情報処理試験を勉強していると、「NASって普通のファイルサーバと何が違うの?」「SANとの区別がつかない…」と混乱しがちです。この記事では、NASの定義・仕組み・SAN/DASとの違いを図解で整理し、試験で得点に直結するポイントだけを押さえます。
対象試験と出題頻度
NAS(Network Attached Storage)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者の3区分で出題されるテーマです。
SAN(Storage Area Network)やDAS(Direct Attached Storage)との比較問題が定番であり、接続方式・使用プロトコル・用途の違いを正確に区別できるかが問われます。
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ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利
NASの定義
NAS(Network Attached Storage)とは、一言で言うと
「LANに直接接続して使用するファイルサーバ専用機」
のことです。
イメージとしては、「オフィスの共用キャビネット」です。
キャビネットは部署に関係なく誰でもファイルを取り出せます。
個人のデスクの引き出し(=各PCのローカルディスク)と違い、ネットワークにつながった全員が同じ場所のファイルを読み書きできる。これがNASの役割です。
📊 NASの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | Network Attached Storage |
| 接続先 | 既存のLAN(TCP/IPネットワーク) |
| アクセス方式 | ファイル単位(NFS / CIFS) |
| 主な特徴 | 異なるOSからファイル共有が可能、導入・管理が容易 |
解説
企業のシステムでは、複数のサーバやPCがそれぞれローカルにディスクを持つと、ストレージの空き容量に偏りが出て無駄が生じます。
また、部門間でファイルを受け渡すたびにUSBメモリやメール添付を使う運用は、セキュリティの穴にもなります。
NASは、ハードディスク・ネットワークインターフェース・専用OS・管理ユーティリティを一体化したアプライアンス(単機能サーバ)として、こうした課題を解決するために登場しました。
既存のLANに接続するだけで導入でき、WindowsでもMacでもLinuxでも、OSを問わずファイルを読み書きできるのが最大の強みです。
NASで使われるプロトコル
NASがOS非依存のファイル共有を実現できる理由は、2種類のファイル共有プロトコルを内蔵しているからです。
| プロトコル | 対応OS | 概要 |
|---|---|---|
| CIFS / SMB | Windows | Windowsネットワークの標準的なファイル共有プロトコル |
| NFS | Linux / UNIX | UNIX系OSの標準的なファイル共有プロトコル |
いずれもTCP/IP上で動作するため、NASは特殊なネットワーク機器を追加せず既存LANにそのまま参加できます。
図解:DAS・NAS・SANの接続構成
ストレージの接続方式は、DAS・NAS・SANの3種類に大別されます。それぞれの接続構成を図にすると違いが一目で分かります。
DAS(直接接続)
↕
USB / SATA / SCSI
1台のサーバに直結
他のサーバからは利用不可
NAS(LAN接続)
↕ ↕ ↕
↕
NFS / CIFS
既存LANにつなぐだけ
OS問わずファイル共有
SAN(専用NW接続)
↕ ↕
↕
ブロック単位
LANとは別の専用ネットワーク
高速・大規模向き
▲ NASは既存LANに接続し「ファイル単位」、SANは専用ネットワークで「ブロック単位」のアクセスを行う
DAS・NAS・SANの比較表
| 項目 | DAS | NAS | SAN |
|---|---|---|---|
| 接続方式 | サーバに直接接続 | 既存LANに接続 | 専用ネットワークで接続 |
| データアクセス | ブロック単位 | ファイル単位 | ブロック単位 |
| 共有範囲 | 接続した1台のみ | LAN上の全端末 | SAN上の複数サーバ |
| プロトコル | SATA / SAS / USB | NFS / CIFS(SMB) | FCP / iSCSI |
| 導入コスト | 低い | 中程度 | 高い |
| 主な用途 | 小規模・単体サーバ | 部門間ファイル共有 | 大規模DB・仮想化基盤 |
ここだけは確実に押さえてください。「NAS=LAN接続+ファイル単位」「SAN=専用ネットワーク+ブロック単位」この2点の対比が理解の核心です。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 NASの核心を3行で
・LANに直接接続して使うファイルサーバ専用機(アプライアンス)
・NFS(Linux/UNIX向け)とCIFS(Windows向け)で異なるOSからファイル共有が可能
・SANとの違いは「既存LAN or 専用ネットワーク」「ファイル単位 or ブロック単位」
試験ではこう出る!
