対象試験と出題頻度
RIP(Routing Information Protocol)は、応用情報技術者で出題されるテーマです。
ルータの経路制御に関する問題の選択肢としてRIPの説明が登場するほか、OSPFとの比較問題で「ディスタンスベクタ型かリンクステート型か」を区別できるかが問われます。
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応用情報技術者
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える
用語の定義
応用情報技術者の勉強をしていると、「RIPとOSPFってどっちがどっち?」と混同しがちです。
RIP(Routing Information Protocol)とは、一言で言うと
「宛先までに経由するルータの数(ホップ数)を基準に、最短経路を選択するルーティングプロトコル」
のことです。
イメージとしては、「乗り換え回数が一番少ない電車ルートを選ぶ乗客」です。
目的地へ向かうルートが複数あるとき、各駅停車の所要時間や混雑状況は無視して、とにかく「乗り換え回数が少ないルート」を選ぶ。これがRIPの考え方です。
📊 RIPの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Routing Information Protocol |
| 分類 | ディスタンスベクタ型(距離ベクトル型) |
| メトリック | ホップ数(経由するルータの数) |
| 最大ホップ数 | 15(16以上は到達不能と判定) |
解説
ネットワーク上でパケットを宛先まで届けるには、ルータがルーティングテーブルを使って次の転送先を決定します。
このテーブルをルータ同士で自動的に交換・更新するのが動的ルーティングであり、RIPはその代表的なプロトコルです。
▶ RIPの動作の仕組み(クリックで展開)
RIPでは、各ルータが自身の知っている経路情報(宛先ネットワークとそこまでのホップ数)を、隣接するルータに30秒ごとにブロードキャスト(RIP-2ではマルチキャスト)で送信します。
受信側のルータは、受け取ったホップ数に1を加算し、自分が既に持っている経路と比較して、より少ないホップ数の経路を採用します。この繰り返しにより、ネットワーク全体の経路情報が収束していきます。
ただし、ホップ数が16以上になると「到達不能」と判定されます。この制限により、RIPが扱えるネットワーク規模は最大15台のルータを経由する範囲に限られます。
▶ RIPの弱点と限界(クリックで展開)
RIPはホップ数だけで経路を判断するため、回線の帯域幅を考慮しません。
たとえば、1Gbpsの回線を3台経由する経路と、10Mbpsの回線を2台経由する経路があった場合、RIPはホップ数の少ない後者(10Mbps×2ホップ)を選択します。実際には前者のほうが高速にデータを転送できるにもかかわらず、です。
また、ネットワーク障害が発生したとき、経路情報の収束に時間がかかる(コンバージェンスが遅い)という問題もあります。
障害発生後、誤った経路情報がルータ間で繰り返し交換される「カウントトゥインフィニティ」と呼ばれる現象が起きる場合があり、スプリットホライズンやポイズンリバースといった対策技術が併用されます。
▶ OSPFとの比較(クリックで展開)
RIPと対比されるプロトコルがOSPF(Open Shortest Path First)です。
両者の決定的な違いは「何を基準に経路を選ぶか」と「経路情報の管理方法」の2点です。
| 比較項目 | RIP | OSPF |
|---|---|---|
| アルゴリズム分類 | ディスタンスベクタ型 | リンクステート型 |
| メトリック | ホップ数 | コスト(帯域幅ベース) |
| 経路情報の共有 | 隣接ルータに定期送信(30秒間隔) | リンク状態の変化時にエリア内で共有 |
| 適する規模 | 小規模(最大15ホップ) | 中~大規模(エリア分割で拡張可能) |
| 収束速度 | 遅い | 速い |
「RIP=ホップ数=ディスタンスベクタ型」「OSPF=コスト=リンクステート型」。
この対応が整理できていれば混同しません。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 RIPの核心を3行で
・経由するルータの数(ホップ数)をメトリックとして最短経路を選ぶディスタンスベクタ型プロトコル
・最大ホップ数は15。16以上は到達不能となるため、大規模ネットワークには不向き
・OSPFはコスト(帯域幅)ベースのリンクステート型。「ホップ数=RIP」「コスト=OSPF」で区別する
試験ではこう出る!
