対象試験と出題頻度

ルーティング(静的/動的)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

ルータの経路制御機能そのものを問う問題に加え、RIPやOSPFといったルーティングプロトコルの特徴を比較させる問題が繰り返し出されています。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「ルーティングって結局何をしているの?静的と動的で何が変わるの?」と混乱しがちです。

ルーティング(Routing:経路制御)とは、一言で言うと

 「ネットワーク上でパケットを宛先まで届けるために、最適な転送経路を選択する仕組み」

のことです。

イメージとしては、「カーナビの経路案内」です。

 

目的地(宛先IPアドレス)を入力すると、カーナビ(ルータ)が地図(ルーティングテーブル)を見て「この道を通れば最短で着く」と案内してくれます。

この地図を人間が手入力するのが静的ルーティング、カーナビ同士が交通情報を交換して自動更新するのが動的ルーティングです。

📊 ルーティングの基本情報

項目 内容
英語名 Routing(route=経路)
日本語名 経路制御(経路選択とも呼ばれる)
2つの方式 静的ルーティング(スタティック)/動的ルーティング(ダイナミック)
使用するテーブル ルーティングテーブル(経路表)

詳細解説

ネットワーク上には無数の経路が存在します。

パケットが宛先に届くには「どのルータを経由し、どのインタフェースから送り出すか」を一つ一つ決定する必要があります。

この判断の拠りどころとなるのがルーティングテーブルであり、テーブルの作り方が静的と動的の2種類に分かれます。

 

静的ルーティング(スタティックルーティング)

ネットワーク管理者がルータに対して手動で経路情報を登録する方式です。「宛先ネットワーク192.168.2.0/24へのパケットは、次のルータ10.0.0.1へ転送する」といった具合に、1件ずつ設定します。

 

小規模ネットワークや、経路が変わらない環境に向いています。設定内容が明確なため、意図しない経路変更が起きないという利点がある一方、ネットワーク構成が変われば管理者が手動で修正しなければなりません。

 

なお、宛先が見つからないパケットをすべて特定のルータへ送る設定を「デフォルトルート」と呼びます。これも静的ルーティングの一種です。

 

動的ルーティング(ダイナミックルーティング)

ルータ同士がルーティングプロトコルを使って経路情報を自動的に交換し、ルーティングテーブルを更新する方式です。

回線障害やネットワーク構成の変更があっても、ルータ同士が自動で情報を共有して迂回路を計算し直します。

 

中~大規模ネットワークでは経路を手動で管理しきれないため、動的ルーティングが不可欠です。ただし、経路情報の交換に帯域やCPUリソースを消費するというトレードオフがあります。

 

▶ 静的ルーティングと動的ルーティングの比較表(クリックで展開)
比較項目 静的ルーティング 動的ルーティング
設定方法 管理者が手動で登録 ルータ同士がプロトコルで自動交換
障害時の対応 管理者が手動で経路を修正 自動で迂回路に切り替え
適する規模 小規模・経路変更が少ない環境 中~大規模・経路変更が多い環境
リソース消費 経路交換がないため低い 経路情報の交換に帯域・CPUを使う
代表例 デフォルトルート RIP、OSPF、BGP
▶ 代表的なルーティングプロトコル:RIPとOSPF(クリックで展開)

動的ルーティングで使われるプロトコルは複数ありますが、IPA試験で問われるのは主にRIPとOSPFの2つです。

RIP(Routing Information Protocol)は、ディスタンスベクタ型のプロトコルです。

宛先までに経由するルータの数(ホップ数)をメトリック(経路の良し悪しを判断する指標)として使い、ホップ数が最も少ない経路を選択します。最大ホップ数は15で、16以上は到達不能と判定されるため、大規模ネットワークには不向きです。

 

OSPF(Open Shortest Path First)は、リンクステート型のプロトコルです。

回線の帯域幅をもとにコスト値を計算し、コストの合計が最小の経路を最短経路として選択します。ネットワークを「エリア」という単位に分割できるため、大規模環境にも対応できます。

 

プロトコル 分類 メトリック 特徴
RIP ディスタンスベクタ型 ホップ数(最大15) 設定が簡単。小規模向け
OSPF リンクステート型 コスト(帯域幅ベース) エリア分割可能。中~大規模向け

ここだけは確実に押さえてください。「RIP=ホップ数で判断」「OSPF=コスト(帯域幅)で判断」という対比です。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 ルーティングの核心を3行で

・パケットを宛先ネットワークへ届けるためにルーティングテーブルを参照して最適経路を選択する仕組み
・静的ルーティングは管理者が手動設定、動的ルーティングはルータ同士がプロトコルで自動交換
・RIPはホップ数ベース(小規模向け)、OSPFはコストベース(大規模向け)と整理する


試験ではこう出る!

