キャパシティプランニングは、基本情報技術者・応用情報技術者の午前問題で「作業手順の並べ替え」や「目的を選ばせる」形式で繰り返し出題されているテーマです。

対象試験と出題頻度

キャパシティプランニングは、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

午前問題で「4つの作業を正しい順番に並べ替える」パターンが定番化しており、パフォーマンスチューニングとの目的の違いを正確に区別できるかが問われます。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「キャパシティプランニングって、チューニングとどう違うの?」と混乱しがちです。

キャパシティプランニング(Capacity Planning)とは、一言で言うと

 「将来の負荷増加を見据えて、システムのリソースを計画的に確保するプロセス

のことです。

イメージとしては、飲食店の席数計画です。

新しいオフィスビルが近くに建つと分かったら、来店客の増加を予測して、席を増やすか2号店を出すか検討します。今の客数だけ見て満足していると、半年後にはランチタイムに行列ができてお客を逃すことになります。

キャパシティプランニングも同じで、「今は大丈夫」ではなく「将来も大丈夫か」を先回りして計画する活動です。

📊 キャパシティプランニングの基本情報

項目 内容
英語名 Capacity Planning
分野 システムの評価指標(コンピュータシステム)
目的 将来にわたりシステムの性能要件を満たし続けること
活動サイクル モニタリング → 分析 → チューニング(計画) → 実装

解説

システムは稼働し続けると、利用者数の増加やデータ量の膨張によって負荷が徐々に上がります。

ある日突然レスポンスが悪化してから慌ててサーバを調達しても、発注から納品まで数週間〜数か月かかるのが現実です。

こうした「手遅れ」を防ぐために、現状を測定し、将来を予測し、先手を打つ。

これがキャパシティプランニングの存在理由です。

4つの活動サイクル

キャパシティプランニングは、以下の4ステップを繰り返すサイクルで運用されます。ここだけは確実に押さえてください。

キャパシティプランニングの活動サイクル

1
モニタリング
CPU使用率・メモリ使用量・ディスクI/O・トランザクション数など、現行システムの稼働状況を継続的に測定してベースラインを作成する
2
分析・予測
利用者数やデータ量の増加傾向を分析し、システム能力の限界時期を予測する
3
チューニング(計画)
性能要件を満たすために、パフォーマンス最適化やハードウェア増設の変更策を検討・決定する
4
実装
計画に従い、サーバ台数の追加やCPU・メモリの増設など、システム構成を変更する
🔄

実装後は再びモニタリングに戻り、サイクルを繰り返す

パフォーマンスチューニングとの違い

混同されやすいのがパフォーマンスチューニングです。両者は「目的」と「時間軸」が異なります。

観点 キャパシティプランニング パフォーマンスチューニング
目的 将来にわたり性能要件を維持し続ける 現状の処理能力を最大限に引き出す
時間軸 中長期(半年〜数年先) 短期(今あるリソースの範囲内)
主なアクション リソース増設計画、スケールアウト/スケールアップの判断 パラメータ調整、ボトルネック解消
関係 チューニングはキャパシティプランニングの活動サイクルの一部に含まれる。ただしチューニング単体は「目的」ではなく「手段」

図解:負荷増加とキャパシティプランニングのイメージ

以下は、時間の経過とともにシステム負荷が増加し、どのタイミングで増設計画を実行するかを示した概念図です。

負荷推移とリソース増設のタイミング

100% 75% 50% 25% 0%
⚠ 性能限界ライン
増設実行
現在 半年後 1年後 2年後
実線=実測値に基づく負荷推移 – – 破線=増設後の想定負荷率
– – 性能限界ラインを超える前に増設を計画・実行する

このように「限界を超える前に手を打つ」のがキャパシティプランニングの本質です。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 キャパシティプランニングの核心を3行で

・将来の負荷増加を見据えてリソースを計画的に確保する活動
・活動サイクルは「モニタリング → 分析 → チューニング → 実装」の4ステップ
・パフォーマンスチューニングは「手段」であり、キャパシティプランニングの「目的」ではない


試験ではこう出る!

