対象試験と出題頻度

PPPoEは、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるネットワーク分野のテーマです。

通信プロトコルの比較問題として定番化しており、ベースとなる「PPP」やVPN関連の「PPTP」「MPLS」との違いを正確に区別できるかが問われます。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「PPPoEって何?PPPと何が違うの?」と混乱しがちです。

PPPoE(PPP over Ethernet)とは、一言で言うと

 「電話回線向けに作られたPPPの認証・接続機能を、イーサネット(LAN)上で利用できるようにしたプロトコル」

のことです。

イメージとしては、「高速道路の料金所ゲート」です。

 

一般道(電話回線)にしかなかった料金所(PPPの認証機能)を、高速道路(イーサネット)にも設置した仕組み。ユーザ名とパスワードで通行証をチェックしてからインターネットに通してくれる。それがPPPoEの役割です。

📊 PPPoEの基本情報

項目 内容
正式名称 PPP over Ethernet(ピーピーピーオーバーイーサネット)
技術規格 RFC 2516
ベースとなるプロトコル PPP(Point-to-Point Protocol)
主な用途 FTTH・ADSLでのISP接続時のユーザ認証とIPアドレス割り当て

解説

インターネット黎明期、個人ユーザはモデムと電話回線を使ったダイヤルアップ接続でISP(インターネットサービスプロバイダ)につないでいました。

このとき、ユーザ認証やIPアドレスの動的割り当てを担っていたのがPPP(Point-to-Point Protocol)です。

 

やがてADSLやFTTHといったブロードバンド回線が普及し、接続経路がイーサネットベースに変わりました。しかし、ISPがユーザを識別して課金するにはPPPの認証機能が依然として必要です。

そこで、PPPのフレームをイーサネットフレームの中にカプセル化して運ぶ方式としてPPPoEが登場しました。

▶ PPPoEの接続手順(クリックで展開)

PPPoEの接続は「ディスカバリ段階」と「セッション段階」の2段階で進みます。

ディスカバリ段階では、ブロードバンドルータ(またはPC)がイーサネット上にブロードキャストを送信し、対応するISP側のアクセスコンセントレータ(PPPoEサーバ)を探索します。応答を受け取ると、両者の間にセッションIDが割り振られます。

 

セッション段階では、確立したセッション上でPPPのフレームがやり取りされます。ここでユーザ名とパスワードによる認証が行われ、認証が通るとISPからグローバルIPアドレスが動的に割り当てられます。

以降のデータ通信はすべてこのPPPoEセッションを通じて行われます。

▶ 混同しやすいプロトコルとの違い(クリックで展開)

ここだけは確実に押さえてください。

PPPoEと名前が紛らわしいプロトコルが3つあります。

プロトコル 役割 覚え方のポイント
PPP 2点間を接続しデータ通信を行う。ユーザ認証(CHAP/PAP)・リンク制御(LCP)・IPアドレス割り当て(NCP)を備える シリアル回線(電話回線)用の本家
PPPoE PPPのフレームをイーサネットフレームにカプセル化して運ぶ PPPを「LAN上」で使うための拡張
PPTP PPPパケットをIPパケットでトンネリングし、VPN接続を実現する PPPを「VPN」で使うための拡張
MPLS ラベルを用いてパケットを高速転送する。IP-VPNで使用される PPP系ではなく「ラベルスイッチング」技術

最大の区別ポイントは「PPPをどこで動かすか」です。

 

シリアル回線ならPPP、イーサネットならPPPoE、VPNトンネルならPPTPと整理すれば混同しなくなります。MPLSはPPPとは無関係のラベル転送技術なので、名前の類似に惑わされないでください。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 PPPoEの核心を3行で

・PPP(電話回線向けの認証・接続プロトコル)をイーサネット上で利用可能にした拡張プロトコル
・ブロードバンドルータからISPへ接続する際のユーザ認証とIPアドレス割り当てに使われる
・PPPは「シリアル回線」、PPPoEは「LAN」、PPTPは「VPN」と動作する場所で整理する


試験ではこう出る!

