対象試験と出題頻度

NFC(Near Field Communication)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

「Bluetooth」「IrDA」「Wi-Fi」など他の無線通信規格との通信距離の比較や、NFCの利用例を正しく選べるかが問われます。

詳細をクリックして確認
対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「NFCって何?FeliCaとは違うの?」と混乱しがちです。

NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)とは、一言で言うと

 「13.56MHzの電波を使い、10cm程度の至近距離でデータ通信を行う国際標準の無線通信規格」

のことです。

イメージとしては、「名刺交換のように、かざすだけで情報をやり取りする仕組み」です。

 

Wi-FiやBluetoothが「離れた相手に声を届けるメガホン」だとすれば、NFCは「隣同士で名刺を差し出す」くらいの距離感です。

通信距離がごく短いからこそ、すれ違いざまに勝手に読み取られるリスクが低く、交通系ICカードやスマホ決済のように「安全にかざすだけ」の用途に適しています。

📊 NFC(近距離無線通信)の基本情報

項目 内容
正式名称 Near Field Communication(ニアフィールドコミュニケーション)
使用周波数帯 13.56MHz(短波帯・HF帯)
通信距離 約10cm(数cm~1m程度)
国際標準規格 ISO/IEC 18092(NFCIP-1)

解説

非接触ICカードは1990年代から普及していましたが、メーカーや地域ごとに通信方式がバラバラでした。日本ではソニーのFeliCa、欧米ではNXPセミコンダクターズ(旧フィリップス)のMIFAREが主流であり、互いに読み取れない状況が続いていました。

この互換性の問題を解決するために、ソニーとNXPが共同で策定した統一規格がNFCです。2003年にISO/IEC 18092として国際標準化され、FeliCaもMIFAREもNFCの枠組みの中に位置づけられました。

▶ NFCの通信の仕組み(クリックで展開)

NFCは電磁誘導方式で通信します。リーダー(読み取り側)のアンテナコイルが13.56MHzの磁界を発生させ、その磁界の中にICカードやスマートフォンのアンテナコイルが入ると、電力と信号が同時に伝わります。

ICカード側は内蔵バッテリーを持たず、リーダーからの磁界で電力を得て動作するパッシブ方式が一般的です。スマートフォン同士の通信では、一方がリーダー、もう一方がカードの役割を担うアクティブ方式も使われます。

最大通信速度は424kbpsです。大量データの転送には向きませんが、決済情報や認証データの送受信には十分な速度です。

▶ RFIDとNFCの関係(クリックで展開)

NFCはRFID(Radio Frequency Identification)の一種です。

RFIDは電波を使ってICタグのデータを非接触で読み書きする技術の総称であり、NFCはその中でも「13.56MHz帯」を使い「双方向通信が可能」な規格に位置づけられます。

 

RFIDにはUHF帯(900MHz帯)を使う物流向けの方式もあり、通信距離が数メートルに及ぶものもあります。

一方、NFCは通信距離を10cm程度に限定することで、意図しない読み取りを防ぎ、決済や認証のようなセキュリティが求められる用途に特化しています。

▶ 他の近距離無線規格との通信距離比較(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。無線規格の通信距離は試験で繰り返し問われるポイントです。

規格名 通信距離 周波数帯 主な用途
NFC 約10cm 13.56MHz ICカード決済、スマホ決済、入退室管理
IrDA 30cm~2m 赤外線 リモコン、旧型携帯のデータ交換
Bluetooth 数m~100m 2.4GHz イヤホン、キーボード、ファイル転送
Wi-Fi 数十m~100m 2.4GHz / 5GHz / 6GHz インターネット接続、動画配信

通信距離の大小関係は「NFC < IrDA < Bluetooth ≒ Wi-Fi」です。NFCは最も距離が短く、これが最大の識別ポイントになります。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 NFCの核心を3行で

・13.56MHzの電波を使い、約10cmの至近距離でデータ通信を行う国際標準規格
・FeliCa(Suica等)やMIFAREはNFCの枠組みに含まれる下位規格
・通信距離は「NFC < IrDA < Bluetooth ≒ Wi-Fi」の順で、NFCが最短


試験ではこう出る!

