対象試験と出題頻度

クリティカルパスは、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者のすべてで出題される定番テーマです。

プロジェクトマネジメント分野におけるスケジュール管理の中核概念で、アローダイアグラムから最長経路と最短完了日数を読み取る計算問題として毎年のように姿を見せます。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「アローダイアグラムは描けるけど、クリティカルパスって結局どの線を指してるの?」と混乱しがちです。

クリティカルパス(Critical Path)とは、一言で言うと

 「プロジェクト開始から完了までの経路のうち、所要日数が最も長くなる経路

のことです。

イメージとしては、家族旅行で一番遅い人の到着時刻です。

家族4人がそれぞれ別ルートで集合場所に向かうとき、家族全員が揃うのは「最も遅く着いた人の時刻」になります。早く着いた人がどれだけ早くても、全員が揃う時刻は変わりません。

プロジェクトも同じで、複数の作業が並行して進んでも、最も時間がかかる経路が終わらないと全体は完了しません。この「ボトルネックになる経路」がクリティカルパスです。

📊 クリティカルパスの基本情報

項目 内容
英語名 Critical Path
分野 プロジェクトマネジメント/スケジュール管理
使用する図 アローダイアグラム(PERT図)
特徴 この経路上の作業は遅らせると全体の納期が遅れる(余裕日数=0)

解説

プロジェクトには「並行して進められる作業」と「前の作業が終わらないと始められない作業」が混在します。

このため、単純に各作業の日数を足しても全体の所要日数は出ません。並行作業のうち最も遅い方が、後続作業の開始時刻を決めるからです。

そこで作業の順序関係と所要日数を矢印で表したアローダイアグラム上で、最長経路を特定する手法が確立されました。それがクリティカルパス法(CPM:Critical Path Method)であり、その経路自体をクリティカルパスと呼びます。

アローダイアグラムとクリティカルパス

次のアローダイアグラムを見てください。①〜⑤は作業の節目(ノード)、矢印の上の数字は作業日数を表しています。

アローダイアグラムの例(5経路+ダミー作業)

A: 3日 B: 5日 C: 4日 D: 2日 E: 7日 F: 4日 G: 5日 H: 6日 I: 3日 J: 2日 K: 4日 ダミー ダミー 最長経路(クリティカルパス) その他経路 ダミー作業(0日)

経路1:①→②→③→⑥→⑧→⑨ A(3)+B(5)+E(7)+I(3)+K(4) = 22日 ← 最長

経路2:①→②→③→④→⑥→⑧→⑨ A(3)+B(5)+ダミー(0)+F(4)+I(3)+K(4) = 19日

経路3:①→②→④→⑥→⑧→⑨ A(3)+C(4)+F(4)+I(3)+K(4) = 18日

経路4:①→②→④→⑦→⑧→⑨ A(3)+C(4)+G(5)+J(2)+K(4) = 18日

経路5:①→②→⑤→⑦→⑧→⑨ A(3)+D(2)+H(6)+J(2)+K(4) = 17日

赤字の経路 ①→②→③→⑥→⑧→⑨ がクリティカルパス(最短完了日数 = 22日)

求め方の手順

試験で問われるクリティカルパスの求め方は、次の3ステップで処理できます。

手順 やること
開始ノードから終了ノードまでの全経路をすべて書き出す
各経路の作業日数を合計する(ダミー作業は0日として扱う)
合計値が最大の経路を選ぶ → これがクリティカルパス/その合計値が最短完了日数

関連用語との違い

用語 意味
余裕日数(フロート) 作業を遅らせても全体の納期に影響しない日数。クリティカルパス上の作業は余裕日数が0
ダミー作業 所要日数0の点線矢印。作業の前後関係だけを表すために使う
クリティカルチェーン法 CPMに「人員や設備の制約」を加味してスケジュールを引く手法
PERT 作業日数を確率的に見積もる手法。アローダイアグラム自体をPERT図とも呼ぶ

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 クリティカルパスの核心を3行で

・プロジェクトの開始から終了までの「最長経路」がクリティカルパス
・最長経路の所要日数 = プロジェクトの最短完了日数
・この経路上の作業が1日遅れると、全体の納期も1日遅れる(余裕日数0)


試験ではこう出る!