PPPoEは、通信プロトコルの機能を問う選択問題の中で繰り返し出題されています。

出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績(クリックして表示)
試験回 出題内容 問われたポイント
AP R4春
午前 問32
シリアル回線で使用するものと同じデータリンクのコネクション確立やデータ転送を、LAN上で実現するプロトコルを選ぶ問題。 ・「シリアル回線と同じ機能をLAN上で」=PPPoE
・PPP・PPTP・MPLSがひっかけ選択肢
AP H29春
午前 問33
WANを介して2ノードをダイヤルアップ接続するとき使用されるプロトコルで、リンク制御やエラー処理機能をもつものを選ぶ問題。 ・正解はPPP(PPPoEではない)
・PPPoEはひっかけではなく選択肢に不在だが、PPPとの違いの理解が前提
FE R01秋
午前 問33
ONU経由のネットワーク構成図で、1つのグローバルIPアドレスで複数PCをインターネット接続するための機能を選ぶ問題。 ・正解はNAPT
・PPPoEは不正解の選択肢として登場

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「PPPoEの説明を選べ」
PPP・PPPoE・PPTP・MPLSなど似た名称のプロトコルが選択肢に並び、PPPoEの機能を正しく選ばせる形式。キーワードは「イーサネット上でPPPを実現」「LAN上でコネクション確立」。R4春 AP 問32がこの典型。

 

パターン2:「PPPoEを不正解の選択肢として識別する」
NAPTやDHCPなど別のプロトコルが正解で、PPPoEは誤りの選択肢として紛れ込むパターン。PPPoEが「ユーザ認証と接続確立」のプロトコルであり、IPアドレス変換や自動割り当てとは役割が異なると判断できれば消去できる。

 

試験ではここまででOKです。「PPPをイーサネット上で使う=PPPoE」「PPPをVPNで使う=PPTP」という対比を押さえれば得点できます。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. シリアル回線で使用するものと同じデータリンクのコネクション確立やデータ転送を、LAN上で実現するプロトコルはどれでしょうか?

  • A. PPPのフレームをイーサネットフレームにカプセル化し、LAN上でユーザ認証やIPアドレスの動的割り当てを行うPPPoE。
  • B. ラベルと呼ばれる短い識別子をパケットに付与し、IPルーティングより高速にパケットを転送するMPLS。
  • C. PPPのパケットをIPパケットでトンネリングし、インターネット経由でVPN接続を実現するPPTP。

正解と解説を見る

正解:A

解説:
PPPoE(PPP over Ethernet)は、シリアル回線向けのPPPが持つ認証・接続確立の機能を、イーサネット上で実現するプロトコルです。「LAN上でPPPのコネクション確立を行う」という問題文の条件に合致します。

選択肢BのMPLSは、ラベルスイッチングによるパケット高速転送技術であり、PPPの機能をLAN上で再現するものではありません。IP-VPNの基盤技術として使われます。選択肢CのPPTPは、PPPパケットをIPパケットでトンネリングするVPNプロトコルです。LAN上でのコネクション確立ではなく、インターネット経由の仮想私設網の構築が目的です。


よくある質問(FAQ)

Q. PPPoE方式とIPoE方式は何が違いますか?

PPPoE方式はユーザ名・パスワードによる認証を経てISPに接続する従来型の方式です。一方、IPoE(IP over Ethernet)方式は認証手続きを省略し、回線自体の契約情報でユーザを識別するため、PPPoEのようなセッション確立が不要になります。IPoE方式は網終端装置を経由しないルートでインターネットに接続できるため、混雑の影響を受けにくく、近年のIPv6接続サービス(v6プラスなど)で採用が進んでいます。

Q. PPPoEでは認証に何が使われますか?

PPP側の認証プロトコルであるCHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol)またはPAP(Password Authentication Protocol)が使われます。CHAPはチャレンジレスポンス方式でパスワードを暗号化して送信するため、PAPよりも安全性が高く、実際のISP接続ではCHAPが主流です。

Q. PPPoEにはデメリットはありますか?

あります。PPPoEセッションはISP側の網終端装置(BAS: Broadband Access Server)を経由するため、利用者が集中する時間帯にボトルネックが発生しやすい点が最大のデメリットです。また、PPPoEのヘッダ分だけMTU(最大転送単位)がイーサネットの標準1500バイトより小さくなり(通常1454バイト)、パケットの分割(フラグメンテーション)が起きやすくなります。