NASは、IP・FE・APの午前問題でストレージ接続方式の比較問題として繰り返し出題されています。
出題パターンは大きく2つに分かれます。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| IP H24春 問74 |
LANに直接接続して使用するファイルサーバ専用機の名称を選ぶ問題 | ・正解は「NAS」 ・ATA、RAID、SCSIがひっかけ |
| AP H24秋 午前 問13 |
NASの特徴と適用業務について正しいものを選ぶ問題 | ・「各種OSからファイル共有」が正解 ・RAIDやデフラグの説明がひっかけ |
| AP H26秋 午前 問12 |
NASを利用して達成できることを選ぶ問題 | ・「システム全体でディスク群を効率的に利用」が正解 ・RAID、デフラグ、DBMSの説明がひっかけ |
| AP R5秋 午前 問12 |
SANの接続形態を選ぶ問題(NASは選択肢で登場) | ・CIFSやNFSを使いLAN接続する選択肢がNASの説明として出現 ・SANとの区別が必須 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「NASの特徴・用途を選べ」
4つの選択肢にNAS・RAID・デフラグ・DBMSなどの説明が並び、NASに該当するものを選ぶ形式。キーワードは「各種OSからファイル共有」「ディスク群の効率的利用」。RAIDの「冗長性・パリティ」やデフラグの「断片化解消」に引っかからないことが重要です。
パターン2:「DAS/NAS/SANの接続方式を区別せよ」
各方式の接続形態やプロトコルの説明が並び、正しい組み合わせを選ぶ形式。「CIFSやNFSを使いLANで接続」はNAS、「ファイバチャネルで専用ネットワーク接続」はSAN、「SATAなどで直接接続」はDASと即座に判別できれば得点できます。
試験ではここまででOKです。NAS内部のRAID構成や具体的な製品仕様まで問われることはないので、深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. NAS(Network Attached Storage)の特徴として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. ファイバチャネルなどによる専用ネットワークでサーバ群とストレージ群を接続し、ブロック単位の高速なデータ転送を実現する。
- B. 複数のディスクを組み合わせて冗長構成とし、一部のディスクに障害が発生してもパリティ情報からデータを復元できる。
- C. LANに直接接続して、NFS や CIFS などのプロトコルにより各種OSからファイルを共有できるストレージ専用機である。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
NASは、既存のTCP/IPネットワーク(LAN)に直接接続し、ファイル共有プロトコル(NFS・CIFS)を通じてOS非依存のファイル共有を提供するストレージ専用機です。
選択肢Aは SAN(Storage Area Network)の説明です。SANはLANとは別に構築されるストレージ専用ネットワークであり、ファイバチャネルやiSCSIでブロック単位のアクセスを行います。選択肢Bは RAID の説明です。RAIDは複数ディスクの冗長化技術であり、ネットワーク接続方式を表すNASとは異なる概念です。
よくある質問(FAQ)
Q. NASとファイルサーバの違いは何ですか?
ファイルサーバは、汎用OSを搭載したサーバにファイル共有ソフトウェアをインストールして構成するものです。メール配信やWebサーバなど他の用途にも使えます。一方、NASはファイル共有に特化した専用OS・専用ハードウェアで構成されるアプライアンスであり、セットアップが簡単で管理コストが低い点が異なります。試験の範囲では「NAS=ファイルサーバ専用機」と覚えておけば十分です。
Q. IP-SANとNASはどちらもTCP/IPを使いますが、何が違うのですか?
IP-SANは、iSCSI(Internet SCSI)プロトコルを使い、TCP/IPネットワーク上で「ブロック単位」のデータ転送を行います。サーバからはローカルディスクと同じようにアクセスできるのが特徴です。NASは同じくTCP/IP上ですが「ファイル単位」のアクセスであり、サーバからはネットワークドライブとして見えます。通信経路は同じでも、データの扱い方(ブロック vs ファイル)が根本的に異なります。
Q. NASは家庭用としても使われていますか?
使われています。Synology・QNAP・Buffaloなどのメーカーが家庭向け製品を販売しており、写真・動画のバックアップ、外出先からのリモートアクセス、家族間のファイル共有などに利用されています。ただし、IPA試験では家庭用途はほぼ出題されません。「企業のLANに接続してファイル共有するアプライアンス」という業務視点で覚えてください。
Q. NASにはRAIDは関係ないのですか?
大いに関係あります。多くのNAS製品は内部にRAID構成を持ち、ディスク障害への冗長性を確保しています。ただし、NASはストレージの「ネットワーク接続方式」を表す用語であり、RAIDはディスクの「冗長化技術」を表す用語です。試験ではこの2つを混同させるひっかけ選択肢が定番なので、「NAS=接続方式」「RAID=冗長化」と明確に区別してください。