対象試験と出題頻度

Wi-SUN(ワイサン)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

LPWA(Low Power Wide Area)の代表的な規格の一つとして登場し、「LoRaWAN」「SIGFOX」「NB-IoT」など他のLPWA方式やBLEZigBeeとの違いを正確に区別できるかが問われます。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「Wi-SUNって何?Wi-Fiの仲間?」と混乱しがちです。

Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network:ワイサン)とは、一言で言うと

 「920MHz帯の電波を使い、少ない消費電力で長距離のデータ通信を行うIoT向けの無線通信規格」

のことです。

イメージとしては、「町内を走る低速だけど燃費抜群の配達バイク」です。

 

Wi-Fiが「高速だけど届く範囲が限られるスポーツカー」だとすれば、Wi-SUNは速度を抑える代わりに、わずかな電力で数百メートル先まで確実にデータを届ける堅実な配達バイクです。

スマートメーターの検針データのように「少量のデータを広い範囲で集める」用途に最適化されています。

📊 Wi-SUNの基本情報

項目 内容
正式名称 Wireless Smart Utility Network
使用周波数帯 920MHz帯(日本)/サブギガヘルツ帯・2.4GHz帯
ベース規格 IEEE 802.15.4g(物理層)/IEEE 802.15.4e(MAC層)
最大の特徴 マルチホップ通信で500mを超える長距離通信が可能

解説

IoT(Internet of Things)の普及により、工場や農地、道路沿いなど広範囲に設置された大量のセンサーから少量のデータを定期的に集める需要が急増しました。

 

従来のWi-Fi(IEEE 802.11)は高速だが通信距離が短く、LTE / 4Gは広範囲をカバーするが通信コストと消費電力が高い。

この「長距離だけど低速で十分、かつ電池駆動で何年も持つ」という要件を満たすために登場したのがLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる通信方式群であり、Wi-SUNはその代表格です。

▶ Wi-SUNの技術的な仕組み(クリックで展開)

Wi-SUNは日本の情報通信研究機構(NICT)が中心となって開発し、IEEEがIEEE 802.15.4g(物理層)・4e(MAC層)として標準化した技術です。

Wi-SUN Alliance(ワイサンアライアンス)という業界団体が対応機器の相互接続試験と認証を行っています。

 

日本国内では920MHz帯の特定小電力無線を使用します。2.4GHz帯のWi-Fiと比べて周波数が低いため、建物や障害物を回り込んで電波が届きやすく、見通しのよい場所なら1台で約500m先まで通信できます。

さらに、Wi-SUNはマルチホップ通信に対応しています。複数の端末がバケツリレー式にデータを中継することで、単体の通信距離を超えた数km~数十km先の機器までデータを届けることが可能です。仕様上は最大30台を数珠つなぎに中継できます。

 

通信速度は数十kbps~300kbps程度と低速ですが、スマートメーターの検針データやセンサーの計測値といった少量データのやり取りには十分です。

消費電力が極めて小さいため、乾電池駆動で数年間の連続稼働が見込めます。

▶ 他のIoT向け無線規格との比較(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。

Wi-SUNを含むIoT向け無線規格は「何が違うのか」で整理するのが近道です。

規格名 分類 通信距離 特徴
Wi-SUN LPWA(自営網) 500m~(マルチホップで拡張) メッシュ型、双方向通信、スマートメーターに採用
LoRaWAN LPWA(自営網) 数km~十数km スター型、上り中心、広域センサー向け
SIGFOX LPWA(公衆網) 数十km ほぼ上り単方向、極小データ専用
BLE 近距離無線 数十m 2.4GHz帯、ウェアラブル・ビーコン向け
ZigBee 近距離無線 数十m IEEE 802.15.4ベース、メッシュ型、ビル管理向け

Wi-SUNの最大の強みは「マルチホップによる距離の拡張」と「双方向通信」です。

 

SIGFOXは上り方向のみの通信がほとんどで、LoRaWANもスター型で中継機能がありません。

電力インフラのように「下り方向の制御指示も必要で、機器間でデータを中継させたい」用途にはWi-SUNが適しています。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 Wi-SUNの核心を3行で

・920MHz帯で低消費電力・長距離通信を実現するIoT向け無線規格(LPWA)
・マルチホップ通信で500mを超える距離をカバーでき、スマートメーターに広く採用されている
・LoRaWANやSIGFOXと異なり、双方向通信+メッシュ型のネットワーク構成が可能


試験ではこう出る!