クリティカルパスは、IP・FE・APの全区分でアローダイアグラムを読み取る計算問題として頻出です。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE R7春
科目A 問14
アローダイアグラムからクリティカルパスと最短所要日数を求める問題。 ダミー作業を含む経路で最長を選ぶ。正解は31日
FE H29秋
午前 問53
アローダイアグラムからクリティカルパスを選ぶ問題。 ダミー作業なしの単純パターン。経路A→C→G→J→L/14日
AP R3春
午前 問53
クリティカルパス上の作業を短縮したときの全体工期への影響を問う問題。 短縮後はクリティカルパスが別経路に変わる点に注意
AP H21秋
午前 問50
タイムマネジメントのアローダイアグラムからクリティカルパスを選ぶ問題。 並行経路の所要日数を比較する基本問題
IP R6春
問41
アローダイアグラムから最短完了日数を求める問題。 全経路を書き出して最大値を選ぶ典型出題

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「クリティカルパスを選べ」
アローダイアグラムが提示され、4つの選択肢から最長経路を選ぶ形式。並行経路の合計日数を全部書き出して最大値を選ぶだけで解ける。ダミー作業(点線)は0日として扱う。

 

パターン2:「最短完了日数を答えよ」
クリティカルパスの所要日数=最短完了日数なので、結局やることは同じ。「全経路の合計を出して最大値を答える」と覚えればOK。

 

パターン3:「作業短縮後の工期を求めよ」
AP R3春のように、特定の作業を短縮した結果、別の経路が新しいクリティカルパスになるケース。短縮後にもう一度全経路を計算し直す必要がある点に注意。

 

試験ではここまででOKです。フリーフロート・トータルフロートといった用語の厳密な区別は、応用情報の上位範囲を除けば深追い不要です。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. プロジェクトマネジメントにおける「クリティカルパス」の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. アローダイアグラム上で、各作業の開始時刻に与えられた余裕日数を最大化する経路のこと。
  • B. プロジェクトの開始から終了までの経路のうち、所要日数の合計が最も長くなる経路のこと。この経路上の作業が遅延すると全体の納期が遅れる。
  • C. プロジェクトに投入する人員や設備の制約を考慮し、資源競合を解消するように引き直したスケジュール上の経路のこと。

正解と解説を見る

正解:B

解説:
クリティカルパスは、開始から終了までの全経路の中で所要日数の合計が最も長い経路を指します。この合計日数がそのままプロジェクトの最短完了日数となり、経路上の作業に1日の遅延が発生すると、全体の納期も1日遅れます。

選択肢Aは誤りです。クリティカルパス上の作業は余裕日数(フロート)が0であり、「余裕日数を最大化する経路」ではありません。むしろ余裕がない経路がクリティカルパスです。選択肢Cはクリティカルチェーン法の説明です。CPMに資源制約の考え方を加えた発展手法であり、クリティカルパスそのものとは異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. クリティカルパスは1本だけとは限らないのですか?

限りません。複数の経路の所要日数の合計が偶然同じ最大値になった場合、それらすべてがクリティカルパスとして扱われます。試験でも「クリティカルパスはどれか(複数選択)」型の出題が稀にあるため、最長経路を1つ見つけても、念のため他の経路と同値がないかを確認する習慣をつけてください。

Q. ダミー作業(点線矢印)はどう扱えばいいですか?

ダミー作業は所要日数0日として計算します。役割は「作業の前後関係を表す」ことだけで、時間は消費しません。経路を書き出すときに点線をうっかり飛ばすと前後関係が崩れて誤答に繋がるため、点線も必ず経路の一部として通過させ、合計には0を足すと覚えておけば安全です。

Q. 実務でクリティカルパスを意識するメリットは何ですか?

納期短縮や遅延対策の優先順位が明確になります。例えば工期を縮めたい場合、最長経路上の作業を1日減らせば全体も1日縮まりますが、それ以外の経路をいくら短縮しても全体納期は変わりません。リソースを集中投下すべき作業がひと目で分かるため、プロジェクトマネージャーの判断材料として中核的に使われます。

Q. 医療現場で聞く「クリティカルパス」と同じ意味ですか?

名前は同じですが別物です。医療のクリティカルパス(クリニカルパス)は、入院から退院までの標準的な治療計画表を指します。IPA試験で問われるのはプロジェクトマネジメント用語の方であり、アローダイアグラム上の最長経路を指す概念です。混同しないよう注意してください。