キャパシティプランニングは、FE・APの午前問題で繰り返し出題されています。出題パターンは大きく2つに分かれます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
AP R7秋
午前 問14
キャパシティプランニングの目的として最も適切なものを選ぶ問題。 ・「応答時間を長期的に監視し将来も維持する」が正解
・ボトルネック除去やチューニングの説明がひっかけ
AP R1秋
午前 問14
上記R7秋 問14と同一構成の問題(流用)。 ・APでは同一問題が数年おきに再出題される典型例
FE H30秋
午前 問14
キャパシティプランニングの4つの作業項目を正しい順序に並べ替える問題。 ・正しい順序は「現状把握→将来予測→構成検討→評価・見直し」
・「いきなり増設検討」の選択肢がひっかけ
FE H25秋
午前 問15
H30秋 問14と同系統の作業順序並べ替え問題。 ・作業項目の表現が異なるだけで正解の順序は同じ
AP H23秋
午前 問16
活動サイクルの「チューニング」の説明を選ぶ問題。 ・「既存システムのパフォーマンスを最適化するために変更策を決定する」が正解
・モニタリングや分析の説明がひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「作業手順を正しい順序に並べよ」
4つの作業項目(現状把握・将来予測・構成検討・評価見直し)が順不同で提示され、正しい実施順を選ぶ形式です。ポイントは「まず現状を測定してから将来を予測する」という順序。いきなりハードウェア増設を検討する選択肢は誤りです。

 

パターン2:「目的として正しいものを選べ」
キャパシティプランニングの目的と、パフォーマンスチューニングの目的を混同させる形式です。キーワードは「将来を含めて」「長期的に」。ボトルネック除去や処理能力の最大化はチューニングの話であり、キャパシティプランニングの目的ではありません。

 

試験ではここまででOKです。ITILのキャパシティ管理プロセスの詳細まで問われることはないので、深追いは不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. キャパシティプランニングの目的として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. ソフトウェアとハードウェアをチューニングして、現状の処理能力を最大限に引き出し、スループットを向上させることである。
  • B. 応答時間に最も影響があるボトルネックだけに着目して、適切な変更を行い、その影響を低減又は排除することである。
  • C. システムの現在の応答時間を調査し、長期的に監視することによって、将来を含めて応答時間を維持することである。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
キャパシティプランニングの目的は、必要なリソース量をあらかじめ確保し、将来にわたりシステムの性能要件を満たし続けることです。「長期的に監視」「将来を含めて維持」がこの目的を正しく表現しています。

選択肢Aはパフォーマンスチューニングの説明です。「現状の処理能力を最大限に引き出す」という表現は、今あるリソースの範囲内で最適化する短期的な手段であり、将来のリソース確保を目的とするキャパシティプランニングとは異なります。選択肢Bはボトルネック解消に特化した記述で、TOC(制約条件の理論)の考え方に近い内容です。特定のボトルネックの排除は活動サイクルの一手段であり、全体の目的ではありません。


よくある質問(FAQ)

Q. キャパシティプランニングはITILではどの位置づけですか?

ITIL v3ではサービスデザインの「キャパシティ管理」プロセスに該当します。キャパシティ管理は「ビジネスキャパシティ管理」「サービスキャパシティ管理」「コンポーネントキャパシティ管理」の3つのサブプロセスで構成され、キャパシティプランニングはこれらの計画段階に位置します。ただし、FE・APの午前問題ではITILの体系構造まで問われることはないため、「将来を見据えたリソース計画」という本質を押さえておけば十分です。

Q. スケールアウトとスケールアップのどちらを選ぶかはキャパシティプランニングで決めるのですか?

その通りです。活動サイクルの「チューニング(計画)」フェーズで、サーバの台数を増やす(スケールアウト)か、既存サーバのCPU・メモリを強化する(スケールアップ)かを判断します。Webサービスのように水平にリクエストを分散しやすいシステムではスケールアウトが有利で、データベースサーバのように垂直な処理性能が求められる場面ではスケールアップが選択されることが多いです。

Q. クラウド環境ではキャパシティプランニングは不要になりますか?

不要にはなりません。クラウドではオートスケーリングによってリソースを自動的に増減できますが、利用した分だけコストが発生するため「どこまで自動拡張を許容するか」「予算上限をいくらに設定するか」といった計画は必要です。むしろクラウドではリソースの上限設定やコスト予測がキャパシティプランニングの中心になります。

Q. キャパシティプランニングで監視する指標は具体的に何ですか?

代表的な指標はCPU使用率、メモリ使用量、ディスクI/O、ネットワーク帯域使用率、スループットレスポンスタイム、トランザクション数です。これらをベースラインとして記録し、時系列で傾向を追うことで「あと何か月でリソースが不足するか」を予測します。