対象試験と出題頻度

FTTH(Fiber To The Home)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

「FTTHの説明として適切なものを選べ」という定義問題から、FTTHの実効速度を前提にした帯域計算問題まで幅広く登場しており、「ADSL」や「CATV」との違いを正確に区別できるかがポイントになります。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「FTTHって何の略?ADSLと何が違うの?」と混乱しがちです。

FTTH(Fiber To The Home)とは、一言で言うと

 「光ファイバを伝送路として一般家庭まで直接引き込む、アクセス回線の構成方式」

のことです。

イメージとしては、「水道管を家の蛇口まで太いパイプのまま直結すること」です。

 

ADSLが既存の細い電話線(メタル回線)を無理やり使い回していたのに対し、FTTHは最初から大容量に設計された光ファイバを家まで引き込みます。

パイプが太いので、大量のデータを高速かつ安定して流せます。

📊 FTTHの基本情報

項目 内容
正式名称 Fiber To The Home(ファイバ・トゥ・ザ・ホーム)
伝送媒体 光ファイバ
通信速度 100Mbps〜10Gbps(ベストエフォート型)
上り・下り 対称型(上り下り同速度が一般的)
最大の特徴 距離による伝送損失が極めて小さく、ノイズ耐性が高い

解説

インターネットを利用するには、通信事業者の設備と自宅を結ぶ「アクセス回線(ラストワンマイル)」が必要です。

 

かつてはアナログ電話線を流用するADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)が主流でしたが、電話局からの距離が離れるほど速度が落ちる弱点がありました。

FTTHはこの問題を根本から解決するために、光ファイバを家庭まで直接敷設する方式として普及しました。

 

FTTHが安定・高速な理由

光ファイバはガラスやプラスチックの繊維を通じて光信号でデータを伝送します。電気信号を使うメタル回線と異なり、電磁波の干渉を受けないため外部ノイズに強く、距離による信号劣化も極めて小さいのが特徴です。

 

商用サービスでは1本の光ファイバを複数世帯で共有するPON(Passive Optical Network)方式が一般的で、光スプリッタという受動素子で分岐します。

共有型のため実効速度は公称値より低くなりますが、ADSLとは比較にならない帯域を確保できます。

▶ FTTHと他のアクセス回線の比較(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。試験ではFTTHの説明文をADSLやCATVの説明とすり替えるひっかけが定番です。

方式 伝送媒体 特徴 識別キーワード
FTTH 光ファイバ 高速・安定、距離の影響が少ない 「光ファイバ」「家庭まで」
ADSL 電話線(メタル回線) 上り下り非対称、距離で速度低下 「電話線」「非対称」
CATV 同軸ケーブル(+光ファイバ) テレビ放送網を流用 「同軸ケーブル」「テレビ」

最大の区別ポイントは「何を伝送媒体にしているか」です。

光ファイバ=FTTH、電話線=ADSL、同軸ケーブル=CATVと対応づければ、選択肢を即座に判別できます。

▶ FTTxファミリー ― FTTHの派生語(クリックで展開)

光ファイバをどこまで引き込むかによって呼び方が変わります。総称して「FTTx」と呼びます。

FTTH(Fiber To The Home):各家庭まで光ファイバを直接引き込む。最も帯域が広い。

 

FTTB(Fiber To The Building):建物の共用部まで光ファイバを引き込み、各戸にはVDSLやLANで配線する。

 

FTTC(Fiber To The Curb):道路脇の集線装置まで光ファイバを引き込み、各戸には既存のメタル回線で接続する。

 

試験ではFTTH以外のFTTx派生語が問われることはほぼないので、「FTTHは家まで光ファイバを引き込む」だけ覚えれば十分です。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 FTTHの核心を3行で

・光ファイバを一般家庭まで直接引き込むアクセス回線の方式
・ADSLは電話線で距離に弱い、FTTHは光ファイバで距離の影響が少なく安定
・試験では定義問題と帯域計算問題の2パターンで出題される


試験ではこう出る!