RIPは、プロトコルの説明を選ばせる問題やOSPFとの比較問題の中で繰り返し登場しています。RIP単体を正面から問う出題は少なく、ARP・DHCP・ICMPなど他のプロトコルとの識別問題で選択肢の一つとして現れるパターンが中心です。
📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| AP H28秋 午前 問32 |
ARPの説明を選ぶ問題。不正解選択肢として「ゲートウェイ間のホップ数によって経路を制御するプロトコル」が登場。 | ・RIPの説明文を「ARPではない」と正しく除外できるか ・H24春 問33、R3秋 問32でも同一問題が流用 |
| AP R5秋 午前 問35 |
マルチキャストの使用例を選ぶ問題。「ルータがRIP-2を使用して隣接ルータに経路更新情報を送信する」が正解。 | ・RIP-2がマルチキャストで経路情報を送る点を知っているか ・DHCP(ブロードキャスト)やARP(ブロードキャスト)との区別 |
| AP H27秋 午後 問5 |
ルーティングテーブルの読み取りと経路制御を問う記述問題。OSPFが中心だが、RIPとの対比知識が前提。 | ・午後問題ではOSPFのコスト計算が求められるが、RIPとの違いを理解していることが解答の土台になる |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「プロトコルの説明を選べ」
ARP・ICMP・DHCP・RIPなど複数プロトコルの説明文が並び、設問で指定されたプロトコルを選ぶ形式。RIPは「ゲートウェイ間のホップ数によって経路を制御するプロトコル」という表現で登場する。この定型文を覚えておけば選択肢の消去に使える。
パターン2:「RIP-2 / OSPFの特徴の違いを問う」
ネットワークスペシャリストの午前Ⅱからの流用で応用情報でも出題される可能性がある。「リンク状態のデータベースを使用している」はOSPFだけの特徴。RIP-2は距離ベクトル型であり、この区別が問われる。
試験ではここまででOKです。カウントトゥインフィニティやスプリットホライズンの詳細はネットワークスペシャリスト範囲なので、応用情報では深追い不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. RIP(Routing Information Protocol)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 回線の帯域幅をもとにコスト値を計算し、コストの合計が最小となる経路を最短経路として選択するリンクステート型のプロトコル。
- B. AS(自律システム)間で経路情報を交換し、ASパスの長さや属性をもとに最適経路を選択するパスベクトル型のプロトコル。
- C. 宛先までに経由するルータの数(ホップ数)をメトリックとして使い、ホップ数が最小の経路を選択するディスタンスベクタ型のプロトコル。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
RIPは、宛先までに経由するルータの数(ホップ数)を基準に最短経路を選択するディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルです。最大ホップ数は15で、16以上は到達不能と判定されます。
選択肢AはOSPF(Open Shortest Path First)の説明です。コスト値をメトリックに使い、リンク状態のデータベースで経路を管理するリンクステート型プロトコルであり、ホップ数は使いません。選択肢BはBGP-4(Border Gateway Protocol version 4)の説明です。AS間の経路制御に特化したプロトコルであり、AS内部で使われるRIPとは適用範囲が異なります。
よくある質問(FAQ)
Q. RIPとRIP-2は何が違いますか?
RIP-2はRIP(RIP-1)の改良版です。主な違いは3つあります。RIP-1がクラスフルアドレスしか扱えないのに対し、RIP-2はサブネットマスク情報を経路情報に含めるためクラスレスアドレス(CIDR)に対応しています。また、RIP-1がブロードキャストで経路情報を送信するのに対し、RIP-2はマルチキャスト(224.0.0.9)を使用するため不要なホストへの負荷が減ります。さらにRIP-2は認証機能をサポートしており、不正な経路情報の注入を防ぐことができます。
Q. RIPは現在の実務でも使われていますか?
大規模ネットワークではほぼ使われていません。帯域幅を考慮できない点とコンバージェンスの遅さから、OSPFやEIGRP(シスコ独自プロトコル)に置き換えられています。ただし、小規模なネットワークや検証環境では設定が簡単なため今でも利用されるケースがあります。
Q. 「カウントトゥインフィニティ」とは何ですか?
ネットワーク障害が発生した際、到達不能になった宛先のホップ数がルータ間でじわじわ加算され続け、最終的に上限(16)に達するまで誤った経路情報が循環する現象です。この間、パケットがルータ間でループし続けるため通信に支障が出ます。RIPではスプリットホライズン(経路を学習した方向には同じ経路を広告しない)やポイズンリバース(到達不能になった経路をホップ数16で即座に広告する)で対策します。応用情報技術者では名前を知っていれば十分で、仕組みの詳細はネットワークスペシャリスト範囲です。