Wi-SUNは、単独で定義を問われるよりも「LPWAの特徴」や「IoT向け無線通信の比較」の選択肢・解説に登場するパターンが中心です。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
AP H29秋
午前 問10
LPWAの特徴として適切なものを選ぶ問題。解説中にWi-SUNが代表規格として言及。 ・「省電力+広範囲」がLPWAの特徴
・I2C、WiGig、G3-PLCがひっかけ選択肢
NW R1秋
午前Ⅱ 問15
IoT向け小電力無線の説明で適切なものを選ぶ問題。Wi-SUNのマルチホップ通信が正解。 ・「マルチホップで500m超」がWi-SUNの決め手
・BLEの周波数帯やZigBeeの構成がひっかけ
AP R7秋
午前 問73
H29秋 問10と同一構成のLPWA特徴問題(流用問題)。 ・選択肢の順序が入れ替わっているだけ
・正解の判断基準はH29秋と同一

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「LPWAの特徴を選べ」
Wi-SUNの名前が直接問われるのではなく、LPWAの代表規格として解説に登場する形式。「省電力」「広範囲」「低速で十分」という特徴を押さえていれば正解できる。ひっかけにはI2C(基板上のシリアル通信)やWiGig(60GHz帯の高速近距離通信)が使われる。

 

パターン2:「IoT向け無線通信の説明で正しいものを選べ」
NW R1秋のように、BLE・IEEE 802.11ac・Wi-SUN・ZigBeeの説明が並び、正しいものを選ぶ形式。「マルチホップで500m超」がWi-SUNを特定するキーワードになる。

 

試験ではここまででOKです。Wi-SUNの物理層仕様(IEEE 802.15.4gの詳細)やWi-SUN Allianceの認証プロセスまで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 2.4GHz帯を使用し、数メートル範囲の機器同士をペアリングで接続する低消費電力の近距離無線通信規格である。
  • B. 920MHz帯の電波を使い、マルチホップ通信で500mを超える通信が可能なIoT向けの省電力無線通信規格である。
  • C. 60GHz帯を使用し、4Kや8Kの映像データを数Gbpsの高速で伝送する近距離無線通信規格である。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
Wi-SUNは920MHz帯の省電力無線を使い、マルチホップで500mを超える長距離通信を実現するIoT向け規格です。スマートメーターの検針データ収集などに採用されています。

選択肢AはBLE(Bluetooth Low Energy)の説明です。BLEは2.4GHz帯を使用する近距離通信規格であり、通信距離は数十メートル程度にとどまります。選択肢CはWiGig(IEEE 802.11ad)の説明です。60GHz帯を使う超高速通信であり、IoTセンサー向けの省電力・長距離通信とは正反対の特性を持ちます。


よくある質問(FAQ)

Q. Wi-SUNは日本でしか使えない規格ですか?

国際標準規格です。日本のNICT(情報通信研究機構)が中心となって開発しましたが、IEEEで国際標準化されており、Wi-SUN Allianceには世界250社以上が参加しています。国ごとに使用する周波数帯は異なりますが(日本は920MHz帯、北米は915MHz帯など)、相互接続性はWi-SUN Allianceの認証プログラムによって担保されています。

Q. スマートメーター以外にはどんな場所で使われていますか?

道路照明の遠隔制御、農業用の土壌センサーネットワーク、水道・ガスメーターの自動検針、防災用の河川水位監視など、屋外に多数の機器を広範囲に設置するインフラ分野で採用が進んでいます。東京電力や関西電力の次世代スマートメーターにもWi-SUN FAN(Field Area Network)規格が採用されています。

Q. Wi-SUNとZigBeeは同じIEEE 802.15.4ベースですが何が違いますか?

物理層の規格が異なります。ZigBeeはIEEE 802.15.4(2.4GHz帯中心)をベースにしており、通信距離は数十メートル程度です。Wi-SUNはIEEE 802.15.4gというサブギガヘルツ帯向けの拡張仕様をベースにしているため、通信距離が大幅に長くなっています。用途の面でも、ZigBeeはビル内の空調・照明制御など屋内向け、Wi-SUNはスマートメーターやインフラ監視など屋外広域向けという棲み分けがあります。