FTTHは、ITパスポートでは定義を問う知識問題として、基本情報・応用情報ではFTTHの実効速度を前提にした帯域計算問題として、繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
IP H29春
問68
FTTHの説明として適切なものを選ぶ問題。 ・正解は「光ファイバを使った家庭向けの通信サービスの形態」
・Wi-Fi、ADSL、FTPの説明がひっかけ選択肢
IP H21秋
問77
H29春 問68と同趣旨のFTTH定義問題。 ・ITパスポートでは定義問題が繰り返し出題される典型例
FE H22秋
午前 問38
FTTHでインターネット接続するシステム構成で、1個のグローバルIPで複数PCを接続するために必要な装置の機能を選ぶ問題。 ・正解はNAPT(IPマスカレード)
・DHCP、PPPoEがひっかけ選択肢
AP H28春
午前 問32
FTTHの実効速度90Mbps、LAN伝送効率80%の条件で540MBのファイルダウンロード時間を算出する問題。 ・ボトルネック(LANの80Mbps)で計算する
・Mビットとバイトの単位変換が鍵

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「FTTHの説明を選べ」(ITパスポート)
4つの通信技術の説明文が並び、FTTHに該当するものを選ぶ形式。ひっかけ選択肢としてADSL(「電話線を使った高速通信」)やWi-Fi(「無線通信のブランド名」)が紛れ込む。「光ファイバ」「家庭まで」のキーワードが含まれる選択肢を選べば正解。

 

パターン2:「帯域計算」(基本情報・応用情報)
FTTHとLANの実効速度が与えられ、ファイルのダウンロード時間を求める問題。手順は3つ。①FTTHとLANの実効速度を比較してボトルネックを特定する。②ファイルサイズをビット単位に変換する(×8)。③ファイルサイズ÷ボトルネックの速度で時間を算出する。

 

試験ではここまででOKです。PONの種類(GE-PON、G-PONなど)やFTTx派生語の詳細まで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. FTTH(Fiber To The Home)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 既存のアナログ電話線を利用し、音声通話で使わない高周波帯域にデータを乗せることで高速デジタル通信を実現する技術。
  • B. ケーブルテレビの同軸ケーブル網を利用して、テレビ放送と併用する形でインターネット接続を提供するサービス。
  • C. 光ファイバを伝送路として一般家庭まで直接引き込み、高速かつ安定したデータ通信を提供するアクセス回線の構成方式。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
FTTHは「Fiber To The Home」の略称で、光ファイバを一般家庭まで直接引き込むアクセス回線の構成方式です。IP H29春 問68でもこの定義が正解選択肢として出題されています。

選択肢AはADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)の説明です。電話線の空き周波数帯域を利用する技術であり、伝送媒体は光ファイバではなくメタル回線です。選択肢BはCATVインターネットの説明です。テレビ放送用の同軸ケーブルを流用するサービスであり、FTTHとは伝送媒体が異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. FTTHの「実効速度」と「公称速度」は何が違いますか?

公称速度は理論上の最大値(例:1Gbps)であり、実際にユーザーが体感する速度ではありません。FTTHの多くはベストエフォート型のサービスで、1本の光ファイバを複数世帯で共有するため、利用者が集中する時間帯には公称値を大きく下回ります。試験の帯域計算問題では「FTTHの実効速度が○○Mbps」と問題文に明示されるため、公称値と混同する心配はありません。

Q. 帯域計算問題でよくあるミスは何ですか?

最も多いミスは「ボトルネックの見落とし」です。FTTHとLANの2区間がある場合、速度が遅い方がシステム全体のボトルネックになります。AP H28春 問32では、FTTHが90Mbps、LANが100Mbps×伝送効率80%=80Mbpsなので、LANの80Mbpsで計算するのが正解です。もう1つの頻出ミスは「バイトとビットの変換忘れ」で、ファイルサイズ(バイト)を8倍してビットに揃える操作を忘れると答えが合いません。

Q. ADSLはもう使われていないのですか?

日本国内ではNTT東西が2023〜2025年にかけてフレッツ・ADSLのサービスを順次終了しており、新規申込は既に受付停止となっています。ADSLの基盤であるメタル回線(PSTN)自体がIP網へ移行する計画が進んでいるため、今後はFTTHやモバイル回線が主流です。ただし、IPA試験ではADSLとFTTHの違いを問う問題が依然として出題されるため、試験対策としては両者の特徴を整理しておく必要があります。