作する個々のネットワーク機能。仮想ルータ、仮想ファイアウォールなどがこれにあたる。

 

NFVI(NFV Infrastructure):VNFを動かすための基盤。汎用サーバのハードウェア、仮想化レイヤ(ハイパーバイザ)、仮想ネットワークで構成される。

 

NFV-MANO(Management and Orchestration):VNFのライフサイクル管理やリソース配分を一元的に行う管理・統合制御の仕組み。

 

試験ではこの3要素の名称まで問われることはほぼないため、参考程度で構いません。

SDNとの違い

NFVと混同されやすいのがSDN(Software-Defined Networking)です。両者は「ネットワークをソフトウェアで制御する」という点では方向性が似ていますが、対象とする範囲が異なります。

比較項目 NFV SDN
何をソフトウェア化するか ネットワーク機器そのもの(機器の機能全体) ネットワーク機器の制御部(転送経路の決定)
提唱元 ETSI(欧州電気通信標準化機構) ONF(Open Networking Foundation)
代表的な技術 汎用サーバ上の仮想マシンでVNFを実行 OpenFlowプロトコルによる集中制御
覚え方 「機器ごと仮想化」 「制御だけ分離・集中管理」

ここだけは確実に押さえてください。

NFVは「機器そのものを汎用サーバに置き換える」、

SDNは「制御部だけをソフトウェアに分離する」。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 NFVの核心を3行で

・専用ハードウェアで担っていたネットワーク機能を汎用サーバ上のソフトウェアに置き換える技術
・ETSIが標準化を推進し、通信事業者のコスト削減・柔軟化を実現
・SDNは「制御部の分離」、NFVは「機器ごとの仮想化」と整理する


試験ではこう出る!

NFVは、応用情報技術者試験を中心にネットワーク仮想化技術の定義問題として出題されています。

出題パターンは主に1つで、「NFVの説明として適切なものを選べ」という形式が定番です。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
AP H30春
午前 問32
ETSI提唱のNFVの説明として適切なものを選ぶ問題。AR、ディープラーニング、ペトリネットの説明がひっかけ選択肢として登場。 ・「仮想化技術」「汎用サーバ上にソフトウェアとして実現」がキーワード
・SDNやOpenFlowとの混同に注意
SC R3春
午前Ⅱ 問18
NFVの説明として適切なものを選ぶ問題。SDNやOpenFlow専用機器、VLANの説明がひっかけ選択肢。 ・「汎用サーバを使った仮想マシン上のソフトウェア」が正解
・「専用機器を使って仮想ネットワークを実現」はNFVではない

📝 IPA試験での出題パターン

パターン:「NFVの説明を選べ」
4つの技術の説明文が並び、NFVに該当するものを選ぶ形式。ひっかけ選択肢には「SDN=OpenFlow専用機器で構築」「VLAN・VPN=専用機器で仮想ネットワーク構築」など、”仮想化”という共通ワードを含む別技術の説明が紛れ込む。

 

正解を見極めるキーワードは「汎用サーバ」「ソフトウェアとして実現」「専用機器を使わない」の3点。これを満たす選択肢を選べば得点できます。

 

試験ではここまででOKです。NFV-MANOやVNFの内部構成まで問われることはないため、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ETSI(欧州電気通信標準化機構)が提唱するNFV(Network Functions Virtualization)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. ネットワーク機器のデータ転送機能と制御機能を分離し、制御機能をソフトウェアのコントローラーに集約することで、ネットワーク全体を一元管理する。
  • B. ルータ、ファイアウォールなどのネットワーク機能を、仮想化技術を利用して汎用サーバ上のソフトウェアとして実現し、柔軟なネットワーク基盤を構築する。
  • C. ロードバランサ、スイッチ、ルータなどの専用機器を組み合わせて、VLANやVPNなどの仮想ネットワークを構築する。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
NFVは、専用ハードウェアに依存していたネットワーク機能を汎用サーバの仮想マシン上で動くソフトウェアに置き換える技術です。「汎用サーバ」「ソフトウェアとして実現」が正解を選ぶ決め手になります。

選択肢AはSDN(Software-Defined Networking)の説明です。SDNはデータ転送と制御を分離してコントローラーで集中管理する手法であり、機器そのものを仮想化するNFVとは対象が異なります。選択肢Cは従来型の仮想ネットワーク構築の説明です。専用機器を使っている時点でNFVの「汎用サーバで代替する」という考え方に反しています。


よくある質問(FAQ)

Q. NFVを導入するデメリットはありますか?

あります。汎用サーバ上でソフトウェア処理を行うため、専用ASICチップを搭載したハードウェアと比べるとパケット処理性能が劣る場合があります。また、仮想化基盤やオーケストレーション層の設計・運用には専門知識が必要で、導入初期の学習コストは高くなります。通信事業者レベルの大規模環境では効果が大きい一方、小規模ネットワークではコストメリットが出にくいこともあります。

Q. NFVとSDNは組み合わせて使えますか?

使えます。実務では両者を組み合わせるケースが一般的です。NFVでネットワーク機器の機能を汎用サーバに集約し、SDNで仮想化されたネットワーク全体の経路制御を一元管理するという構成です。ただし両者は独立した技術であり、片方だけを導入することも可能です。

Q. 実務ではどのような企業がNFVを活用していますか?

主に通信事業者(キャリア)が5Gのコアネットワーク構築で積極的に採用しています。NTTドコモやKDDIなどの国内キャリアも、基地局からコアネットワークまでの機能を汎用サーバ上で稼働させる方向へ移行を進めています。クラウドサービス事業者もデータセンター内のネットワーク機能をソフトウェアで提供する際にNFVの考え方を取り入れています。