ルーティングは、ルータの機能やプロトコルの比較問題として各試験区分で繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく3つに分かれます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
IP H29秋
問78
ルータがもつルーティング機能の説明として適切なものを選ぶ問題。 ・「異なるネットワークを相互接続し、最適な経路を選んでパケットの中継を行う」が正解
・MDM、メディアコンバータ、DNSの説明がひっかけ
FE H29春
午前 問33
ルータがパケットの経路決定に用いる情報として最も適切なものを選ぶ問題。 ・正解は「宛先IPアドレス」
・宛先MACアドレス、発信元IPアドレス等がひっかけ
・H22秋 問36、H17春 問57でも同一問題
AP H27秋
午後 問5
OSPFによる経路制御とルーティングテーブルの読み取りを問う記述問題。 ・OSPFのコスト計算とルーティングテーブルの更新を具体的に読み取る問題
・応用情報の午後ではルーティングの実践的理解が必要

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「ルーティング機能の説明を選べ」
ルータのルーティング機能に該当する説明文を選ばせる定義問題。IPでもFEでも出題される定番形式。「異なるネットワーク」「最適な経路」「パケットの中継」が正解キーワード。

 

パターン2:「経路決定に用いる情報は何か」
ルータが参照する情報を選ばせる形式。正解は「宛先IPアドレス」。MACアドレスを選ばせるひっかけが定番。

 

パターン3:「RIPとOSPFの違いを選べ」(応用情報)
ルーティングプロトコルの特徴を比較させる形式。「ホップ数=RIP」「リンクステート型・コスト=OSPF」を区別できれば得点できる。R5秋 AP 午前 問35でもマルチキャストとルーティングプロトコルの関連が出題された。

 

ITパスポート・基本情報では「ルータの役割=経路選択」を押さえれば十分です。RIP・OSPFの詳細は応用情報で出るので、受験区分に合わせて深追い不要の線引きをしてください。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ルーティングに関する説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 受信したフレームのMACアドレスを参照し、該当するポートだけにデータを転送する機能。
  • B. 伝送中に減衰した電気信号を増幅・整形し、伝送距離を延長する機能。
  • C. パケットの宛先IPアドレスとルーティングテーブルを照合し、異なるネットワーク間で最適な経路を選択して中継する機能。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
ルーティングとは、パケットの宛先IPアドレスをもとにルーティングテーブルを参照し、異なるネットワーク間で最適な転送経路を選択する仕組みです。

選択肢Aはブリッジ(スイッチングハブ / L2スイッチ)のフレーム転送機能の説明です。データリンク層で動作し、MACアドレスをもとに転送先ポートを決定する仕組みであり、ネットワーク層の経路選択は行いません。選択肢Bはリピータ(リピータハブ)の信号増幅機能の説明です。物理層で動作し、アドレス情報は一切参照しません。


よくある質問(FAQ)

Q. 静的ルーティングと動的ルーティングは実務ではどう使い分けますか?

実務では両方を併用するのが一般的です。インターネット接続口のような「出口が1つしかない」箇所にはデフォルトルートで静的設定し、社内のコアネットワークのように経路が複雑で障害時に迂回が必要な箇所にはOSPFで動的に管理する、という役割分担がよく見られます。

Q. RIPとOSPF以外にもルーティングプロトコルはありますか?

あります。インターネット上でAS(自律システム)間の経路を交換するBGP-4(Border Gateway Protocol version 4)が代表的です。RIPやOSPFはAS内部(IGP:Interior Gateway Protocol)で使われるのに対し、BGPはAS間(EGP:Exterior Gateway Protocol)で使われます。IPA試験では「RIP・OSPF=IGP」「BGP=EGP」という分類を押さえておけば十分です。

Q. 「ルーティングテーブル」はどこに保存されていますか?

ルータ本体のメモリ(RAM)上に保持されています。静的ルーティングの場合はルータの設定ファイル(不揮発性メモリ)にも書き込まれるため、再起動しても消えません。動的ルーティングの場合はプロトコルの動作によってRAM上で常に更新されるため、ルータを再起動するとプロトコルが再収束するまで一時的にテーブルが不完全になります。

Q. L3スイッチもルーティングを行いますか?

行います。L3スイッチ(レイヤ3スイッチ)はルータと同じネットワーク層で動作し、ルーティングテーブルに基づいてパケットを転送します。ルータとの違いは、L3スイッチが専用ハードウェア(ASIC)で高速に転送処理を行う点です。LAN内部のネットワーク間接続にはL3スイッチ、WAN接続にはルータという使い分けが一般的です。