対象試験と出題頻度
NB-IoTは、応用情報技術者で出題されるテーマです。
LPWAのセルラー系規格として、「LTE-M」との特徴の違いを正確に区別できるかがポイントになります。
IPAのシラバス(Ver.7.2)でもLPWAの代表規格の一つとして明記されています。
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応用情報技術者
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「NB-IoTってLTE-Mと何が違うの?」と混乱しがちです。
NB-IoT(Narrowband IoT / LTE Cat-NB1)とは、一言で言うと
「200kHz以下の極めて狭い帯域幅を使い、固定設置型のIoTセンサーに特化した超省電力のセルラー系LPWA規格」
のことです。
イメージとしては、「ハガキ1枚だけを毎日届けてくれる、燃費抜群の郵便バイク」です。
大きな荷物(大容量データ)は運べないし、配達先を走りながら変更すること(ハンドオーバー)もできない。
でも決まった場所に毎日ハガキ1枚を届ける用途なら、燃料はほとんど減らず何年でも走り続けられる。これがNB-IoTの設計思想です。
📊 NB-IoTの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Narrowband IoT(LTE Category NB1) |
| 標準化団体 | 3GPP(Release 13、2016年策定) |
| 帯域幅 | 200kHz以下(LTE-Mの約1/7) |
| 通信速度 | 上り最大63kbps / 下り最大27kbps |
| 最大の特徴 | LTE-Mよりさらに低消費電力。固定設置のセンサーに特化 |
解説
LTE-Mと同じ3GPP Release 13で策定されたNB-IoTですが、両者の狙いは異なります。
LTE-Mは「移動するIoTデバイスにも対応できる汎用性」を重視した設計であるのに対し、
NB-IoTは「動かないセンサーの電池寿命を極限まで延ばす」ことに全振りした設計です。
帯域幅をわずか200kHz以下に絞ることで、通信モジュールの回路を大幅に簡素化し、製造コストと消費電力の両方を下げています。
3GPPの資料によれば、NB-IoTのモジュールコストはLTE端末の約10%程度を目標に設計されています。
▶ NB-IoTの3つの運用モード(クリックで展開)
NB-IoTには、既存のLTE帯域のどの部分を使うかによって3つの運用モードがあります。
In-band(インバンド):LTEの帯域内の一部(1リソースブロック=180kHz分)をNB-IoT専用に割り当てる方式。既存のLTE設備をそのまま活用できるため、最も導入コストが低い。
Guard-band(ガードバンド):LTEの帯域と帯域の間にある未使用領域(ガードバンド)をNB-IoTに転用する方式。LTE本体の通信容量を削らずに運用できる。
Stand-alone(スタンドアロン):GSM(2G)の帯域を再利用して、LTEとは独立した帯域でNB-IoTを運用する方式。2Gサービス終了後の帯域活用に適している。
▶ LTE-Mとの比較(クリックで展開)
ここだけは確実に押さえてください。NB-IoTとLTE-Mは「何を切り捨てて何を得たか」で整理すると混同しません。
| 比較項目 | NB-IoT | LTE-M |
|---|---|---|
| 帯域幅 | 200kHz以下 | 1.4MHz |
| 通信速度 | 上り63kbps / 下り27kbps | 上り・下りとも最大約1Mbps |
| 音声通話 | 非対応 | VoLTE対応 |
| ハンドオーバー | 非対応(固定設置前提) | 対応(移動体利用可) |
| 消費電力 | LTE-Mよりさらに小さい | LTEより大幅に小さい |
| 主な用途 | スマートメーター、環境センサー | 車両追跡、ウェアラブル端末 |
NB-IoTは「音声通話もハンドオーバーも捨てて、省電力と低コストを極限まで追求した規格」と覚えれば一発で区別できます。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 NB-IoTの核心を3行で
・200kHz以下の狭帯域で動作する、固定設置型IoTセンサー特化のセルラー系LPWA規格
・ハンドオーバー非対応・音声通話非対応。移動体には使えない
・LTE-Mより通信速度は遅いが、消費電力とモジュールコストはさらに低い
試験ではこう出る!