NFCは、ITパスポートを中心に繰り返し出題されている定番テーマです。出題パターンは大きく3つに分かれます。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
IP H28秋
問90
Bluetooth・IrDA・NFC・Wi-Fiのうち、通信可能な最大距離が最も短いものを選ぶ問題。 ・NFCが最短(約10cm)であることを知っているか
・4規格の通信距離の大小関係
IP H30秋
問66
NFCに関する記述として適切なものを選ぶ問題。 ・「10cm程度の近距離+ICカードの読み書き」が正解
・無線LAN・IrDA・GPSの説明がひっかけ
IP H31春
問93
NFCに準拠した無線通信方式を利用したものを選ぶ問題。 ・「交通系IC乗車券の改札」が正解
・ETC(DSRC)、リモコン(赤外線)、カーナビ(GPS)がひっかけ
IP R7
問56
Bluetoothに追加された省電力仕様を選ぶ問題。NFCは不正解選択肢として登場。 ・BLEが正解。NFCとBLEの違いを区別できるか

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「通信距離が最も短いものを選べ」
NFC・IrDA・Bluetooth・Wi-Fiの4つが並び、通信距離の最短を問う形式。「NFC < IrDA < Bluetooth ≒ Wi-Fi」の順序を覚えていれば即答できる。

 

パターン2:「NFCの説明を選べ」
4つの無線技術の説明文が並び、NFCに該当するものを選ぶ形式。キーワードは「10cm程度」「近距離」「ICカード」「読み書き」。無線LAN(Wi-Fi)やGPS、赤外線(IrDA)の説明がひっかけに使われる。

 

パターン3:「NFCの利用例を選べ」
交通系ICカード、ETC、リモコン、カーナビなどの選択肢から、NFCを使っているものを選ぶ形式。ETCはDSRC(専用狭域通信)、リモコンは赤外線、カーナビはGPSであり、NFCの利用例は「IC乗車券の改札」や「スマホのタッチ決済」。

 

試験ではここまででOKです。NFC内部の通信プロトコル(NFC-A/B/Fの違い)やISO規格番号の詳細まで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. NFC(Near Field Communication)に関する記述として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 2.4GHz帯を使用し、数メートルから最大100メートル程度の範囲で機器同士を接続する無線通信規格であり、イヤホンやキーボードの接続に利用されている。
  • B. 複数の人工衛星からの電波を受信して現在地を測定する仕組みであり、カーナビゲーションやスマートフォンの地図アプリに利用されている。
  • C. 13.56MHzの電波を使い、10cm程度の至近距離で通信を行う国際標準規格であり、交通系ICカードやスマートフォンのタッチ決済に利用されている。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
NFCは13.56MHzの電波を用い、約10cmの至近距離でICカードやスマートフォンとの間でデータ通信を行う国際標準規格です。SuicaやPASMOなどの交通系ICカードやスマホのタッチ決済が代表的な利用例です。

選択肢AはBluetooth(ブルートゥース)の説明です。2.4GHz帯を使用し、通信距離は数メートルから最大100m程度と、NFCよりはるかに広範囲です。選択肢BはGPS(Global Positioning System)の説明です。衛星からの電波による位置測定技術であり、データ通信規格ではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. NFCとFeliCaは何が違いますか?

FeliCaはNFCの下位規格の一つです。NFC規格にはNFC-A(MIFAREベース)、NFC-B(ISO/IEC 14443 Type B)、NFC-F(FeliCaベース)の3種類の通信方式が含まれています。日本の交通系ICカード(Suica・PASMOなど)やおサイフケータイはNFC-F(FeliCa)を使っています。海外のクレジットカードのタッチ決済はNFC-AやNFC-Bが主流です。

Q. ETCの通信方式はNFCではないのですか?

ETCはNFCではありません。ETCはDSRC(Dedicated Short Range Communications:専用狭域通信)という5.8GHz帯の無線通信方式を使っています。通信距離は数メートルから30m程度であり、時速100km以上で走行する車両と料金所アンテナの間で瞬時にデータをやり取りします。NFCの通信距離(約10cm)では高速走行中の課金処理は不可能なため、用途が根本的に異なります。

Q. NFCで通信距離が短いことはデメリットではないのですか?

決済や認証の用途ではメリットです。通信距離が10cm程度しかないため、端末を意図的にかざさない限り通信が成立しません。離れた場所から勝手にデータを読み取られるリスクが極めて低く、暗号化と組み合わせることで安全性の高い取引を実現しています。逆に、広範囲のデータ収集にはBluetoothやWi-Fiのほうが適しており、用途に応じた使い分けがされています。