NB-IoT単体を直接問う午前問題の出題実績は確認されていません。ただし、LPWAの代表規格として選択肢の解説に登場するケースと、午後問題でIoTシステム設計のテーマとして扱われるケースがあります。
📊 関連する出題実績(クリックして表示)
| 試験回 | 出題内容 | NB-IoTとの関連 |
|---|---|---|
| AP R7秋 午前 問73 |
LPWAの特徴を選ぶ問題。正解は「一つの基地局で広範囲をカバーできる低消費電力の無線通信技術」。 | ・解説でCat-M1(LTE-M)と並んでNB-IoTが代表規格として言及 ・NB-IoT単体の知識は不要だが、名前は認識しておく必要あり |
| AP R3春 午後 問4 |
IoTを活用した駐車場管理システム。LTE-M方式のLPWA通信サービスを選択する設計問題。 | ・LTE-Mが採用されたが、NB-IoTとの使い分けの知識があると選定理由の理解が深まる |
| NW R7春 午後II 問2 |
ネットワークスペシャリスト試験。IoTシステム設計でLPWA技術の特徴が問われた。 | ・セルラー系LPWAの具体例としてLTE-M・NB-IoTの名前が登場 ・CoAPやDTLSなど軽量プロトコルとの組合せが出題 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「LPWAの特徴を選べ」(午前)
NB-IoTの名前を直接答えさせる問題ではなく、LPWAの特徴として「省電力」「広域」を選ばせる形式。NB-IoTはLPWAの代表規格の一つとして解説や選択肢の背景知識に登場する。「LPWA=省電力×広域のIoT向け通信」という知識で対応可能。
パターン2:「IoTシステムの通信方式を選定・設計せよ」(午後)
R3春 午後問4のように、IoTシステムの通信方式を選定する過程で「なぜLTE-Mを採用するのか」を問う形式。NB-IoTとの違い(ハンドオーバーの有無、通信速度の差)を理解していれば、選定理由を的確に記述できる。
試験ではここまででOKです。NB-IoTの3つの運用モード(In-band、Guard-band、Stand-alone)の詳細まで問われることはないので、深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. NB-IoT(Narrowband IoT)の特徴として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 1.4MHzの帯域幅を使い、ハンドオーバーに対応するため、車両追跡などの移動体IoTにも利用できるセルラー系LPWA規格である。
- B. 200kHz以下の狭帯域で動作し、ハンドオーバー非対応のため固定設置型のIoTセンサーに特化した、超省電力のセルラー系LPWA規格である。
- C. 免許不要の920MHz帯を使い、自営のゲートウェイを設置して双方向通信が可能な独自ネットワークを構築できる非セルラー系LPWA規格である。
正解と解説を見る
正解:B
解説:
NB-IoTは、200kHz以下の極めて狭い帯域幅で動作するセルラー系LPWA規格です。ハンドオーバーと音声通話に非対応で、スマートメーターや環境センサーなど固定設置型デバイスの超省電力通信に特化しています。
選択肢AはLTE-M(LTE Cat-M1)の説明です。LTE-Mは1.4MHzの帯域幅を使い、ハンドオーバーに対応するため移動体での利用にも適しています。選択肢CはLoRaWANの説明です。LoRaWANは免許不要帯を使用する非セルラー系規格であり、通信事業者のLTE基地局とは無関係に独自ネットワークを構築できます。
よくある質問(FAQ)
Q. NB-IoTは日本国内で使えますか?
NTTドコモは2019年4月にNB-IoTの商用サービスを開始しましたが、利用が伸びず2020年3月に提供を終了しました。KDDIやソフトバンクはLTE-Mでのサービス提供を中心としており、2025年1月時点で日本国内の大手キャリアがNB-IoTを商用提供している例はありません。一方、欧州・中国・韓国ではスマートメーターや都市インフラの監視用途で広く採用されています。試験ではこの国内事情まで問われることはないので、「NB-IoTは海外で主流の超省電力規格」と覚えておけば十分です。
Q. NB-IoTとSigfoxは同じ「超省電力」ですが、何が違いますか?
最大の違いは「セルラー系か非セルラー系か」です。NB-IoTは通信事業者のLTE基地局を使うライセンスバンド(免許が必要な周波数帯)の規格です。一方、Sigfoxはアンライセンスバンド(免許不要の920MHz帯)を使い、Sigfox社がネットワークを運営するサービス型の規格です。NB-IoTは双方向通信に対応しますが、Sigfoxは上り通信に特化しており、1回に送れるデータは12バイトと非常に小さい点も異なります。
Q. NB-IoTのファームウェア更新(FOTA)は可能ですか?
3GPP Release 13の初期仕様ではFOTA(Firmware Over-The-Air)に対応していませんでした。通信速度が極めて低いため、大きなファームウェアファイルの転送が現実的でなかったためです。ただし、Release 14以降では機能が拡張され、限定的ながらFOTAに対応しています。LTE-Mは初期仕様からFOTAに対応しているため、遠隔でのファームウェア更新が必要な場合はLTE-Mが選択されます。